枯木山と雪庇だらけの県境尾根
- GPS
- 12:35
- 距離
- 23.0km
- 登り
- 1,667m
- 下り
- 1,669m
コースタイム
- 山行
- 12:30
- 休憩
- 0:06
- 合計
- 12:36
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
装備
個人装備 |
スノーシュー
Wストック
|
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感想
栃木福島県境つなぎの一環として、枯木山から田代山峠を歩いてきました。
この区間を日帰りで周回できるルートはないか、熟慮を重ねた結果、残雪期に三河沢橋を起点としてアサズマ沢左岸尾根〜枯木山〜田代山峠〜田代山林道〜日暮峠であればぎりぎり日帰りができるだろうと昨年から画策していました。あとは決行する日を虎視眈々と狙っていたところ、ようやく自分の休みと天気の条件が合う日が巡ってきたため、この日に実行することにしました。今年は雪が多く、最近になっても毎週のように降雪があり、しかも当日はかなり気温が上がる予報のため、雪が腐って苦労させられることが考えられましたが、この機会を逃すと次いつ行けるかわからないし、他にも残雪歩きをしたいところがいくつかあるため、早めに一つくらい片づけておこうと思い、意を決して実行しました。長時間歩きが予想されるし、気温が上がる前の早朝にできるだけ歩いておこうと気合を入れていましたが、恒例の寝坊で三河沢橋に着いたのは予定よりも1時間遅れとなってしまいました。
今回のコースの不安箇所として、下山予定の尾根末端が、地形図だと道路の擁壁になっているため、まずはその部分を確認しに行きました。急ではあるものの、擁壁の切れ目が何ヶ所かあり、どうにか降りられるだろうと判断し車に戻りさっさと準備をします。
なんだかんだで歩き始めるころには空も明るくなりかけてしまいました。歩き始めてすぐに雪が現れるも、早朝だというのに予想通り雪が緩んでいてツボ足だと脛くらいまで沈む状態のため、早々にスノーシューを装着。シューだと踝程度の沈み込みとなりました。その後、結果的には下山する直前までシューを履きとおし、アイゼンやピッケルも持参しましたが、結局最後まで出番はありませんでした。
アサズマ沢左岸尾根は、取りつきから標高1100mあたりまでは急ですが、特に危険個所はなく、落葉広葉樹主体の明るい尾根です。樹間越しに県境稜線や振り返れば明神ヶ岳、高原山などを眺めながら登っていきます。雪が締まっていれば、アイゼンを効かせて快適に歩けただろうと思います。また、この尾根は枯木峠越えの古道が通っていたということで、所々で道型やトヤバ跡などが確認できました。白滝沢右岸尾根と合流するピークからは、下り方向の一人分のワカンの跡があり、県境まで続いていました。おそらく、この前の日曜日にでも歩かれたのでしょう。
出発から4時間かけて県境にたどり着くと、素晴らしい絶景が広がります。それまでも十分景色を楽しんでいたのですが、遮るものなく周囲の山々を望むことができました。ワカンの跡は、県境の両側に残っていましたが、かなり東の方にも遠望できたので、おそらく東から来て枯木山までピストンして白滝沢右岸尾根で下山したのでしょう。
ひとしきり眺望を楽しんだら、県境を西へ向かいます。1730m肩へ上り詰めるところがかなり急で、雪庇を乗り越えられるか不安でしたが、雪が適度に緩んでいたため、シューを蹴りこみながら雪庇の端から回り込んで肩に乗り上げることができました。あとは右側の雪庇にだけ気を付けながら枯木山まで往復します。正直、今回の目的はあくまで県境つなぎであり、自分的には枯木山はついでの山なので、これといった感慨はありませんが、ここまで苦労して歩いただけに達成感は十分でした。しかしそんな達成感に浸っている余裕はなく、これから待ち構える雪庇の稜線や長い林道歩きを考えすぐに先へ進みます。計画段階より、地形図を見て枯木山からP1600mの先までは栃木県側に崖マークが描かれているため、おそらくこの部分が今回のコースの核心部になるだろうと予想していましたが、案の定栃木県側が切れ落ちて不安定な雪庇が連続し、緊張が続きました。安全を考えて福島県側の灌木の中を歩くようにしましたが、雪がまったく締まっておらず、膝くらいのラッセルが続き、また灌木にシューが引っかかったりして一気にペースダウンします。どうにかP1706mまで登り返すと、その後は幾分尾根の幅が広くなって歩きやすくなりましたが、雪が腐ってシャーベット状になり、重い雪がシューにまとわりついて一向にペースは上がりません。疲れてくるとつい雪が締まって歩きやすそうな雪庇の方へ行きたくなってしまいますが、迂闊に近づくと落とし穴にはまったり、自分の体重でボコッと音を立ててクラックが走ったりするので、怖くて近づけません。ただ、数メートルに及ぶような雪庇の段差越えがないだけましだったかなとは思います。
13時半に田代山峠に到着。これで昨年田代山から歩いた足跡とつながりました。枯木山から3時間半で、所要時間としては計画通りでしたが、湿った重い雪のため体力的にはかなりきつかったです。精神的にもずっと張り詰めたままでしたが、ここで気を緩めることはできません。目の前の林道は完全に斜面化していて、しかもデブリが続いています。気温もかなり上がっており、雪崩がいつ起きてもおかしくありません。しかしここまで来てここを通過せねば今日中に下山することは不可能のため、覚悟を決めて斜めになった林道の上を進みます。危険地帯は早く通り過ぎたいのですが、思うように足が前に進まず、上ばかりが気になります。時々、目の前で小規模な雪崩が起きたりするので、生きた心地がしません。やっと危険地帯を過ぎた後も、林道の上に積もった雪は斜面化しているし、相変わらずの腐った雪で体力を搾り取られます。林道も完全に雪に埋もれてしまい、どこにあるのかもわからない状態のため、都度見極めが必要でした。万才峠まで、昨年は40分で歩けたところを倍以上の1時間半かけて15時に到着。ここまで来てようやく明るいうちに下山できそうな目途がつきました。あと1時間遅ければ、日暮峠からの尾根はあきらめ、長い道路を延々と歩くつもりでしたので、少しだけ気持ちに余裕ができました。
といっても、休んでいるほど時間に余裕ができたわけではないので、先を急ぎます。万才峠から先は、稜線の西側に林道がつけられているため、積雪も少なく、斜面化しているところもないの気分的にはかなり楽になりました。
日暮峠には16時に到着。あとは標高差600mを下るだけなので、日没には間に合うでしょう。と思いましたが、下りはじめた途端に雪が深くなり、膝上までズボズボ埋まる状況でした。倒木に隠れた落とし穴なんかもあり、勢いだけで下ることもできません。それでもやはり下りは早いもので、順調に高度を下げていきます。途中から左側がカラマツの植林となり、その後右側はヒノキの植林となりました。植林の尾根ということで、当然人の痕跡はたくさんありましたが、古地図にはこの尾根に破線が描かれており、かつては道が通っていたのです。積雪のため道型があるかどうかは確認できませんでしたが、古道があっただけあって危険個所もなく、おそらく、藪もほとんどないだろうと思います。
要注意箇所は、P1169m先の尾根の分岐で、尾根型がはっきりしないので、方角を定めて急な斜面のようなところを下っていきます。徐々に尾根型がはっきりしてくると、標高900くらいで雪がなくなったのでスノーシューを脱ぎます。あとは予定したところを探しながら下っていくもなかなか朝確認したところが見つからず、結局最後は強引に危うい斜面を滑るように降りて、どうにか林道に降りたつことができました。
この瞬間やっと緊張から解放され、12時間を超える山行を終えた充実感がじわじわとこみ上げてきました。
帰りに道の駅湯西川で今日一日の汗を流し、あとは家に帰って寝るだけだと思ったら、かあちゃんと子供たちに焼き肉食べ放題に連れて行けと言われ、せっかく消費したカロリーの倍は摂取して、長い一日が終わったとさ。おしまい。
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