【袈裟丸作戦】通行禁止区間を通らずに袈裟丸山縦走【丙71.6】
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- GPS
- 12:09
- 距離
- 34.8km
- 登り
- 2,948m
- 下り
- 2,864m
コースタイム
- 山行
- 11:15
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 12:10
天候 | 薄曇→晴れ→曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
群界尾根:落石多発の林道の状況からは想像できないほど、なだらかで穏やかな尾根 後袈裟〜奥袈裟:道を覆う藪と細かいアップダウン。倒木を避けつつ藪を漕いでいると、いつの間にか道を外れている。 折場登山口〜賽の河原:関東ふれあいの道にもなっている。賽の河原手前は急登。 賽の河原〜前袈裟丸山:緩やかなアップダウンを繰り返し、ピーク部手前で標高差200mを一気に詰める。 |
写真
感想
※本山行は袈裟丸各山頂の踏破を主目的としたため「無雪期ピークハント/縦走」に分類。
※法師岳は歩いていない。
袈裟丸山をどう歩くか。ここ最近、そのことをずっと考えてきた。
小袈裟、前袈裟、後袈裟、中袈裟、奥袈裟と山が並んでいるのを見ると、やはり、一続きに歩いてみたいという気持ちが出てくる。
しかし問題は前袈裟〜後袈裟間、八反張だ。この500mの区間は稜線を歩けば、せいぜい数十分で通過できるのだろうが、少なくとも十数年間通行禁止となっており、さすがにルールを犯してまで歩こうとは思わない。
前袈裟の南西尾根を歩くことも検討したが、道として整備されていない所を歩くのも躊躇われ、また、本山行記録を見る人の参考にもなるまいと、一旦下山して、もう一方の登山口に転進、再登頂を図ることとした。
結論を先に書いておくと、今回の行程は、そう何度も歩ける(歩こうと思える)ものではない。かなりの体力気力が必要だ。そのため、もっと気軽に歩けるように、群馬県及びみどり市には、県境稜線トレイルの予算をちょっと回してでも八反張の再整備、或いは前袈裟南西尾根登山道の整備を望む。
【山行前夜】
最近では珍しく満を持しての山行。コンパスへの登山届の提出も週の半ばに済ませ、後は現地に向かうのみ。
tenki.jpなどに「湿った空気」と記載があり、前日のNHK気象予報では栃木・群馬の県境部が早いうちに青色に。俄然、降雨の怖れが高まったが、雨の降る前に山行を完了できる可能性にかけて、予定通り出発する。ただし、寝釈迦に立ち寄るのは断念し、塔ノ沢コースで別途山行を企図することとした。
擦れ違いが難しいような細い林道は夜間に通過するのが吉。ヘッドライトの光で対向車の接近がわかるからだ。ただ、当然のことながら夜になって下山してくる車も無く、林道上にいたのは、狸らしいのと鹿だけだった。
【群界尾根から奥袈裟へ】
雨が降るかもしれないので、予定よりも早く出発しようと思いはしたが、睡眠時間を削るのも嫌なので、10分だけ早く出発。たまに丑三つ時に山行を開始することがあるが、やはり日の出1時間ほど前から歩き出すのがベストと思う。
夜明け前は動物達が動き出す時間帯でもあるが、ここら辺では鹿が幅を利かせているらしい。そう言えば熊注意の看板は見なかったように思う。
尾根道は林道の荒々しさとは打って変わって穏やかな感じ。段々と空が白んできて周囲の稜線やシロヤシオ、シャクナゲ等が輪郭を明らかにさせてくる。まだ雲が残り光量も少ない時分ではあったが、爽快感をゲットできる道だとすぐにわかった。これは車が列をなして押し寄せるわけだ。
後袈裟〜奥袈裟間は笹とシャクナゲ、そして倒木のアップダウンある稜線。距離的にはさほど無いはずだが進むにつれて藪が濃くなり結構疲れる。所々倒木を避けた道が複数できていて、選択によっては本道を外れてしまうこともしばしば。
皇海山まで行く計画も温めてはいるが、かなり腹を決めて、汚れたり敗れたりしてもよいような服で臨む必要があるだろう。
【無心の林道歩き】
群界尾根登山口から折場登山口へは下り4.5km、上り6.5km。標高差も200〜300mはあったかと思う。この11kmの行程が本山行を決行するか否か判断する上でのネックだったのだが、ただひたすら心を無にして歩く。暑さと上り返しの辛さに何回も休んだのだが、後から振り返ってみると、この林道歩きに時間をとった感じが全くしない。サラッと移動したような。そう、あの時、確かに私は無心になっていた。
【弓の手コースから前袈裟へ】
後になって短く感じた林道歩きにも確実に疲れてはいたが、雲が増えつつある状況下、早々に登頂下山すべしと折場登山口から再入山。
30歳代も後半になって緩い山行が増えつつある中、このようなガツンと下った後に同じだけ登り返すような山行は非常に身体に堪える。それを色とりどりの花々や展望で癒しつつ、緩くゆっくりと上っていく。午後いつ雨が降り始めるかという時に入山するような物好きは他にいなかったが、小袈裟丸までの間に他にも何人か上り方向の人がいて若干安心する。
賽の河原までは関東ふれあいの道らしく、登山口からのキロ表示も賽の河原まで。そこから先は本格的な登山道ということだ。しかし、概して傾斜は緩やかで、疲労の身は山に支えられつつ歩を進めることができた。
鞍部の避難小屋下方に水場があることは承知していたが、深い笹薮に細い踏み跡が錯綜し、水を求めに行ってかえって時間と体力を浪費すると考えて水の補給は断念。
緩やかな稜線の閉めに標高差200mの急なのぼりを詰める。疲労しているとは言え、十分に地力を発揮し、案外あっさりと登ることができた。急登の方が一気に高度を稼げるので精神的に楽だと思うところがあるからかもしれない。
山頂に着いた頃にはあたりは真っ白で、もはや山頂を訪れる人も無し。来し方を顧みつつ前袈裟を堪能する。すると雲をついて陽光が射した。この光で私は天気が持つと確信を持った。山に助けられ、空に見守られて山を歩く。これほど有難く、嬉しいことがあろうか。山と空の歓待に元気が出て、山頂を辞す。
帰路、途中追い越した人達と擦れ違うものと思っていたが、避難小屋付近も、小袈裟丸山も、賽の河原にも最早誰もいない。大方の人は花の名残を楽しみに、せいぜい小袈裟までということで歩きに来たのだろう。或いは、気象状況を見て賢明な判断をしたのだろう。総括でも述べるが、袈裟丸山の山行者には総じて好感を持った。
【山行完了、そして総括】
山の話は存分にしたので、袈裟丸山を訪れる人の話。
山での挨拶にどう対応すべきか迷う人は結構いると思われる。それは、ほとんどの挨拶が機械的なものだからだが、袈裟丸山で出会った人とは単なる挨拶だけに留まらず、シャクナゲの開花状況や山頂の状況などの話ができ、訪れる人達が、まさに山を楽しみに来ており、その楽しさを皆で共有しようとしているように感じた。
善い山行者が、山の雰囲気全体を良くする。いずれの山においても斯くあってほしいものである。
〜おしまい〜
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