[呼吸もままならぬ蚊柱] 西沢渓谷〜黒金山〜ゴトメキ〜国師ヶ岳〜甲武信ヶ岳〜十文字峠〜梓山
- GPS
- 32:00
- 距離
- 36.0km
- 登り
- 2,768m
- 下り
- 2,556m
コースタイム
- 山行
- 7:15
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 8:00
天候 | 7/16 曇り 7/17 曇りのち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2017年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
[下山]梓山バス停から信濃川上駅行き、川上村営バス17:40発。終点下車。650円(うち荷物代100円)。川上村営バスは駅発着のほとんどのJRと接続するのでとても便利です。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
大ダオ〜北奥千丈岳の区間は倒木がかなり多いが、ヤブは少なく準登山道といった感じ。道ははっきりしているので迷うことはあまりないだろう。 国師ヶ岳から梓川の岩小屋へは廃道があることになっているが、わずか30分ほどの下りにも関わらず倒木が酷く非常に難儀した。登りだとさらに困難だろう。そして、この区間の蟲蟲蟲にはほんと参った。虫対策必須。 岩小屋から東の登山道へは道も何もないが、藪も少なく、ケモノ道をつないで簡単に登れました。国師のタルの少し南側の鞍部を狙うと良いだろう。 |
写真
感想
7/16(日) 曇り:西沢渓谷入口〜2511m標高点△(8時間)
塩山駅からのバスは満員で立ち席の方もいた。もう少し始発が早ければ良いのだが、出発は9:40とだいぶ遅くなってしまった。
西沢渓谷の遊歩道は足元が悪いのとアップダウンが大きいので縦走装備では意外とはかどらず、時間がかかってしまった。七ツ釜五段の滝手前の枝沢で水筒に水を入れる。2時間弱でようやく黒金山の登山口に到着した。ようやく登山スタート。黒金山の登りはきつく、暑いのものあって汗が噴き出てくるがもくもくと登り山頂に到着。北側の展望がよくこれからの縦走路が甲武信まで見渡せた。距離は長いが標高差が少なく、それほどきつくはなさそうだった。
時間が遅いのでゆっくりもせず先を急ぐ。大ダオまでは道ははっきりしていたが、その後怪しくなる。トサカの登りは笹原で道を外しやすい。ゴトメキ前後は倒木が酷く、少しだけ難儀した。それでもこの区間は奥秩父らしいしっとりした雰囲気が続き、とても気に入った。林道が奥まで入っており一昔前はおそらく人臭い場所だったろうと勝手に思っていたが、どうも自然はよく残っているようだ。
シラベ平の林道出合に着いたときにはもう4時になっていた。今日の目標の梓川源頭、または大弛小屋まではとても行けない。ということは水が取れないということだ。暑いのもあって、ここで水はもう500mLしかない。万が一に備えてシラベ平付近で水が取れそうな沢をあらかじめチェックしていたが、その万が一になってしまった。まずは目を付けていた林道を東側に行ってみることにする。そして歩き始めた瞬間、水の流れる音が聞こえた。あまりに喉が渇いていて、幻聴が聴こえたのかと思ったが、思いっきり耳を澄ましてみると、本当に聞える。林道の脇を見るとなんと小さな水の流れがあるではないか! 水筒に汲んでみると若干色がついているが、煮炊き用なら全く問題ないだろう。シラベ平はほぼ尾根上の場所。なぜこんなところに水があるのか??こんな場所は正直生まれて初めてである。とても貴重な場所だ。
驚きに興奮しながら奥千丈へ向けて登ってゆく。これだから山は面白い。倒木が相変わらず多く疲れもピークでペースは遅くなる一方だ。奥千丈岳の山頂はテントを張るにも良い場所だったが、明日に備えもう少し先まで行き、地形図の2511m標高点で投宿とした。深い森に囲まれ足元は落ち葉とコケで覆われた幻想的な場所。ケモノ道からも遠いようで風の音、鳥の声以外何も聞こえない。泥のように眠りについた。
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7/17(月) 曇りのち晴れ:2511m標高点〜梓山(11時間50分)
夜半過ぎから朝方にかけて雨になった。ときどき強く降って目が覚めたが、起床したころには幸いにも上がっていた。
樹木はしっとりと濡れていて、北奥千丈岳までわずか20分だったがズボンがぐしょぬれになってしまった。北奥千丈岳は奥秩父最高峰。金峰山よりわずか2m勝って最高峰を勝ち得ている。曇りの天気ではあるが空気はとても澄んでいて周りの山々は瑞々しく眺められた。昨日は西沢渓谷を離れると全く人に合わなかったが、今日はここまで来ると人もちらほら登ってきていたので挨拶をしあった。
国師ヶ岳までは北奥千丈から15分ほど。ここも南方向が良い眺めで、富士山がきれいに見えた。夜中に大弛峠まで運転をし、そこから登ってきたという単独の方と少し話をした。甲武信を往復するとのことで健脚そうな方だった。
さて、ここから今回は少し探検路になる。梓川の源頭にある岩小屋を見に行くのだ。本当は昨日ここまで行きたかったのだが、見積もりが甘く無理だった。登山道を離れ、真北へと薄い踏み後をたどるとやがて急斜面になり、ものすごい倒木帯になった。踏跡もわからなくなるくらいのものすごい倒れっぷりである。おまけに倒木はコケで覆われていて、そこにおびただしい数の羽虫やブヨが住み着いているようで、足で踏むたびに埃のように虫が舞い上がる。蚊柱の中を歩いているようなもので、呼吸すらままならない状態だ。急斜面を過ぎたところでさすがに耐えきれなくなり、虫よけを塗る。少しはましになったが、それでもまだまだまとわりついてくる。首筋をぬぐうと、ごっそりと大さじ1杯くらいの佃煮のような虫の死骸が手に取れた。防虫ネットがあればかなり良かっただろうが、雪国の山でもないので虫に関しては全く油断していた。
梓川の源頭部を少し下り、ようやく岩小屋を見つけた。どうやらこちらは小さい方らしく、大小屋は過ぎてしまっていたようだ。あのとんでもない蟲帝国には戻る気にはなれない。梓川のおいしい水をたっぷり汲んで、先を急ぐことにした。東の尾根へは道は全くないが、藪は少なく割と簡単だった。尾根を乗っ越して沢をもう1本横切り、国師のタルの一つ南の鞍部に出た。
甲武信ヶ岳へは快適な道で何も心配はないが、ところどころ倒木はあり、奥秩父の幽玄さは健在だ。両門の頭は奥秩父には珍しい断崖絶壁の素晴らしい眺めの場所だ。天気もだんだん回復し晴れてきて良い感じになってきた。水師は3年前に釜の沢西俣を登った時に詰めたピーク。当時は看板もボロボロだったが、今日は立派な看板がついていた。先ほど国師でお会いした方がもう甲武信を往復してきて、ちょうど戻ってきたところだった。
水師からはわずかなアップダウンで甲武信のピークに到着。それほど好きな山でもないのだが、すでにこれが4回目。ほんとこの山は交通の要所にある。しかも奥秩父は天気の悪い時に行くことが多いので、晴れたことは一度もない。今日が一番天気が良いが、それでもすっきり晴れというわけではなかった。奥秩父らしくていいだろう。
信州・武州の国境路に入り三宝山に到着した。この山は甲武信より高く埼玉県の最高峰である。山の姿も甲武信よりずっと大きくどっしりしていて、なかなかの貫禄で気に入った。頂上は平坦でシャクナゲに囲まれた雰囲気の良い原っぱだ。おまけにここの頂上は一等三角点なのだ。
この十文字峠への道は整備状態が非常によく、あまり奥秩父らしさも感じられないが雰囲気はとてもよく気に入った。途中の武信白岩は登山禁止のロープが張ってあった。いけそうかなと思って岩場に取りついたが、ロープ無しではとても無理そうでやめた。武信白岩から大山前後まで、露岩の急斜面が多く注意が要るが、整備状態は完璧に近い。
バス時刻が心配なので十文字小屋は素通りし、先を急ぐ。千曲川へ降りる登山道は枝沢沿いの道であるが、この枝沢は結構大きく急なのだが、恐ろしく水の出が悪い沢だ。下れども下れども全然水が出てこない。沢の水の出方というのは本当にわからない。こんな沢を水取りに選んでしまってはゲームオーバーだ。私もまだまだ修行が必要だ。
道はジグザグだが、整備状態は相変わらずよく、危険な箇所はなかった。途中の湧き水はとてもおいしかった。千曲川の源流橋を渡り毛木平まで無事到着。更にレタス畑の中の車道を1時間歩き、梓山のバス停には17時ちょうどに到着、17:40のバスで無事信濃川上駅に出ることができた。
‐‐‐
今回の3連休は北アルプスの予定だったが、天気を見て直前で奥秩父に変更した。そのため全体的に見積もりが甘く、思ったよりきついルートでかなり時間がかかってしまったし、何より体力的にヘロヘロだった。しかし、奥秩父らしい幽玄さを味わえる絶好のルートで、かつ人も非常に少なかったのが良かった。改めて奥秩父の良さを見直すことになり、大満足で帰途についた。
コメント
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初めまして。
黒金山山頂付近ってテントビバークできそうな場所はありましたでしようか?
西沢渓谷から乾徳山の縦走を考えています。
はじめまして。
正確には覚えてませんですが、いくらでも場所はあったと思います。ただ山頂は平らな場所はなかったと思います。
大ダオまで行けばけっこう快適な場所があり、沢に下れば水もありそうでしたが、乾徳に行かれるなら通らないでしょうかね。
良い縦走を!
こんにちは、大変参考になります。私も西沢渓谷から上り、シラベ平の辺で泊まろうと思いますが、地図には東屋が有ると書いてあります。そういうのはありましたでしょうか?
こんにちは。
すみません、東屋は確認していません。登山道と交わる地点からは見えませんでした。
シラベ平の林道を西側に行くと、昭文社の地図では確かに東屋があることになっていますね。ここで泊まることができればテントは持たずとも縦走が可能だと思います。でも、林道もボロボロで人気もなく、手入れや掃除はあまり期待は出来ないのではないかと思いました。個人的な意見ですけど…
先日はお疲れさまでした。
国士ヶ岳でお会いした者です^^
思った通り祭日でも静かな縦走路を楽しむ事が出来ました
二度目にお会いした時は、
無事バリルートを踏破されたんだと安堵しました
休みが取りにくく、日帰りばかりの山行きです。
破線ルートとバリルートの組み合わせ、いつかチャレンジしたいものです。
irohaさん
コメントありがとうございます。その節はありがとうございました。
暑い日でしたが人も少なく快適な縦走でしたね。奥秩父にして正解でした。登山道が無いところのルートファインドが好きなので、こういう破線ルートをいつも狙ってます。でも今回のルートの虫の多さにはほんと参りました…
お互い単独が多そうですので安全には気を付けていきましょう。あと私も運転も気を付けようと思います(笑)。
yasu0402さん
恐れ入ります。様子分かったら教えてください。行くかどうかわかりませんけど(笑)。
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