遥かなる頂 トムラウシはチチの憧れ 26.29km×2 22時間40分の旅
- GPS
- 12:00
- 距離
- 26.3km
- 登り
- 2,595m
- 下り
- 1,291m
コースタイム
- 山行
- 1:58
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 1:58
- 山行
- 18:54
- 休憩
- 1:45
- 合計
- 20:39
天候 | ガス〜快晴〜ガス |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
装備
備考 | 予備バッテリーが不調の為、山頂でログを切りました。同じコースをピストンで戻りました… |
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感想
【股擦れ】
去年の8月末…syunpaさんと挑戦した王様へのアプローチ。今週の登山を、5日前に登った芦別岳の疲れを理由に1号&2号に振られてしまったチチ…
故に頭の中には常にあった再挑戦を決行する事にしたのであります‼(でもこの前のBBQの時、syunpaさん&ハハに強く再考する事を促されていたっけなぁ…(笑))
強い憧れ故に…遥かなる頂であるが故に…
トムラウシ温泉側からスタートする気にはなれず…天人峡側へは行くのも遠いし…自分の歩いて来た稜線を繋げたい気持ちがあるし…
こんな理由で富良野側、涸沢林道口からの出発に落ち着いた次第です。
ここでハハとの約束事を作りました。
⛔10時を過ぎてトムラウシ山頂に辿り着けないと分かった時点で引き返して帰って来る事⛔
細かい事は他にも色々ありますが、要約するとこの1点に尽きます。この約束により時限装置のタイマーが作動した事になり、家を出発する前から挑戦が始まった次第です。
8月19日土曜日のお話。
十勝岳温泉下のコンビニまで我が家から2時間半。オプタテシケ山から先の急降下や未踏の地を考えると、そのエリアは少し視界があった方が良いという事くらいはアホなチチでも判別出来ます。
よって《オプタテシケ山頂に3時までに到着》
これが最初のチェックポイントになります。そこから逆算すると18時半までには家を出なければなりません。が、ここで問題が発生…テレビでは大阪桐蔭vs仙台育英の熱戦が続いています…これでは無いはずの後ろ髪も引っ張られまくるわけで…(笑)結局試合終了までは観られず時間的余裕も無くなり…出だしから中途半端なチチなのであります。そんな中途半端をよそにこの試合、球史に残る劇的な幕切れになりましたね…
予定通りとはいかずコンビニ到着が21時20分頃…ところが周辺の2件のコンビニを合わせても売っているおにぎりが3個…これから丸1日歩くには圧倒的に足りません。取りあえずゴミの出ない食糧を買いましたが、すでにアワアワしている為必要以上のお買い上げ…(笑)これが背中の重石となり足を引っ張り続けました…お粗末❗
登山口で装備を整え何とか22時01分に出発。
タイムテーブルギリギリの出発ですが「遅れは足で取り戻す❗」と気合いのスタートで始まります。脇目も振らずに美瑛富士避難小屋まで進むとライトの灯りにガスが映り始め、少しは涼しくなって良いかとそのまま行きますが…どうも調子が上がりません…時々ボ〜っとしたりフラフラしたり…これは寝不足が原因だと思ってベベツ岳付近で20分程仮眠を取りましたが、段々寒くなってきてこれはイカンとすぐに歩き始めました。3時過ぎ、何とかチェックポイントのオプタテシケ山頂に到着しましたがすでに眠さの限界…カッパを着て30分程地蔵になって眠りました…(笑)案の定動かなければ寒くなり…低体温症になりかけたので飛び起きて再開です。4時に近くなり辺りが白み始めたのと、ガスの切れ間からの夜明け…そして眼下のライトの灯り…これらが重なって身体から元気が出てくるのを感じ前進するスピードを上げました。
藪漕ぎのお話。
人の記憶力とはいい加減なもので(自分のだけかも知れません)双子池に到着するまで、この先に待ち受ける藪漕ぎの事を全く忘れておりました…(笑)1年前に歩いたはずなのにお恥ずかしい限りです…で、ここからコスマヌプリを越えた辺りまでの藪漕ぎがコース全体を通しても一番大変で、これは歩いた事がある人でないと分からないかも知れませんが途中からマダニの事は一切考えなくなりました…(笑)
まだ知らない稜線へのお話。
コスマヌプリの肩に到着して背負いすぎの荷物(水筒、ツェルト、2Lのお茶等)をデポして、身軽になって去年の続きを始めます。初めての場所を歩くのはそれだけで元気が出ますし楽しくなりますが、そうは言っても待っているのは藪…藪…藪…ここからツリガネ山までは誰にも出会わずに独りの時間を味わいました。
ツリガネ山のお話。
ツリガネ山の肩直下に到着すると上に人がいました。挨拶をしたその若者は何と半ズボン❗素足で藪漕ぎ中なのであります。若者にここからトムラウシ山頂まで2時間で行けるか、恐る恐る聞いてみました…若者曰く「僕はトムラウシからここまで2時間半で来ました。だから無理なんじゃないでしょうか…」ガビ〜ン…‼今が7時45分だから何事もなく行けても10時半近くになってしまう…(泪)少し心が折れそうになりましたがこうも考えました。10時までは自分の時間だから、行ける場所まで行ってみよう‼
こうして時間との闘い、オヤジの意地の張り合いのエリアに入って行きます…(笑)
三川台のお話。
ここでトラブルが発生❗スマートフォンの電池残量が29%になり予備バッテリーを接続。少し歩いた所で写真を撮る為に出したスマートフォンの残量は26%…(謎)その後何をしてもバッテリーが甦る事はありませんでした…時間制限問題に加え電池残量問題も勃発…ガビ〜ン
そんな尖った気持ちを丸く平らかにしてくれる場所が三川台でした。例え今回もトムラウシ山頂に立てなくても、ここに来られて良かったと思える素敵な場所です…快晴の朝、前方を仰ぎ見れば『トムラウシ山』、右側を見下ろせば『ユウトムラウシ花園』振り返れば『十勝岳』へと続く遥かな稜線…世の中には自分の知らないこんな素敵な場所がまだまだあるんだろうなぁと思うと、嬉しくなります。しかし感傷に浸っている時間は残念ながらありません。王様に向かって速度を上げます。
トムラウシ山のお話。
いつもすぐに『かくれんぼ』をしてしまう恥ずかしがり屋の王様も、今日はその姿を見せ続けてくれました。三川台を過ぎて南沼を通り、その直下に到着したのが9時45分。残すはその遥かなる頂に触れるだけです…ここからはただ約束を守る為にひたすら登り続けました…そして遂に……
10時01分…『トムラウシ山』山頂に辿り着きました‼最後は計算も出来ずがむしゃらに這い上がりましたが何と12時間ジャストでの到着となりました…(笑)本当は大声で叫びたいところでしたが、実際は沢山の登山者で大賑わいの山頂ですから…(笑)心の中で感動を噛みしめ独り静かに…そして速やかに下山しました…10時19分下山開始。
長い長い帰り道のお話。
10時25分…後ろ髪を引かれ、振り返り仰ぎ見れば山頂がガスにまかれ始めていました。王様の出血大サービスは終了の時間を迎えたようです。
11時00分…遠ざかる王様の姿を見ようと振り返れば、王様はすでに奥の間に下がったようです。
この辺りで再びのトラブル発生❗両足の付け根に擦れた痛みが…(泪)
私2年前ぐらいから山旅にはfinetrackのインナーを身に付けております。こちら優れた排汗機能を持っていますが着心地は少しゴワゴワ…それでも今まで何の問題も無く快適な山旅を続けて来ました。ところが、捻挫や打撲は想定内でしたがまさかの『股擦れ』…ガビ〜ン‼
ただでさえ着心地が△の為、いくらショーツをずらしても痛みは消えません…山頂で着替えましたがショーツ&タイツは大勢の前で脱ぐ訳にもいかず、ズボンだけ脱いでカッパを履いていました。仕方なくショーツ&タイツだけ大人にとっては駄目な位置まで下げてカッパで隠すスタイルで凌ぎます…(笑)だらしない大人になって山旅を続けます。ここからはツリガネ山を通過してコスマヌプリの肩まで一気に歩き、デポした荷物をピックアップして藪の中に突撃です。何とかオプタテシケ山頂まで持たせたかった電池がここで切れて終了しました…目の前にそびえるオプタテシケの壁が更に大きさを増した瞬間です…(笑)
双子池キャンプ指定地まで戻って来ると、行きに挨拶を交わしたご夫妻が夜営の準備をしていました。こちらの行動に呆れていましたが励ましの言葉を頂き元気を貰いました。ありがたい事ですがその元気もすぐに涸れ果てました…オプタテシケ山を直視出来ません…(笑)ここからはカメの歩みで進みますが止まる事だけはしませんでした。
オプタテシケ山頂に戻って来た時点で17時過ぎ、最後のエネルギー補給を済ませたら避難小屋まで一直線です。
天然庭園山道のお話。
避難小屋到着が18時34分。登山口からここまでの行きの登りが2時間強…この調子だと20時過ぎには登山口まで帰り着けるかも知れないと思ったのが大間違いでした❗行けども行けども着かないどころか、異常に喉が渇きしまいには水筒に残った白湯まで飲み干しました。19時50分頃からまだかまだかとブツブツ言い始めた結果、50分間ずっとブツクサ言っていた事になります…(笑)
20時40分…長かった旅路も終わりの時を迎え、遂に涸沢林道の登山口に帰り着きました…
家まで6時間のお話。
漆黒の闇の中、着ているものを全部脱ぎ股間に優しい短パンに履き替えてから…(笑)スマートフォンを充電器に繋ぎ家族に電話をかけます。無事にやり遂げた事、温泉には入らずまっすぐ家に戻る事、危なくなる前に仮眠を取る事などを手短に伝え車を走らせます。帰りたい気持ちは強いもすぐに限界を迎え『白金いこいの森林』の駐車場で力尽き深い眠りに就きました。寒かった為アイドリングしたまま眠ってしまい…
23時24分…「長時間の運転、ご苦労様です。気を付けて…」の女性の声で目覚めます。
メールで今から帰る旨を伝え再び車を走らせましたが…家まで1時間の地点で再びダウン…
2時25分…「深夜の運転、ご苦労様です。気を付けて…」の女性の声で再び目覚めます…(笑)
3時15分…這うように家に帰り着き、残った食糧を腹に詰め込み3時25分に就寝しました…
後遺症のお話。
1時間半程の睡眠で月曜日の仕事が始まり、重度の筋肉痛、足裏の痛み、股擦れ、寝不足などは想定内でしたがいつもと違う症状がもう1つ。何を食べても、お茶を何リットル飲んでもしばらくすると、飢え渇くのです…身体が一種の飢餓症状になっているのか何なのか…?この状態は丸1日続き段々普通に戻っていきましたが。
精神修業のお話。
歩いている最中は時間が気になり、景色に目を奪われ、疲れに負けないようにと歩き続けましたが、終わってから思い返してみるとただの山歩きではなかったようにも感じます。四国八十八ヶ所を巡るお遍路さんのような…天竺へ向かう三蔵法師のような(見かけは孫悟空ですが)…どこか精神世界に身を置く人達…修験者のような行いだった気が今はしています。
しかし今回の山旅を経て、人間がすぐに変わる訳ではありません。今後も軽いハイキングから大物ピークハントまで、今まで通り家族、友と共に続けていく所存でございます。 了
コメント
この記録に関連する登山ルート
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トムへ向かった事を知りった夜
翌日も、、 単独の長距離を思うと心配になってしまうので
なるべく..なるべく.. 考えない様にしていました。
でもさ、「今ならあの辺なはず」とか
頑張って「最後のベベツを登ってるはず」とか
日中は空を見上げ、夜も遠くで感じていたんだよ。
行きたい山へのルートは人それぞれだけれども
先日のキャンプでも、『途中でまでなら次に。』って
Genさんは、ズーット前から美瑛からのルートを頑なに語っていたもんね。
そうだね、特別な山は遠く 困難がある方が好きだったりしてて
心配性の割には、何故かよく分かるよ
Genさん とうとうやったね!
美瑛富士登山口から行ったトムラウシ走破!
兄には One dayとしか見えないぜ!! 嬉しくって ( ;∀;)
家族にギュ〜ってして貰ってね〜
syunpaさん、おはようございます。
コメントで書きましたが本当に人の記憶とは
いい加減なものです…(笑)
双子池の先から始まる藪漕ぎも最後の天然庭園山道の長さも全く飛んでいましたから。
遥かなる頂はやっぱり遠かったんですが、歩き終えてみるとあっという間の夢物語だったような気もします…
目指した頂は大混雑で趣も感傷に浸る時間もありませんでしたが、『三川台』…良かったです❗あそこでゆっくり『ユウトムラウシ花園』を眺めながら一緒に昼食といきたいものです。
これで単独行の熱も少し落ち着いたので、次は都合をつけて一緒に出掛けますからね❗(笑)
気疲れさせてしまって申し訳なく思っていますが、遠くから想ってもらえるのはありがたい事です。syunpaさん、ありがとー‼
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