至仏山、平ヶ岳、景鶴山、燧ヶ岳
- GPS
- 35:33
- 距離
- 66.8km
- 登り
- 3,553m
- 下り
- 3,923m
コースタイム
- 山行
- 10:20
- 休憩
- 0:32
- 合計
- 10:52
- 山行
- 7:45
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 7:59
- 山行
- 9:49
- 休憩
- 1:55
- 合計
- 11:44
- 山行
- 4:50
- 休憩
- 1:17
- 合計
- 6:07
5/3発(645)白沢山(800-25)平ヶ岳(940)南鞍部(950-1025)白沢山(1100-10)着発(1215/1300)東白沢池上(1335-50)景鶴山肩泊(1435)
5/4(430起床)発(500)景鶴山(525-625)着発(640/810)上ヨサク沢(930-45)ヨッピ吊橋(1010)三県境(1020-30)竜宮十字路(1055-1110)見晴(1135)分岐(1215-30)燧ヶ岳(1520-45)分岐泊(1645)
5/5発(630)白砂峠(745-810)尾瀬沼尻(835-45)三平下(950-1000)三平峠(1030-40)大清水(1230/1300)戸倉(1320?)松本(1805/1845)岐阜着(2330)
天候 | 初日雨のち晴れ 以降晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
帰りは大清水から戸台駐車場へバス610圓/人 |
コース状況/ 危険箇所等 |
今年は5月連休としては残雪豊富 |
その他周辺情報 | かたやま食堂 カツ丼800圓。 |
ファイル |
(更新時刻:2019/05/16 06:02)
|
写真
装備
個人装備 |
スコップ+のこぎり
スキー・ストック・シール
アイゼン・ピッケル
ビーコン
ラジオ+天気図
その他冬山泊個人装備(寝具一式・ナイフや灯り地図磁石)
|
---|---|
共同装備 |
ツエルト
ストーブ・鍋
6mm×10 mシュリンゲ
|
備考 | 鍋セット忘れた。ツエルト紐ついてなかった。ピッケル要らなかった。 |
感想
初めての山域尾瀬。鳩待峠からぐるりと四日間で未踏の山頂をつないで大清水へ。古来文人墨客が山行記に記すこの山域、少し遠出になるけれど美濃松の提案に乗ってでかけた。好天に恵まれ、フル行動の四日間。メインの尾瀬ヶ原はもちろん王様だが、山中に幾多無数の湿原湖沼があり、これらを巡るのがまた楽しい。夏季はもちろん立ち入り不可能な神秘的な森と泉、ダーレもいない森を山スキーでシャカシャカと彷徨の四日間。ここは北海道か。
一日目 至仏滑降、尾瀬の奥地へ
駐車場と連絡バスがあるのでさぞや混んでいるのかと思えば、やはり積雪尾瀬に踏み込めるのは雪支度した人のみなので上高地とは違ってコミコミではなかった。今年は例年よりも雪の多い5月連休とのこと。鳩待峠で乗り合いタクシーを降りると、小雨のガス。男は黙ってシールで登る。トレースあり、雪堅しでツボでも行ける。何人か登山者あり。小至仏付近でハイマツ帯にハマり足が抜けないと困っているアベックを助ける。山頂でもガス。蛇紋岩の山でスベりやすいので樹林無く高山植物が豊からしい。ムジナ沢源頭は植生保護のため5月は滑降禁止とのことで右岸尾根を滑走降下。どのみち今年は雪に覆われて保護も何もなさそう。真っ白の中磁石を頼りに。
標高1800mあたりから突然ガスの下に出て、尾瀬ヶ原が忽然と姿を見せる。
これがその名も高き尾瀬か!幕を上げたような対面に驚く。広大だ。蛇行している。周囲の山々も無傷だ。十勝三股の盆地みたいだ。雪の状態は最適。豪快にターンしてあっという間に尾瀬の底へ。猫又川の辺りでは日が射してきた。
ここで腰を下ろしていると60代と思しき二人組がツボでスズヶ峰へ行くとのこと。この時期この辺をよく歩いている地元登山愛好家のよう。しばらくして奥から来た男は赤倉岳に登ってきたという。こちらは我らのジルブレッタ300に頬を緩めた。これを知る時代の人か。赤倉は稜線で見て立派な姿を認知した。マイナー頂だが、群馬100名山だ。
上りの尾根の末端には、うまい具合にスノーブリッジがあった。幸運である。
この尾根は至仏山の滑降時から見えたが、細い尾根上に針葉樹がモヒカン髪型のように茂っているのが特徴的だった。取り付いてみるとどれもネズコ(クロベ)の巨木ばかりでしかもセロリの株のように数本束になっている。壮観だ。尾根を上がり、崖を目印に緩斜面を繋ぎ大白沢山の左の方に上がるまでにも田代と呼ばれる湿地帯が、森のなかに点在している。新潟県側の大白沢池を見下ろす中腹に、翌朝平ヶ岳へのアタックテン場を決める。平凡社別冊太陽日本の秘境にもあった大白沢池を散歩。ここは雪のない季節はヤブに覆われ近づくのが大変。タンネの樹間から夕焼けの会津駒ヶ岳が美しい。
晩飯の支度しようとしたら鍋を忘れたことに気がつく。幸い松が食器に持ってきたトランギアのメスティンがあったので、これで飯を焚く。1合半パンパンに炊き、粉カレールウを混ぜ込み、ウチで炒めてきた豚ひき肉そぼろをまぶして肉ドライカレーに。ラーメンも二度に分けて作る手間にはなったがなんとかなった。メスティンがあってよかった。なければ生米かじるところ。
二日目 平ヶ岳アタック、森の湖沼巡る。
荷物を減らしてシール滑らせ、平ヶ岳を往復。只見川源流点の分岐ピークからはほぼ樹林が無く、展望を満喫。松の持ってきた山と高原地図ウラ面が遠い山の同定に役に立つ。平ヶ岳の下で、巻機山から縦走してきて6日目という3人組とすれ違う。ここまで奥山に来ると話して面白い人が多い。
平ヶ峰は山頂が広すぎて、トコトコあるき回らないと展望が見渡せない。風があり、長居せず少し下ったところで腰を下ろす。28年前、恋ノ又沢から松木さんと登った。雪の季節も貴重な山頂だ。出発前に深田久弥の本を読み直してきた。松と、この山の登路のあれこれについて話す。深田の年代は、北大で言えば坂本直行や伊藤秀五郎の大正デモクラシー期なんだよね。
平ヶ峰からの下りスキーは、申し分なし。この広くて白い斜面はあっという間。
テン場を片付けて同コンタで景鶴方向へトラバース。針葉樹林に囲まれた小沼、東白沢池を巡る。フィンランドってこんな感じ?景鶴山西の肩の、至仏山が見えるテン場。
三日目 景鶴山登頂、ケイヅル沢滑降、尾瀬ヶ原横断、燧ヶ岳登頂
日が長い。うっかりすると明るくて鳥の声で目を覚ます。起きたら、景鶴山を朝飯前アタックに行こうと思いつく。アイゼン履いて山頂へ。稜線上のハイマツと岩をたどり最高点で朝日を浴びる。最高の時間に来ることが出来た。尾瀬ヶ原に日が当たりゆく間、四方の山を眺める。初めての山域だけど、もうずいぶん馴染んでしまった。この山は登山道もなく、この時期だけの山。それでも5月連休でもここまで来る人は多くはないようだ。300名山だって?
ケイヅル沢右岸尾根を下るつもりだったけど、ケイヅル沢の状態が良さそうなのでここを降ろうと決める。テン場に戻ってラーメン二度炊きして片付け、ケイヅル沢源頭へ。右岸の雪解けクレバスを避けて少し登り返し、沢の中へ躍り込む。良い傾斜、良い雪質、問題なし。一気に下まで。気持ちいい。下部のダケカンバの広大な純林は見事。まるで漫画の中みたいに美しい。
傾斜の落ちた当たりで、ケイヅル沢詰めて登るという山スキーの男とすれ違う。どこから来たか問うと、タソガレ田代だと。尾瀬に数多あるヘンな名前の田代の中でも王様。ここは今回も泊まってみたい候補だった。泊まって楽しい田代話で盛り上がるとカッパ山の西の田代も話題に。西丸震哉の本の話にもなった。このへんの山域、一人で山スキーでよく来てはヘンな田代に泊まっているようだ。尾瀬の最も良い楽しみ方だと思う。尾瀬ヶ原への入り口、ヨッピ吊橋の様子なども聞いて一安心。初めての山域だから、そういうこと知らないの。
ヨッピ吊橋は板は外してあるけど渡れる。フルチンで渡渉できるレベルじゃなかった。尾瀬ヶ原の沢は大河だ。小さな沢ももう少し残雪が少なければ、渡渉に困るだろうなあ。
地形図でぜひ訪ねたかった上州越後会津の三国境もわざわざ足を伸ばす。こういう湿地帯の三県境は、奥入瀬川とここくらいだろうか。トレースなし。
尾瀬ヶ原の横断は、トレースで雪が固くてボコボコなので、スキーは引っぱって歩く。沼尻川の渡渉も、竜宮の橋を使う。今日中に燧ヶ岳をアタックしたい。見晴には10人近くの散策者がいた。小屋では布団を干していた。食堂も看板を出していた。屋根の上では布団干しの若い小屋人ふたりが仲良くちゃんばらごっこしていた。足を停めずに通過。
燧中腹のヒョウタン田代まで登ってアタックキャンプとしたかったが、この急傾斜100米を登るズクが出ず、夏道分岐から程よく離れたモミの木立の脇に荷を置く。アタック装備で燧ヶ岳に向かう。軽い荷とはいえ標高差900米の急登をゴシゴシと登る。トレースはバッチリあり、17人とすれ違った。松はアイゼンピッケルなし。米は2000米以上でアイゼンつける。無くても行けるがズルっとしなくて楽。山頂付近では雪が無く、外す。最後のビッグピーク、午後出発だったので貸し切りとなった。至仏のムジナ沢、平ヶ岳の白い斜面、ケイヅル沢、今回滑った絶叫滑降の白い斜面が三つとも見えた。尾瀬ヶ原を満喫したなあ。
下りは1時間で下ってしまった。アイゼン外して滑りながら、尻滑りも込みで。
ズブロッカは終わってしまい、トリスがちょうど良い量で飲み切る。星が豪華。
四日目 尾瀬沼氷上横断 沼田街道下山
今日も行程は長い。沼尻川の急傾斜面のトラバース道は朝固く、かかとの靴ずれも痛いのでスキーを引っ張って歩く。尾瀬沼のほとりから燧南面を見上げる。日の照り返しが強い。小沼を抜けたあたりで湖畔の道が傾斜きつくなったので、湖上に乗ってみた。ところどころ割れ目はあるが全く薄くないので一挙に三平峠下の尾瀬沼山荘まで直線で行く。途中水鳥の死骸あり。沿海州か樺太に趣あり。
緩い登りの三平峠を超えると、人と多く会う。顔が真っ黒だね!と云われた。
急なジグザグは、南面でもありスキーを担ぐ。その下はところどころ雪が切れ、脱いだり履いたり3回くらい。林道は標高1340のカーブまで滑れて結構楽ができた。大清水の駐車場から何組かの人たちが一ノ瀬休息所辺りまで登って来ていた。「尾瀬」という雰囲気のところではないけれど。
1320あたりから旧沼田街道という遊歩道が車道と別にあり、そこを大清水まで。せせらぎと青い花のある雑木林のなか。大清水では13時のバスに間に合った。戸台まで610圓。駐車場脇の小沢で足を洗ってさっぱり。沼田への途上、観光客向けの旗立て大看板大駐車場の店が並ぶなか、外観にピンときた昭和っぽい食堂、「かたぎり」で、カツ丼をがっつく。この佇まいのままで、令和の時代も乗り切って欲しい。尾瀬に来たら、また寄りたいお店。
松本まで3時間半。そのあと何時間かかるのか松は岐阜へ帰っていった。新しい職場おめでとう。僕も55の誕生日だった。下山して電話の機内モードを外して気がついた。
浮世離れの四日間を満喫。
新元号、令和の幕開けに相応しい山行と成せた。未だ未だ山はオモチロイ。【ファイルに記録あり(2019.5.11)】
コメント
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ヨネちゃん&まっちゃん
ものすごい
お疲れ様
どうもありがとうこざいます。遥かな尾瀬~遠い空~でした。
うちも数年前のGWにスノーシューとアイゼンでぽくぽくと尾瀬から平ヶ岳&景鶴へ行きました。平ヶ岳の下りで山スキーの方とすれ違い、羨ましく思いました。
景鶴の肩にキャンプして日の出を山頂というのも同じでした。
GWの景鶴は300名山ハンターの方々に人気のようで満室の竜宮小屋に以前泊まった時は半分以上の方が景鶴狙いでした。肩に泊まって人のいない日の出に登るのは大正解だと思います。
スキーだと行動範囲が広くていいですね。
「浮世離れの四日間」の中でのお誕生日おめでとうございます
甕皮刃様
記録拝読しましたヨ。同じようなラインなので共感する点多くありました。
三年連続で出掛けてしまう尾瀬の魅力を私も感じ、関東在住なら来年もまた出掛けてしまいそうな心地好い空間に思いました(特に、あの天場)。次回はもっとhiba軍曹似の写真にトライします。
初めての山域で、しかもとてもオキテの多そうなタブーの多そうな、人の多そうな山域で、緊張しましたが、案外奥の方まで来る人は、似たような泥臭い登山愛好家だったので、安心しました。首都圏にすんでたら、近くで行ける北海道という印象でした。自由度の高い、良い印象でした。無数の田代、尽きない楽しみですね。
macchanさん、hiba軍曹似は体格が違い過ぎて中々ムズイと思います
まずは役作りするロバートデニーロ並みに体重を20キロほど増やすところからww
軍曹はマッチョなのね、林業で・ニーロ、目指します。アメリカではビア樽みたいなオッチャンがクラック登ってるみたいですね。
今年は雪が多かったのですね。
昔、5シーズンほどGWに尾瀬に通いましたが、初めて行ったときに何気なく尾瀬沼を横断しましたが、翌シーズンからは渡れる状況ではありませんでした。
当時何を根拠に漫然と尾瀬沼を横断したのかと思い起こすと怖くなります。
borav64m 様
尾瀬沼横断は状況次第で単に今回は運が良かったんですね。
5シーズン通われた尾瀬の魅力を我々も感じられた気になりました。ホント、他に求めるべくもない良い山域です。
今年は多く残ってますね。
凍った湖沼やダム湖の横断、沢の渡渉の判断、山登りでしか味わえない非日常の判断ですよね。こういうのがあるから、自力で山に登るのって楽しいのだと思いますよ。
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