線の記 八ヶ岳(赤岩の頭〜硫黄岳〜横岳〜赤岳)
- GPS
- 27:00
- 距離
- 16.0km
- 登り
- 1,667m
- 下り
- 1,436m
コースタイム
08時00分:新宿駅 特急スーパーあずさ5号(松本行)
10時07分:茅野駅
10時25分:茅野駅バス亭〜路線バス
11時20分:美濃戸口
13時53分:赤岳鉱泉(泊)
■2日目(2月21日・火曜)
07時05分:赤岳鉱泉発
08時13分:赤岩の頭
08時36分:硫黄岳
10時36分:地蔵の頭
10時43分:赤岳展望荘
11時17分:赤岳
11時30分:赤岳下山開始
14時15分:美濃戸口
15時38分:茅野駅バス亭
15時50分:茅野駅〜新宿 特急あずさ24号(新宿行)
天候 | 両日共に快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
美濃戸口バス停(http://www.alpico.co.jp/suwabus/bus/) |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所について 硫黄岳山荘付近で滑落事故があったそうです。強風によるものだそうです。 この日、私も数分間歩けない程の強風でした。 途中、数箇所梯子がありますが、その近辺は慎重に足を運んでください。 その他、風で足跡がすぐ消えやすい箇所が数箇所あります。地蔵ノ頭から、 尾根に下る所はすぐに足跡がきえてわかり難いようです。 危険と言うほどでは、ありませんが、南沢の下の方はコースが破壊されて 山側に迂回するコースになっていました。木の根っこが邪魔をして、非常 に歩きにくい状況です。年配の方が足を引っ掛けて転んでいました。 お気をつけください。 今回の山行用に新調したグッズとその評価 CANON Powershot100 ★★ コンパクト高性能、使えるデジタルズーム。 OREGON450(英語版) ★ yahooオークションにて新品購入。行動中はあまり使わなかった。 ワコールCWXスタビライクス ★★★ さかいやスポーツの店員さんに勧められて購入したが、膝痛が全く無かったのには驚き。威力は抜群。 モンベルジオライン中厚(ベース)★★ 速乾性重視派には合格。 |
写真
感想
1日目
新宿8時発のスーパーあずさ5号、自由席車両(3号車)進行方向左窓側の席に座った。右席に座れば、目的の八ケ岳の姿が小淵沢辺りから確認できるのだが、今日の晴天日、車窓から望む富士の勇姿を頬ってはいられない。更に日本第二の高峰である北岳。中央線下り列車左席は山行へ向かう僕には心地よい。
JR茅野駅を10時07分に下車。改札出口方面は登山客の姿が目に付く。美濃戸口行のバスを待つ間、VELVIA1階の土産屋さんにて、信州限定発売のじゃがりこ野沢菜+ベビースター七味ミニパッケージ(100円)が目に付き、行動食用として購入。
10時25分発の美濃戸口行バスに乗車。バスの乗客は勿論全員が山行スタイル。私を含め7名程。過去平日に数回乗車したが、今回が一番の乗客数。運行中、空腹感からか、先程購入した野沢菜じゃがりこをバスの中で頂く。程よい塩加減、止まらない。数分で食してしまった。野沢菜風味はビールのつまみに合いそうだ。
数か所のバス亭に停車しながら終点の美濃戸口へ予定通り11時03分に到着。900円の運賃を支払い下車。「バスから降りる時雪で滑るから気を付けてね」と、運転手さんの一言。確かに道はツルツル状態。バスを降り、早速登山計画表を記入。
本日初日の目的地は宿泊先の赤岳鉱泉。美濃戸口からのコースは積雪状態であるが、アイゼン無装着、両手に薄手の手袋とLEKIストックにて歩行開始。天気良し、風もなく、コース中にアイスバーンもなく順調に八ケ岳方面へ。
途中、やまのこ村の前にて1度目の小休止。結構汗をかいた。上着を脱ぎ、テルモスのお湯を1杯。身体が冷える前に5分程で出発。美濃戸山荘先からは、北沢コースにてのんびりと歩行・・・(昨年暮れ、この北沢コース途中にて、でっかいテントを背負った山ガールと知り合った事をふと思い出す・・・おさるのもうすけさんは、今日何処へ山行だろうか・・・)
北沢コース途中に山神様の祭壇を見つけ、山行の無事を祈って、二拍一礼。(一応願いはかなったかな)
赤岳鉱泉に近づくにつれ、青空を背景にした大同心の勇姿に目を奪われる。購入したばかりのCANONPowerShot100のズーム機能を使って撮影。視点をずらすと凍った滝を見つけこれも撮影。
写真撮影後、数分で本日の目的地、赤岳鉱泉に到着。ここまで危険個所も無く、ノーアイゼンで、2時間半程の歩行。予想より早かった。
それにしても人工とは言え、立派なアイスクライミングのアイスキャンディー。どこから来たのか外人さんチームで賑わっている。
鉱泉の中へ入り、宿泊者名簿を記入。9000円(1泊2食付)を支払い、本日の共同部屋へ案内される。別棟の結構広めの2段目の布団が今夜の寝床。この共同部屋は20名程度泊まれそうだが、今日は6名。単独者4名と年配のご夫婦2名。到着後、外の景色を撮影後、部屋へ戻り布団の上で読書タイム・・(図書館から借りた松波明氏の新編、風雪のビバーク。松波氏は昭和13年12月27日にここ赤岳鉱泉に宿泊・・・30日から単独縦走・・・)うとうと睡眠・・目覚めた後は相部屋の方々との楽しい山談義(北アルプス縦走・・赤岳滑落・・)のひととき。・・・
18時、待っていた夕食。今夜はカツ煮がメイン。固形燃料に火を着け、あつあつのカツ煮に大満足。超お腹いっぱい(他のグループから更にカツ煮の差し入れ)。部屋へ戻り山談義の後編へ・・(年配の山岳ガイドの方から、今年の目標である北鎌尾根の貴重な情報を頂く)・・
部屋の方から星が綺麗だったと事を聞き、寒さを堪え星座観察へ、自宅のマンションからはオリオン座程度しか見えないが、冬山で見る星座は物凄い。星座達が生き物のように観える、昨年の北穂高岳以来の感動。これを見るだけでも山に来た価値は十分にあると思う。次回は写真に残したい。
21時消灯。靴下を脱いでいた為か、寒くて何度も目が覚めた。
2日目
6時起床。布団の中でCWXを装着。早々に着替え、6時30分の朝食を頂く。メニューのおかずは小魚と野菜(キャベツ、ミニトマト)、半熟卵、具沢山の味噌汁。ご飯は軽く2杯頂いた。早々に山支度を終え、部屋の方々へお別れの挨拶(帰りの路線バス亭でまた再開)を終え、鉱泉出口でアイゼン(Grivel G12)を装着。朝焼けの八ケ岳へ出立。鉱泉を出た時、ヘルメット姿の年配者から「今からですか」と声をかけられたので「硫黄から横岳、赤岳と廻って来ます」と返す。気分も天気も最好調・・・
無音の森林を硫黄岳へ向かう雪道を歩く。時々、枝に積もった粉雪が舞い散る。途中コース右手に道を封じるロープと注意書き案内板に出くわす。この先は一般登山コースではないとの事。恐らく凍った滝へのルートでは、気にかかるが、硫黄岳のコースを進む。森林限界地点付近から横岳方面の朝日を浴びる。視界が開けた。横岳の厳しい尾根上を渦巻く雪煙がいくつも光って観える。稜線には風が吹いているのだろう。進むべき山肌を見上げると全く人の歩いた跡が見当たらない。風で全てかき消されている。北に直進すれば良いはずだ、ピッケルを雪面に打ち込み一歩一歩進んだ。数分後、赤岩の頭の標識と、遠く雪のアルプスが姿を現した。
早朝の誰もいない雪の稜線に立つと達成感と不安感が入り混じり、気持ちがざわめく。ぐるっと見渡し、雪のアルプス方面と硫黄岳を写真に納める。硫黄岳までの距離はあと僅か、垂直に切立った大岩を目指し歩行開始。硫黄の頂手前でふと後ろを振り向くと、僕の足跡を辿って来たと見られる第二登山者が赤岩の頭に到着する寸前だった。オーイと大きく手を振ると、彼も手を振って応えてくれた。何とも言えぬ清清しい気持ちになった。
2760mの硫黄岳に到着。大きく平たいこの頂にもの凄い風と粉雪が吹雪く。まともに歩けない。火口跡付近まで近づくが、下手すれば風で下まで飛ばされそうなぐらいの強風。石で積み上げた避難小屋まで戻り、この先進むべきか悩んだ。戻ろうとしたが、時計を見るとまだ9時前。退却にはまだ早い。とりあえず行ける所まで行ってみよう。寄れながらも硫黄岳のケルンを目印に横岳へ向かった。しかし、風は益々強まるばかり、雪で埋まっている硫黄岳山荘付近で足が止まった。立って歩くことが出来ない。しゃがんで何とか身を留める事は出来たが、この先行くべきか、戻るべきか。
すると台座の頭方面から降りてくる2人組みの姿が見えた。もしかしてあそこ迄行けば大丈夫かも・・風の弱まる時を狙って再び登頂を開始した。ここが今回の最難路、ピッケルを両手で地面に差込み、姿勢を保ちながら、一歩一歩と登った。それにしても先程見えた2人組みは何処へ行ったのだろう。視線の先に姿が見えない。あまりの自然の猛威の中、幻覚を見てしまったのか。本気でそう思った。
尾根の上まで来た時、その2人組みは風を避け、しゃがんでいた。内1人に挨拶し、硫黄岳山荘付近の風の状況を説明し、お返しに赤岳までのルートで特に危険箇所は無かった事を教えてもらった。「気をつけて」の言葉を交わし、目前の台座の頭へ向かう。この先、岩場付近から赤岳まで、気を緩めないポイントがいくつかあるらしい事を昨夜聞いた。鎖場の登り降りは要注意との事。特に下りの事故が多いらしい。話してくれた相手は滑落事故を起こし今も左足に鉄板が入っているとの事だった。しかし、こんな高山で巨大な岩肌を眼にすると変に嬉しくぞくぞくしてしまう。この高揚感が僕を山へと向かわせてしまう一つの理由だと思う。
横岳付近から後ろを振り向いた。赤岩の頭にいた第二登山者の彼が近づいていた。今度は彼の方から手ってくれた。笑顔で手を振り替えし応えた。彼も赤岳までの登るのだろうか。
難路とまではいかないが、アイゼンワークを誤ると滑落しそうなトラバース地点が数箇所あった。春先の雪崩の季節には要注意だ。
地蔵の頭に到着。お地蔵さんとは3度のご対面となる。初回はこの付近でビーパル取材中だった藤井フミヤ君が僕の写真を撮ってくれた。(この時ただの登山者としか見えなかったが、10月号を読んで彼だと知って驚いた。フミヤも今年50歳なんだね。同級生かぁ)
2度目は初冬の時期、ここを下ろうとした一瞬の間の滑落。その場を目撃していた、おさるのもうすけさんは、彼女自身のブログにその一部始終を書いていた。まぁ、大事に至らなかったので良い経験だったと思うことにしよう。。
そして、3度目の今回。無事下山出来ますよう。両手を合わせた。
お地蔵さんとお別れし、10分程で営業中の赤岳展望荘前に到着。相変わらず、風車は凍り羽根は止まっていた。ここに来てやたら空腹感が増してきた。時刻はまだ11時前、とりあえず行動食のしょうが黒飴1個を頬張る。最終目的地赤岳へ眼を向けると、数名のパーティーが右端の稜線付近から登ろうとしている姿が見えた。先頭にいる者がガイドなのか数歩前に出て誘導しているかのように見える。風雪渦巻く雪稜を黙々と登っていく彼らの姿が勇ましくカッコいい。何枚も写真に納めた。そろそろ登らねば、下山までの時間に余裕は無い。彼らに導かれるように登り始める。
途中、後ろを振り向き後続者を確認した。誰の姿も見えない。先程手を振ってくれた彼はきっと地蔵尾根から降ったのだろう。
5人組パーティに意外にも早く追いつく。よく観れば皆70歳を越していると思える年配者。後から来た僕に先へ行くよう道を譲ってくれた。一同に頭を下げ、一歩先に赤岳頂上へ。11時16分、八ケ岳連峰の最高峰赤岳2899m頂上に到着。360度の大パノラマ。富士、北岳、駒ケ岳、乗鞍岳、・・南アルプスから北アルプス、軽井沢、丹沢・・素晴らしい。
夢中で写真を撮った後、先着の登山者の方から1枚撮ってもらった。(自宅でこの文章を入力中、この方がstarさんであることが判明)
遅れて5人組パーティーのお爺ちゃん達が到着。一堂握手を交わした後にお約束通りの万歳!。こちらも喜びにつられてしまう。
時刻は11時30分。まだまだ景色を眺めていたい所だが、美濃戸口15時発のバスに乗るためには、そんなゆっくりもしていられない。テルモスの熱いお湯を2杯流し込んだ後、しょうが黒飴を頬張り、下山開始。ここからの下山は険しい岩場が続く、危険箇所でもあるが高揚感が溢れる。岩場を通過すると真っ白に染まった中岳と阿弥陀岳の雄姿が眼に映る。阿弥陀岳の頂上は雪煙を吐き出し登山者を誘い込むような仕草を見せる。今日は無理なんだ。下りの稜線を右の文三郎道へと足を進めた。何度も硫黄〜大同心〜横岳〜赤岳〜阿弥陀を見上げながら、近いうちまたきっとここへ戻ってくるから。そんな想いで雪の稜線を下った。
森林地帯へ入り、数分で行者小屋へ到着。キャンプ場でくつろぐ男女数名の登山者がいた。時刻はまだ12時を少し過ぎたばかり。小屋のベンチに腰掛け、アイゼンを取り外し、空腹感を満たすため、カロリーメイト1袋とカレーパン1つ。帰りの時間を気に掛けながら素早く昼食を終え、南沢コースにて再び下山開始。
森林地帯に細長い雪の小道が続く・・・標高が下がるにつれ滑りやすい雪道となる。バランスを崩し転んでしまった。2度も3度も。自分でもかなりの疲れを感じてきた。アイゼンを外すのが少々早かったようだ。
南沢の終盤で沢の崩落のためか、山側への迂回コースとなっていた。滑りやすく尚も歩きにくい。コースとは無関係に木の根が入り混じる。そんなコース中央で休憩中の登山者がいた。アイゼンが木の根に引っ掛かり転んだとのことだった。様子を伺うと、自分で歩けるし援助は要らないとの事だった。
南沢を抜ければ、ここから美濃戸口まで約40分程の道のり。しかし、車が通過する雪道は非常に歩き辛い。タイヤの後を歩くと滑るため、凸凹した道の中央か隅っこを歩くことになる。車が来れば端に避け、過ぎれば中央を歩いた。美濃戸口付近にて相部屋だったご夫婦とばったり。軽く挨拶し、先へ進んだ。14時15分、予定より早めに美濃戸口に到着。数名の登山者が休憩をしていた。相部屋だったの男性Xさんとも再会し、今日一日の山行話と無事を嬉しく語り合った。バスを待つ間に美濃戸口山荘にて風呂へ入浴(500円)。歩きっぱなしでパンパン状態の足に冷や水を掛けた後、お湯に浸かる。長風呂したい所だが、急ぎ着替え(更衣室に懸賞で貰ったタオルを置き忘れる)、ラウンジにて何故か普段飲まないコーラを一揆飲みし一息つく。方隅で鉱泉で相部屋だった男性Yさんがホットコーヒーを飲んでいた。硫黄岳からここまでの話をすると、貴方は本当に50歳かと言われた。昭和37年北九州の生まれ。まだまだ山行はこれからですよ。
続く・・
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