【春の目覚め演習】川乗山・日向沢ノ峰・蕎麦粒山・一杯水・酉谷山・長沢山・芋木ノドッケ・白岩山・前白岩山・霧藻ヶ峰・三峰神社【丙84.6】
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- GPS
- 13:44
- 距離
- 43.7km
- 登り
- 2,872m
- 下り
- 2,850m
コースタイム
天候 | 曇・晴れ・曇・晴れ・曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
自転車
復路:秩父鉄道三峰口駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
道の状況:石ゴロゴロ、白岩山付近残雪により若干泥濘化 登山ポスト:鳩ノ巣駅にあり 温泉・飲食店:三峰神社周辺に飲食店と三峰の湯、山を降りれば道の駅大滝温泉 |
写真
感想
【今回の反省】
山行は計画的に。
蛮勇は呆然の対象とはなっても賞賛の対象とはならない。
バスの時刻はしっかり確認。
【初動】
大型連休に入って昭和の日は最近睡眠不足ということもあって昼まで睡眠。午後出かけようとしたが、雨が降ってきたのですぐ帰宅。その分30日はどこかしら行こうと思っていたが、どこに行こうか決めかねていた。後から知ったニュースでは日光方面が行楽客激減ということだったので、そちらが狙い目だったかもしれない。
但し、仕事の関係で東京を離れるわけにもいかなかったので東京近郊でということになった(山に入ったら近郊も何もないが)。
基本線としては、前の山行から1ヶ月ほど経っているのと、雪山で足の具合が若干おかしくなったのとで、歩くことに重点を置き、足慣らし、足試し的なものを考えた。
最終的に大月・初狩から大菩薩経由小菅の湯行きか、奥多摩から都県境経由大滝温泉行きの二択になったが、標高や距離を総合的に勘案して今回の山行を決定。但し、当初案では御嶽駅から惣岳山・岩茸石山・黒山・棒ノ嶺を経て行こうと考えていたところを、距離が尋常でないということで鳩ノ巣から本仁田・川乗を経て行くルートに変更した。山梨行きも、奥多摩行きも最初に乗る電車は同じだったので、もし、最初の乗換に失敗したら山梨山行になる予定だった。従って、最終的に作戦地域が確定したのは、私が立川駅で乗り換えた時点である。
当日、長距離長時間山行を見越して早めに起床。早い電車に乗るため例のごとく武蔵小金井まで自転車をとばす。今回は余裕を持って到着した。朝と昼の食事を買い込んで来るべき山行に備える。青梅線には同じく山行者と思しき方が一車両につき5,6人。私と鳩ノ巣で降りたのは、4,5人だった。
駅前の案内板で概要を頭に叩き込み、早速歩きだす。最初は後に比べればなだらかな傾斜で、少々肌寒いこと以外は苦にならない。しかし、久しぶりの山歩きとあって体への影響をはかりながら慎重に進む。
林道に出たところで目の前が工事中らしく、プレハブやら何やらが置いてある。道が通じていないのかと思い、林道を下ってみたりしたが、山へのとりつきもない。後から追いついた男性と、やっぱり工事中の敷地内に登山口があるんじゃないかと見てみたら隠れて少々分かりにくいが山道が続いていた。道がわかればもうずんずん進むのみ。因みに、ここで本仁田ルートでないことに気づいた。残念に思う一方で、本仁田・大ダワをパスしたため若干距離が短くなったのではないかとホッとする。
【第一倦怠期】
その後、傾斜が徐々に急になってきて第一倦怠期が訪れる。久しぶりの傾斜地での散歩と登りに次ぐ登りとあって早速腿にくる。こんなことでは八ヶ岳とか北岳とか夢のまた夢だなと思いつつ、大きな岩が所々現れる道を休み休み歩く。
川乗山直前で水場の表示。水分は補給できる所で補給すべし。落葉に埋もれた急な坂を沢まで下りていくと、これまた落葉に埋もれて目立たない水場が微々たる量の水をチョビチョビと出していた。数日前雨が降ったはずだがなあと手に掬って飲んでみるが、掌に水が満つるのにも時間がかかり、少しずつしか飲めない。直接飲むのは諦めて持参したペットボトルに水を補充して満タンにする。こちらも時間がかかったが、その分よい休憩時間となった。水を飲むペースが若干速いかもしれない。
水を得て勇躍ひと踏ん張りしたところで開けた尾根に出て、そこを左(西)側にもう少々歩くと川乗山に到達する。秋とは違い、遠くが霞んでしまうのはやむを得ないが、また、雲がやや多めではあったが、他に人もなく静かで落ち着いた時間を過ごすことができた。
【快調期へ】
川乗山までは目ぼしいランドマークが無いため、いつ川乗山に着くのだろうということが意識の大部分を占め、それが苦行に繋がってしまったが、川乗山に到達したことで気分が楽になり、体がほぐれてきたことと、尾根に上がったこともあって、ルンルン山行期に入る。都県境の山々が遠くに見えるのもまだ焦りには繋がらない。ただ、尾根に上がったとは言え、ここから先の尾根歩きは上ったり下ったりが結構あり、それが後々響いてくる。蕎麦粒山に近づくにつれ、三々五々と他の山行者とすれ違うようになる。
日向沢ノ峰で軽食休憩をとった後、最後にドデンと立ちはだかる大岩の傍の急登つづら折りとその後のもう一丁急登、雲取山直前の急登のような急坂をエッチラオッチラと一歩一歩踏みしめて行くと蕎麦粒山の頂に着く。先に一人休んでいて、登ってくる一人一人に労いの言葉をかけてくれる。確かに労いの言葉をかけるにふさわしい登りだった。声をかけてもらうと張り詰めていた空気が解け、自然と笑みがこぼれる。
山頂からは直前の急登だけでなく、今まで歩いてきた尾根を見通すことができる。まだ1400mなんだよなあという思いがちょっとよぎったところで山頂を辞す。
日が昇り、雲間から陽光が指すようになって、暑くも寒くもない、しかも風が通って非常に気持ちが良い尾根歩きが続く。埼玉県側の山々と東京都側の山々が両方視界に入り、両手に花といった感じだ。光と風が良い感じならば、下山分岐も沢山あるし、この都県境尾根は案外オススメかもしれない。アクセスにやや難ありだが。
天目山(三ツドッケ)下の一杯水に到達。一杯水という水場があることは知っていたので、当初から水分はここで補充する予定だった。この日は前夜にサウナに入ったからか水分消費ペースが速かったところ、川乗山手前にも水場がありラッキーだったといえるが、一杯水ではボトルを満タンにするだけでなく、ゴクッと500mlくらい飲み干しておくべきだった。その後のパフォーマンスの低下の一因に水分不足があることは否めない。一杯水から三ツドッケの頂に行くには、一度道を戻らなければならないが、時間と体力的に厳しいと判断して今回はパス。
【第二倦怠期・苦行期】
今回のプランのまずいのは、延々歩いてきた後に、さらに標高2000m手前まで500m程の標高差を10km程度の距離をかけて、起伏を上ったり下ったりして登っていかなければならない点である。何故こんなプランにしたのか、というと最後に大滝温泉に入りたかったからである。三ツドッケから酉谷山までは標高差200m位だが、この辺りからバテ気味。先ほどヘリが秩父方面に飛んでいったが、明日は我が身となりませんように。救いは道が概ね巻いていること。ピーク歩きの道(というか踏み跡)もあるようだが、あまり人が通らないのか草木が張り出して歩きにくく、疲れ始めたこともあって極端にペースが落ちる。このため、特別に「○○山」と標記がなければピーク道は歩かないこととした。
歩きながら、今回のプランと今後の山行について考える。いろいろ考えているうちに酉谷山避難小屋が見え、ペースが上がる。いくつかのピークをこれが山頂かあれが山頂かと越えて三つか四つ目のピークが酉谷山頂。ここも人がいない。スタート以来出会ったのは十数名、単独〜3名程度で十人くらい連れ立ってというのはない。この尾根上では蕎麦粒以外全ての頂を独占できた。
酉谷山でじっくり休息して芋ノ木ドッケまでの標高差200m山行に備える。ここからがクライマックスで、その前の標高差200mよりもハード。木々は朽ち倒れ、殺風景になる。急な傾斜をラピュタ城の内部に張り巡らされたような感じの木の根が縦横無尽に伸びている。さすがに「一段落したら全て焼き払ってやる」とは言わなかった。もうこの頃になると芋ノ木ドッケを目指してひたすら歩く。一歩一歩。幸い、若干体が慣れてきたようでぶっ倒れるとか、へたりこむということは無かった。その代わり、足が上がらなくなったせいか、両足の親指を木の根や石に何十回とぶつけて突き指状態。痛くて歩くのに難儀する。
【転機】
疲れている時に行く手に何個も何個もピークがあるとウゲッとなるが、久しぶりに雲取を北方から見て気を紛らわせつつ歩いて、ついに芋木ノドッケと思しき所を通過する。本当の芋木ノドッケはさらに先で、立派な看板が立っているのだが、勢いというのが大事で、ついに本日の最高地点に来たと、今までの労苦が報われたような気がして疲れが吹っ飛ぶ。後は下りメインだと歩調も軽くなる。本当の芋木ノドッケに到達した時も、笑って済ませる心の余裕があった。
芋ノ木ドッケを過ぎて暫く歩いていると、向こうから人間ではない四足獣が此方に向かって歩いてくるのが見えた。熊にしては色が白いなとは思ったが、そう考えるよりも先に、咄嗟に「退避〜っ!」と心の中で叫んで、道を横に外れて木陰に隠れる。息を潜めて暫く様子を伺っていると、ガサッ、ガサッと向こうも道を外れて、しかもこっちの方に接近している!これはやばいと思い、さらに奥に10m程後退。また木陰に身を隠し、退路を確認して、相手が熊で向かってきた場合のシミュレーションをしながら、再度様子を窺う。すると、あちらもまた明らかに此方に接近。どうもロックオンされているようだ。木陰から顔を出して相手の正体を見てみたところ、10m程先に鹿が一頭、此方の様子を窺っており、目と目が合って、お互いに固まる。仲間だと思っていたのだろう。
最初はアイコンタクトを図ったが効かなかったので、手振りであっち行けと特に意味も無く右方向を指し示す。
暫くして相手が右側に進んでいったので、私は「ごめんね」と相手に詫びて左側に回って道に戻る。これが体には休息となり、心にも清涼感を与えた。
私が白岩山に到達したのはその後すぐである。
【ラストスパート】
白岩山には、恐らく雲取から戻ってきたと思われる中高年パーティが複数談笑していた。三峰-雲取の南北のラインに入ってから、老若男女、個人・パーティ問わず、降りる人、山に泊まる人と、とにかく人が増えた。そうした中で先ほど1対1でカモシカに会えたのは幸運と言えよう。
山頂でその内の一人から「どこから来たのか?雲取から?」と問われたので「鳩ノ巣から」と答えたが、今思えば「鳩ノ巣」と言われても、まさか鳩ノ巣から山を歩いて来ているとは思わないだろうから「?」となるのは必定で、あまり良い答えではなかった。「若いって良いわねえ」と話していたが、私は中高年になってもこのスタイルを貫き通すつもりである。
雪が残っているので下りに気をつけるようアドバイスを受けて下りに入る。
三峰まで結構あるよと言われたので、三峰-雲取縦走の時はどのくらいかかったかなと思ったが、思い出せなかった。あと15kmくらいあると想定していたが、親切にも標柱があと7kmと示していた。ゴールが当初思っていたよりも近いとあって、俄然勢いづく。下山途中、女性二人組みに空身であることを驚かれるが、「日帰りならこんなものですよ」と笑顔で返す余裕も出てきた。目的が雲取だけなら本当に十分だった。今回は水分がやや足りなかった。
以前、白岩小屋では屋外に水道を設けて水が飲めるようになっており、それを期待していたのだが、時期的に外れだったようで、水ゲットならず。しかし、ゴールまであとわずか。とくに落胆することも無く淡々と歩く。もう大滝温泉は無理だ。三峰の湯に入れるか微妙なところ。妙法ヶ岳は今回パス・・・と頭を働かせて前白岩・霧藻ヶ峰を通過。薄暗くなる中、まだ参詣者や行楽客で賑わう三峰外苑の土産物店前に到達した。
【予想外の延長戦】
奥宮要遥拝所から妙法ヶ岳を仰ぎ、三峰神社も参拝し、入浴するには時間が足りないと思って、食事処で腹を満たすことにした。座敷席によろよろと倒れこみ、ビールを飲みつつ、「バスは17時40分頃だったかな〜?」と携帯をポチポチしていると、
三峰神社発10:30、12:45、13:45、15:45、16:45・・・16:45???
もう17時過ぎているのだが。ビールも飲んじゃったし。何度見返しても最終は16:45だ。もう暗くなるしなあ。かといって舗装道を行くのは大きな迂回になる。一通り考えを巡らした後、日没時刻を確認し、日没までまだ1時間以上あることを把握すると、まったり楽しむつもりで多めに頼んだ食事をかきこんで下山準備に入る。大輪登山口まで山道を降りれば明るいうちに下に降りられるという算段だ。
疲れと酔いと突き指による痛みでヘロヘロチビチビと降りたのだが、三峰山が「昔は表参道だったけど上まで車で行けるようになってから通る人が減ったんだよ。お前久しぶりに顔出したんだからもうちょっと付き合えや。」と仕組んだんじゃなかろうかと考えると悲愴感は無くなり、楽しくなってくる。酔いも醒めてきて日没までに下山することができた。
国道に出てしまえば暗くなっても安心だ。最後は電車に間に合うよう三峰口駅まで半分駆け足。長い一日が本当に終わった。
〜おしまい〜
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