(過去レコ)毛猛山


- GPS
- --:--
- 距離
- 26.2km
- 登り
- 1,949m
- 下り
- 1,949m
コースタイム
- 山行
- 14:35
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 15:35
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
前日の14日は雨。
当日の天気予報は、越後地方の広範囲が晴れマーク一色。
上越国境の柄沢山(1900.2m)か毛猛山(1517.0m)を予定していたが、高い山では新雪が降り積もっただろうと思われ、毛猛山へ向かう。
JR只見線の大白川駅前には県外ナンバーの車が2台。駅構内の狭い土間には3〜4人が寝ていた。早めの朝食後、トイレへ。
トイレから出た時、駅の外に寝ていた若い女性がいたので、「山ですか?」と声を掛けると、浅草岳で山スキーとのこと。
国道252号を田子倉湖方面へ700mほど走ると、冬季閉鎖のゲートがあり、除雪車が2台ある。ゲート前の除雪された空き地に停め、除雪されていない国道を歩く。
300mくらい行った右側で、線路に簡単に降りられる所があり、雪の全くない線路を歩く。これは全く予想外だった。
スノーシューやワカンは持ってなく、このままずっと雪深い国道を壺足で歩いていたら、とても日帰りで毛猛山まで行けるものではなかった。
鉄道のトンネル入口に ”第二毛猛第一 雪” と書かれている左側から、10本爪アイゼンを着けて雪山へ入る。ピッケルは携行せず、雪山用のWストックを使う。
取り付き点は昭文社の山地図でははっきりしないため、地形図を拡大したものを、毛猛山まで8枚に分けて持っていた。
ゲートからの標高差は葯1170m。
当初は末沢発電所から葯2勹で雪山へ入り、地形図542mから762mPを経て、足沢山経由で行く計画だったが、542mへの取り付き点が分からなかった。
また、線路の両側は所によっては3〜4mの雪壁で、もし分かっても山の中へは入れなかった。
線路から山中へ入り、やや急な雪の中を上がる。右側は雪が解けた尾根が藪となっている。864.1m三角点ピークは割合はっきりした地形で、高度計で断定する。
以後、1100mピークまでも所々地肌が出ている。1100mPへ上がると、眼前に大展望が広がり、周辺の山より一段高い毛猛山と思われるピークも見えている。
山地図では毛猛沢からこの1100mP経由で太郎助山方面へ薄い黒の破線がある。
1100mPから太郎助山への尾根は融雪した所が多く、強烈な藪漕ぎを強いられたが、黒破線の道形は消失している。部分的に雪が残るのでアイゼンは着けたまま。
帰りはこの藪漕ぎを回避するため、足沢山経由で下ろうと思ったが、・・・・・
太郎助山手前の1230m付近は当山行で最大の急斜面だった。
スタートから太郎助山まで6時間20分も掛かっており、下山する頃は暗くなっていることを覚悟する。遅くても線路まで明るいうちに下っていれば、ゲートまではライトで照らして問題なく歩ける。
太郎助山から先は藪は一部だったが、クラックが出ている所があり、不安がよぎる。
目に入る前方の山肌には今にも崩れそうな黒いひび割れが無数に入っている。
ところによっては雷鳴やジェット機の爆音のような不気味な音を立て、崖崩れを伴って雪崩が発生している。
百字ヶ岳ははっきりしたピーク。あれを超えれば毛猛山だと思っていたが、超えた先にはもう一つ中岳があった。
中岳から80mほど下って今度はいよいよ毛猛山へ。13時がタイムリミットだと思っていたが、何とかその前に登頂する。『もう登らなくてもいいのだ』と思うと万感の極みであった。
暗くなる前に下山すべきことを考えるとゆっくり食事という訳にもいかず、あちこち移動して写真を撮りながらとなる。
三角点は偶然にも標石の真横を踏んだので分かった。
頂上は広くはなく、カメラを持ってあちこち動き回っている時、新雪に隠れたクレパスに落ち込む。小さな割れ目だったので大事には至らず。
360度のパーフェクトな展望だが、早朝に比べたら空全体に薄雲が広がり、白くなっていた。
晴れの日の山岳景観は、四季を問わず早朝がベストであることは自明の理。
トレースは全くなく、バージンスノーに自分の足跡を残す快感と登頂した達成感、逆に、暗くなる前に雪の斜面を安全に下れるだろうかという一抹の不安が内在し、心中は決して穏やかではなかった。
山頂にいた20分間はあっ!という刹那。この間は何もかも大急ぎだったが、下山には細心の注意を払う。
1100mPから太郎助山への登りでは藪漕ぎに難儀したので、下りは太郎助山から足沢山へ向かう。ところが、標高差100mほど下った地点で尾根の雪が雪崩れたのか、絶壁となっていてどこからも降りられない。
もし、足沢山経由で登っていたら、ここで退却せざるを得なかっただろう。
仕方がないので太郎助山北西直下まで引き返し、1100mへの藪の出た尾根を歩く。
30〜40分のロスとなったが、安全より優先されるものは何もない。
PB500ミリの水2本とお茶1本を持っていたがとても足りず、時々雪を口に含む。
1100mPへの登りの藪漕ぎではなかなか進めず、心が折れる寸前となる。
やっとの思いで1100mPに達し、真っすぐ進んでいたら今朝の自分の足跡がない。
少し戻って北側へ直角に下る。もし暗くなっていたら下りの足跡を探し出せず、途方に暮れていただろう。
864.1mでも、まだ標高差450mも下らないといけないが、もう陽は沈んでいた。
あと100mという地点では、白い雪面でもライト無しで足跡を追える限界だった。
標高600mより下は尾根が広く、今朝の足跡が拾えないと末沢川に下りてしまう。
ライトで照らしてトンネル入口(尾根取り付き点)を探すのは至難の業で、雪山を彷徨するうちに滑落することもあり得、無事トンネル入口に下り着いた時には、過去には体験したことのない辛さを伴う安堵感に浸る。
無事下山と遭難は状況次第では紙一重であることを痛感する。
トンネル入口に無事迷うことなく下り着いた時は張り詰めていた緊張感が一気に解け、急なのどの渇きと空腹感に襲われ、暗闇と化した線路上で小休止する。
その後も歩きながら菓子パンをかじり、列車の来ない線路をとぼとぼ歩く。
深夜に自宅発、何とか日付が変わる前に帰宅した、何とも慌ただしい山行であった。
【※1】あとで調べて分かったが、JR只見線は前年7月の豪雨災害で、大白川駅から福島県側が不通となっていた。線路沿いに雪は全くないので災害復旧作業のために除雪されたのかもしれないが、たとえそうだとしても、当日は日曜なので作業車両に行き合うことはなかった。
【※2】小生は当時62歳前で、体力の衰えを痛感していた。
登り=7時間55分 下り=7時間20分 頂上での休憩=20分
そのうち往復の線路歩き=2時間50分
若くて体力&持久力のある人か、60代でも雪山の猛者なら、往復12時間程度で日帰りできるでしょう。
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