長次郎谷 右俣 山スキー滑降 #77, #78


- GPS
- 27:48
- 距離
- 23.2km
- 登り
- 3,092m
- 下り
- 3,083m
コースタイム
- 山行
- 6:56
- 休憩
- 0:51
- 合計
- 7:47
- 山行
- 4:18
- 休憩
- 1:28
- 合計
- 5:46
天候 | 1日目 : 曇り時々小雨 夕方から夜 雷雨 2日目 : 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
予約できる山小屋 |
剱澤小屋
|
写真
感想
前回は天候に恵まれなくて延期した長次郎谷を登って滑ってきました。今回も立山駅から6:30の直行バスに乗り込みます。今日は天気は悪くないですがそれでも空席があります。2人席に一人座って、天井までガラス窓になっている展望バスを観光客と一緒に楽しみましょう。といって空は雲がメインなので格別見るほどでもないのですが、それは私が雪渓とキノコしか見てないからなのかも知れません(笑)
室堂着は7:30。今は5:40立山駅のケーブルカーが始発なので、そこからは50分遅れですが、雷鳥沢に下りて別山乗越への登り返しをテント泊とスキー装備で登ります。
乗越で初めて休憩し、そのまま剱沢テント場に下ります。テントはポールを入れずに、中に荷物を入れるだけにして早速剱沢に向かいます。山岳警備隊の方に長次郎谷の状況を聞くと、荒れていて危ないためスキーできるような状況ではないとのこと。そこは現地に行って危なければ絶対無理しませんので〜ということで剱沢に向かい、雪渓が夏道と合流したところでスキー滑降します。硬い凹凸で汚れてるのはいつも通りですが、それでもやはりスキーの方が速いです。見覚えのある平蔵谷の出合にはクライマーの方がおられたので、平蔵谷の話を聞くとクラックを降りて登るところがあったらしいです。見た目平蔵はかなり状態悪そうです。平蔵をもう少し進むと長次郎谷の出合になります。平蔵より広い感じです。
見上げると前方に登っている方がおられます。私もスキー脱いでシートラで横にぶらさげて、10本爪アイゼンを装着して登ります。
さきほどの方を追い抜かし、前方に熊ノ岩が見えてきます。見た感じ左俣は大きく割れていてどうしようもない状況で、右俣を進むことにします。熊ノ岩のテント場(クライマー向けの非公認のものですからビバーク場と言った方が適切?)には7張くらいのテントがあります。右俣をどんどん登ると、大きなクラックが目に入りますが、左側は割れておらずそのまま登れました。わずかですがそのままさらに雪がつながっており、ほぼ北方稜線の池の谷のコルまで来たところで雪が完全に割れてスキーはここまでとなりそうです。そのまま歩いて行けばコルに出ますが、それは私の領域ではないのでここでスキーに履き替えて・・・と思うと雨が。傘をさして滑走の準備をしつつ、お昼ご飯にします。しばらくすると雨も止み視界も晴れたのでいよいよ長次郎谷右俣の滑降です。斜度は35度くらいだと思いますが、なにせこの雪の状態ですから、いつ飛ばされるかわかりません。ビンディングは登行モード用にロックして外れないようにします。なかなかの斜度、しかも下には岩があるので緊張が走ります・・・特に問題なくクリアし、細くギリギリつながっている雪渓はカニ歩きでクリアしました。
それが終わると熊ノ岩に向けて滑ります。徐々にこの雪を滑るのにも慣れてきた感じで、それはジャンプターンと、無理に力を入れてスピード調整するのではなくエッジの当てる角度でやると楽になるということに気づきました。これまでは3ターンくらいでハァハァ言って休憩しないといけませんでしたが、10ターンくらい連続で行けるようになり、ちょっとこの硬い凹凸の雪を滑るのも楽しいかも?と思えるようになりました。
何度かクライマーの方とお話ししながら、長い長い長次郎谷を出合まで無事に滑ることができました。すると次は剱沢の登り返しで、テント泊装備がないだけ軽快ですが、それでも長いので時間がかかります。長次郎谷を登った時のアイゼンをそのまま装着しました。
小屋でビールとコーラを買ったのち、15:30にはテント場に帰還。山岳警備隊の方にも挨拶をして、ビールを冷やす雪渓を取りに行き、あとはコーラを飲みながらテントを張って、張れたらビールで一服します。
夕刻に隣のテントのクライマーの方々が戻られてきました。テント場では話し声が丸聞こえになるので、「う◯こ味のカレーか、カレー味のう◯こか」という論議や、「明日は源治郎尾根を登りたい、でも雨になるので明日下山したいから3時スタートだ」というような話をされていて、聞いていて飽きませんでした。聞きたくなければ耳栓をセットすれば静かな空間になります。
しばらくして時折雨が降り出し、夜になると雷も鳴り出してなかなかスリリングな夜でした。雨のおかげかテントは結露だらけで、何度も内部を拭くことになりました。
翌朝は4:30起きでゆっくり朝食を用意し、朝一で硬いのは分かってますが近場の雪渓を滑ることにします。11日に行ったところは急なので、この硬い雪だと斜度緩めがいいとばかりそのまま直進して踏み抜き地獄の前で登るのを終えて滑ることにします。ビンディングは普通にしていたので、雪渓の振動で右のビンディングが解放し、転倒してしまいました。さすがにこれだけ硬くて凹凸があるとビンディングも外れてしまいます。仕方がないので登行モードでロックして外れないようにし、小屋の少し下まで滑って朝練は終了です。
テント場に戻って、濡れたテントはグラウンドシートを乾かしながら撤収します。終われば今日は視界も良好なので別山から雄山に抜けながら雪渓の状態をチェックしましょう。重い荷物を背負っての登り返しは本当にハードですが、一歩一歩進みます。ルートはそのまま真砂岳、富士の折立、大汝山、雄山と続きますが、雄山に来たとたんものすごい人です。そして一ノ越から雄山に登ろうという方がとても多く、これは観光登山に近い感じに思えます。しかし一ノ越から雄山のルートは岩がゴロゴロしており、誰か不慣れな人が落石を引き起こす可能性があります。こういうルートこそヘルメットが必要なのでしょう。
一ノ越から室堂に向かう途中の雪渓を登り返してまた一本滑りました。写真撮影されている方が数名おられたので、その方達の期待に沿うよう途中で休憩しないでそのまま滑りきりました。
あとは室堂まで遊歩道になります。室堂に着いた時にはすでに雄山はガスの中。午後から雨になったみたいです。
長次郎谷自身は雪が豊富な時期であれば山スキー難易度はそれほど高くないですが、源治郎と八ツ峰に挟まれているため雪崩には気をつけないといけません。これが今の時期だと雪崩の心配はありませんが、クラックへの転落や踏み抜きというリスクが高くなり、またそもそもこの雪の状態を滑走するという難しさがあります。
山スキーで滑ろうという方はおられないと思いますが、雪渓のどこが安全か危険か、自分の力量で余裕を持って滑れるか、そういう判断力と現地での雪渓の観察力を持って、心配だったら撤退する決断を下す、という世界の集約があるのではと思います。
今回はたまたま雪渓を池の谷コルのすぐそばまで歩けましたが、雪渓は毎日のように変化しています。今日は大丈夫でも明日はもう危険で途中撤収するしかない、ということもあり、事前情報は安全を見たものになるでしょう。これだけ頻度高く雪渓を見、比べ、滑っていると、だんだん雪渓について詳しくなってきたような気がします。まるでキノコ山行を繰り返しているとキノコについて詳しくなるかのように。
モモチャン、まいどです。長次郎谷は八ッ峰上半に行った時に五六のコル横までガチガチで一部薄い雪渓を詰めたことがあります。10本爪アイゼン&ピッケルを使い登りましたが、クラックがあったり、落石があったりと、ビビりながら登りました。そんな谷をスキーで滑走ってどんなん?って最初思ったけど、レコ読んで理解できました。もともと分析的で用心深いのはわかっていますが、本当に慎重に滑走されていますね(もちろんボクには真似できないけど)。雪渓スキーの技術も一段と向上しているようですし、ますますエクストリーマーの世界を駆け抜けていくのでしょう。いっそのこと雪渓の滑走について論文を書いてみたら?多分世界的にもノッチで、通る可能性あり。そしたら本物の雪渓博士の誕生です!
チカさんおはようございます!
八ツ峰に行かれたこともあるんですか〜そりゃすごいですね。それを考えたら長次郎をスキーで滑る方が楽だと思うのは私だけでしょうか?!
雪渓を歩く時も滑る時も気をつけているのは音です。水が流れる音、雪渓が軋む音は踏み抜き転落のサイン。それでも私には雪渓博士よりも雪渓フェチの方が似合っていると思います(笑) あ、笑ったらダメですよ!
凄いジャンプ力ですね😅
バネが強いんですね。
そして
8月11日は山の日で山スキーの日ぢゃありませんから〜(爆)
夏秋の雪渓はジャンプターンのいい練習ばです
私の誕生日の1月12日はスキーの日なので、私の心の中では8月11日は山スキーの日にしています。そう思うだけでモチベーション上がります(笑)
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