平野-菰釣山-畦ヶ丸-西丹沢自然教室
- GPS
- 25:30
- 距離
- 22.8km
- 登り
- 1,313m
- 下り
- 1,763m
コースタイム
5月2日6:20菰釣避難小屋-6:59中ノ丸1280m(休憩7:13)-7:40城ヶ尾山1199m-7:47城ヶ尾峠1160m-8:22大界木山1246m-9:03モロクボ沢ノ頭-9:36畦ヶ丸1292m-10:24善六ノタワ-11:17元権現山登り口(休憩11:30)-11:55西丹沢自然教室
天候 | 5月1日 暴風雨ときどき晴れ 5月2日 快晴 黄砂あり |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
富士急行バスは御殿場駅での出発が3分ほど遅れ、旭日丘バス停着も3分遅れの9:50。運転手の方は乗り継ぎのことを把握していなかった。幸い道志行きのバスも遅れてきたので乗り継ぎできたが、バスが来るまでは、目の前に止まっていたタクシーに乗ることになるのかとあきらめかけた。 平野を出てからしばらく標識がないので、地図を頼りに歩く。別荘地に入り、車道から離れるところから、高指山の標識が頻繁に出てくる。 テニスコートの前を左折して100mくらいで標識のない分岐があるが、直進。その先に右折の標識あり。 高指山はススキの山で下からも上からの眺めがよいが、風をさえぎる樹木がないので、強風時は注意。 富士岬平を過ぎて、左への下り分岐あるが、直進。しばらく行くと標識がある。 大棚ノ頭は山伏峠への分岐から登山道を外れて0.1kmの表示あり。山頂は標識があるものの、眺望なし。 ブナノ丸を過ぎて、菰釣山頂の直前に朽ちた標識とベンチがある。山頂と間違えないように。 菰釣避難小屋は、皆さんが書かれているように非常にきれいな小屋でした。毛布が3枚ありました。 銀マットにシュラフ、中はタイツにセーターで、毛布まで掛けたのですが、寒かったです。雨で上着が濡れたので1枚着る物が少なかったのですが、暖房はない小屋なので、防寒には注意が必要です。 菰釣避難小屋を出てすぐ、ブナ沢へ左に折れる分岐があり、とても目立つ矢印が二つあるので、城ヶ尾峠に向かう場合に、釣られて曲がらないように。 畦ヶ丸の避難小屋にはストーブがありました。 善六ノタワの先の本棚沢、下棚沢には大きな滝があるらしく、滝目当てで上がってくる人たちが何組かいました。 1990年の山と高原地図には権現山登り口とあるが、(箒沢)権現山への道は廃道になっていて、通行禁止の札が立っています。この辺りの沢は広く、ベンチもあり、休憩に適したところです。 西丹沢自然教室は、GW中でしたが、月曜日だからか休業でした。 バスも平日は、10:55から14:40までありません。 |
写真
感想
前日、百均で熊よけの鈴(キーホルダー)、帽子飛散防止具(携帯電話用クリップ付カールコード)、UVカットクリームを購入。
食料、非常食(カロリーメイト、ソイジョイ等)、ポカリスエットを薬局で購入。
初めての避難小屋泊まりに備えて、おそらく15年ぶりくらいにランタンを取り出してみる。マントルがぼろぼろで、予備もなかったので、急遽買いに走る。
自転車に乗れたので、左足首の軽い捻挫も大丈夫だろう。
明日の天気をチェック。山中湖も道志も、山北も日中の雨は降水量1mm以下なので、よしとする。横浜の朝は曇りなのでこれもよしとする。最初から傘を差して家を出るのは、気分がそがれるので。
ニュースで明日は暴風のため、海、山のレジャーは控えるようにと言っている。
明日のコースは眺望はないけど静かな樹林帯とのことなので、まあ、大丈夫でしょう。行ってみてひどかったら、引き返せばよい。
当日、朝。横浜はくもり。折りたたみ傘は持たない。
トレッキングシューズを履いたら、左足首の傷がもろに靴に当たる。
痛いけれどしょうがない。捻挫は無理をしないが、擦り傷は我慢するしかない。
富士急バスはPasmoが使えるので、チャージして、予定通りの電車に乗る。
海老名の乗換えで、予定より早い小田急線に乗れた。日帰りハイクっぽい登山客が渋沢で大勢降りた。新松田のバス停には登山客が二三人いるものの、JRに乗り換える人は他にいない。
JR御殿場線は予定通りの電車。JR東海はPasmoは使えないので、切符を買って、ホームでのんびりと待つ。
御殿場線に乗っていると、早くも雨が降ってきた。時折強く窓を叩くが、運転席の前のワイパーが弾き飛ばしている雨の量はそれほどでもない。駿河小山駅では、自動車レースを見に行く人が数人降りていった。降ったり、止んだりだが、御殿場駅では小雨。
以前仕事で御殿場に来たときに、横浜へバスで帰ろうとしたことがあったので、バス乗り場が西口にあるのは知っていたが、改札を出て表示がなかったので、静岡県の観光ブースの準備をしている方に、念のため、山中湖行きのバス乗り場を尋ねてみた。逆でした。親切に、確か2番乗り場、と教えてもらう。聞いてよかった。
バスターミナルは、奥の7番乗り場が富士スピードウェイに行く乗り場で、場内放送で盛んに案内していました。バスが来ても乗り切れないで、次のバスを待っている有様で、長い行列ができていました。一方2番乗り場は、富士急ハイランドに行くらしい高校生くらいの女の子4人組みと、他に二三人。バスは時間通り来たものの、富士スピードウェイ行きのバスをやり過ごすため、出発が3分ほど遅れた。
山中湖畔の旭日丘バス停での乗り継ぎ時間が3分なので、ちょっとひやひや。
最近車で来た篭坂ゴルフ場を通り過ぎて、その後もバスは安全運転。道は全然混んでなかったけと、旭日丘に3分遅れで到着。目の前を道志と表示された観光バスが通り過ぎていったけど、あれじゃないよね?と思いながら、降りるときに運転手さんに、「平野方面の乗り換えもここのバス停でいいんですか?」と聞いたら、「今日はないんじゃないの?」「???」乗り継ぎのこと、時間のことなんか全然気にしないで運転してるんだな。
旭日丘のバス停は、山中湖周遊バスの乗り場になっていて、お土産屋を兼ねた切符売り場があり、丁度止まっていた周遊バスに乗り込むお客さんや、観光業者の人で賑っていた。
バス停の時刻表には、乗ってきた河口湖行きのバスと平野を通って道志小学校に行くバスの両方の時刻が書いてあって、予定通りこの期間9:50発の道志小学校行きが書かれている。すれ違いでバスが行ってしまったのか、誰かに聞こうかと思ったが、近くには観光客のような人しかいないし、建物の中に入って聞いている間にバスが来ていってしまってはやだなと思い、もう少し雨のしのげるバス停のポールのところで待つことにした。
目の前にはタクシーが1台客待ちしている。平野までは1時間で歩ける距離でなし、最初からタクシーか?といやな気持ちになりかけたところ、小さな路線バスがやってきた。道志小学校って書いてある。やった。結局、乗り継ぎのバスも数分遅れてきたのでした。
このバスに乗客は僕一人。運転席のすぐ後ろに腰掛ける。
「山登るんですか?」「はい」「山伏峠?」(山伏峠って、確か途中で通るような)「ええ」「山伏峠で降りるんだね?」「いえ、平野で降ります。平野から歩きます」
バスは山中湖の南側を半周近く西へ行く。大学のときラグビー部の合宿で来ていたが、当時は観光などまったく想像もできず、合宿所で死んだようにひっくり返っていた。最初の合宿のときが一番ひどかったが、上級生になってからも、全然余裕なんてなかったな。懐かしの合宿所の施設の標識を過ぎて、バスは平野に着く。「気をつけて行ってらっしゃい」「ありがとうございます」
平野には、新宿からの直行バスがある。山中湖の玄関口のようでもある。20代くらいの若者がバス停近くに大勢いる。
予定通り、セブンイレブンでおにぎりを買う。昼ごはん用に紅しゃけと昆布を計2個。トイレを使わせてもらう。セブンイレブンの外にも公共のトイレがあり、店の中にも、混んでいる時にはそちらを利用してくださいと書いてある。
店の軒先でカッパを着込む。前日の予報では、降り始めはもっと遅いはずだったが、予定外。交差点に、近くの別荘街の案内図があるが、登山道の記載はなし。東海自然歩道だから、しかも起点だから、それなりに標識があるのかと思ったが、外れた。風が強くなってきた。木陰で風をよけながら、記念すべき出発点の写真を一枚。デジカメ持っていないので、携帯のカメラ機能です。セブンイレブンを移したけど、走ってきたバイクが写りこんでしまった。雨風がすごく、取り直す余裕なし。標識はないので、地図に従って歩き始める。タイムキーパーは、携帯の写真の撮影時刻。家で昨日計ったザックの重さは15kg。500mlのペットボトルとおにぎり2個とウエストポーチがあるから、総勢16kgかな。2〜3人用テント3.1kgは無駄に重いような気もするが、軽いテント持ってないし、小屋に入れなかったときのことも考え、トレーニングのつもりで。
10:13出発。
風が強い、雨はそれほどでもないが。すれ違う若者も、折りたたみ傘を差さずに手で持っている。
三国峠方向の車道を歩く。風を避ける建物もない。寒いので、手袋をする。
携帯は、カッパの袋に入れて、ポケットにしまう。車も風で走りにくそうで、センターラインを大きく越えて、歩行者の僕を避けて走って行ってくれる。
平野からの直線が終わり右に大きくカーブするところで、左へ入る脇道に東海自然歩道、高指山の標識が初めて現れる。地図にある切通峠入口の表示はない。三国山、大平山などと高指山との分岐のたびに標識があり、迷うことはない。正面に草原で覆われた高指山を見て、テニスコートのところで標識に従い、左に折れる。
しばらく行くと、右に曲がる道があり、高指山の方向からすれば曲がってもよさそうだったが、これまで曲がり角に必ずあった標識がない。地図でみると、もうしばらく直進のようなので、そのまま歩く。次の角に右折の標識が出てきて、ほっとする。
この辺りから別荘地になっている。ほどなくして車の通れる道から外れて傾斜に取り付く。下からの道と合流しながら別荘群の前を通る。通行止めの立て札が目に入り、暴風の富士山6合目での通行止めが頭をよぎり、ぎょっとする。四五本の杭にチェーンが巻かれていたが、バイクの通行禁止の説明書きだった。
風が強い。ニュースの通りになったな、などと思っていたのは、別荘の建物や樹木がある辺りを歩いているうちだった。下から見上げていた高指山の草原を登り始めると、さえぎるもののない風が、容赦なく吹き付けてくる。風の音がすごい。飛行場の中を歩いているようだ。ほとんど歩けなくなった。一昨年9月の富士山のときのようだ。あの時も、立ってられなくて、大きめの岩を見つけて、影で風をやり過ごしたのだった。
さらに風が強くなった。もう立ってられない。この時点で風速は毎秒20mくらいはあるのだろうか。ひざをついて、こらえる。風がなければ肩ほどもあるだろう枯れススキも、風に倒されて腰の高さほどに寝ている。
さらに風が強くなった。その場に伏せた。こうする以外、何もできない。腹ばいの状態から、体を半身にしようとしたが、ザックが重く言うことを聞かない。一度ザックを降ろし、半身になって後ろを振り返る。山中湖が一望できる。湖面が白く波立っているのがはっきり見える。折れた枯れススキの茎が、すごい勢いで飛んでいく。ここで道志みちの方に打ち下ろせば、フォローに乗り、500ヤードは飛ぶだろう。ポカリスエットを口にする。今日、山に来たのは失敗だったかな、引き返すかな、でも雨は上がっているし、もう少し踏ん張ってみるか。
ザックを担いで、少し登る。風はちっとも弱くならない。今度は道の右側、風上側に倒れこんだ。少しでもススキの風除けを期待して。息を整えて、今度は走った。姿勢を低くして、息の続くところまで走って、また伏せる。これを2回くらい繰り返していると、山頂の標識が見て取れるようになった。山頂には尾根伝いに樹木があり、近づくと少し風が弱くなってきた。残り、山頂まで駆け上がり、最後、風のせいではなく、足が立たなくて、そこに倒れこんだ。平野からの標高差184m、暴風の中のとんだアタックだった。今回の山行の唯一最大の難所は、こうして切り抜けられた。
そこからの道は、落葉樹林に葉はなくても、ずっと風は穏やかになり、普通に立って歩くことができた。飛行場の中のような爆音は続いたので、熊よけの鈴は役には立っていなかったが、目の前の何万という枯葉が左から右へ一気に地面を滑っていくさまは爽快だった。
大棚ノ頭へ0.1kmの標識のところで、ザックを降ろして、頂上を往復、戻って昼ごはんにした。おにぎりを食べていると山伏峠の方からランナーが一人やってきて、菰釣方向へ向かっていった。その後、二人組のランナーに2回追い越されたが、この日山で出会ったのは、この5人だけだった。
しばらく上がっていた雨も、油沢ノ頭辺りで音を立てるように降り始めた。この時期、雷はないかもしれないが、初めての道で不安もあり、先を急ぐ。落ち葉が濡れ、木の根も濡れて少し滑りやすい。車の事故も雨の降り始めが多いというから、要注意。ブナノ丸を過ぎればあと一息。目の前に現れた菰釣を写真に収めながら歩く。予想した時間を歩いたところにベンチがあり、菰釣の山頂かなと思ったが、道標は朽ちている。それまで東海自然歩道の立派な案内板が立っていた事からすると、いまひとつ違いそう。少し先にもうひとつピークが見える。戻ってくるのはしんどそうな距離だったので、念のため、ここでも写真を撮っておいて、次のピークに向かう。次が、立派な案内板がある山頂でした。1379mの標高表示がありました。今回の山行の最高標高地点です。時間はあったけど、雨がいやだったので、三角点への往復はやめにして、避難小屋へ向かう。
途中、びっしりと苔のついたブナの倒木に大きな黒いきのこが二つ生えていて、緑と黒のコントラストがきれいだったので、写真を撮る。
避難小屋は前評判どおり、きれいだった。先客はなく、結局他の登山者には会わなかった。濡れた服を着替え、暖かいものを飲もうとCamping Gasのストーブを出す。新しいカセットに装着しようとするが、なかなか着かない。力づくで、取り付けようとしたら、ガスの漏れる音だけして、器具のねじの部分が壊れた。「コンパクト用」って書いてある。知らなかった、カセットにコンパクトとそうでない種類があるなんて。確かに今まで使っていたカセットより、今日持ってきたものは大きい。でも、容量の違いだけだと思っていた。取り付け部の大きさか形状も違うんですね。失敗。これではきくらげとコーンの入った味噌ラーメンが食べられない。
これなら、あと残っている1Lのポカリスエットと1.5Lの水で明日の分も足りそうなので、雨も降っていることだし、水汲みには行かないこととする。小屋の日誌には、30分から40分くらいで往復したと書いてあった。ガスのカセットにふたをして、テーピングして、念のため、小屋の外に置く。
ストーブはしょうがない。気を取り直して、プリムスのランタンを点ける。小屋の外でマントルを焼いて、こちらは無事に点火。時間は早いが雨が降っていて小屋の中は少し暗い。明かりが灯ると、とても安心する。
寒いので、入浴後に用意したシャツを2枚着て、セーターを着て、ズボンの下にはタイツをはいて、靴下も2枚、新しいものに履き替えた。それでも、暖かいものが体の中に入れられないのはつらい。
魚肉ソーセージとチーズをおかずにフランスパンをちぎって食べ、水で流し込む。
本当は、夜はラーメンのスープに、朝はオニオンスープに入れて食べる予定だったフランスパンである。伊藤園の抹茶オーレが、体を温めてくれるはずだった。
乾きもののチョコバーをデザート代わりに食べて、一応、腹は膨れた。少しは暖かくもなってきたが、ランタンで冷えた手を温め、濡れた帽子を乾かし、濡れた靴下を乾かした。足は寒さが取れず、靴下は、4枚重ねた。
カッパは、登山用品店のレインウェアではなく、ホームセンターで購入したもので、透湿性は謳われていたものの、中に着ていた上着はびしょびしょで、おそらく一晩干していてもちっとも乾きそうになかった。なので、この上着もランタンで少しずつ乾かして、翌日着られるくらいにまでして、広げて干した。
これなら、ランタンの熱でも、少しならお湯を沸かせるんじゃないのか。そう思って、コッヘルに100mlほどの水を入れて、ランタンの上にバランスをとって静かに置いた。ランタンの上のコッヘルの中は、光が届かないので、暗くてよく見えない。ヘッドライトの明かりで水面を照らしていると、中央部分の底に、小さなあぶくが少し現れてきた。湯気が出てきた。コッヘルの底に接しているランタンの天頂部はわずかだ。ランタンの上部には熱気抜きの穴があるが、この空気の熱もコッヘルの中の水を熱してくれるのだろうか。少しずつ、コッヘルの底のあぶくが増えて、中心部から外へと広がっていた。ストーブの火で熱すれば、コッヘルの側面も熱せられて、持ち上げて揺らせば、ジュッと音をたてるのだろうが、ランタンの熱では、まだそこまで期待できない。焦るな。じっと見つめる僕の鼻息がかかると湯気がほわっと、一気に立ち上る。焦るな。湯気の量がだんだん増えてきた。どのくらい待っただろう。ぐつぐつと沸騰するまでにはならない。標高がいくらか高いことを考えても、ランタンからの熱量と小屋の冷気に晒されたバランスではこの辺までか。
カップに抹茶オーレの粉末を入れる。150ccの熱湯と書いてある。量も温度も少し足りないかもしれない。
心を決めて、コッヘルのお湯を一気にカップに注ぐ。スプーンでかき混ぜる。湯温が低くて、十分溶けない恐れがあるので、念入りにかき混ぜる。20回くらいかき混ぜた。そんなにぬるくはなさそうだ。カップを口元に運ぶ。いい香りだ。メガネが曇る。カップの淵を唇に当てる。暖かい。カップを傾け、緑色の液体を口の中に流し込む。「あっ!」図らずも声がもれた。エクスタシーなんだろうな。猫舌の僕に丁度よい温度で。冷えた体に濃くて甘めで。もったいないけど、冷めたらもったいないので、少しずつ味わいながらだけど、一気に飲み干した。ラーメンを作るための500ccの水を沸騰させるのは難しいだろうけど、明日の朝は、クノールのオニオンクリームスープに残りのフランスパンを浸して食べられるぞ。
外は大分暗くなってきた。雨、風も強い。ハイカーには一人も会わなかったし、この天気で登ってくる人もきっといないんだろうな。今日は一人で、貸切だ。初めての避難小屋泊で、同泊の人との会話も少し楽しみにしていたのは残念だけど、一人っきりの時間も、これはこれで貴重で、よいものだ。「海辺のカフカ」の主人公の気分だ。
19:00。
まだ、真っ暗ではないが、ランタンの明かりを消して、シュラフにもぐりこんだ。
電波が入るので、携帯の電源を入れいておいたが、電源切れのアラーム音で目が覚めた。これで、明日は写真が取れない。単4電池式の携帯用バッテリーも百均で買っておけばよかったかな。それより、デジカメ買うべきかな。マラソン用のランナーズウォッチの液晶を光らせると20時過ぎ。窓の外の木の枝が空の色に近くなってきた。寒い。毛布を1枚、シュラフの上に掛ける。あまり変わったような気がしない。その後何度か目が覚めるが、時計は見ない。体感で何時間も経っていないことはわかるので、時計を見てがっかりしたくなかったこともある。毛布はシュラフからずれ落ちている。標高1400m弱なので、平地より8〜9℃気温が低いはず。氷点下にはならないだろうけど、こんなに冷えるとは思わなかった。セーターとタイツを持ってこなかったら、大変だった。
雨の音はしなくなったが、風が扉を叩く音はひっきりなしだ。丁度、人が扉をノックするように、0.5秒の間隔で2回扉を揺らす。人が叩いているわけはないと分かってはいるが、あまり気持ちのいいものではない。
次に目が覚めたときには、外は少し明るくなっていた。4:20。寒いけど、暖かいもの飲もう。シュラフから出て、ランタンを点ける。コッヘルに水を約150ml入れて、ランタンに乗せる。5時にセットしておいた腕時計の目覚ましを解除する。オニオンスープとフランスパンを2杯食べる。1杯分は残しておく。昨夜のソーセージとチーズの残りを食べる。チーズは一切れ残しておく。非常食にカロリーメイト三箱分あるので、パンは食べきる。昨晩寒くて食べなかったイチゴゼリーは、行動食用にソイジョイと一緒にウエストポーチに入れる。
小屋を片付け、抹茶オーレを濃い目で1杯飲んで、食器を洗い、1Lのポカリスエットとは別に非常用の水300mlをしまい、置いてある箒で床を掃いて出かける。
二日目、出発6:20。
計画より40分早く起きたけど、出発は計画より20分遅い。
昨日、コースタイムより大分早く歩けたことと、西丹沢自然教室でバスを3時間近く待たなくてはならないので、今日はできるだけゆったりと行こう。
昨日は左に道志の御生体山を見ながら歩いてきたが、今日は途中から加入道山を左斜め前に見ながらの歩行だ。城ヶ尾峠を越えたところに、大界木山(だいかいぎやま)がある。大層な名前だが、山頂は寂れた感じで、名前の由来は何なのかな、と気になる。
畦ヶ丸の避難小屋を覗く。菰釣の評判がよかったのと比べて、あまり評価の高くなかった畦ヶ丸の小屋だったが、どうして、こちらもきれいなものでした。この小屋を当てにしてコースを組んでもいいほどです。
畦ヶ丸は山行二日目のメインです。ハエが多くて座って食事ができないとの書き込みがありましたが、この時期なのに、ハエがいました。小屋にトイレがあるのと関係しているのかな。
畦ヶ丸を過ぎると、続々とハイカーとすれ違いました。西丹沢自然教室から畦ヶ丸に登って、大滝橋に下りるコースは、日帰りとしては手ごろなんでしょう。さらに善六ノタワを過ぎて、本棚沢、下棚沢のあたりに来ると、滝を見に来たという手ぶらの人たちともすれ違ったり、道を聞かれたりしました。単独ハイカー同士だと、立ち止まって少し会話ができていい感じです。西丹沢自然教室は、ゴールデンウィーク中でも休みで、ここでバスまでの時間を過ごそうと思っていたあてがはずれた。駐車場はいっぱいで、近くには大勢の人が川遊びやキャンプをしていた。
滝を見に来たといって道を聞かれた二人組みの男性に、中川温泉まで車に乗せてもらい、ブナの湯に入ってさっぱりしてから、帰路に着きました。
久々の単独縦走で、念願の菰釣山、畦ヶ丸を回れて、初めての避難小屋も、おそらく雨中山行も初めてで、経験値をちょっと高められたいい山行だった。
暴風と捻挫にくじけないで、思い切って出掛けてよかった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する