八ヶ岳 ど素人時代の無謀山行
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- GPS
- 12:50
- 距離
- 19.7km
- 登り
- 1,865m
- 下り
- 1,833m
コースタイム
2日目
硫黄岳山荘〜横岳〜赤岳〜中岳〜阿弥陀岳〜行者小屋〜南沢〜美濃戸
天候 | 1日目:快晴 2日目:快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2004年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
まっくらになった夜の登山は止めましょう 以下写真 Nikon D70 AiAF Zoom-Nikkor 18-35mm f/3.5-4.5D IF-ED TAMRON 200-400mm f/5.6D |
ファイル |
高度記録(Pro Trek)
(更新時刻:2010/10/28 22:44) |
写真
感想
登山第二弾は南アルプスの主峰北岳。北岳肩の小屋宿泊を予約しうちを9時に出発予定。しかし相棒のUDAが寝坊したため結局八王子ICを出発したのが10:40くらいになった。中央高速を飛ばし双葉JCTを中部横断自動車道方向へ。そして南アプルスICの一つ手前白根ICを降り、北岳登山拠点となる広河原を目指す。途中コンビニで水、非常食等をそろえ目的地まであと少しという山道の途中で、交通整理のおじさんが出てきて「マイカー乗り入れ禁止だよ」の一言・・・。えっ?上高地じゃあるまいしと思ったが、時間帯によって規制をしているらしかった。次のバスは16時過ぎ。今は12:40。さっき行ったバスは12:35との事。タッチの差で逃したことになる。もうどうしようもなし。今日の北岳制覇は事実上閉ざされた・・・・・・。正直まいった。。。これがこの登山の一つのアヤであった。
とはいえ、ここまで来てどこにも登らずに帰るのか?・・・。いや、どっか登ろう。という事で検討した結果八ヶ岳に行くことにした。飛ばしていけば2時には登攀開始出来るだろうという目論みで中央道を軽自動車でぶっ飛ばす。これがある事件へと向かう大きな転機点となるとはUDAも自分も知る由も無かった。。。
八ヶ岳には美濃戸口から登ることになる。硫黄岳山荘(宿泊地)までのルートタイムは、ある雑誌によると4時間半。ただし、このルートタイムは今までの経験でほぼ3分の2でいけるという計算見込みがあったため、まあ3時間もあれば登れるかな?そんな気持ちで美濃戸口到着。美濃戸山荘までは車で行けるという事なので行ったが、ひどいオフロード。慎重に行ったが底を一回すってしまった。到着後すぐに装備を整える。14:40頃いよいよ出発。北沢沿いに東へ進み、赤岳鉱泉から硫黄だけに向かうルートをスタート。さあ行くぞ!という北沢、南沢の分岐点で地図を持ち忘れた事に気がつく。急いで駐車場まで取りに行った。気を取り直してさあ登山開始、という時には3時をちょっと回っていた。。。
高度測定&記録が出来る時計(CASIO:PRO TREK)を買ったので計測開始。これが15:17。以後15分ごとに自動計測するように設定した。北沢を登るルートは変化に富んでいてなかなか楽しい。途中写真を数多く撮りながら進んだ。
そして16:30頃休憩ポイントである赤岳鉱泉に到着。今晩ここに泊まる人達がたくさんおり山小屋の屋根に上って夕日を皆眺めていた。夕日にそまる横岳が非常に美しい。低地での夕焼けとは全く違う濃い赤みでついつい写真撮りに熱中させられる。17:00頃再び登攀開始。ここからは硫黄岳に向けての急登となる。東向きにに上る斜面であるため背後の夕日の美しさに本当に感動した。
急登に少し疲れた頃、暗さを感じ始めた。時間は何時だったかよく覚えていないが日没を迎える。しばらくは西の空が赤色で明るかったが標高2500mを超えるあたりではかなり暗くなり、真っ暗になる前に照明の準備をしよう、という事でUDAとカロリーメイトを食べつつヘッドランプを装着して点灯。登山初心者の我々は初めてヘッドランプ使用となる。登山道がわかりやすいので足元さえ照らせば、昼間と変わりなく登る事が出来た。
ほぼ休み無く登るが、なかなか硫黄岳には着かない。その上初の宿泊登山であるためザックの重みが効き、UDAに較べペースが若干落ちることになる。時間は山小屋に着いているはずの予想経過時間の3時間後である18時。まわりはほぼ真っ暗に。。。このあたりからが正に事件の始まりであった。
森林限界を超えた2700m弱のあたりから見通しがよくなり(とはいっても真っ暗だが)頂上が近いのかな?というあたりで突然風が強くなった。その風はとどまる事を知らず正に烈風ともいうべき勢いでごうごうと吹き荒れる!先週くらいに関東を掠めた強い台風22号とあまり変わらない勢いである。あえて気にせず登ってはいくが真っ暗な中でこの強風は知らず知らずのうちに不安感を煽っていく。あせりが出てついつい道を急ぐ。そしていよいよ山頂への岩場となる。どこがベストルートかという判断も暗さのため出来ない。ほとんどまっすぐ岩場を上に向かって登っていく。そして山頂についた時にUDAと空を見て絶句した。。
ものすごい星の数!くっきりと見える天の川!冗談抜きでこんな美しい光景は今まで生きてきて初めての物であった。一体何等星まで見えているのだろう?1500mくらいの温泉宿とかで見る星とはケタ違いの明るさであった。新月に近い三日月という事もあったのだが、以前富士登山で見た星空よりも数倍綺麗であった。。。
しかし、その感動も寒さが急激に我々を現実に引き戻す。のんびり星空を見ている状況ではない。轟々と先ほど以上に吹き荒れる強風。この間の台風と比較して推測するところ、風速15mはゆうに吹いている。手元のPRO TREKを見ると気温は7℃をきっている。。体感温度はマイナス10℃に近い。。。そう、事件とは正にこれである。ビバークの準備のない状態で未だに山小屋を目視確認できないのである!山小屋に到着出来なければ、ほぼイコール凍死の危険が目前に迫っている。硫黄岳山荘の方向を地図から確認して、コンパスで進むべき方向を割り出す。PRO TREKが一回目の方位計測では正しい方向を示さずに焦ったがUDAのアナログ方位磁針と組み合わせて山荘の方向は確認出来た。ただし、真っ暗なのでルートはほとんど確認出来ない。最悪、登山道を外れて向かわざるを得ない状況である。方位に従い硫黄岳を下りだしたところ、、、
自分のヘッドランプみるみる暗くなっていく!電池切れである。予備の電池は持ってきているので取り替えればいいのだが、軍手をした手もこの強風には全く効かず冷え切って動かない。電池交換にえらく時間を費やした気がする。その間歩みを止めたのでUDAも一気に体が冷えたらしく防寒のため雨具を身に着けた。電池を交換して山小屋があるべき方向に向かうが進行方向右側は深く切れ落ちていて(後で知ったのだが爆裂火口らしかった)一歩踏み外したらかなりの距離を落ちてお陀仏だろう。足元に注意して進んでいくと山小屋らしき明かりが見えた。期待感を抱きつつ歩を速める。コンパスはこまめに見ながら。そして進んでいくと・・・。 なんと明かりが見えなくなった!! なんだ?と思いつつそのまま進む。こんな時間に電気消したか?丘でもあって見えなくなったのかな?きっとそうだろう。不安な想いをかき消すようにさらに速く進んでいくと。。案の定丘があったようでかなり近くに山小屋が見えた!ほぼダッシュの歩きで硫黄岳山荘に無事到着!小屋の中の暖かい事!UDAも自分もヘッドランプをつけて強風の中を歩いてきたせいか頭がボサボサであった。そんなささいな事に気を回せる自分を見て冗談抜きで生きてて良かったと一瞬考えてしまった。。
ちなみに、美濃戸口を3時に出てここを目指すのは「無謀」の一言で山小屋の人に非難の目を向けられてしまった。メシを食いながら出てくる言葉は「生きててよかったな…。」がお互い数度。心の底からしみじみと湧き上がってくる実感であった。冷静に考えてみると、「地図」「コンパス」「ヘッドライト」このうち一つでも欠けていたらここに辿り着けなかった可能性はかなり高いのではないか?日帰りで登るような山にはヘッドライトを持って行かない人も多いと聞く。今回はたまたまか、準備がよかったのかしらないがヘッドライトとコンパスは二人ともあった。地図も10cm四方ほどの物だがしっかり持って来た。ベテランに言わせれば当たり前かもしれないが、いざこういう状況を味わった後だと絶対欠かせない装備のベスト3だと改めて思った。メシを食べた後は「8時で消灯でーす」の声。えっ?マジ? 山小屋泊まりが初めてだった我々はそんな常識もしらなかった。急いで歯を磨いて寝る準備をする。水は冷たすぎて口をゆすぐのがつらい。なんとか8時直前に寝る支度を終えて寝床に着くことが出来た。こうして激動?の八ヶ岳登山初日はなんとか無事に終わることになった。。。
夜中は夕方よりものすごい強風。ごうごうと風が吹き荒れ小屋の窓が揺れる。宿見つけられなかったらどうなったんだろう?そんな事を考えるとなかなか眠れない。寝たり起きたりを繰り返しているうちに朝になった。
日は出ていない。朝焼けが空をオレンジと水色のグラデーションに染める。三脚とカメラを用意し何枚かシャッターを切った。するとみんな集まってきて携帯やコンパクトデジカメで各々素晴らしい朝焼けを納めていた。6時前くらいだったか、いよいよ日の出。しかし一瞬窓から離れて荷物準備とかをしていたらその瞬間に登ってしまった。。無念
朝飯は6時。珍しくおかわりをしてしまった。7時前には出発しようと準備を急ぐ。外に出ると空気が肌に突き刺さる。夜中ほどではないが山頂らしく風はかなり強い。頭の防寒がなく帽子かなにか持ってくればとちょっと後悔する。どうしようもないので登って体をあっためるか、という事で7時出発。本日のルートは硫黄岳山荘→横岳→赤岳→阿弥陀岳→行者小屋→美濃戸口、というコースだ。いわゆる南八ヶ岳縦走コース。赤岳をはじめ峻険な岩峰を次々に登る人気のコースだ。ほとんどが森林限界を超えているのでコースは荒々しい岩肌がほとんど。たまに高山植物やハイマツがある程度。常に2500m以上の移動とはいえ日中は風も弱くなり、途中で防寒に着ていたフリースを脱ぐほどの暖かさだった。昨晩自分たちに牙を剥きかけた山とは思えない。本当に山は怖いんだなとつくづく思った。しかしそんな昨晩の恐怖がうそのような・・・
素晴らしい景観!大パノラマ!語彙不足だ!ありきたりの言葉しかなく申し訳ないが、本当に天気がよく空気が澄んでいるため何百キロ先が鮮明に見える。富士山はもちろん南アルプス〜中央アルプス〜御嶽山〜乗鞍〜槍穂高連峰〜北アルプス北部(多分剱岳も)が鮮明に見える。槍ヶ岳なんて見たのは初めて。槍の穂先がよく分かった。八ヶ岳の景観も素晴らしく重厚で圧倒的な存在感がある赤岳、そして中岳をはさんで見えるやや複雑な形状で頂上付近が急登なのがわかる阿弥陀岳。富士山と組み合わせたりしながらいやっていうほど写真を撮りまくった。
横岳周辺は岩場、ハシゴ場が多く写真に集中出来ない。頂上も8時前だというのに人が相当いてあまり落ち着かなかった。まー山では早起きが基本なのでこれが当たり前らしいが。ちなみに後で知ったのだが山小屋には3時、遅くとも5時に着くのが常識で我々のように7時に到着など言語道断!「山小屋の主にこっぴどく怒られるだろう」とUDAの本に書いてあった(笑) いやー無知とは怖いもんだ。遭難しなくてよかったよかった。
横岳の後は八ヶ岳の主峰赤岳を目指す。近づくにつれ迫力が増してくる。手前の小屋で一息いれ、一気に上り始めた。富士山9合目などよりも厳しい急斜面。雪がなくても転がりだしたら下まで行ってしまいそうな角度に感じた。ストックを使ってバランスを取りつつ慎重に進みいよいよ頂上に到達!天気は継続してよく空が青い。偏光フィルターなど使わないでも十分に蒼く写るのだがこの日のために1万円以上のデジカメ用偏光PLフィルターを買ったので撮影。ちょっとウソっぽい写真に見えるほどの写りだった。
カロリーメイトで若干腹ごしらえをしてから赤岳の西斜面を降り出す。ここは相当急な岩場、鎖場の連続。宝剣岳よりすごいと自分は思ったがUDAはあれにくらべりゃ大したことないという。自分はそうは思えないのだが。。 このあたりでえらく降りるのがはやいばあさんに出くわす。あまりの速さに道を譲った。相当な慣れ、只者ではないと感じたがなんでそんな急いでるの? ちょっと不思議。。
その後阿弥陀岳との間にある中岳を超え行者小屋と阿弥陀岳の分岐点につく。ザックを置いて阿弥陀岳に登りここに戻って行者小屋に戻るのが一般的なルートらしい。そこから南のキレット小屋に向かう道もあるらしいのだがガレガレで一般的なルートではないらしい。自分らは戻るルートなのにザックを担いだまま行ったため見知らぬオジさんに「南稜ルート行くの?ガレガレで大変だよ」と注意されてしまった。「?」という感じで聞いていたが後で分かった。。まーけど自分はザックを持っていって意味があるのだ。200〜400mmのバズーカ(笑)のような超望遠ズームレンズをザックに入れているので北アルプスを撮ってやる〜。と逆に意地になってしまった。ここの頂上付近はかつて無い急登。大汗をかきながらなんとか無事に阿弥陀岳頂上に着いた。昨日夜登った硫黄岳やさっき登った横岳、赤岳も見える。見る角度が違うと全然違う山に見えるから不思議だ。ここでもかなりの写真を撮った。
そしていよいよ帰りのルート。先ほどの分岐点に戻り行者小屋を目指す。ここらは日陰で森林限界以下のため森になっており景色はイマイチ。ひたすら降りるのみだった。途中谷川がありUDAは顔を洗ったりする。流れのないところは凍っていたりする。よくよく見れば周りも深い霜柱だらけ。昨晩はやっぱり氷点下だったんだな。あの風速15m以上と推測される風を考慮すると体感温度は-20℃以下。あらためて小屋にたどり着けてよかった。。。
行者小屋には13:30頃についた。ここでカロリーメイトの残りを食べたりしてたら隣で調理用具を持ってきて一人でチキンラーメンを食ってるにいちゃんがいた。。。すげー、、うまそーー。次回はおれらもやろうとUDAと約束した。そこからはひたすら長い道のりを歩いて戻る。景色には飽きたので結構長く感じた。更に登山靴の上部分がくるぶし前後に食い込みかなり痛い。ペースダウンせざるを得なかった。。疲労感は相当のものだったがそれ以上の感動を味わい、美濃戸口に無事帰還!!いやーよかったよかった。。。とGood Endで終わらせたいところだが今回はあまりにも反省点が多いので次に向けての復習・改善事項。
・計画性ゼロだった・・・
北岳いってダメだったから急遽八ヶ岳。まったく呆れる計画性の無さ。北岳の登山口までの情報は事前に集めてればこんな行き先変更はなかった。つまりスタートが遅れる事にはならなかった。
・日没後は動けない!
日没時刻くらい調べるべき。山の西側東側でも暗くなる時間は異なる。そもそも暗くなる前に小屋に着くのが当たり前。7時くらいならまだ明るいだろうとタカをくくってこの有様である。ヘッドランプがあったから良かったようなものの、もし無かったら遭難みたいなビバークになるところ。ランプがあっても危険な岩場は夜は無理という事が体でわかった。
・ビバーク準備くらいしろ!
何があるかわからない山ではビバークの準備があるとないとでは安心感が違う。UDAは一人用のアルミ(これで体を巻くと暖かい)を持っていたが自分は服以外無かった。早速ツエルト(簡易テント)を買った。
以上、玄人から見たらあまりにもあきれるような準備不足の登山だったが次回以降に活かしていきたい。
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