双六岳・笠ヶ岳 〜苦あり楽あり感動ありの3日間〜
- GPS
- 56:00
- 距離
- 34.4km
- 登り
- 2,947m
- 下り
- 2,948m
コースタイム
無料駐車場5:18→5:29新穂高登山センター5:48→登山口7:33→11:22鏡平11:36→12:51弓折乗越13:07→14:52双六小屋15:18→16:14双六岳岳頂上16:21→17:21双六岳小屋
2日目(20日)
双六岳小屋8:05→弓折乗越9:14→弓折岳9:26→笠新道分岐13:20→14:43笠ヶ岳山荘テント場
3日目(21日)
山荘テント場6:50→7:13笠ヶ岳頂上7:20→7:35山荘テント場8:19→笠新道分岐9:40→笠新道登山口14:31→15:52駐車場
天候 | 晴れ〜風雨〜晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
特に厳しい箇所はありませんが、アルプスは油断は禁物。気をつけて。 我が身に言い聞かせる意味でも。 |
写真
感想
4月の木曽駒以来、久しぶりに計画したお盆の山行きも、出発直前になってのギックリ腰であえなくオジャン。
あれから1か月余り。
その間には、およそ半世紀ぶりの中学時代の同窓会もあって、古き友らの元気さも分けてもらえたのか、腰の具合も順調に快復。(それにしても、あっという間の50年。時の流れは早いなぁ)
ということで、ようやくにして山へも出かけられるようになって、
19・20・21日と、人影まばらな平日の北アルプスを歩いてきた。
今回の山は、双六岳(2860m)と笠ヶ岳(2897m)。
双六岳は5年前、その先の鷲羽岳まで歩いた時の帰りに三俣蓮華岳を経由して稜線沿いに歩いているが(行きは下の巻道ルート)、その時はカミナリと土砂降りの雨の中、逃げるように山頂から駆け降りて、せっかく楽しみにしていた景色も望むことができなかった。
この山から眺める、この山ならではの景色を見たかっただけに、ただただ残念さが残った。
ということで、今回は天気予報とにらめっこしながら、満を持しての再挑戦。
そして、笠ヶ岳。
槍から穂高の稜線を歩いていると、常に右手に大きな山体の山が目に入ってくる。
それが笠ヶ岳。
笠ヶ岳は、他の北アルプスの山と少し離れた位置にあるので、ついでに立ち寄るとなると難しい面もあるが、あれだけ目を向けるたびに存在感を示されると、一度は登っておかないと、といった義務感にも似た感じになってくる。
そんなわけで、この二つの山は位置的にも近いということで今回の山行きに決定。
【1日目】新穂高温泉→小池新道→双六小屋テント場→双六岳頂上→テント場
台風一過の18日昼に我が家を出発して、夕方、新穂高温泉無料駐車場に到着。
平日とあって駐車場はかなりの余裕があるが、それでも、そこは上高地と並んで北アルプスの玄関口。200台ほど停められるという駐車場は翌朝までには6、7割がた(もう少しかな?)まで埋まっていた。
簡単な朝食を済ませて、駐車場を5時18分に出発。
登山センターで登山届けを提出して5時48分、長い林道歩きへ。
さすがに平日。人は少ない。
ウォーミングアップも兼ねて歩くこと1時間45分、小池新道の登山口に到着。
いよいよここから本格化な登山道が始まる。
前回は、山の上の方はガスガスの天気で眺めどころではなかったが、今回は違う。
茶色の山肌や木々の緑と空の青さとのコントラストが美しい。おのずと気持ちまでウキウキしてくる。
この登山道は、鏡平まで石の多い道が続くが、よく整備されてとても歩きやすい。
11時36分、鏡平に到着。池越しに見る槍・穂高が美しい。
山荘のベンチでは休憩することなく通過。
通過した後に気がついた。昼も近いことだし、ここで軽く昼食を摂っておくべきだった。といって、今更引き返すのもカッコ悪い(年甲斐もなく見栄っ張り)。
弓折乗越まで我慢。
急坂を登ること1時間15分。弓折乗越に到着。明日はここから笠ヶ岳に向かう。
途中水分は飲んでいるものの、朝食を摂ったのはとっくの昔。腹も減るわけだ。
そこからひと登りで、今回の最初の目的地、双六岳が見えてきた。そして、その向こうには鷲羽岳も。
富士山が見る山としたら、双六岳は登る山(失礼、あくまでも私見です)。
ここから双六小屋までは、少々アップダウンが続くが、ほぼ稜線歩き。
そして、双六小屋到着14時52分。
休むことなくテント設営を終えたのが15:18分。
ここで迷った。
今日の双六岳頂上行きは諦めていたが、なんとか行ってこられない時間でもない。それに、夕陽に映える槍・穂高の景色も見てみたい。
ということで決定。
とりあえず、三脚と貴重品と水を持って出発。
15分ほど登ったところで気がついた。
ヘッドランプを忘れた。
ここまで登って来て、今更戻っている時間はない。
頂上までのコースタイムは1時間10分。ヘッドランプという保険がない以上、確実に明るいうちに戻ってこなければいけない。
この石ゴロの道を、真っ暗闇の中、手探りで戻るなんてほぼ無理だから。
頂上台地から振り返って見る槍・穂高の眺めは、思い描いた通り素晴らしいものだった。
漂う雲が、雄大な景色に一層の彩りを添えている。
5年後に自分が戻ってきたように、ここに来る人たちは、多分、みんながみんな、それぞれが自分だけの思いを抱いて、この景色を眺めるのだろう。
双六岳、自分の中の百名山。
無事、明るいうちにテントに戻ることができた。
欲を言えば、もう30分も余裕を持って山上からの景色を眺めてみたかったなぁ。
【2日目】双六小屋テント場→笠ヶ岳山荘テント場
双六岳山頂は昨日のうちに登っているので、今日は時間的にゆとりがある。
ゆっくり身支度を整えて、8時05分に小屋を出発、笠ヶ岳へと向かう。
昨日の道を弓折乗越まで戻ると、ここからは初めての道が始まる。
乗越を出て12分ほどであっけなく弓折岳に到着。頂上は登山道脇すぐのところにある。
ここで休んでいた男性は、昨日笠ヶ岳山荘でテントを張って、今日はこれから槍に向かうとのこと。「気になるのは天気。途中で雨でも降られたらどうしよう」と心配していた。当初の予報から大きく変わって、今日は午後から天気が崩れそう、ということなので、その条件はこちらにも当てはまる。他人事ではない。
ただ、笠ヶ岳のテント場はいいところということなので、期待して良さそうだ。
天気次第だが。
弓折岳を過ぎると、すぐに大ノマ乗越へ大きく下って大ノマ岳への激登りが待っている。
この登りに入ったところで、同年代くらいの男性が後ろから登ってきた。
つい先ほどまで気がつかなかったので、どうやらあっという間に追いつかれたらしい。
聞くと昨日は槍平小屋の方から槍に登って、今日は西鎌尾根を双六小屋に降り、あとは自分と同じコースを歩いてきたとのこと。
槍までは先ほどの男性と逆コースだ。
槍からの下りは、強い風で寒くて大変だったらしい。
先に行ってもらったが、案の定グングン引き離された。
この登りがきつくて、大ノマ岳の標柱を見逃した(汗)
抜戸岳への分岐手前くらいからだんだんと雲行きが怪しくなってきた。
抜戸岳はスルーして、そこから少し進んだところで、明日下る笠新道への分岐を通過。
大きな岩がぱっくりと割れたような抜戸岩は、もうすっかりガスの中だった。
幻想的な抜戸岩もまた絵になる。
石の上に「ガンバ」の文字を見つけてテント場近しを予感。
そして、14時43分、テント場到着。
この時点で先客はテント一張りのみ。
ガスが周りを覆いつくしているものの、風は先ほどより弱くなって雨も降っていない。でも、今夜から明日の10時頃まで風雨が強くなって大崩れするらしい。
テントから小屋泊まりに変えた人もいるようだ。
テント場から山荘までは10分ほど登らなければいけない。
受付の男性に聞くと「風?多分大丈夫でしょう」
でも、ここは用心するに越したことはない。いつもより入念にテント設営。
設営後、近くに単独女性がテントを張りだした。
声をかけたが、知ってか知らずか天気のことはさほど気にした風もない。
女性は強い。
やっぱり。
それから1時間もするかしないうちに風が吹き出し、雨も降り始めた。
この際、雨はどうでもいい。問題は風。
万一、ペグとフライが飛ばされても一体型のテント内には人がいるので、余程のことがない限り大丈夫だろうが、その代わり一晩惨めな格好で過ごすことになる。
風は徐々に強くなって、ついにはテント全体を大きく揺さぶるようになった。
壁や天井に手を当てて無駄な抵抗を試みるが、時間が経っても一向に収まる気配がない。
慣れというのは怖い。そんな強い風にもだんだん警戒心は薄くなる。
ウイスキー片手に時々壁を抑え、うとうとしては目を覚ましての繰り返し。
結局、風は一晩中吹き荒れた。
【3日目】笠ヶ岳山荘テント場→笠ヶ岳頂上→山荘テント場→笠新道→新穂高温泉
夜明け頃には風も雨も止んだが、ガスはまだ一面を覆っていた。
(半分うとうとしながらテント内の換気口から覗いただけなので、正確ではないかもしれない)
それでも、7時前に再び目が覚めたときには、すっかりガスも取れて上空には真っ青な空が広がっていた。
結局、昨晩テントを張ったのは全部で4件。
皆さん、何事もなかったようでなにより。
朝食もそこそこに、テント場から20分ほどの頂上に向かう。
山荘前を通りかかった時、声をかけてくる男性がいた。昨日、大ノマ乗越からの登りでお会いした男性だった。
昨晩の風は、山荘も軋むほどの凄さだったらしい。
頂上には、もう行ってこられたということで、これから下山とのこと。
うん? ということは、自分が寝ている間に思った以上に早く天気は回復していたということ?(汗)
頂上にはすぐに着いた。
光と影。
反対側の常念岳・蝶ヶ岳の方から見る槍・穂高は山肌を照らすが、こちらからのそれは逆光でシルエット状になる。それでも、もくもくと立ち込める雲海に浮かぶ槍・穂高の山並みは、これまた別の魅力がある。
またひとつ、念願の山に足を運んで、予てからの望みを叶えることができた。
テントに戻って、隣の女性とほぼ同時に撤収開始。
女性は反対側のクリヤ谷から下山とのこと。
昨日、来る途中はガスで遮られ、笠ヶ岳をカメラに収めることができなかったことを悔やんでいた。
これから撮る自分の写真をあげることもできたのに、と気がついたのは後になってからのこと。
8時19分、テント場を後にして下山の途についた。
途中から振り返って仰ぐ笠ヶ岳。昨日とは打って変わって全く別の景色が広がっていた。
笠新道との合流点まで戻ったところで、道は稜線から逸れて右へ。ここから本格的な下山が始まる。
いきなりの急降下から始まって、途中、杓子平と呼ばれるのどかな緩斜面も通るが、道は総じて大きな石がゴロゴロ。登りも下りも決して歩きやすいとは言えない。
笠新道手強しと言われる所以だろう。
お世辞にも順調とはいえない足取りで歩を進めて14時31分、林道の走る登山口に降り立った。
徐々に痛みを増す腰をかばいながら、休み休み歩くこと1時間20分。
無事、駐車場に戻った。
後記
最近、つとに感じることがある。それはテント装備での山行連泊がきついこと。
問題は腰。普段の生活ではそれほど深刻でもないのだが、山旅も後半になると痛みが増してくる。(これは慢性的なもので、今回のギックリ腰からのものではない)
もう、そんな無理のきく歳でないのは分かっているのだが・・・。
“喉元過ぎれば熱さ忘れる”
人間(自分)なんて愚かだ。この罠にはまって、いつも同じ過ちを繰り返す。
それだけ、人を惹きつけるものがあるということなんだろうけれど。山には。
まずは無事に山行を終えられてよかったです!
その後の体調は大丈夫ですか?
これから気温も下がって行くのでまだあまり無理せずに体を労ってくださいね。
しかし、復帰戦には最高の天気で何だか山が笑顔で迎えてくれてるみたいですね。(2日目の晩は除く)
特に鏡平の逆さ槍と双六の台地の稜線がとても綺麗で憧れます。めっちゃ羨ましいです。
今回1up2downさんが行かれたこのコースは踏み入れたことがないのでいつかトレースさせていただきます。
あわよくば逆回りなんても考えたりしてるのですが、笠の登りはきつそうですね〜。
RYOSUNさん、コメントありがとうございます。
ギックリ腰をやった時点では、これは当分、いや、もしかしたらもう山は・・・、くらいまで落胆したんですが、思いの外早く回復できたのは、まったくの嬉しい誤算でした。
双六岳。私の中では(あくまでも私の中ではですが)、これまでに登った山の中でも、三つの指に入る名山だと密かに思っているところです。
あの、どこまでも続くかのように見える、頂上台地からの眺めは絶品(景)です。(槍・穂高が前面に望めての話ですが)
位置的に、笠ヶ岳と一緒で、槍・穂高のモルゲンロートは望めないのですが、その意味では、午後の方がいろんな景色に出会えるかもしれませんね。
2、3日、双六小屋のテント場に落ち着いて、酒を持参しての頂上通いもいいな〜。なんて思っているこの頃です(笑)
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