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Yamareco

記録ID: 127564
全員に公開
アルパインクライミング
槍・穂高・乗鞍

念願の北鎌尾根から槍ヶ岳へ

2011年08月11日(木) ~ 2011年08月13日(土)
 - 拍手
GPS
57:55
距離
44.7km
登り
2,689m
下り
2,686m

コースタイム

1日目
山行
8:32
休憩
1:42
合計
10:14
5:29
5:30
0
5:30
5:30
43
6:12
6:24
4
6:28
6:28
34
7:02
7:04
2
7:05
7:19
8
7:27
7:28
42
8:09
8:34
0
8:34
8:34
38
9:11
9:11
11
9:22
9:23
8
9:31
9:32
35
10:07
10:24
35
10:58
10:59
31
11:29
11:44
82
13:05
13:25
135
2日目
山行
13:54
休憩
0:26
合計
14:20
15:40
194
7:08
7:09
284
11:53
12:07
339
17:47
17:58
17
3日目
山行
7:57
休憩
0:57
合計
8:54
18:15
46
7:06
7:08
2
7:10
7:10
46
7:56
8:03
38
8:40
8:50
22
9:12
9:12
34
9:46
9:58
22
10:19
10:20
9
10:29
10:30
12
10:42
10:43
45
11:28
11:28
9
11:37
11:37
38
12:15
12:16
14
12:30
12:44
43
13:28
13:28
4
13:32
13:32
4
13:35
13:36
34
14:10
14:11
35
15:03
15:16
1
15:16
15:17
3
15:20
ゴール地点
8月11日 5:25上高地BT-5:30〜32河童橋-6:10〜23明神-7:06〜20徳沢
     8:10〜33横尾-9:23一の俣-9:32二の俣-9:58〜10:23槍沢ロッヂ
     11:00ババ平-11:30〜43大曲り-13:04〜20水俣乗越-15:45北鎌沢出会
8月12日 3:47北鎌沢出会-7:31〜59北鎌のコル(実際はその上の小さなコル)
     10:40独標基部-11:24〜50独標-16:23〜39北鎌平-16:58大槍基部
     17:47〜50槍ヶ岳山頂-18:15槍ヶ岳山荘
8月13日 6:18槍ヶ岳山荘-6:48殺生ヒュッテ分岐-7:05播隆窟-7:57天狗原分岐
     8:36〜49大曲り-9:37〜53槍沢ロッヂ-10:29一の俣-11:28〜36横尾
     12:31〜44徳沢-13:32明神-13:40〜14:10嘉門治小屋-15:04〜16河童橋
     15:20上高地BT
天候 8月11日:晴れ時々小雨
8月12日:晴れ
8月13日:ガスのち晴れ
過去天気図(気象庁) 2011年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
 東海環状自動車道を北上し、土岐JCTで中央自動車道へ入り東進。岡谷JCTで長野
自動車道に入って北上、松本ICで下車して国道158号線を西進して沢渡へ。
足湯のある沢渡第2駐車場に車を止める。1日500円です。
 ここからは、4時半に予約してあったタクシーで上高地へ入る。
コース状況/
危険箇所等
上高地バスターミナルにて登山届けを提出。
 (北鎌尾根パーティーのスケジュールが山荘に連絡が入っているらしく、槍ヶ岳
  山頂で出会った方に、『あなたたちが本日の北鎌組最終パーティーで、山荘の
  方達が心配している』と言われた。)

<上高地BT〜大曲り>
アップダウンもあまりなく、歩き易い

<大曲り〜水俣乗越>
踏み跡は明瞭ですが、とにかく急登

<水俣乗越〜北鎌沢出会>
はじめは草付きの滑り易い急な下りで、途中、短い雪渓をトラバース後岩場の下り
となる。先を読みながらルート選択を。

<北鎌沢出会〜北鎌のコル>
最初から岩場の急登で、途中の草付きでルートを間違え左の沢へ入ってしまった。
何とか本来のルートに戻ったつもりがこれも違っていた。この日、出会でテントを
張った3パーティー共このルートに入った。

<北鎌のコル〜槍ヶ岳山頂>
最初は木々の間を進むが、すぐに岩場に突入。片側が切れ落ちたトラバースルート
あり(ほとんど千丈沢側に進むが、結構ザレていて滑ると大変な所も)、稜線への
直登ありとアルパイン要素が満載。独標トラバースルートは、迫出た岩場では歩伏
前進をするところもあり、そこを越えると独標へ直登します。結構、踏み跡が多く
ありますので、ルート選択ミスをしないように。
大槍基部だけは間ノ沢側へ回り、プレートの横から登りだす。2ヶ所のチムニー
(上部は2歩目、3歩目の足の置き場がミソとなる)を越えて左に登ると木杭がある
ので、そこからは踏み跡をたどって登ると祠の横に飛び出ます。

<槍ヶ岳山荘〜上高地BT>
最初は急な下りをジグザグに下るが、時々振り返って眺める槍は最高。天狗原分岐
を越えると傾斜も緩くなって歩き易くなります。

下山後の温泉は、駐車場から松本方面に少し走った橋の手前にある「梓湖畔の湯」
に浸かる。700円です。露天風呂からの眺めは結構いいが、洗い場が4つしかなく、
だいぶ待たされることも。

朝の河童橋(ガスがかかってます)
2011年08月11日 05:30撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 5:30
朝の河童橋(ガスがかかってます)
横尾から先は初めての領域
2011年08月11日 08:33撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 8:33
横尾から先は初めての領域
槍沢ロッヂ
2011年08月11日 10:23撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 10:23
槍沢ロッヂ
ババ平
(夕方には足の踏み場がないほど張られていたそうだ)
2011年08月11日 11:00撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 11:00
ババ平
(夕方には足の踏み場がないほど張られていたそうだ)
大曲りに到着
2011年08月11日 11:30撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 11:30
大曲りに到着
水俣乗越への急登が始まる
2011年08月11日 11:48撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 11:48
水俣乗越への急登が始まる
水俣乗越に到着
2011年08月11日 13:07撮影 by  DMC-FX100, Panasonic
8/11 13:07
水俣乗越に到着
ここからはバリエーションルート
2011年08月11日 13:05撮影 by  DMC-FX100, Panasonic
8/11 13:05
ここからはバリエーションルート
草付きの急な下り(足元は滑り易い)
2011年08月11日 13:20撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/11 13:20
草付きの急な下り(足元は滑り易い)
ここで一旦雪渓に出ますが、ほとんど無し
(左側から下れるが、雪渓のほうが歩き易い)
2011年08月11日 13:46撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 13:46
ここで一旦雪渓に出ますが、ほとんど無し
(左側から下れるが、雪渓のほうが歩き易い)
もうすぐ北鎌沢出会のテン場に到着
(奥の黄色いテントは名古屋ありんこ山岳会の方)
2011年08月11日 15:41撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/11 15:41
もうすぐ北鎌沢出会のテン場に到着
(奥の黄色いテントは名古屋ありんこ山岳会の方)
我々の今晩のお宿
2011年08月11日 16:19撮影 by  DMC-FX100, Panasonic
1
8/11 16:19
我々の今晩のお宿
真っ暗な中、出発
2011年08月12日 03:50撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 3:50
真っ暗な中、出発
こんな登りが延々と続きます
2011年08月12日 05:31撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 5:31
こんな登りが延々と続きます
草付きの登りと思い込んで違ったルートへ突入
(この先で強引にルートに戻るが、このミスで1時間半のロス)
2011年08月12日 06:19撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 6:19
草付きの登りと思い込んで違ったルートへ突入
(この先で強引にルートに戻るが、このミスで1時間半のロス)
やっと北鎌のコル(?)へ
(実は、北鎌コルの少し上のコルに到着するが、
ここへは明確な踏み跡があり、テン場にいた3パーティー共ここに到着)
2011年08月12日 07:27撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 7:27
やっと北鎌のコル(?)へ
(実は、北鎌コルの少し上のコルに到着するが、
ここへは明確な踏み跡があり、テン場にいた3パーティー共ここに到着)
テント1張りのテン場
2011年08月12日 07:31撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 7:31
テント1張りのテン場
遥か下の白いところが出発点の北鎌沢出会
2011年08月12日 07:32撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 7:32
遥か下の白いところが出発点の北鎌沢出会
残置のザイルがあったのでこちらへ行ったが、
結構大変でした。
(基部から右へ少し行った所にもっと楽なルート
があるそうです)
2011年08月12日 08:40撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 8:40
残置のザイルがあったのでこちらへ行ったが、
結構大変でした。
(基部から右へ少し行った所にもっと楽なルート
があるそうです)
天狗の腰掛(?)
2011年08月12日 09:24撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 9:24
天狗の腰掛(?)
独標が目前に見えてきました
2011年08月12日 09:32撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
3
8/12 9:32
独標が目前に見えてきました
こんな下りも
2011年08月12日 09:39撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
3
8/12 9:39
こんな下りも
かすかに見える人影は名古屋ありんこ山岳会の方
が直登ルートに取付きました
(我々は、このためにザイルを持ってきたが、
最初のタイムロスでトラバースルートへ)
2011年08月12日 10:35撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 10:35
かすかに見える人影は名古屋ありんこ山岳会の方
が直登ルートに取付きました
(我々は、このためにザイルを持ってきたが、
最初のタイムロスでトラバースルートへ)
トラバースルートの始まり
(下は・・・・です)
2011年08月12日 10:40撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 10:40
トラバースルートの始まり
(下は・・・・です)
トラバースルート
2011年08月12日 10:42撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 10:42
トラバースルート
オーバーハングした岩の下を歩伏前進
(もちろん、右側はキレ落ちています)
2011年08月12日 10:55撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 10:55
オーバーハングした岩の下を歩伏前進
(もちろん、右側はキレ落ちています)
独標の山頂へ向けて
(残り2名は右の凹角から登った)
2011年08月12日 10:58撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 10:58
独標の山頂へ向けて
(残り2名は右の凹角から登った)
独標の山頂
2011年08月12日 11:24撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
4
8/12 11:24
独標の山頂
槍の全貌が見えました
2011年08月12日 11:27撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
5
8/12 11:27
槍の全貌が見えました
下ります(ザレて滑り易い)
2011年08月12日 12:33撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
2
8/12 12:33
下ります(ザレて滑り易い)
トラバースします
2011年08月12日 15:04撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 15:04
トラバースします
北鎌平へ
2011年08月12日 15:40撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
2
8/12 15:40
北鎌平へ
大槍の基部に向けて
(この先で左側へ巻きます)
2011年08月12日 16:52撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 16:52
大槍の基部に向けて
(この先で左側へ巻きます)
基部のプレート
2011年08月12日 16:57撮影 by  DMC-FX100, Panasonic
2
8/12 16:57
基部のプレート
蟹のハサミ
2011年08月12日 17:01撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
2
8/12 17:01
蟹のハサミ
山頂へ
2011年08月12日 17:02撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 17:02
山頂へ
下のチムニー
2011年08月12日 17:14撮影 by  DMC-FX100, Panasonic
2
8/12 17:14
下のチムニー
上のチムニー
(2歩目が見つけ難い)
2011年08月12日 17:21撮影 by  DMC-FX100, Panasonic
2
8/12 17:21
上のチムニー
(2歩目が見つけ難い)
上チムニーの上部
2011年08月12日 17:39撮影 by  DMC-FX100, Panasonic
8/12 17:39
上チムニーの上部
もうすぐ山頂です
(左の木の杭が目印)
2011年08月12日 17:42撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 17:42
もうすぐ山頂です
(左の木の杭が目印)
祠が見えました
2011年08月12日 17:42撮影 by  DMC-FX100, Panasonic
2
8/12 17:42
祠が見えました
山頂から北鎌尾根を振り返ります
2011年08月12日 17:24撮影 by  DMC-FX100, Panasonic
2
8/12 17:24
山頂から北鎌尾根を振り返ります
山頂から前穂、奥穂方面を
2011年08月12日 17:26撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
2
8/12 17:26
山頂から前穂、奥穂方面を
2011年08月12日 18:14撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/12 18:14
2011年08月12日 18:45撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/12 18:45
2011年08月13日 05:07撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
8/13 5:07
翌朝はガス、ガス、ガス
(やっと晴れてきました)
2011年08月13日 06:14撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
2
8/13 6:14
翌朝はガス、ガス、ガス
(やっと晴れてきました)
槍沢からのこの景色が見たかった
2011年08月13日 06:56撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
3
8/13 6:56
槍沢からのこの景色が見たかった
播隆窟
2011年08月13日 07:05撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/13 7:05
播隆窟
槍沢ロッヂから微かに穂先が
2011年08月13日 09:52撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
1
8/13 9:52
槍沢ロッヂから微かに穂先が
徳沢で御褒美のソフトクリーム
2011年08月13日 12:34撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
2
8/13 12:34
徳沢で御褒美のソフトクリーム
河童橋から岳沢を
(お疲れ様でした)
2011年08月13日 15:01撮影 by  Canon PowerShot SX210 IS, Canon
2
8/13 15:01
河童橋から岳沢を
(お疲れ様でした)

感想

 今年、生まれてから半世紀が経過するその思い出の山行として、あこがれだった
北鎌尾根から槍ヶ岳への登頂をしてきました。
 前日に沢渡の駐車場にテン泊し、翌日4時半にタクシーに乗り込み上高地へ。この
時には総勢8名の大パーティーだが、最終的には3パーティーに分かれる。
S師匠とN師匠の2名が横尾で別れ、涸沢経由で北穂高小屋へ。(下山後の情報で、
南稜から入らずに東稜から登ったとこと。さすが。)翌日は、滝谷ドーム中央稜、
最終日は飛騨尾根からジャンダルムへと精力的に岩を攻めるパーティー。
▲皀襯殴鵐蹇璽箸気鵑A君の2名は、初日はババ平でテン泊、翌日は槍ヶ岳山荘で
テン泊で我々と合流し、最終日に下山するパーティー。
K務に行く、我々4名のパーティー
という構成になっている。(横尾で6名となったメンバーの内、5名が槍沢へ初めて
入る。)
 テン泊チームとは槍沢ロッヂで別れ、第一のチェックポイントの大曲りへ。ここ
までは、ほとんど上高地から横尾までのコースの延長といった感じがするが、水俣
乗越へはいきなりの急登となり、重い荷物を背負う身体には非常にきつい。この
ルートをほぼ同じペースで登る2名のパーティーがあり、彼らも北鎌尾根にトライ
するとのこと。水俣乗越に到着した時には疲れきった状態で、ここで雨でも降って
こようものなら(実際に小雨がぱらついたが)、西岳へ向かおうと考えたほどだ。
しかし、せっかくこの山行を達成するために今年の前半を過ごしてきたのだから、
疲れた身体に鞭打って天井沢を下る。1時間もすると膝に痛みがきだしたので、
ペースを落として膝に衝撃を与えないように慎重に下る。予定コースタイムより
30分余分にかかったが、無事北鎌沢出会に到着する。既に、先客(名古屋ありんこ
山岳会)のテントが張られていて、テン場適地を教えていただく。1ヶ所いいところ
があったが、その真中にはキジを撃った痕が。もう少し、他の人のことを考えて
欲しいものだ。何とか、我々2張り分のスペースを見つけ、今夜の宿を設営し、夕食
を摂る。明日は3時起きの予定のため、早々に床に就く。
 翌日、3時に目を覚ましてテントの外に出ると、空には満天の星が。流れ星も見る
ことができた。(ペルセウス流星群?)我々が準備をしていると、群馬から来られ
たパーティーが出発して行った。我々もテントを撤収して、追うように出発する。
真っ暗な中、急な岩場の登りを登って行く。分岐手前の広いスペースで早めの水の
補給をする。私は万が一を考えて約3.5Lの補給をする。ザックは、どっしりと重く
なる。(この日の時点で、右俣の結構上のほうでも水が流れていた。)途中、左俣
から下ってくる光が見え、分岐で先行パーティーに追いつく。左俣に入ってしまい
30分のロスをしたとのこと。基本は、右へ右への忠告通りに進むが、明るくなり、
コースもはっきり見えるようになっての分岐でコースが3つに別れている。真中の
草付きのコースにははっきりとした踏み痕があるので、ここがコル手前の草付きと
思い込んだ我々は、疑うこともなくこのコースへ。これが大きな間違いで、途中で
踏み痕を見失い、藪漕ぎをしながら進むことも。ここで疑えばよかったのだが、
稼いだ高度をさげたくなかったのと、先行するパーティーの姿も前方に確認できた
ので、そのまま突き進む。やがて小さな尾根に出ると、ルートが全くない。ここ
からの直登はやばそうと判断し、藪漕ぎをしながら右手に進むと、やっと踏み跡に
出会う。先行パーティーの姿も確認でき、後方には後発パーティーの姿を確認する
事ができた。踏み跡を頼りに登って行くと、予定より1時間以上遅れてコルに到着
する。しかし、事前に得た情報のような広さのテン場でなく、1人用のテントが
やっと張れるようなテン場だ。(帰宅後に調べてみると、北鎌のコルから少し登った
所にある小さなコルに出てしまったようだった。)4名が充分な休憩をとって出発す
る時には、後発のありんこ山岳会の方達に追いつかれてしまった。
 ハイマツ生い茂る稜線を登っていくと1時間程で天狗の腰掛けに到着する。ここ
からは独標が真正面に見え、槍ヶ岳山頂へのルートの番人のように立ちはだかって
いる。この先からハイマツの姿はほとんどなくなり、岩場の稜線(時にはザレた
トラバースルート)を進むことになる。進むにつれ、色々な所に踏み痕があり、
迷うこともしばしば。独標手前のコルには、高瀬ダムから来られた御夫妻がテント
の設営をされていた。ちょうどこの時、群馬のパーティーが独標のピークを踏んだ
姿を確認する事ができた。独標基部ではありんこ山岳会が直登ルートに取り付いた
ところだった。本来、我々もこのルートを進む予定で道具を準備してきたが、朝の
タイムロスにより、直登ルートは断念してトラバースルートに進む。せり出た岩の
下を歩伏前進で進む所も。それを越してすぐに独標ピークに向けて岩場を登って
行く。御夫妻と別れて丁度1時間でピークに到着し、4名が揃った時にありんこ山岳
会もピークに到着された。お互い、槍をバックに写真を撮り合う。ありんこ山岳会
の方たちは、少し下ったテン場にテントを張られていた。P14(?)をトラバースして
いくと踏み跡があることにはあるが、あまりにも薄く、見た目にも危険そうな
トラバースルートが見える。ここは危険と判断し、稜線に向けて岩の斜面を少し
登ると、また明瞭な踏み跡が現れ、ほっとしながら(斜面的にはほっとできない
岩場ののぼりですが)稜線を目指す。しばらく稜線通しで進み、P15を巻いて北鎌平
へ。この間は岩場を進むため踏み跡は全く期待できず、自分でルートを選びながら
進む。この先はほぼ稜線通しで大槍の基部へ。カニのハサミを目印に、初めてと
言っていいくらいの機会で天井沢側へ回りこむと目印のプレートが。いよいよ、
山頂に向けての最後の登りとなる。プレート横の岩を登り、左に回りこむと下の
チムニーに。ここを直登し、ルートなりに進むと上のチムニーに到着する。ここで
本日、ずっとザイルを運び続けてくれたF君にフィニッシュを決めさせようとトップ
で行かせようとするが、2歩目が決まらず、トップをとかげの仲間さんに譲る。
チムニーを登ろうとせず、右の壁を使うのがここのミソのようだ。チムニーを登り
左に進むと木の杭がある。そこからはルートなりに登ると祠の横に飛び出て山頂に
到着する。観衆は、1名と寂しい感じがしたが、それよりもこのロングコースを
登りきったことに感無量だった。山頂から360°の景色を楽しみ、山荘方面を見ると
モルゲンロートさんとA君の姿が。モルゲンロートさんには八ツ峰続いて心配をかけ
てしまった。申し訳ございませんでした。とにかく、急いで下山し、心配している
という情報があった山荘の方に挨拶をして宿泊の手続きをする。部屋は結構空いて
いて、8人スペースに4人で寝ることに。(空室もあったようだ)食事もすぐに順番
がきて、人もまばらな状態。震災の影響か、昨年とは全く違う状況を実感した瞬間
だった。
 翌日、計画ではフラットソール、ザイル、ハーネスを持ち込んだこともあった
ので、小槍を挑戦する予定だったが、気力を使い果たした上、ガスで全く見えな
かったこともあり、あきらめて下山することに。下りは、ザイルを上高地まで運ぶ
順番だったが、さすがにこの約5kgの重りはきつかった。
 念願のルートから槍ヶ岳の山頂を踏む事ができたが、このメンバーだったから
こそ一緒に達成する事ができた事だと思う。昨年もこのメンバーで大キレット越え
を達成する事ができた、最高のメンバー達。来年はどこへ?

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お疲れ様でした
出合で一緒だった群馬のパーテイーです。
山頂に4時少し前に着きましたが肩のテン場が一杯だったので仕方なしに殺生まで降りました。
13日に小槍を登って変える予定でしたが登り返す気力も無くなりそのまま下山しました。
また何処かでお会いできる事を楽しみにしています。
2011/8/15 17:23
お疲れさまでした
結構早く到着されましたね。

我々も、テント泊を考えていましたが、のんびりと
布団で寝たかったのと、殺生まで下りる元気もなかった
ので、小屋泊にしてしまいました。

お互い、最初のルートミスが痛かったですね。結局、
独標の直登をあきらめ、せっかく持って行ったザイルや
ハーネスはただの重りになってしまいました。
我々も、せっかくこのセットを持って行ったのだから
子槍を登る考えでいましたが、気力もない上に早朝の
ガスの影響もあり、さっさと下山しました。

こちらこそ、またどこかの山でお会いできることを楽し
みにしています。
2011/8/15 23:47
お疲れ様でした
とかげの仲間さんのブログや、主将さんからのメール(仕事中にもらってこっそり見ました)を楽しく見せてもらいました。この夏は充実してますね。主将から、このヤマレコの情報をいただいて、投稿してます。今後の活躍、楽しみにしてますね。
2011/8/16 19:07
Reお疲れ様でした
 こんばんは、yama-bitoさん。
 初コメントありがとうございます。

 我々は、年が年ですので、今のうちに出来ることを
可能な限りやりきろうとしています。特に今年は、
木・金休みということもあり、普段は混んで泊まり難い
山小屋を選んで山行を計画していますので、よりその
ように感じられるのかも。

 一緒に山行できるのを楽しみにしています。
2011/8/16 20:32
北鎌尾根登頂おめでとう
できることなら、槍の山頂で握手をしたかったですが
やっぱり大変なコースですね。
天気も良く、最高の風景を堪能でき良かったです。
(自分は行かなくて良かったかなと、内心思ってしまいました)
とにかく、怪我もなく今回の槍を楽しめました。
次の山行も楽しみにしてます。
それと、自分のブログにもコメントをありがとう。
2011/8/16 23:11
北鎌尾根 やりました!
やりましたね。北鎌おめでとうございます。

天気に恵まれ、ビギナーズラック的なところもあったのではとは思っていますが、歩き切る実力と判断力があったから出来たんですよね。それといろんな場面で協力したり、意見を出したりした良きメンバーがいてからこそ。

これからもよろしくお願いします。

山レコの読者さん。http://mountain-tokage.seesaa.net
もよろしくお願いします。

群馬のパーティーさんもお疲れ様でした。また、どこかで。
2011/8/16 23:12
お疲れ様でした。
主将です。各自北鎌に合わせて体作り、コース調査、天候、ありんこ山岳会の方のアドバイス、そして仲間のおかげで頂上に立てました。ありがとうございました。自信もつきましたが、反省点も見つかりました。これからもよろしくお願いします。
2011/8/18 10:11
お疲れさまでした
 こんにちは、morgenrot2さん。

 私たちが山頂に到着し、山荘方面をみた時、テント前
で黄色いジャケットを見た瞬間「あそこだ!」とわかり
途中、手を振った時に気付いていただけたのは大変うれしかったです。実際、山頂に突き上げた時に、観衆が
1名だったのは、大変寂しかったです。

 お互いの目的が達成できた上、3日間共天気が良かっ
たことは何よりだと思います。
2011/8/19 10:21
お疲れさまでした
 こんにちは、tokageさん。

 ルートミス等ありましたが、独標以降は偵察隊が先行
して、ルートの確認をする方法(我々2人が勝手にやっ
ていたのですが)は、結構良かったのではと思います。

 最終的には、みんなのいい所が活き、みんなの力で
最後まで乗り切れたこと、これが良かったと思います。
良きメンバーでできたこの山行、いい思い出となりま
した。

 ありがとうございました。
2011/8/19 10:26
お疲れさまでした
 こんにちは、siro-kikunさん。

 こちらこそ、終始トップで皆を引っ張っていただき、
ありがとうございました。ルートファインディングと
いう大任をほとんどお願いしたことになりますが、特に
このコースでのトップは、精神的に大変疲れたことだと
思います。みんなの力で最後まで乗り切れ、いい思い出
となりました。

 ありがとうございました。
2011/8/19 10:31
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