旭岳と白馬岳-暴風で飛ばされそうなテントの中で濡れ鼠-


- GPS
- 13:01
- 距離
- 17.8km
- 登り
- 2,131m
- 下り
- 2,127m
コースタイム
- 山行
- 4:26
- 休憩
- 0:13
- 合計
- 4:39
- 山行
- 6:47
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 8:07
天候 | 1日 曇り、ガス 上部は雨交じりの暴風 2300地点で西よりの風強く、突風は20m強、稜線は推定30m以上!夕方、テント内気温2度。2600mから上は氷点下で暴風雪。 #降雨、降雪量は少ないです。ガス、強風の時間が24時間と長かった。 2日 晴れ 山頂で西よりの風10〜15m。朝、テント内気温2度 |
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過去天気図(気象庁) | 2016年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
猿倉荘に登山ポスト有り。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
猿倉荘付近、残雪なし。林道は夏道と残雪のミックス。 2100m〜2400m付近で30度くらいの傾斜で雪が硬い時は要注意。その前後は傾斜がゆるいです。特に降雨、降雪中及びその後、高温時などは雪崩に注意! |
その他周辺情報 | おびなたの湯。駐車場が狭い、当日は駐車場がいっぱいで八方の湯を利用しました。 |
写真
感想
このあたりは、若い頃、山岳会の5月山行で小日向山に大型テントを張り、1週間弱滞在。白馬の主稜、杓子尾根等を登った。ただ、旭岳には行って無かった。
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【BCと登山者】
この時期、BCの多く入るエリアにはあまり行きたくなかった。
なぜなら俺もBCが好きでやりたいのに、今は兼用靴が履けないからだ。滑降シーンを見ると羨ましい、悔しいと思うからだ。靴が履けない原因は右足の外反母趾っぽい所がブーツにあたり痛くなるからだ。BCが無理だったら、好きなテント泊でピークハントを楽しめばいいんだと、気持ちを切り替えた。
BCと登山者、俺はそういう分類分けで(便宜上分けるのは構わないが)、異なったフィルターを通して判断されるのは嫌いだ。理由は、それぞれに対して偏見を持つ、或いは持たれるからだ。山に登る目的は違えど気持ちは皆同じだ。みんな仲間だ。
【ヤマテン】
今回初めて、有料の天気予報サイト「ヤマテン」に会員登録した。なぜなら今後しばらく、高山が増えそうだからだ。今までも、高山に行く時は「てんきとくらす」などで主に風の数値予想などを参考にしていた。
これで計画が立てやすくなった。日帰りと違いテント泊の場合は当日の夜や翌日の天気、特に降雨予想と風予想が重要だ。山にいる時間が日帰りが8時間、泊まりは1泊でもその4倍は山にいるわけだから予報に関してはよりシビアになる。朝起きたら雨で、雨の中の撤収はできるだけ避けたい。
【5月1日】
1日早朝、白馬に着いた時は雨が降っていた。栂池ゴンドラ乗り場で始発(8時)を待つ。8時前に「強風のため、運転見合わせ」のアナウンスが流れた。
下界は全く風がなかった。乗り場まで行き、山岳パトロールっぽい方に聞いた。ゴンドラ上部で23m吹いている。雲が取れないと風は弱まらない。今日はなかなか雲が取れない。お昼になっても風が弱まらなければ、今日は運休になるだろうと言う。1時間ほど様子を見たが動きそうもないので猿倉に向かう。ちなみに八方のゴンドラも運休だったみたいだ。
30分ほどで猿倉に着く。今日は村営頂上宿舎のテン場泊まりだ。「ヤマテン」では、昼ころより晴れてきて、夕方以降は風も弱まる予報だった。宿舎のテン場でブロックを積めば大丈夫かなと思いながら、猿倉をスタート。どこで気がついたか忘れたが、テントの張り綱が2本しかないと気がつく。風が強い予報なのに、張り綱や細引きを忘れるというミスをする。
2000m以下はほとんど風が無い。2000mを越すと徐々に強くなり、撤退して降ってくる人がやけに目に付いた。そんなに上は風が強いのか?にわかに信じがたかった。そして上にいた人影はみな撤退して下って行った。2300mまで上がる、20mを越す雨を含んだ暴風が、左上から吹き降ろしてくる。風に乗った残雪のザラメ雪が時速70km以上で体に叩きつける。耐風姿勢が遅れるとよろけ、急斜面を転げ落ちそうになる。下を見るとあれだけいた後続者が一人だけになっていた。そしてその人もいなくなった。
村営頂上宿舎にテントを張れるか難しくなってきた。いや、そのまえに村営頂上宿舎にたどり着くことさえできない。暴風雨のガスの中から一人が降りてきた、「ここから上は、立っていることさえできない」と叫んで下っていった。
時折30m近い突風が吹くと、雪が緩んでいるとは言えこの急斜面では恐怖を覚えた。コンタ100m登れば傾斜がゆるくなるが、この向かい風の強風では稜線から下ることはなんとかできても、重荷を背負って登ることはできないと悟る。
【5月1日午後、大岩下で露営】
一人取り残された俺は、目星をつけていた大岩の下までトラバースして下った。ここなら雪崩、落石そして風から身を守れそうだった。ヤマテンでは18時には20m(山頂)まで弱まり、さらに弱まって行く予報になっていたので、ここに露営することにした。もちろん日帰り装備だったら、とっとと撤退していた。
設営後、行動中はあまり気にならなかったが、濡れがかなり深刻だと分かった。ゴアの雨具は表も裏もビチャビチャで上半身はずぶ濡れに近い状態だった。靴下も濡れていた。予備の靴下は温存した。3組あったグローブも2組はビチョ濡れ。乾いている1組は翌日用に温存。
テント内の全てのもが時間の経過とともに濡れてきた。乾いていたダウンジャケットもテント内で濡れて保温力が著しく低下した。−15度対応のシュラフも下はビチョビチョ、絞れば水が出る。ただシュラフの上は表面はずぶ濡れだったが、なかのダウンまで濡れるのだけはまぬがれた。
原因は数分おきに来る突風で、濡れたテント布の水が霧状になってテント内に降り注ぐからだ。テント内の物は全て濡れ、暗くなる頃は床もビチョビチョになっていた。
気温2度なのに寒くて、寝れない。時折震えが来る。震えが収まるまで体を動かしつづける。体の地面に接地している箇所が濡れて冷たい。乾いていればこの気温なら暑いくらいだ。
夜には風は収まる予報だ、それまでテントが飛ばされませんようにと祈る。予報とは裏腹に深夜なっても風は弱まらず強いままだった。しかし、あれだけ吹いていた風も夜が明ける頃には収まりだした。雨も止んだ。山にはまだ雲がまとわりついていたが、「晴れてくるな」と確信した!
寒さのせいか、加齢のせいか、7〜8回おしっこをした。最後の3回はテントから出るのが億劫で、入口を開けテント内から外に向かっておしっこをした。横風をモロに受けた飛沫は容赦なくテントに降り注いだ。
おしっこの付いたテントは?気にしない気にしない!(追記:その後洗濯機で丸洗いしました)
【5月2日】
寒さ(濡れによる冷え)とテントが飛ばされないかという恐怖で一睡もできなかった。明るくなってからマルちゃん製麺で朝食。6時、晴れてきた!テントを撤収して上を目指した。濡れたダウンは背中を除いて乾いていた。濡れたゴアの雨具に袖を通し、ザックを背負う、重い!濡れた物が多いせいだ。村営頂上宿舎まで荷を上げ、そこからサブザックで旭岳と白馬岳のピストンにした。今日はとても栂池まで行けない。この日はルンルン気分で画像をたくさん撮ったのでそれを見ていただければ幸いだ。
【辛いテント泊だった】
テント内の15時間はほんとうに辛かった。1日、隣の立山山頂では暴風雪、ホワイトアウトで身動きができず低体温症で亡くなった方、或いは穂高では強風でバランスを崩し滑落した方もいたようだ。下山後、車でニュースを聞き、同じ日に同じ山域にいたと思うと、いたたまれない気持ちになった。
それでも、俺は山を続ける、そう歩けなくなるまで...なぜって、山が好きだからさ。
【肉体改造】
明日から肉体改造に着手するので1ヶ月以上山は休みます。山に行くとその前後数日間はトレーニングと減量を中断するので効率が悪いんです。目的は、少しでも遭難リスクを減らし、そして快適に山を歩くとができるようにするためです。コッソリシリーズで1回くらいは低山に行くかもしれませが... 6月も北アルプスを予定してます。
【備忘録】
ガス100g使用(暖をとったり、服を乾かしたりした)
2日目は水とジュースで水分を1.5L消費(小屋で水0.5L、ジュース0.5L購入、営業小屋があるのは実にありがたいと実感)
テントとツエルトの張り綱を一部共有していたのが、今回張り綱を2本忘れた原因だ。次回山行時までに、張り綱をさらに2本購入してテントに4本セットしておくこと。
テント泊で雨が少しでも予想されるなら、120Lのゴミ袋を持ったほうがいいかなと思った。ただし今回はヤマテンをあてにしていたので、降雨を全く想定していなかった。テント専用のフライを持っているが、あの状況下でフライは設営できないでしょう。それにフライは持って行かなかった。
旭岳 日本百高山80座
竜ヶ岳 山梨百名山78座、三方分山 山梨百名山79座
1日、風は左上方から吹いている。20m超の突風が雨と残雪のザラメ雪を伴ってテントを打ちつける。ザラメ雪がテントを打つ音聞こえますか?あれが顔に当たるとかなり痛いです。12秒後に風が強まり10秒ほど続きます。突風ってだいたい10〜20秒くらい続くのが多いみたい。再生時間は23秒です。
2日、白馬山頂にて。風は15m程度。この程度なら岩稜、ナイフリッジ以外は問題なく歩けます。再生時間は25秒です。
5月1〜2日 旭岳と白馬岳-暴風で飛ばされそうなテントの中で濡れ鼠- ←当レコ
5月3日 竜ヶ岳と三方分山 萌える新緑に胸キュン!


拙者の白馬岳と言えば、今から約25年前、1号隊員を連れて、「大雪渓⇒白馬岳⇒雪倉岳⇒朝日岳⇒蓮華温泉」だったような記憶です。
8月下旬にも拘らず、大雪渓のお花畑が咲き乱れていたのを覚えています。
雪倉ではライチョウも見たかな?
今回は雨風の中、辛い夜を過ごされたようですね。
好きだからこそ・・・我慢できるのでしょうが
翌日の旭岳、100高山の一つだったんですね。
拙者は行ったことがありませんが、(白馬山荘でバイト経験のある)DuckyMomoさんがお勧めのコースです。
四囲が見渡せて何よりでした。
白馬岳と言えば、山岳会にいた時の5月合宿で、先発隊で入り撤収までいたので多分1週間位は滞在していたと思います。35年以上前ですが断片的にその時の数々のシーンが今でも思い起こすことができます。何年先になるかわかりませんが、今度は夏季に再訪したいと思ってます。
強風は予想できましたが、正直、雨は予想してませんでした。予報より天気の回復が24時間近く遅れたので致し方ありません。大雪渓は圏外で天気予報の更新ができず、画像1番の天気予報を信じていたので、風は強いものの昼過ぎには晴れてくる。そして夕方以降は風も弱まり出す、と思ってました。ちなみに3、4日はヤマテンで悪天警報が出てました。
辛いテント泊ではありましたが、もっと辛い目にもあってるので、平常心でそれなりにテント泊を楽しんでいた、といったら語弊があるかな、淡々と朝が来るのを待っていたと言ったほうが正確かな。ただ2日はいい天気だったにもかかわらず、ロープウェイの時間(15時最終)の関係や体力的な問題(2晩寝てなかったのでそのへん絡み)で栂池に行けなかったのが残念でした。
旭岳はDuckyMomoさんがお勧めのコースだったんですか。当日、白馬岳は相当数の人が行ってましたが、旭岳は静かで、私の後に2パーティ(3人)が行っただけのようでした。
コメント有難うございました。
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