初夏の甲信分水嶺トレイル父子縦走(瑞牆山荘〜瑞牆山〜黒森〜信州峠〜横尾山〜槍〜飯盛山〜野辺山:足跡繋ぎクライマックス!)


- GPS
- 16:50
- 距離
- 32.9km
- 登り
- 2,097m
- 下り
- 2,260m
コースタイム
- 山行
- 5:50
- 休憩
- 1:23
- 合計
- 7:13
- 山行
- 7:27
- 休憩
- 2:43
- 合計
- 10:10
天候 | 1日目:午前中晴れ、午後曇り 2日目:終日快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2018年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
・復路:野辺山駅まで徒歩 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・瑞牆山荘‐瑞牆山:一般コース。山頂直下の岩混じりの急登区間、複数の登路あり。スライド・落石注意。 ・瑞牆山‐不動滝:上部に一部残雪、スリップ注意。複数の徒渉地点あり、橋や石飛びで問題なく通過。 ・黒森地区:旅館・民宿2軒(黒森鉱泉は休業中)。我が家が泊まった「五郎舎」は黒森集落から少し離れた信州峠寄りのバイパス近く、案内板あり。 ・信州峠‐横尾山:一般コース。途中、一ヶ所の急登区間あるも、全体に緩やかな樹林帯の尾根歩き。カヤトの原まで登ると南ア・八ヶ岳他の大展望! ・横尾山‐豆腐岩‐槍:踏跡明瞭、県境の標石や赤テープ多数、要所に案内板あり。豆腐岩の先、木賊の頭から鞍骨山方面への直進の踏跡あり。分水嶺トレイルは左へほぼ直角に折れ、尾根を一旦下る。槍の手前はやや急登、スリップ注意。 ・槍‐三ツ沢ノ大タル‐三ツ沢ノ頭:本コースの核心区間。踏跡薄く、三ツ沢ノ頭直下の登り斜面は倒木多く、赤テープも残雪に圧されほとんど見当たらず。尾根筋を外さぬよう注意しつつ、笹藪の薄い区間を繋いでいく感じ。(GPSログで現在地を逐次確認。) ・三ツ沢ノ頭‐飯盛山:平沢牧場の鉄柵に沿い、有刺鉄線との間の踏跡を辿る。鉄柵が直角に折れる手前で出口あり。有刺鉄線にズボン等引っ掛けぬよう注意(ムスコ殿は見事な鉤裂きが…)。右に三ツ沢方面からの歩きやすいハイキング道が見えてきたところで、有刺鉄線の隙間を潜りハイキング道へ。以降の区間は一般コース。 〈全体的に、連休期間の横尾山→飯盛山ルートは融雪直後で目印・トレースはやや薄いものの、笹藪はさほどでもなく、天候さえ安定すれば晩秋と並ぶ(日の長さを勘案するとそれ以上の)山行適期では、と思われました。〉 |
その他周辺情報 | 甲斐大泉駅から徒歩4分で日帰り温泉「パノラマの湯・いずみ荘」あり。(大人820円/露天風呂・土産・飲食・休憩コーナー有、宿泊も可) |
写真
装備
備考 | ・水分消費量:(初日)2人でゼリードリンク2本、冷凍PET(ソルティライチ、十六茶)2本、水300ml (2日目)2人でゼリードリンク2本、水約1.5㍑(うち約800ccは昼食時使用) |
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感想
〈節目の山行にて、長文レコどうぞご容赦を…〉
ここ数年、ニッチでマニアックなツアーを精力的に重ねて伸ばしてきた日本海→太平洋足跡繋ぎの旅もいよいよクライマックス。当初は連休後半に企画し、宿も押さえたものの「激ワル」天気予報に急遽予定変更。関西出張から戻った翌4/30の早朝、社会人1年生の我が息子を相棒役に駆り出し、八王子始発の中央線鈍行で韮崎へ。さすがに大型連休、駅前から出発の小ぶりな峡北バスは、スーパーあずさ1号からのハイカーも加わり満員の混雑。瑞牆山荘まで片道1時間余の山道を立ちんぼはしんどく、早出して座れて良かった…。
予定よりやや遅れて、こちらも瑞牆〜金峰山ハイカーで大賑わいの山荘前を出発。富士見平小屋で父子揃って早くも空腹に襲われ、「鹿肉ソーセージ/生ビール」など小屋の魅力的なメニューと必死に抗いつつ、直前に水場で汲んだ美味しい湧き水とおにぎりで繰上げ昼食。元気を取り戻し、一旦近くに桃太郎岩の聳える沢沿いまで下った後、いよいよ瑞牆山頂への最後の登りです。家族連れとも多数スライドする中、岩混じりの急な斜面を落石せぬよう慎重に登っていきますが、前夜までの出張疲れもあり、中年オヤジは寝食足りた元気なムスコにあっさり置いていかれます…。
それでも何とか、多種多様な登山者で大賑わいの瑞牆山頂に到着。午前中の快晴からは少し雲が増えたものの、富士の高嶺や八ヶ岳方面の好展望が出迎えてくれます。小生は約30年ぶりの懐かしい山頂ながら、初登頂のムスコ殿はスマホで写真撮影に興じたり、岩場から恐る恐る崖下を覗き込んだり、とこの特徴的な百名山山頂の一時を十分楽しんでいる模様。(初日のコースに瑞牆山を組み込んで良かったー!)
荷物をデポした山頂直下の分岐から不動滝・黒森方面のコースに足を踏み入れると、一転してハイカーはほぼ皆無、「こちらは富士見平方面のルートではありません。間違った方は引き返して!」の案内標示が何枚も現れ、本コースのマイナーぶりを実感。それでも、途中のルート整備はしっかりしており、時折現れる残雪ゾーンや手すり付きの桟道を慎重に下り、意外にあっさりと不動滝に到着。ここで小休止、少し先からは舗装道歩きが始まりますが、GPS地図を頼りに林道屈曲部のショートカットを繰り返し、長い車道歩きの無聊を慰めます。
頑張りの甲斐あって、途中当初予定より約1時間遅れだったのが、黒森集落に降り立つ頃にはほぼ予定通りの時刻に。集落中心部を外れた県道バイパス沿いに建つ本日のお宿、五郎舎を見つけるのに手間取り、かなり遠回りしましたが、本日越えてきた瑞牆山や金峰山の夕景を仰ぎつつ、何とか明るいうちに宿へ入れました。入り口では電話で何度もやり取りした女将さんが迎えて下さり、早速入浴、浴衣に着替えの後、お楽しみの夕食タイム。とはいえ、直前に日程変更した上、宿泊客は我々2名のみということで、夕食の手配が付かず素泊まりの扱いのため、持参したレトルトご飯やカレーで地味に食事…と思いきや、女将のご厚意で手作りの山菜や豆、トマトに味噌汁といった副菜を沢山出していただき、思ったより豪華な食事に大満足!
翌朝は部屋でカップ麺の朝食を済ませ、午前5時過ぎに出発。お世話になった女将さんと記念撮影の後、信州峠への舗装道をまずは準備運動代わりに1時間歩きます。幸い前日の急登・急降下による筋肉痛も僅かで、途中向かいの稜線から昇った朝陽に本日の山旅の無事を祈願し、旧い石仏の建つ信州峠からいよいよ今回のハイライト、甲信分水嶺トレイルの縦走路に足を踏み入れます。横尾山までは一般コース、途中一ヶ所の急登区間はあるものの、全体に歩きやすい緩やかな尾根道で、もっと注目されても良い山では、とつくづく感じます。カヤトの原に登り詰めると、快晴の空の下、眼前には遮るもののない南アの大伽藍、これから歩を進める八ヶ岳方面、そして遠く残雪輝く中央アルプスの山々。振り返ると、昨日歩いた瑞牆山から金峰へと連なる国境稜線の山々、と息を呑む大パノラマに思わず足が止まります。
先を行くムスコに促され、細長い頂稜を辿っていくと、間もなく横尾山頂到着。山梨百名山の1つで小生も初登頂、ムスコと記念写真を取り合ううち、信州峠方面から男性ソロの方が登ってこられます。さては同好の士、飯盛山までご一緒できるかも、と期待したのも束の間、聞けば横尾山ピストンで信州峠へ戻る由。「ここの山頂の『山梨百名山』の標柱は自分の山仲間が5人がかりで運び、建てたんですよ」など興味深いお話を伺った後、我々父子はいよいよ難関の飯盛山への分水嶺縦走路へと足を踏み入れます。
最初のスポット、豆腐岩までは拍子抜けするぐらいの歩きやすい道、豆腐岩も昨日散々ド迫力の巨岩を見せられた我々には愛らしく映ります。この先、木賊の頭手前から縦走路は大きく南へと約90度向きを変えますが、ここも小さな案内標識と先人のヤマレコ記録に助けられ、迷うことなく通過。続く顕著なピーク、槍の手前は名前の通りの急登ながら、県境標識や分かりやすい赤テープに導かれ、コースタイムを短縮するペースで順調に到着。アップダウンの連続と気温の上昇にさすがに朝食のカロリーが尽き、槍の頂上で早めの昼食。
いよいよここからが本日の核心区間。先人のレコを見ても「踏跡不明瞭、ロスト注意」とある通り、三ツ沢の大ダルを過ぎた辺りからは腰ぐらいの笹藪に踏跡も覆われ、残雪に圧されて赤テープもほとんど頼りにならず、野性の勘(!?)とGPSを頼みに、尾根筋を大きく外れていないことを確認しながら、慎重に笹藪の斜面を登っていきます。30分弱の難行の末、ようやく頂稜の一角が見えてくると、本日初の複数パーティとスライド。聞けば、2組とも飯盛山から横尾山までをピストンの由。この笹藪とアップダウンの道を往復するという体力、胆力に感服しつつ、辿り着いた三ツ沢の頭では一気に視界が開けます。牧場境界沿いに気持ちよく延びるトレースの向こうに目指す飯盛山、更にその彼方に八ヶ岳の雄姿がグッと近づき、ゴール間近を実感させます。ここはケータイ圏内、ムスコ殿が一息ついてプチ昼寝の間、小生は自宅や実家に「間もなくゴール、下山予定」と取り急ぎ息災連絡。
ここからは、平沢牧場の鉄柵に沿い、有刺鉄線との狭間の踏跡を辿ります。幅が狭いこともあり、見た目ほどには歩きやすくなく、早く柵の外の広い世界に出たい!とフラストレーションが溜まった頃、ようやく鉄柵が直角に曲がる地点に到達。先人のレコ通り、手前の唯一の「出口」ドアを潜って“シャバ”の空気を吸い、解放感に浸っていると、すぐ後ろのムスコがズボンを有刺鉄線に引っ掛け、左脚に見事な鉤裂きが…。替えのズボンもなく、さてどうしたものかと暫し思案の後、救急テープで取りあえずの応急処置を済ませ、更に歩を進めます。
やがて右側の有刺鉄線の向こうに、三ツ沢からの広々したハイキング道が現れます。ここでも先人のレコ通り、十文字峠付近の鉄線の隙間を、今度こそ鉤裂きを作らぬよう慎重に潜り抜けると、後は鼻唄の出そうな歩きやすいコース。指呼の間に迫った飯盛山頂には、家族連れなど多くのハイカーの姿も見えます。いくつかのアップダウンを越え、ビクトリーロードを進んでいくと、ついに昨秋歩いた野辺山から飯盛山に繋がる尾根道に合流。ここで日本海から伸ばしてきた小生の赤い足跡が、とうとう関東山地を越え、太平洋間近の箱根湯本まで繋がりました!
野辺山からの小海線の時刻にも余裕があるため、足跡繋がりの祝宴兼ね、飯盛山手前の展望台で2度目の昼食タイム。手持ちの食料もだいぶ残り少なくなりましたが、後は山頂から野辺山へ下山するのみの楽々ルート。お湯を沸かしココアと紅茶で寛ぎ、心置きなくデザートまで平らげて、ラストターゲットの飯盛山頂に向かいます。越えてきた重畳たる県境稜線を見遥かしつつ、最後の記念撮影の後、クールダウンにはちょうど良い斜度の野辺山への下山コースへ。八ヶ岳の好展望台でもある平沢峠(しし岩)で小休止、幅広いハイキング道を下りきり、気温上昇の中、ジュースの自販機求めて舗装道をしばし歩くと、右側に南牧村の農村交流センター出現。ここでドリンクを買い、重い山靴をサンダルに履き替え、美味しい信州そばを頬張って父子でリフレッシュ。すっかり元気回復し、以前仕事上の知人に訪問を勧められたお隣の電波天文台もプチ見学させていただき、午後3時過ぎには最終ゴールの野辺山駅到達。「JR標高最高点駅」でこの節目の長旅を終えられ、感慨もひとしおです。ご褒美代わりに甲斐大泉で途中下車、駅から程近い新装の日帰り温泉「パノラマの湯」へ。山旅の汗を流し、小淵沢からのスーパーあずさ(自由席)でもしっかり並びの席を確保して、ムスコと二人缶チューハイの祝杯を上げ、翌日の通常通りの出勤に備え、家路に就きました。
ということで、ピカピカの好天の下、懸念された後半の道迷いもGPSナビの威力でほとんどゼロ。2日間の山行で生じた当方のダメージは、初日の瑞牆山直下の急登中にどこかで落とした小生愛用のポケット万歩計、2日目の息子ズボンの鉤裂きとプチ筋肉痛程度。連休真っ直中にも拘わらず、移動の列車やバスは全て座ることができ、持参した食料も予備食を除きキレイに使い切る、という久々の会心のツアーとなりました(…と、山歩きにも旅行企画にも未だ関心の薄いムスコ殿にアピール…)。
これにて、日本海(親不知)から北ア、八ヶ岳を経て繋いできた足跡も、奥秩父→奥多摩→陣馬→丹沢→箱根に伸びる東の赤い線としっかり繋がり、残るは箱根湯本〜小田原海岸の1区間のみ。このまま行くと、もう1つの大目標である300名山踏破(最後の1座は箱根・神山:火山活動のため登山規制中…〈涙〉)よりも先に、赤い足跡が太平洋まで繋がってしまいそうです。できることなら、このところ九州方面などで御機嫌斜めの火山の神のお怒りが鎮まり、家族同伴の箱根ツアーで両目標の同時達成が図れればと願うばかりです。ただ、そうなると目標完遂後の「燃え尽き症候群」も半端ないものと予想され、年齢のカベも勘案しつつ、そろそろ次なるアウトドアの目標・ターゲットを探索せねば…と思い悩む今日この頃であります。ヤマレコ先達諸兄・諸姉のご指導、ご助言を期待しております!
〈長文・駄文のレコにお付き合い下さり、心より御礼申し上げます…m(_ _)m〉
コメント
この記録に関連する登山ルート
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お久しぶりです。
骨折その後は順調そうに見えますが、如何ですか?
遂に飯盛山〜瑞牆山荘を歩かれ、もはや太平洋〜日本海繋ぎも完成同然ですね。おめでとうございます。
次の目標、難題ですね。何か目標がある方が出かけ易いですが、のんびり気の向くままというのも、また良しだと思います。いずれにしろ、今後も大いに山を楽しんで下さい。
Gonpapaさま:メッセージ有り難うございます。お陰様にて骨折の予後もすっかり順調で、登り下りが今までより慎重になった分、滑ったり転んだりの回数もこれまでより格段に減った気がします。ラストターゲットの箱根山の方は、このところ静穏な状況が続いているように見え、早く登山解禁してもらえると良いのですが…。
両ミッション達成後の目標設定については、既に足跡繋ぎを完遂された貴殿のご山行計画なども参考に、じっくり思案してみたいと思います。今回のツアーでムスコと共に2座を踏破した山梨百名山も、自宅からアクセスしやすく程良い目標に思えますが、これをクリアすると次は信州百名山、更に群馬、栃木と際限なく修業の旅が続きそうで、家族の理解が得られるか不安なしとしません…。ともかくも、身体の動くうちは、「目標」に囚われ過ぎずマイペースの山歩きを続けたく思います。目標達成の先達として、宜しくご指導、ご指南の程を!
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