雪崩現場に遭遇、白馬大雪渓(北ア)
- GPS
- 11:02
- 距離
- 12.6km
- 登り
- 1,689m
- 下り
- 1,703m
コースタイム
- 山行
- 10:21
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 11:01
天候 | 晴れ〜曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
猿倉荘〜白馬尻付近 腐った雪が続きますが、比較的雪は締まっておりワカンなどは必要ありませんでした。 白馬尻〜大雪渓〜雪渓上部 標高1800m付近から26日から降った新雪が積もり始め、23〜400m付近の積雪は恐らく50cm前後だと思います。アイゼンでは踏み抜きとプチラッセル地獄になりましたので、ワカンやスノーシューがあった方が良さそうでした。 雪渓上部〜稜線付近〜頂上 雪渓の上部も吹き溜まった新雪で踏み抜きとプチラッセル地獄が続きました。稜線上に出ると雪は吹き飛ばされて岩が露出しており、アイゼンではちょっと歩きづらくなります。 既に報道の通り標高23〜400m付近の小雪渓と言われている、斜度の一番キツいところで雪崩が発生しました。今年は雪が多い上に降雪後は表層雪崩の恐れがあり、GW中の山行は慎重な行動が求められます。過去に雪崩があった場所には入山を控えた方が良いと思います。 |
写真
感想
【感想/記録】
GWは混み合う前にどこかのお山へ一泊でと予定していたら、土曜日のお天気はダメそうなので日帰りで行けそうな白馬岳へ行く事に。白馬大雪渓は2年ぶりですが前回は白馬山荘に一泊したので、日帰りで雪山の標高差約1,700mをクリアできるか、ちょっと不安。と新雪の表層雪崩れの現場に遭遇するとは考えもせず、お気楽に大雪渓〜白馬岳の往復を考えていました。
朝は3時前に起きて猿倉荘の登山者用駐車場には5時45分頃に到着。朝食を食べて準備をして登山届を出してから出発できたのは6時15分頃でした。猿倉荘裏から登り始めると2年前よりも雪が多いものの、トレースがありこれを追っていきます。登山者もちらほらと見かけましたが、ほとんどがBC(バックカントリー)の方々でした。残雪期の雪は朝の気温が低いためか締まっており、ツボ足でも踏み抜きは無く歩きやすかったのですが、白馬尻手前付近で急斜面のトラバースがあり、念のため早々とアイゼンを装着しストックを出しました。
ここまでは暑かったのですが、大雪渓に突入するとちょっと風が吹き始め寒さを感じたので、アウターを着てバラクラバとヘルメットを装着。遠くに見える雪渓上部は晴れて青空が見えますが、白い雪煙も見えて風が強そうなのが想像できます。しばらくはアイゼンが効いて歩きやすかったのですが、標高が1,800m付近から新雪が現れ始め、白くなった雪面は写真映えがしそうで良かったと考えていました。しかし、柔らかい新雪で徐々に足が沈む様に。歩きやすいスキーのトレースを追っていくと沈み込みが緩和されて、BCの方に感謝です。標高が上がるに従って斜度も急になり、積雪も増して沈み込み量も多くなり歩きづらくなります。スイスイ登っていかれるBCの方がうらやましい。
標高が2300m付近を越すと積雪はさらに増えて50cmほどか、足元の雪を踏み抜き雪面が崩れます。雪面に踏み出し上げた足には、アイゼンにガッツリと雪団子が付き高下駄のようになって、アイゼンの意味がありません。ますます歩きづらくなりなかなか前に進めず、標高を上げるのが困難になりました。「撤退」の二文字が浮かびましたが、まだ時間があるので、スキーのトレースを追うのをやめて直登する事に。振り上げた足をおもいっきり雪面に叩き込んで、歩幅を広くしてもう片方の足も同様に叩き込むと、雪面が崩れず標高を上げれるようになりました。が、この方法では体力を使うので立ち休みしながらとなり、なかなか標高を上げられません。
それでも少しづつ登って行くと、ようやく斜度が緩やかに。でもまだ雪面が柔らかいので歩きづらく、標高を上げるのに時間がかかりましたが、ようやく白馬岳頂上宿舎が小さく見えてきました。少し登って休んで、アミノバイタルでエネルギーを補給。でもここからも柔らかい新雪に手間取り体力が奪われ、標高が高いので空気も薄くなったキツかった。しばらく進んでから立ち休みを繰り返し、なんとか標高を上げていくと、白馬山荘が見えてきたので、その方向に進路を進めると、谷にぶつかりそうになってコースミス。トレースがあった白馬岳頂上宿舎寄りに進むべきでした。
コースを変えてなんとか稜線近くに乗り上げるも、また吹き溜まった柔らかい新雪に足を取られ、痛恨のコースミスでした。ようやく稜線に出るとほとんど雪は無く、アイゼンで岩の露出している登山道歩きとなりました。目の前に白馬山荘が大きく見えてきたのに、疲れて足がなかなか前に出ません。13時10分頃にようやく白馬山荘に到着すると、白馬山荘の方から雪崩れがあったらしいとの情報を得ました。とりあえずストックとザックをデポしてピッケルを持って白馬岳頂上へ。荷物が軽くなったのにここからもキツかった。
岩の露出している登山道を歩いて、なんとか13時37分頃に山頂に到着。途中の新雪が無ければもっと早く到着できたのにちょっと残念。せっかく白馬岳にまで来たのに剣岳や立山の山頂は雲の中、北アルプスの山々も良く見えませんでしたが、近くの白くなった小蓮華山、雪倉岳、旭岳や新潟の頸城山塊は良く見えました。風は少し弱くなったものの時折強風が吹き付けて寒いし、下山予定時刻をオーバーしているので、写真をサッと撮影したら、13時45分頃に早々に白馬山荘へ。白馬山荘で昼食の一部を食べてから14時15分頃に下山開始。帰りは白馬岳頂上宿舎寄りに回り込んでドンドン斜面を下っていきます。
ストックを一本と念のためピッケルを持って急斜面を下りますが、今回は柔らかい雪が幸いして滑落するような事は無く、ピッケルは無くても良さそうでした。柔らかい雪では降りづらいため尻セードをしながら下の斜面が見えてくると、雪面の状態がおかしい部分が見えてきて、どうも雪崩れたデブリが堆積した跡のよう、そう言えばさっきからヘリコプターの音が頻繁に響いていたなと。標高を下げるとどうも埋没者を捜索しているようでした。場所は標高23〜400m付近の斜度が一番キツイ小雪渓の付近のようです。近づくと先ほど自分が歩いてきた場所が広範囲にデブリで覆い尽くされ、長野県警察山岳遭難救助隊の方々がプローブで遭難者を捜索中でした。残念ながら雪崩れた範囲が広く、捜索には時間がかかりそうでした。
長野県警察の方にお話を聞くとまだ行方不明者がおられ、お気を付けてお帰り下さいと、お声をかけ頂きました。この後は少し動揺もあって写真はあまり撮影できず、とりあえず標高を下げてからアウターとヘルメットを脱ぎ、グローブを変えて17時15分頃にようやく登山口に到着。11時間の行動と自分が歩いた場所が雪崩れたと言うショッキングな出来事に遭遇して疲れました。 ともかく命があって良かったと言うのが下山してからの感想でした。
2年前のGWの大雪渓は今年よりも雪が少なく、完全に残雪期という雰囲気で、雪面には岩や石が転がっており、杓子岳付近からは間断なくカラカラと落石の音が響いて、落石の方が恐かったのですが、雪崩の危険性は全く感じませんでした。今年は新雪が降ったと聞いていましたが、50cmもの新雪があってしかも雪崩れるとは想像できませんでした。2年前は白馬山荘泊まりだったので、朝はゆっくりと出発しましたが、今回もし白馬山荘泊まりだったらちょうど雪崩れた時間に現場を登っていたかもしれません。たまたま雪崩に遭遇しなかっただけで、自分も雪崩に巻き込まれる可能性は十分あり、運が良かっただけでした。行方不明の方が早期に発見される事をお祈りしています。
【注意点】
新雪後の大雪渓は雪崩の危険性が大きく、BCや登山は危険です。この時期ワカンが必要なくらいの新雪が積もった場所は、雪崩の危険があり入山は控えた方が良さそうです。
技術や体力は別として雪崩の恐れが無い白馬岳主稜を登る方が安全だった気がします。途中で白馬岳主稜を登ってから下山途中と思われる方々とすれ違いました。
猿倉荘には外トイレがありましたが、28日はまだ営業前なので鍵が掛かって使用できませんでした。猿倉荘が営業を始める29日以降は使用できると思います。白馬山荘の営業は4月29日からです。
【Apple Watch等による計測結果】
ムーブ(安静時を越える推定エネルギー消費量 / kcal)
1104
エクササイズ( 活発に活動した分数 / 分)
114
スタンド( 1時間のうち1分以上身体を動かした時間 / 時間)
18
登った階数( 一階=約3mの高度を上昇 / 階)
218
ウォーキングの距離(km)
25.3
歩数(1日で歩いた歩数 / 歩)
32,578
心拍数 (1日で最低、最高の心拍数)
57〜124
体重
61.6 -> 60.6
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