津軽半島最高峰 平舘山脈横断 袴腰岳、丸屋形岳
- GPS
- 28:45
- 距離
- 15.2km
- 登り
- 1,097m
- 下り
- 1,123m
コースタイム
15日イグルー7:00→袴腰岳11:00-30→丸屋形山13:30-45
→鳴川岳とのコルから北側を巻いて東尾根を不老不死温泉へ下山18:15
バスが来る18:19→蟹田18:45
天候 | 晴れ時々曇り時々吹雪き 時折吹雪き、時折陽光の、津軽平野的冬期気象。気温ー7〜8度 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
今年の場合、雪は充分。どこでも行ける。 袴腰岳と丸屋形山の南面斜面は最高の滑降面。ただし時にはナダレの可能性ももちろんある。 |
写真
感想
津軽半島最高峰を踏んで、山脈横断。昨年3月12日に山行の約束をしていて地震でそれっきりになった八雲のカンノ君と、久しぶりの木古内の北川とで。
今年の津軽は凄い雪で、もう駅からのアプローチもスキーさえあれば自由自在。我が家の屋根のセッピが、落ちたデブリと間もなくくっつきそうだ。くっついたら家がイグルーの中に入る事になる。
家から青森駅へのバスが、大雪の渋滞で20分遅刻。蟹田行きの汽車が間に合わなそうで駅に駆け込んだら、雪で運休だった。かわりに十分後の津軽海峡線の特急が蟹田まで乗車券代だけでいけるとのこと。その後の津軽二股へののりつぎも大幅に遅れて来た。津軽二股に着くと、函館からくる汽車も遅れていた。
ここは海峡線と津軽線両方の交わる駅で、将来は新幹線の駅にもなるが今は駅舎なし。付近に民家が10軒ほどの部落で、駅横にある「道の駅」が無ければ地吹雪の中イグルー作って待つしかないところ。道の駅食堂でカツカレー食べてテレビ見ておばちゃんと話し込んで二人を待つ。話こんでうっかり二人とも勘定を忘れるところだった。
一時間程で北海道からの二人と合流して出発し、豪雪で道がどこだかわからん雪壁だらけの部落を抜け、雪原を行く。河岸段丘を越え、遠くに見える尾根目指して適当に田畑の中を行進する。ほどなく尾根を登り林業作業道風の道を見つけ、3時になったのでイグルーを作るが、さすがに杉林の脇では良い雪が無く、失敗。イグルーのブロック雪とは踏み固めれば良いというものではなく、踏まずに採れる風成雪の軽くて頑丈なブロックが採れなければ、天井は塞げないのである。二時間粘っても天井ができないので、ウラワザの杉の枝で屋根を葺き、その上に重いブロックを放り投げ積み上げるという反則イグルーで15分で解決した。これはこれで新技術の収穫。まったく問題無し。
翌朝は延々登ってヒバ林、ブナ林を抜け、はるかな袴腰を目指す。吹雪、ときどき陽光の典型的冬津軽気象の一日だ。雪は足首ラッセルだが、津軽の新雪は結構重い。袴腰の西峰は大きな白い斜面=スノウパッチがあり、そこから山頂を巻いて右側をネグる。袴腰の登りで北川がばてて遅れた。山頂は頂稜になっていて、ブナが並んでいるが、東側は絶壁で2〜3mのセッピ。でも木の際に50センチくらいは安全地帯があった。今別湾と竜飛方面、平舘海峡と対岸下北の半島、二方面海の 豪華な眺め。函館行きのフェリーも通るよ。海峡の上を雪雲が行ったり来たりしているのが見える。雷様の気分。
袴腰の南面はながくて広い純白斜面。落差150は白い。多少雪は重いが、ぐらぐら足首の踵フリーでも楽しくターンできる痛快斜面。
峠の林道はいつ跨いだかよくわからなかった。つづいて丸屋形岳をごしごし登る。ほとんどトップでラッセルするカンノ君。快適にブナ林を超えて広い山頂へ。この山頂からの袴腰がアルパマヨみたいに格好良い。正面には大滑降した雪面が見えている。行く手、谷の先に目的地の温泉が見える。
丸屋形の南東面も地図でナダレの可能性を心配をしたが、今日は安定。傾斜45度、背景は陸奥湾と下北半島という長く真っ白い楽しい斜面を思い思いに下る。極めて楽しい。計画では鳴川岳も乗越すつもりだったが、メンバーの消耗度をみて、これは北側からトラバースする事にする。地図見ながら北東に降りて林道にあて、コンタ300mから下は、温泉へ直接降りる尾根に乗ったが、この尾根の途中から北側の急な杉林の斜面に入り込んで下降した。途中、メンバがシールを落とし、探したりして結局未発見で諦めたり消耗したりで時間を食い、尾根途中で暗くなりヘドランプを灯す。尾根も時々登り返しがあってシール無しで時間がかかる。4時半に暗くなってから現在地に確信を失い、ひたすら東に下る。最後に湯ノ沢川の支沢に降りてしまったが、幸いすぐそばで林道を発見。遠くに街灯を見て安心する。温泉に付いたのは蟹田行き町営最終バスが来る4分前。ぎりぎり乗り込む事ができて滑り込みラッキー。でも不老不死温泉の風呂は今回入れず残念だった。
バスで、ビールみたいに自販機のみかんジュース飲んで祝杯。蟹田ではまたも大雪の影響で発車が遅れたので、駅前の小さなトリカツの店で、食いきれない程大盛りなのに490圓という太っ腹食堂でスコブる満腹になった。僕は本来トリ肉苦手で、メニューにトリしかなかったので、「う〜ん、じゃたまにはトリカツください」と頼んだが、凄くおいしかった。食後旦那が「トリもいいでしょ」と自信満々に念をおしたので、「トリうまかったです」と応えた。
青森行きと函館行きは向かいのホームでほぼ同時発車。今回の山行は大雪のおかげで列車が乱れ、だいたいラッキーな結末だった。
半島最高峰横断を美しい計画でほぼ貫徹できて満足。二つの山はどちらも美しく、良い斜面を持っていた。陸奥湾のあちら側から遠くに眺めて、いつも気になる山脈だった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
お三方の行かれたお山は全く知識がなく...。
申し訳ありません...。
噂に聞く「イグルー」(どこにアクセントをおくのでしょうか?)、
初めて拝見しまして感激です。
冬山でテント以外となると、雪洞しか知らなかったので...。
しかし、エキスパートの方々だと、雪山でもこんなに自由でエキサイティングな
山行を楽しめるんですね。
とってもウラヤマシイです。
ごちそうさまでした。
りかろんさんこんにちは
これはイグルーとしては失敗作で、あんまり低いところで作ると、こういうズルをすることもありますが、真っ当な高所ならシャキンとしたのが40分でできます。
イグルーのアクセントはグとしておりますが、エスキモーがどういっているかは不明です。
山行の構想は憧れが第一、師匠を捜して実現が第二かと思います。馴染みのない山域も、地図を見ていると凄い計画が浮かび上がって来ます。
名も無い山にも価値を見いだし、自作の計画を貫徹するのが、いま僕の山登りの楽しみです。
yoneyamaさん、kannnoさんお疲れさまでした。
下北半島を背景にいい写真が撮れています。滑った感じでは30度くらいの斜度だったでしょうか?
インターネットでJRのいろいろを見ると、津軽海峡線の今別駅は8名以上のグループなら臨時停車可能だそうです。(ただ今別町の広報誌からですので町民限定かも知れません)また、津軽線はJR東日本が、海峡線はJR北海道が管轄しているため、いわゆる並行在来線とは解釈されないそうで北海道新幹線の開通を理由に津軽線はJRからは分離されないそうです。さらに竜飛海底駅を起点もしくは終点とする山行は、無理っぽいですね。鉄道ネタばかりですが、北海道ではJRが山のアクセスにはなりえないので汽車を使った山よかったです。
なるほど、東日本と北海道で違うから廃線対象じゃない。
北海道も昔は汽車入山メインだったのですが!瀬棚線とか胆振線とか深名線とか士幌線とか広尾線+タクシーとか
記録楽しく読ませてもらいました。
こういう交通機関を使ったスタイルの山行いいですね。私も春にショートスキーを持ってやってみたい気がします。
イグルーはこういう感じなんですね、見る機会が今まで無かったので興味深い絵でした。
イグルーでの冬山は憧れますねー!
ツプルさん
自家用車がいまは主流でしょうが、山越えの楽しさは汽車バス山行に限ります。ぜひ計画をお勧めします。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する