■蔵王熊野岳〜モンスターとホワイトアウト
- GPS
- 03:55
- 距離
- 8.0km
- 登り
- 260m
- 下り
- 577m
コースタイム
天候 | 雪 場所によっては風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
午前7時頃に入場可。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
トイレ・登山ポストは山頂駅にあります。 登山口にはロープが張られていて「立入禁止」になっていますが、登山届を出せば登れるとのこと。 その日の天候にもよるので駅窓口の係の人、あるいはスキーパトロール隊の人にも相談すると親切に教えていただけます。 人によっては登らない方がいい言われますが、そのあとは自己責任で決めてください。 蔵王温泉スキー場のHPはコチラ⇒http://www.zao-ski.or.jp/ スノーシューやワカンなどレンタルできるお店が少ないので 事前に電話で確かめておくことをおすすめします。 ⇒http://www.kankou.yamagata.yamagata.jp/zao/winter/pc_2011/rental/ |
写真
感想
1月21日午前1時に横浜を出発。
いつものごとく、ほとんど眠れませんでした。
今回の走行距離は片道約430km弱。
いつもの倍です。
さすがに運転していると眠くなってくるので
そんなときいつも飲むのが強強打破。
私にはこれが一番効きます。
でも最近わかったことは、
これを空腹時に飲むと胃が気持ち悪くなることがあるということ。。。
睡眠不足のせいもあるかもしれないけれどこの日も気持ち悪〜いまま運転しておりました。
午前6時半過ぎ、蔵王温泉スキー場に到着。
蔵王山麓駅にある駐車場に行くとまだロープが張られていて入れない。
4台ほど待機中の車がいたのでその後ろに止めて待つ。
10分ほどするとロープが外されて駐車場内に案内される。
駐車料金は1日1000円。(平日は無料)
ロープウェイの始発は8時15分なのでそれまで仮眠。
とは言え、スキー客が絶えず車の周りをウロウロするので落ち着いて眠れない。。。
私は7時半頃には寝るのを諦めて、コンタクトレンズを入れたり化粧したりで準備に取り掛かる。
ちなみにトイレはロープウェイ駅1階にあります。
8時過ぎ、スノーシューorワカンを借りるために周囲のお店に行きますが
2軒とも扱っていないとのこと。
事前にネットで扱っているお店もリサーチしていましたが、
そこまで借りに行くのが面倒くさくなってしまい、諦めました。
たぶん無くても大丈夫だろう。。。(ほんとに??)
ロープウェイの切符を購入して駅内へ。
料金は片道大人1400円。(往復で2500円)
とりあえず片道だけ購入。帰りは歩いて下りてしまうかもかも。
8分間隔で運行されているロープウェイ。
私たち以外はみんなスキー客。
なんだか好奇の目に晒されてるような。。。w
7分程で樹氷高原駅に到着。ここからフニテルに乗換えます。
雪はやみそうにない。
フニテルに乗っていると1人のスキーヤーに話しかけられます。
「登山ですか?」と。
「はい。熊野岳まで。」と言うと、「遭難しないようにw」と言われました。
遭難するような山じゃないけどなぁ。。。
とこのときは思っていた私たち。
そして7分ほどで地蔵山頂駅に到着。
いきなりモンスターが目に入る。
駅出たところでモンスターに会えるとは。。。
なんだか不気味だよ〜。同じ方向向いてる生き物みたい。。。
空が青くないのが本当に残念。。。
真っ白で空と地の境がわからなくなりそうなくらい。
当然のことながらスキーヤーやボーダーばかり。
先月買った12本爪アイゼンを初めて装着。
装着練習してなかったけど旦那さまのを見ながらどうにか装着。
さぁ行くどーっ!
と登山口を探しますが、見当たらない。
代わりにロープが張り巡らされていて
「遭難・雪崩のため立入禁止」という立て看板が立てられていた。
えっ????
えーーーっ??
これってどういうこと??
今日は熊野岳に登れないってこと???
案内図を見る。
どう考えてもここから熊野岳への道は一つしかない。
寝ないで5時間半運転して、その上ロープウェイとフニテル乗り継いで
ここまで来たのに熊野岳に登れないなんてーーっ!!!
どうしたらいいの〜???
「さっき登山の人が1人いたから聞いてみる」と旦那さま。
そういえばさっき大きなザックを背負った男の人が1人ウロウロしてた。
話をすると彼も熊野岳に行く予定だったという。
けれど立入禁止となっているので同じように悩んでいるらしい。
どうしよう。。。
ここまで来てただアイスモンスター観て帰るだけなんて。。。
悔しすぎる。。。
もう一度ロープのところまで戻って考える。
‘遭難’というのはあまり気にならないけど、‘雪崩’という文字が気にかかる。
今まで‘雪崩’に無縁の山に登ってきたので余計そう思うのかもしれない。
ここは積雪量が思っていたよりずっと多くて登山口も登山道もどこかよくわからなくなっている。
旦那さまがロープをくぐって積雪量を確かめる。
ズボズボとたちまち足が沈んで楽に膝まで埋まってしまう。
うーーーむ。。。
ここでこれだけ積もってるなんて。。。
つぼ足どころじゃないかも。。。
これはよくある‘自己責任’でどうぞってやつなのかな。。。
登山をしているとよくあることだけど、
登山者以外の人の侵入を防ぐために‘立入禁止’となっているところも結構ある。
それなのかな?
でも‘雪崩’という言葉が怖いし。。。
こんな情報今まで1つも見かけなかった。
このスキー場のサイトにも一切。
「どうする??」
「うーん。。。今日はやめておけってことなのかな。。。」
肩を落としてザンゲ坂の方へ歩く。
仕方ない、アイスモンスターだけちょっと拝んでそのまま歩いて下ろう。。。
トボトボと歩いているとスキーパトロール隊の人に
「それゲレンデでは使わないでくださいね」と話しかけられる。
私たちがザックに括りつけてるQuickyのことだ。
「使わないです。。。」
ゲレンデで使うつもりはない。山で使おうと思って持ってきたのだ。
思い切ってそのパトロール隊の人に訊いてみる。
「あのぉ、熊野岳に登りに来たんですけど、ロープ張られて立入禁止になってますよね?
あれってやっぱり登っちゃだめなんですか?」
「天気が良ければいいんですけどねぇ。ちょっと悪くなりそうだしあまりおススメはできないです。」と言われる。
ん?? おススメはできない。
ということは絶対ダメってことではないのか?
後ろを振り返ると、さっき話しかけた単独のハイカーも別のパトロール隊の人と地図を見て何やら話している。
どうしよう。。。熊野岳諦めきれないよぉ。
その別のパトロールの人がこっちにやってきたので訊いてみる。
わたし「あのぉ、さっきの人(単独ハイカー)どうするって言ってました?」
パト隊「五郎岳への道を訊かれましたよ。」
わたし「あのぉ、やっぱり熊野岳は登ったらだめなんですか?」←かなりしつこいww
パト隊「いや、登山届出してもらえばいいですよ。」
「えっ??いいんですか?」Σ(゜д゜;)
もしかして登れる? 登れちゃう??
パトロール隊の人は後ろから私たちのザックを見て
「ワカンは持ってない? ここの登りは結構雪ありますよ。」と言うので
「無いですけど、なんとかラッセルしてでも行ってみます。」と返事すると
なんだかパトロール隊の人の顔が一瞬綻んだような気がした。
それから彼は地蔵山と熊野岳へは立っているポールを手掛かりにして登るようにと教えてくれた。
駅内に戻り、登山届を提出。
係の人に「何時頃下山予定ですか?」と訊かれ「14時までには」と応える。
「では、ファックスでパトロール隊にも知らせておきます。」とのこと。
なんだなんだ?
結局は登ることに問題は無いってことなのか〜???
駅内にはあの単独のハイカーがベンチに座っていたので
「登山届を出せば登ってもいいってことなので、私たちは熊野岳へ登りますね。」と一声かけて登山口に向かう。
登山口らしきところ、はっきりとはわからないがあの立入禁止の立て看板のところへ行くと
4人のハイカーたちが登山の準備をしていた。
「あ。モタモタしてる間に仲間が増えた。」
スキーヤーやボーダーの多い中、登山する人たちはみんな仲間なのだw
その人たちは何の躊躇もなくロープ内に入って準備している。
背中にはスキー板を背負っている人もいた。
山頂駅に着いて30分、登るか登らざるかの葛藤の末、ようやく出発です。
おまたせしましたw
登山道はまったく見えないけど、ポールを頼りに登ります。
スキー板を担いだ人たちは別ルートを登ってる。
10分ほどでつぼ足脱出。
大きな海老の尻尾がついたポールが続いている。
雪に埋もれてどこが道かもわからないので、このポールだけが頼り。
駅から14分ほどでまず地蔵山(標高1,736m)に到着。
そしてそのまま熊野岳へ向かって海老の尻尾に埋もれたポールの続く方に歩き続ける。
樹木は一切無く、すべてが真っ白の世界。
ポールには巨大海老の尻尾がまとわりついて原型をとどめていない。
細いポール1本でもモンスターに変身できる。
真っ白で何も見えない。これがホワイトアウトか?
救いは気温が-6℃とそれほど寒くないということ。
あと地蔵山からの道はたまに外れると深いところがあるけれど
アイゼンで十分歩けるということ。
たくさん着過ぎて暑くなってきたので
立ち止まって中のダウンを脱いで仕舞う。
そうしていると旦那さまとの距離が離れて怒られる。
「天候がこれ以上悪くなる前に早く登って下りないとっ!」と。
後ろから登ってくるだろうと思われていた4人は登ってくる気配がまったくない。
私たち2人ぼっち。
途中でGPSに入れたルートと別の道を歩いていることに気づく。
けれど私たちは言われた通りポールだけを頼りに登ってきた。
地図を見てもわからない。
そろそろ山頂に着いてもいいのにな。。。ここどこだ?
避難小屋のような雪の塊が見えた。
真っ白なので写真は撮っていないが、地図にも載っていた避難小屋とわかる。
海老の尻尾に覆われたポールの雪を払うと道標が現れる。
ワサ小屋跡と馬の背・お釜との分岐。
じゃあ、山頂は一体どこだ????
馬の背方向にポールが立っているので少しだけ進むが、
どんどん下っていくようなのでおかしいと気付く。
もう山頂付近なのだからこんなに下るのはおかしい。
引き返してさっきの道標まで戻る。
※後でわかったことですが、この道標の側面にも案内があります。
海老の尻尾で全面覆われているので雪を全部払えば山頂への方向もわかると思います。
雪は降り続いていて、風もある。
周りは真っ白で何もわからない。
山頂にはたしか大きな鳥居があったし、もっとわかりやすいかと思っていたのに。
避難小屋との位置関係から山頂らしき方向を見極める。
よくよく見ると直径1mほどの小さな丸い雪の塊が等間隔に続いているのに気づく。
今までは自分たちの背丈より高いポールに案内されてきたけれど、
もしかしてこの丸い塊もポール???
(帰宅後ネットで確かめると背の低いポールでした。)
風雪が強まる中、丸い雪の塊を頼りに歩く。
もうすぐ山頂のはず。あと少し。
しばらく歩くと目の前に何か大きな屋根のようなものが現れる。
これは、、、お社だね、きっと。
海老の尻尾ですごいことになってる。。。
山頂はこのあたり。
山頂の印を見つけなくてはっ。
手あたり次第それらしきものの雪を払ってみる。
なんとか・・・山神・・・としか読めない。
あとで調べたら「蔵王山神社」と書かれたものでした。
山頂はどこ?????
すべてが雪に覆われてまったくわからない。
先ほどのお社の表側にまわる。
お社の向かいには何やら緑色の網がチラッとだけ見えてる。
もしかしてこれは、、、避難小屋??
もう屋根も何もかも埋まっていて小屋だとはまったくわからない状態。
そしてやっと旦那さまが山頂の標識を見つけ出す。
無事熊野岳登頂。
私のはみ出た髪は風雪によって爆発でもしたようなスタイルのまま固まっていた。。。
すぐさま下山することにする。
風がマシなうちに戻りたい。
ポールを頼りに歩く。
私たちが登りで付けた足跡はもうすっかり風雪に吹き消されていた。
「人の姿が見えた」と旦那さま。
私には何も見えない。
しばらく歩いていたら前方から1人歩いてくるのが見えた。
あの単独のハイカーだ。
やっぱり熊野岳を目指すらしい。
山頂の様子を少し話して別れる。
私たちが雪を払っておいたからきっとわかりやすいだろう。
雪は降り続いている。
降り積もった雪に足をとられないようにできるだけポールの側を歩く。
それでもズボっと埋まって転んで雪上に倒れ込んだりもする。
これも雪山ならではの面白さ。
12時15分。
地蔵山まで戻ってくる。
ここまで来れば駅まであとわずか。
ここからはせっかく持ってきたのでQuickyで滑って下る。
とはいえ、雪がフカフカなのですぐに止まってしまい進まなくなる。
Quickyちょっとだけしか楽しめませんでした。
12時25分、地蔵山頂駅に到着。
そういえば有名なお地蔵様にまだ挨拶していなかった。
蔵王地蔵尊。災難よけ地蔵尊とも言われています。
雪で胸まで埋まっていますが、実際は高さ2.34メートル、肩幅1.2メートル、膝幅1.8メートル、台座の高さ0.34メートルもあります。
お地蔵様と写真を一緒に撮る人が多く、私も一組撮ってあげました。
でも帰ってネットで調べていたら、このお地蔵さまの両脇にも2体ずつ小さいお地蔵さまが埋もれていることが判明。。。
皆さんその上に立って記念撮影してましたよ。。。(汗)
開運の鐘というのもあったので鳴らしておきました。
これって霧鐘の意味もあるのかな。
ようやく駅内窓口に行き無事下山したことを報告する。
お腹も空いたので駅内にあるレストラン山頂でランチをいただく。
モンスターを見ながら食事ができる。
天気が良ければ最高だった。
ここでもなぜか好奇の視線を浴びまくり。
そんなに登山するのが珍しいかぃ?
1時間ほどかけて食事をした後、ザンゲ坂・樹氷原コースを歩いて下ることにする。
スキーヤー、ボーダーの邪魔にならないように端っこを歩く。
30分ほどで中間地点の樹氷高原駅まで下りてきました。
ここからはロープウェイに乗車。
大人1人片道750円。
14時半頃、駐車場に到着。
それから横浜へ向けてタラタラと帰りました。
寝不足と疲れで途中仮眠したり、ご飯を食べたり。。。
雪も結構降っていて運転しにくいこともありましたが、21時ころには無事帰宅。
往復860km。やはりかなり疲れました。
山の疲れは全くない。すべて運転の疲れのみw
■目安
体力度 ★
危険度 ★★ (積雪がなければほとんど危険無し)
整備度 ★★★
眺望度 ---- (ホワイトアウトのため確認できず)
山スカ度 なし
ダメージ度 なし
※上記は、2012年1月21日時点での個人的な評価です。季節や天候によって大きく変化します。
■今回の装備
・マムート長Tシャツ(保温・速乾性有)
・マムートフリース
・マムートダウンジャケット(途中で脱ぎました)
・マムートレインウェア上下
・マムート冬用トレッキングパンツ
・ミズノサーモブレススパッツ
・泥よけスパッツ
・フリース手袋
・マムートバイザービーニー(ニット帽)
・厚手靴下
・ネックウォーマー
・12本爪アイゼン
・Quicky(ヒップそり)
■まとめ
今回はズバリ雪山の怖さを思い知った山行でした。
雪雲のせいで空も白、地面も白。
とにかく目の前の世界がすべて真っ白でした。
雪の下に何があるかも全くわからない状態。
立っている真っ白なポールだけが頼りの道でした。
1月21日現在、稜線に出るまでは雪深く大変でしたが、アイゼンのみでも歩くことができました。
ワカンがあればもう少し楽だったかもしれません。
「雪崩・遭難立入禁止」と書かれている看板とロープについて。
主にスキーヤー&観光客が誤って立入らないためのものと見受けられます。
けれど実際過去に雪崩死亡事故、遭難事故が起こっているところなので
経験ある登山者でも天候を見極めて登るべきか否かは判断する必要があることと、
必ず登山届を提出することを忘れてはいけないと思います。
はっきり言って私たちは舐めてました。
地蔵山頂駅を下りて初めてその雪の深さに驚いたし、
看板の‘雪崩’という文字を見て雪山の怖さを覚えました。
今まで登ってきたのはしっかりとした道標があり、多くの人に踏み固められた雪道を登ればいい山ばかり。
今回も何の疑いも無く楽チン百名山のつもりだった自分が少し恥ずかしい。
フニテルでスキーヤーに言われた「遭難しないように。」という言葉がすごく身に滲みました。
雪の無い季節ならば、誰でも気軽にハイキングできるルートです。
(積雪期でも天気が良ければ問題なし。但しルートを外れると雪崩の危険もあり。)
今回はまたもやお釜に振られてしまったので、また別の季節に別のルートで登りたい。
雪の下に何が埋もれていたのかを確かめに来たいと思います。
最後に、、、
ちょっとドキドキでしたが、緊張しつつとても楽しい山行だったことは言っておかなくては。。。
雪山シーズン真っ只中。
今回の山行で感じたことを胸にしっかり留めてこれからも安全に雪山を楽しみたいと思います♪
※アイスモンスターは、別のルートから雪上車に乗って観ることもできます。
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