両神山 赤岩尾根直登ルート(赤岩岳正面稜、P1583リッジ) 藪岩マルチピッチに挑戦
- GPS
- 10:13
- 距離
- 9.7km
- 登り
- 1,096m
- 下り
- 1,095m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
バリエーションハイキング、ハイグレードハイキングというよりはアルパインクライミングの領域に入るルートです。ロープによる確保が必要ですが中間支点が乏しく、リードする際には十分な準備と安全管理が必要です。 |
写真
感想
両神山赤岩尾根を赤岩峠から登る場合、赤岩岳は北側のリッジから、P1583は南面を巻いて越えるのが通常のルートとなっています。
これを真っ直ぐに赤岩岳正面稜、P1583リッジを越える赤岩尾根直登ルート。昨年10月に嫁さんと挑みましたが、時間が掛かり過ぎて赤岩岳正面稜のみで敗退しシーズンが終わりました。冬期は主にアイスやアルパインで過ごし、ジムやマルチピッチの経験を経て今回再挑戦となりました。
上落合橋に駐車し、車道歩きでニッチツ小倉沢集落へ向かいます。廃墟を過ぎ赤岩峠までは通常の登山道を進み、赤岩峠からは東へ尾根上を直進し正面稜基部に至ります。ここで登山靴からクライミングシューズに履き替えました。
今回の装備は前回の経験を元に、不要と思われるピトン、ナッツ類その他を省き、リーチの足りない嫁さん用にチョンボアイテムを加え最適化しました。
自分はクライミングシューズ、メット、ハーネス、9.8mm50mシングルロープ、BDキャメロット#0.5#0.75#1各1、ダイニーマスリング120cmビナ付き4、自作6mmスリング120cmビナ付き3、自作6mmスリング180cmビナ付き1、芯詰めスリング2と懸垂支点用6mm捨て縄1ビナ付き、クイックドロー2、エイトカン、ATCガイド、カンツキ3。
嫁さんはクライミングシューズ、メット、ハーネス、エイトカン、ATC-XP、カンツキ3、セルフビレイ用にスリング数本にデイジーチェーンとチョンボ用2段アブミ2です。
赤岩岳正面稜 3ピッチ 5.5
1p + 35m(リード)
正面稜基部から左へ5mの凹んだ壁からスタートです。出だしのハング上には潅木があり、やや遠いため、上手く足を使って一段身体を上げますが、支点が取れない状態でのリードは結構な緊張感です。セカンドの嫁さんは寸が足りず、前回潅木を取るのに苦労したので、嫁さん用にデイジーチェーンを掛けておきました。
ハングを越え右上すると崩れたチョックストーンのルンゼ状に至り、これの右側カンテ上に立ち、岩伝いに高度を上げます。頭上正面に大岩が立ちふさがるテラスで1p目終了です。
テラス左側の潅木から確保支点を取りました。セカンドの嫁さんはデイジーチェーンにアブミを掛けるかと思ったのですが、デイジーチェーンを掴んでハングを超えられたそうです。
2p - 30m(リード)
テラスから見上げる大岩を右側に回り込むとクラックが有り、少々狭いですが、ここが2p目のスタート地点です。クラックはやがて中に樹が生えたチムニー状になり、樹の左側からチムニーを経て左側の岩がテラスになった所に立ちます。
チムニー右側の岩は左側のテラスよりも高くカンテになっているので、カンテを右側に回り込むように登ります。下にはチムニーが口を開ける感じでホールドもやや微妙です。この辺りがこのピッチの核心になると思います。
この先は岩のリッジ伝いに登って行きますが、開放感が有り気持ちの良いクライミングになります。枯れ木が目印の広いテラスで2p目終了です。樹が豊富で確保支点には困りません。
3p 30m 検淵蝓璽鼻
2pの終了点から始めると藪でロープが重くなるので、2pの終了点から藪の緩い斜面を少し進み岩壁に突き当たります。岩壁沿いを左端まで辿り、やや凹角っぽい所からスタートします。一段上がるとリッジ状になり、景色を楽しみながら高度を上げて行きます。
この先は、ピトンが横に2枚残置されている所から右へカンテを越えます。近いホールドは薄めで、カンテに身体を振り出すにはやや不安です。カンテ裏側にガバが有るのですが、遠いので微妙なスタンスを拾っての一手が核心です。カンテを越え岩のリッジ伝いに登り、傾斜が緩んできた辺りのテラスで3p目終了です。
セカンドの嫁さんはカンテ右へ越える際に、残置ピトンにアブミを掛けて突破しました。折角作って来たので役に立って良かった〜。
3p目から先はロープを仕舞い、岩尾根を少し登って赤岩岳山頂に到着、クライミングシューズから登山靴に履き替えました。
赤岩岳から先、p1583前衛峰は登山靴のまま、フリーで直登しました。大きく2段に分かれていて卦蘢度の岩登りです。前衛峰を越えるとp1583に至ります。
P1583リッジ 1ピッチ 5.5
1p 40m 検淵蝓璽鼻
リッジの岩が始まる手前の安定した場所でクライミングシューズに履き替えスタートしますが、スタートから暫くは支点が取れません。小岩の先、ギャップを越えた最初の部分ですが、フリーの状態で真正面を越えるのはリスクが高いので1m程右から越えました。右へ逃げる際のスタンスが薄く、ここが下部の核心になると思います。
この先はしばらく見た目で感じた威圧感程ではない難易度で、快調にリッジ沿いを忠実に辿ります。赤岩岳正面稜に比べて藪が無く(支点も取れませんが)開放感、高度感共に抜群で、見晴らしも素晴らしいクライミングが楽しめます。個人的にP1583リッジは今回のハイライトだったと思います。
さらに進むと、足が置きやすい左側のバンド状から右のリッジへ上がる部分に当たります。背後に高度感を感じながら外傾したスタンスにスメアを効かせリッジに上がりますが、なかなかの緊張感で上部の核心になると思います。
傾斜が緩み、確保支点が取れる樹が有る所で終了です。セカンドを迎え、ロープを仕舞い登山靴に履き替えました。
この先はP4、P3、P2を越えますが、何度が歩いた事があるので復習せずに無警戒で歩いた為、所々で変な踏み跡に引き込まれたりしました。
P1の岩尾根を、赤岩尾根の締め括りとして楽しみながら登りP1を越え、八丁峠から上落合橋に下山しました。宿題となっていたルートをクリアできた達成感と満足感。天候にも恵まれ、素晴らしい山行となりました。
赤岩尾根直登ルートは赤岩岳正面稜のマルチピッチと、高度感、開放感が素晴らしいP1583リッジ、そして赤岩尾根の縦走と様々な要素が詰まった好ルートだと思います。多分1度だけではなく、タイミングが合えば毎シーズン再訪したいと思えるルートでした。
おまけ 前回、赤岩岳正面稜のみで敗退した記録はこちらです。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-747323.html
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する