I shall return西穂高岳。
- GPS
- 11:56
- 距離
- 12.8km
- 登り
- 1,418m
- 下り
- 1,419m
コースタイム
- 山行
- 3:48
- 休憩
- 3:11
- 合計
- 6:59
- 山行
- 4:42
- 休憩
- 3:44
- 合計
- 8:26
明白な完全回復基調の天候なので、”登り”を目的とするなら”行けるところ迄行って”も全然差支えない、技量と精神的に作用するには正に最適なスポットと思います。
天候 | 1日目。 ガス交じりの風有(時々20m級)夜半は本格的な降雨。(ゲリラ並み) 2日目。 小雨時々晴れ。時間を追って好天する典型的パターン。 ※経験上の天気読みがモノをいい、一旦マインドが委縮してしまうと停滞しがちなパターン。(メンタル面の強さが試される良い例) |
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過去天気図(気象庁) | 2017年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
新宿⇔新穂高温泉 直行便 + 新穂高ロープウェイの往復付 という極めてラクチンかつ恵まれた立地条件。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
独標から先は「手かせ・足さばき」を連続的に使う、いわゆるテクニカルコース。 難易度は ・表妙儀稜線より格下(上下の鎖のフェース)。 ・五竜G5・G7よりちょい上(高低差のアプローチ)。 ・大キレットより下で、時間の長い分、不帰キレットより上。 もちろんその先のジャンダルム・ロバの耳・ウマノセに比べれば楽勝コース。 基本三点支持を厳守。ムーブに正確さを求められ、下りの足元見えないフォローは廻りの同行者の声の掛け合いが必修。 |
その他周辺情報 | アフターは下域に温泉数多し。 我々は「ホテル穂高」にて入浴&リラックス。 http://www.hotel-hotaka.jp/ |
写真
装備
個人装備 |
ソフトシェル
グローブ
雨具
日よけ帽子
サブザック
昼ご飯
ヘッドランプ
携帯
時計
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共同装備 |
計画書
ファーストエイドキット
常備薬
ツェルト
カメラ
|
感想
前日の晩雨が降りしきる中で、「山荘のオーナー」自らがテン場の真ん中にやって来てアナウンスがありました。
内容は「明日は早朝雨が残りますが、天候は回復基調。本来ならば明日の午前8時半迄にテントの撤収をお願いしていますが、明日は連休最終日で混雑も見込まれない事から、早朝に出立して帰戻後にテントを撤収して頂いて結構です。」と。
今まで数々のテン場にて過ごしているが、こんなにも登山者に対して気を効かせてくれる本質的な好意にはホント感謝感激。その場にてウン十年と過ごして現地の天候を知り尽くしている人物が公言するのだから、間違いなく好天していくのだろう。と確信しつつ・・・
問題は、そのしきい値(その日の停滞している前線)がどの辺りに居るのか???の模索を残しつつ、とにかくも予定通り午前4時に全メンバー集合し決議を行う。
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個々の意見が交わる中、こういう局面で基本”縦走ではないピストン行程”なので、各自の経験・見解・裁量で判断してその都合・体調・気持の面で折り返して頂ける。平たく言えば「とりあえず行ける所迄」という”一番最も危なげな判断を下しても”安心できるピストン行程とはホント気がラクなもんだ。
最終的に目標に向かっていく有志のみとして編成し直し、私の判断は行程ではなく、帰路の高速バス出発からの逆算での”絶対時間”として、行路折り返し時間を絶対時間8:30と組んで実行。(つまり8:30で行ける所がその各自メンバーの現状の力量・技術)
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昨日程の風もなく、雨そのものは小康状態ながらガスガス交じりの中、時々青空が小顔を見せる中、稜線はドライ⇒スーパードライに変わりつつ、手かせ足さばきを堅実に遂行して11・10・9・8・・・と峰数を稼いでいく。
そもそも好天ならば行き違い・すれ違いに対する待ち時間も発生無く、むしろ後続の若手(テント泊)3人組のパーティにせっつかれながら歩を進めていく。
結局の処、主峰「西穂高岳」に着いた時も見渡す景観はお預け。その代り誠意尽くして表敬訪問の暁か、いつも不思議なのはPHの瞬間は荒れた風が一息ついてくれて、記念撮影の合間は安定したセルフタイマーを切ることが出来た。この経験はマジメに、数多くの不思議さを持ち合わせている。
私的なローカルルールで日帰りの場合、その山荘のお弁当を広げて(今回は景観が薄いが)山頂を楽しみ、後続の若手3人衆は奥穂を目指していくのを見送り、残り時間のマージンから引き返しを開始する。
やはり、ヤマはいい。
徐々に好天を推移し、眺望が開けピラミットピークの頃には、それは見事な風景。登り詰めたこの瞬間。ヤマが好きでないとこういうの全身で感じる事も出来ないし、
序盤の登りの時に「何でこんなことやっているのだろう??」とか「俗世の邪念やしがらみ」等の邪念が皆すっ飛んで、こうしてタダ生きて平然とつつがなく過ごす事の喜び、廻りの全てが”自然そのもの”で”五感ならず第六感”で嬉々浦々ハツラツとした気分に加え、偶然に居合わせた廻りのヒト達との無言ながらでも感じる共感がビンビン響いてきてすこぶる心地よい。時間余りの影響もあって20分余りの贅沢な時間を過ごすことが出来た。
好天の兆しが強くなると、今度は稜線ルートの最敵「干される」現象が顕著に露わて、廻りの目移りに気をとられて何でもない砂利道で尻もちを一回ついてしまった。
気を取戻し、後続からバシバシやってくるハイカーに登頂のエールを送りつつ、今回の再び西穂を完破したのはそれなりには嬉しかった。今度ここへ訪れるのは「還暦」(むろんその頃は歳なので小屋泊???)か??
やるとすれば奥穂から下り基調の西穂へ。を目標として志をキープしようと思う。
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今回同行者。masashinさん。
今回の山行について思ったこと
今回の西穂高岳に限らず、いつも考えることですが、自分にとって[なぜ山に登るのか?」という問いの答えはなかなか見つからない。
以前は、「山から帰るとまた行きたくなるから」と人には言っていた。
最近、考えが少し進化して以下のように考えるようになった。
登りの時、山登りの楽しさは味わっているのだが、辛さだけが感じられる。後悔までしてしまう。
それが家に帰ってみると、辛さはすっかり忘れて楽しさだけが残る。そうすると山にまた行きたくなる。と。
山の楽しみはいろいろある、快晴の日に素晴らしい景色を見たり、季節のお花畑に心和まされたり、美味しい樹林帯の匂いをお腹いっぱい吸い込んだりと、
あげればきりがない。でもこれが、山に登る理由だとはどうしても思えない。
雨が降ってもお花が枯れていても山は楽しいからだ。めったに見れない雷鳥も天候が荒れると盛んに姿を見せる。おまけに飛んで見せてもくれる。
今回は雷鳥は姿をみせてくれなかったが、初日はやや強い風が吹き荒れ、ハイ松の中で風をやり過ごした。これも楽しい思い出となる。
山好きの人間としては山の全てが知りたい。山を知るにはなるべく全天候、全季節に山にいることだと思っている。
それには、日常の暮らしから脱却して、衣食住すべてをなるべく自分の力で山で生活をすることだと思う。
このなかで食を充実したくて山飯のレパートリーを広げている。
山では五感が敏感になり、レトルト食品やカップラーメン、コンビニおにぎりなどは添加物が鼻について受け付けなくなってしまった。
いろいろ山で試した結果、古来からの保存食といわれるものが口に入るとわかった。防腐剤などが入っていないからだと思う。
保存食で作る10種類ぐらいのレシピができるようになった。
人間の作った保存食は実は旨みがたっぷり含んだ食材なのだ。レトルトや冷凍食品が出回る現代でも、古来から受け継がれてきた保存食には劣る。
チーズ、味噌、酢などの発酵食品。燻製肉や天日干しの魚、梅干・漬物など、山飯を考えていくと改めて人間の知恵には驚かされる。
過酷な冬をしのいだ保存食はまさに命がけで作ったものだったんだろうと思うようになった。
高野豆腐でつくる麻婆豆腐は絶品だった。日持ちのする乾燥野菜や小海老、よっちゃんの酢いかでつくるお好み焼きも短時間で作れる美味しい山飯となる。
洋食をあまり知らない私が、アンチョビでつくるスパゲティーが美味しいと思うようになった。
今回登った西穂高岳の夕食レシピはコーンとコンビーフ(プラカップ入りのもの)の卵炒め。それに即席で作るなすの2時間漬けは、すりこぎで少し潰し美味しくする。
ウイスキーと炭酸で作ったハイボールのおつまみにもなる。私が考えたチーカマとわかめのコンソメスープも食材がマッチしている。どうですか美味しそうでしょう!!
山飯を作れるようになったのは、調理器具が発達したからだ。以前はコッヘルがすぐにこびりついてしまいお湯を沸かすかラーメンを作るぐらいしかできなかった。
最近はフライパンの表面加工が発達して調理してもこびりつかない。使ったあともキッチンペーパーで拭けばきれいになる。
荒れた日の次はどんどん天候が良くなる。西穂高岳へ出発のときにまだ吹いていた風も次第に弱まり、山を覆っていた雲が次第に吹き飛ばされて、隠れていた山々が姿を表すと
山に登った人にしか味わえない山の劇場が始まる。見ていて飽きない時間が続く。あんなに時間が長く感じられたのに、意外に近く見える山頂にはびっくりする。
私の好きな登山作家に羽田寿志という人がいる。そのなかで推薦人の、耳に痛いが惹かれる言葉がある。
以下引用です。
「整備された登山道には親切な道標が設置され、足場の悪いところにはロープや鎖が張ってあり、沢には橋が掛けられている。「○○山山頂」の看板を見ればそこが目指す山の山頂だ。
汗水たらして登った山頂は多くの人で埋め尽くされ自らの身の置き場がない。人のざわめきで鳥のさえずりさえも聞こえない。
自然と戯れるために山に登ったのに、その山頂には人間の社会が出来てしまっている。
ま、それはそれでいいだろう。
しかし、私はいつの頃からか人で埋め尽くされた山頂や整備された登山道に魅力を感じなくなってしまった。
自然と戯れることが山登りの楽しみなら、人がいない山がいい。
この先何があるか分からないわくわく感、その中で突然現れる感動。地形図だけの情報を頼りに山の弱点を探りそこを攻める。
ルートを踏破出来るか山頂に立てるかどうかは行ってみないと分からない。
運良く立つ事が出来た山頂は何もないかわりに充実感があふれている。」
いつかはこんな山登りができるようになりたいと思っている。
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追記:masashinさんの主な山歴。
日本縦断(単独 81ヶ月) 三浦半島⇒奥秩父⇒八ヶ岳⇒北ア⇒栂海新道⇒日本海
冬季富士8合目(数回)
栂海新道踏破2回(春季・夏季)
大雪山⇒トムラウシ・大朝日・飯豊山塊縦走 踏破
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