新地平から燕山、古礼山、笠取山を経て白沢橋へ
- GPS
- 10:51
- 距離
- 22.8km
- 登り
- 1,528m
- 下り
- 1,564m
コースタイム
- 山行
- 7:11
- 休憩
- 0:08
- 合計
- 7:19
天候 | 晴時々曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年05月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
・新地平から雁峠の間の亀田林業林道は、林道ではあるものの、最初の1km以外は歩きやすい未舗装路です。 ・林道終点から先は渡渉点に橋はありません。都合8回川を超えましたが、飛び石が置いてあり、靴を脱ぐ事無く渡れました。雁峠まで、迷う箇所はありませんでした。 ・雁峠から古礼山までは北面の巻き道に凍結箇所があります。殆ど溶けていて、ぬかるみ状態です。アイゼンは使いませんでした。 ・白沢峠から白沢橋の間は荒廃が著しく、道がグズグズに崩れています。何度か沢に降りる道が派生していますが、最後の最後まで右岸を巻きます。 ・赤テープはそれなりにありますが、それに拘泥せず、変化の激しい沢沿いの状況を柔軟に判断する必要があります。 |
写真
感想
暦通りに休める黄金連休に、奥秩父の笠取山に行く事にした。アプローチのし易さ等の理由もあるが、決定的なのは山頂を西から写した写真で、山頂まで草原の道が続いている。奥多摩の石尾根の鷹ノ巣山から七ツ石山までのような山上の草原が楽しめるらしい。
早朝に新地平の登山口を出発、これまで出会った事の無いような厳しい立入禁止の看板群に出くわす。お邪魔しますと思いながら脇を通ると、建屋の先に沢音が響く。沢は次第に道に絡んでくる。道はゲートから先は未舗装で、砂利も少なめで大変に歩きやすい。沢と言ってもかなり広く、水量も豊かだ。落葉樹林が主で、新緑が優しい。兎に角歩いていて気持ちが良い。おまけに下の方は桜とミツバツツジの両方を楽しむ事が出来た。
林道は原則的に左岸を通るが、右岸にもはっきりした道が窺える。そちらは支沢に逸れていくところもあった。道としては一番広くて踏まれた道を東方向に進めば、まず間違い無い。
1時間程歩いたところで車返しのようなところがあり、道幅が狭まった。それまでは渡渉点には橋があったものが、無くなった。渡渉の頻度も増えてきたが、都度飛び石が置かれてあり、登山靴で容易に超える事が出来た。自宅で入れた不味い水を捨て、顔を何度も洗い、水を補充した。
この辺まで来ると、新緑は見えなくなり、冬枯れの様相だ。それでも渓流が朝日に輝き、留鳥の声が楽しい。
川が幾重にも分岐し、それを何度も超えていると、進行方向やや右に尾根が張り出してきた。そのまま真っすぐ進むので尾根は右手に伸びてゆく。地図では道が右折しているが、進みすぎているのでそちらではないかと思っていたら、まさかの90度近く曲がってその尾根に横向きに登り始めた。
灌木も減った草原に一本道が続く。久しぶりの山歩きにくたびれる。
漸く着いた峠からは南アルプスの白い稜線が覗いている。ここからは、景色が素晴らしいと聞いた古礼山へピストンする。案内板の下に大きなザックが置かれてあり、自分もデポしようかと思ったが、体を鍛える事にした。
草原の広がる稜線上の道は分かりやすい。それだけにやる気も湧く。しかし怠けた体は言うことを聞かない。目の前の森の樹間に目を凝らすと、その先は空のようだ。何度も休んでは、只々動きたがらない足を持ち上げて進む。
燕山に辿り着いた。山頂で休んでいた男性ー地下足袋がかっこいいーによれば、ここの北面に石楠花が広がっており、一ヶ月もすれば見頃らしい。
燕山からは若干下がって、なだらかな上りが続く。尾根歩きの気持ちよさを思い出した。視界に南アルプスと富士山がちらつくが、敢えて見ない。古礼山で二度目の朝飯を摂る事にして、そのおかずにとっておこう。
道は尾根沿いにも付いているが、主要路は北面の巻き道らしい。雪がまだ残っており、一部だけ凍結していた。多くは溶けており、泥濘が深くなっている。この稜線はやはり人気なようで、何組ともすれ違った。連休後は更に深くなるだろう。
古礼山山頂に差し掛かる時には勾配を覚悟していたが、なだらかなまま着いた。山頂よりはその手前の南側のベンチのあるところの方が景色が良いので、そこで二度目の朝飯にした。
左に富士山、右に南アルプス。その手前は新緑の山裾が幾重にも連なっている。日差しはきつすぎず、風は爽やかだ。奥多摩でも1700m級の山頂からの眺めは楽しめるが、こちらの方がずっと奥行きが深い気がした。
今日はこのまま笠取山荘まで行って、笠取山にピストンして終わりだ。まだ朝なので、雁峠までの下りはだらだらと尾根歩きを楽しんだ。
笠取山荘には既に数組のテントが張られていた。ツェルトの張りやすそうな場所を選んで、場所を確保。それから宿に行って幕営の申込をしたが、この順序がいけなかった。連休で混むから、場所は宿の方から指定するらしい。幸いお目溢し頂いたが、その後来た方々も同じ注意を受けていた。尤もツェルトとテントでは適地はかなり異なるので、急ぐ必要はなかったと思う。
水場で水を補給、ビールを一本買って、ザックの中はそれらと非常食と緊急用品だけにして笠取山山頂を目指す。この山を選んだ決定打になった山頂へ続く草原道の風景を目の前に、気合を入れた。但し実際には体はもうヘトヘトだ。
天辺まで良く見通せる道だが、あまり上の方は見ずにただ目の前の勾配に取り組んだ。途中、三点支持をするところで他の組に道を譲って頂いたが、直ぐに進まないと行けないと焦って、
ゴツっ
「あ痛っ」
頭を岩にぶつけた。みっともない事この上ない。
文字通り山頂によじ登り、ビールを開ける。少し雲が出てきたが、風は変わらず爽やかだ。自分で立てた予定を、自分の力で完遂する。山登りの当たり前の事が沁みた。
山頂からは東峰経由で水干に行く事にした。暫くは岩場で三点支持に気が抜けない。前の男性陣が、そういう場所なのに専用のステッキを使っているのが気になった。
生憎枯れていた多摩川源流を眺めて笠取小屋の我が家に戻る。居合わせた犬や、小屋で餌付けしている鹿を眺め、日暮れにはツェルトに潜り込んで棒ラーメンとアルファ米、コシアブラの辛子和えとジンで晩飯とした。熱源はエスビットにダイソーのジェル状燃料だ。手間はかかるが、燃料が燃えていく様を眺めるのは楽しい。
8時過ぎには寝たが、うるさい。近くのいびきと宿の発動機で、自宅の夜よりうるさい。山で寝ている気がしない。
それでも5時には起きてベンチで朝飯にした。先輩に教わった、スキムミルクとフルグラを試してみる。朝日に輝き始めた大菩薩嶺を眺めながら、多摩川源流の水で作った朝飯を食べる。ご馳走だ。但し腹が膨れるのはその時だけで、2時間後には猛烈に腹が減った…
撤収にはまだ早いかなと思いつつも、列車の混雑を気にして白沢橋を目指す。鳥小屋分岐点までは平坦な未舗装林道の巻き道で、単調な冬の装いだ。春に触れに来たのに、遡り過ぎて冬まで戻ってしまったようだ。ただ樹間から大菩薩嶺と富士山が横並びに見えたのは珍しく、楽しめた。
白沢峠からは西に沢を降りるが、道が一変した。赤テープはあるものの踏み跡が薄く、広い沢から道を探すのに手間取る。始めて来る山域で登ったことのない沢をただ一人、人のいない時間に降りる。だらだら歩いていたのが、一気に緊張した。
地図を再度読む。最後まで沢の右岸を通るようだ。ルートとしては分かりやすい。まだ薄暗い西の沢に目を凝らして進むと、足元が崩れる。九十九折の折り返しなのか、起伏を超えるべきなのか、分からない。木の桟橋が腐っている。桟橋の上に大きな落石が乗っかっているところもあった。高巻くかそのまま乗るか迷ったが、落石を支える力は残っていると判断し、立ち木にしがみつきながら渡った。1m幅の落石に通せんぼされているところもあった。谷底まで降りれなくもないが、その先はダムがありそうで、そこで詰む恐れもある。見渡したところ落石の上に踏み跡を見つけ、直進した。
スリルの多いコースだが、踏み跡の周囲に随分丁寧に紫色の花が咲いている。こんなところまで誰かが世話しているのかと感動したが、帰宅後調べてみると毒草のハシリドコロらしい。麓近くまで延々と続いていた。5月下旬までは楽しめるかもしれない。
登山道が終わると、随分前に放棄されたような林道に繋がる。沢は水量を増して、何度もダムを超える。白砂が多いのか岩肌が滑らかで、新緑の木漏れ日に流れる渓流も滑らかに輝いている。二日間の山行の褒美としては過分とも言える景色だった。白沢橋に到着、新緑に覆われた沢を見返して達成感を味わった。
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