大峯奥駈道(逆峯)
- GPS
- 37:04
- 距離
- 135km
- 登り
- 10,101m
- 下り
- 10,329m
コースタイム
02:30 吉野
08:40 大普賢岳
10:00 行者還小屋
12:00 弥山
15:20 釈迦ヶ岳
15:40 深仙ノ宿
11/4(日) 14時間50分 +3,000m CT0.58
02:30 深仙ノ宿
05:40 持経ノ宿
07:50 行仙宿
09:00 笠捨山
12:30 玉置山
14:00 大森山
17:00 大斎原
17:20 熊野本宮大社
11/5(月) 9時間 +2,000m CT0.60
04:00 大村屋
07:30 小口
10:00 地蔵茶屋
12:00 那智大社
13:00 那智駅
天候 | 11/3 晴れ 11/4 雨→晴れ 11/5 くもり |
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過去天気図(気象庁) | 2018年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
--次のために交通事情/帰りのルートまとめ-- 本宮大社前-新宮駅 14:23-15:47 八木新宮バス 以下はその日のうちに名古屋に帰ることはできない 16:10-17:02小口乗換17:10-18:11 16:58-18:24 八木新宮バス 18:58-20:22 八木新宮バス 那智駅-新宮駅 13:03-13:26 15:37-16:00 新宮駅-名古屋 13:58-17:50 特急バス4,100円 亀山で渋滞 10〜20分の遅延は確実 12:44-16:10 JR特急6,870円 17:30-20:49 JR特急6,870円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
小笹の宿は水量豊富。 鳥の水は枯れていた。 釈迦ヶ岳から西に降りたところの水は豊富。ここでたくさん汲んだ方が良い。 香精水はちょろちょろ出ている。時間がかかるが汲める。 玉置山の手水。 |
その他周辺情報 | 那智駅の丹敷の湯は月曜休館 |
写真
感想
大峯奥駈(おおみねおくがけ)をやろう。
吉野から本宮大社までは2日間で行けそうだが問題は下山後の帰宅ルートだ。バスや電車の時刻表を何度も眺めても日曜のうちに本宮から伊賀へ帰るのは無理だった。しかし3連休でやるには時間を持て余す。よし、それなら那智まで抜けてみよう。3日目は熊野古道 中辺路(なかへち)を抜けて那智に出れば名古屋経由で自宅の伊賀まで余裕で帰宅できるはずだ。こうして大峯奥駈道と中辺路を3日間で抜ける旅が始まった。
金曜夜移動。仕事を終えたら電車を乗り継いで伊賀から吉野へ。奈良の線路は迷路のようで難しい。吉野行きの電車は特急料金だった。大きなテーブルと電源があってめちゃ快適。吉野で降りたのは僕だけ。吉野の夜は静かで良いところ。星が綺麗だ。鹿達が歌っている。本州とはいえ11月にもなると駅寝するには寒いので今回は旅館"桜庵"に素泊まりした。素敵なおかみさんの居る素敵な宿だった。いつか食事付きでのんびり泊まりに来たいものだ。
11/3(土) 吉野-深仙小屋
暖かい布団でぐっすり眠れた。2時半に元気に出発。かなり上の方まで民家や商店が並んでいた。街灯が明るくて助かる。大きな門をくぐって林道に入り、いつの間にか山道へ。ひたすら登る。星と吉野の夜景が美しい。いたるところに小屋や東屋がある。春は寝床に困ることはなさそうだ。次に大峯奥駈をやるなら春に"順峯"がいいな。ゴールで千本桜が迎えてくれるなんてドラマチックじゃないか。
東の空が明るくなってきたが雲が低くて日の出は拝めない。歩く、歩く。ひたすら歩く。登って下って登って下る。いくつピークを超えたか数えてなんていられない。弥山(みせん)が近づくと人がいっぱい。ここまでの静寂が嘘のようだ。立派な営業小屋もある。弥山小屋は11月11日まで営業している。今回あまり下調べをしていない。水場のチェックくらいなもん。なので急に大きな小屋が出てくるとびっくりする。弥山を越えて今日の宿泊予定地、深仙小屋(じんぜんこや)を目指す。弥山から先へ進むと急に誰もいなくなり不気味だ。さっきまでの喧騒は幻覚だったのでは。太陽が傾き始めた15時過ぎに深仙小屋に着いた。予定通り深仙小屋に泊まるか標高が低くて暖かく新しくて快適な持経の宿(じきょうのしゅく)まで頑張るか。かなり悩んだが今日はここまでにしておいた。折角なので歴史のある深仙に泊まろう。宿泊者は4人。広く使えて快適だった。これ以上増えると狭いだろう。チキンラーメンを食べてコーヒーで温まり、横になって目を閉じると一瞬で眠りに落ちた。
11/4(日) 深仙小屋-熊野本宮大社
小屋の屋根を雨が叩く。雨なんて聞いてないす。幸い冷たくはない。ヌルい雨なんてただの水だ。ウダウダしてないで行くぞ。みんなを起こさないように静かにチキンラーメンを食べて出発。固形燃料(カエン)はめちゃ静か。これは意外なメリットだ。ガスバーナーのような音が出ないのでこっそり調理するのにもってこい。外はものすごい濃霧だ。5m先も見えない。月の明かりも届かない。深仙小屋から持経の宿までの間はだだっ広い尾根が広がっていて油断するとすぐに登山道と方角を見失う。かなり慎重に歩いてきた。行程に遅れが出てきて焦る。靴は笹汁をたっぷり吸って重たい。持経の宿まで標高を落とすと霧も笹地帯も抜けた。こんなことなら昨日のうちに頑張って持経の宿まで行くんだったか。しかし持経の宿にはたくさんの宿泊者がいたのであずましくなかっただろう。昨晩は深仙小屋で正解だったかもしれないな。持経の宿から笠捨山方面に向かうのは3人だけだった。
大峰は南アルプス並に南北に長い山域だが、メジャーピーク以外は全然人がいない。かといって登山道の整備が行き届いていないかというとそんなことはなく、全体的によく歩かれている不思議な山だ。おおむね静かな山が楽しめる。今日もひたすら登って下りてを繰り返すマシンになる。"おお"っと感動するような絶景は特に無いが、じわじわ楽しい。山と身体が一体になるような感覚。頭を空っぽにしたり、仕事やこれからのことを考えてみたり。北の山はもう雪が降っているが、この辺りの山はまだ空気は暖かい。たまに稜線に吹く風が心地よい。この時期の大峰、良いじゃないか。
今日の行程は笠捨山、玉置山、大森山が大きなピークだ。大森山を過ぎれば下り基調…かと思いきやここからが手強い。壁のように立ちはだかる五大尊岳の登りはシビれた。大黒天神岳、吹越山、七越峰。まだまだ脚は休められない。いくつものアップダウンを超えると眼下に熊野川を望む。ようやくここまで来た。そろそろ太陽が山の向こうに隠れそうだ。急ごう。七越峰を超えてもまだ登りがある。ありえん。最後の登りで力を振り絞り平坦路を進めば急に視界の前に熊野川どーん!これはもうタマランチ会長。グランドフィナーレは熊野川の渡渉だ。これがやりたかった。靴をザックに括り付けて裸足になって熊野川イン。11月の渡渉はヤベーかと思いきや水温はピリッと気持ち良いくらいだった。しかし岩がヌルヌルでめちゃ滑る。ここでドボンは笑えないぞ。無事転ぶことなく渡渉を終えたら本宮大社でお参りした。何かお祈りしようかと思ったが、別に神頼みせざるを得ないようなどうしようもない悩みは何もなかった。この健康で丈夫な身体がある限り人生超ハッピーさ。それ以外に何を望もう。その後は本日の宿である川湯温泉の"大村屋"まで徒歩1時間。普段進んでお酒は飲まないが今日ばかりはビールを一杯だけ。美味すぎて変な声が出た。
11/5(月) 本宮-那智
今日は昼過ぎまでに那智に着けば良い。3時半起床。朝食にみかんを3つ食べて4時出発。ここは標高100mなので暖かい。民家のそばを縫って中辺路に入り、緩やかな林道を登ってゆく。ねみー。7時間たっぷり寝たのに寝足りなかった、ホントに眠い。小雲取で朝が来た。ガッスガスやで。何も見えん。小口まで降りてくると南方商店が営業していて驚いた。まだ7時半ですよ。いつも7時には開けているとのこと。朝っぱらからアイスを食べて元気回復。小口-那智大社の間は一度歩いたことがある。特に迷うこともない。時間にはたっぷり余裕があるので景色を楽しみながらのんびり歩いた。胴切坂は石段登り800m. 小口側から登るのはなかなかの修行だ。地蔵茶屋で一眠りしたら寝すぎてあまり余裕がなくなってきた。早足で那智大社まで転がり落ちたらロード6kmを小走りで那智駅ゴール。10分後に本宮行きの電車が来た。この13:03発の電車を逃すと15:37まで本宮行きの電車は来ない。バスもない。本宮から名古屋行きの高速バスに乗り込み18時過ぎに名古屋に着いた。高速バスと特急の差額は3,000円だが到着時間は30分しか変わらない。この区間はバスが良い。
秋の低山長距離縦走は楽しい。本州の山は歴史がある。昔の人がどんな想いでこの道を歩いたのか考えると不思議な気持ちになる。日本にはまだまだ面白いロングトレイルがあるらしい。山にドカンと雪が増えるまでしばらくこの遊びを楽しもう。
総行動時間37時間, 移動距離140km, 獲得標高8,900mの旅だった。キツかったがもっと体力を付けてスピードを上げて余裕を持ってもう一度やりたい。次は春に順峯だな。北海道にお住いの皆さんもぜひ。春や秋といった微妙な季節は紀伊半島へお越しください。
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