涸沢〜奥穂高岳ピストン (+ジャンダルム滑落事故の目撃について)
- GPS
- 32:00
- 距離
- 37.2km
- 登り
- 2,069m
- 下り
- 2,060m
コースタイム
- 山行
- 4:56
- 休憩
- 0:27
- 合計
- 5:23
- 山行
- 10:50
- 休憩
- 3:07
- 合計
- 13:57
天候 | 10日快晴 11日快晴(夕方から雨) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
バスで上高地までアクセス |
コース状況/ 危険箇所等 |
感想の終盤、8/11朝方に起きたジャンダルムの滑落事故について心の整理のため書き留めています。読むのは気をつけてください。 涸沢までに危険個所はありません。 涸沢からザイテングラードに向かうパノラマコースには小規模な雪渓があり、下方からは踏み跡が見づらいですが登れます。(後述) 全体的な話として、ツキノワグマが出没中です。11日の下山中にはSガレ近傍の道脇10m程度の木々の中で木の実を食べていました。 |
写真
装備
個人装備 |
Tシャツ
ズボン
靴下
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
ライター
地図(地形図)
コンパス
ヘッドランプ
予備電池
ファーストエイドキット
常備薬
ロールペーパー
保険証
携帯
タオル
カメラ
テント
テントマット
シェラフ
ヘルメット
携帯トイレ
|
---|
感想
山の日による3連休。天気は間違いなく快晴
行くしかねぇ、北アルプスへ・・・
金曜日の仕事後に思い立ち、買い物を済ませて出発。
仮眠を挟みながら、7:00ごろに沢渡大橋駐車場に到着。
バスは増発されていたのでしょう。聞いていたよりも早くに来たので時間ロスなく上高地に到着しました。
1日目は涸沢までなのでのんびり日程です。
とはいえ歩くのは平坦な道。歩けば勝手にぐいぐい進み、あっという間に横尾を過ぎて本谷橋までたどり着きました。
涼しい河川敷では大勢の登山者が休んでいます。むしろヘタレ混んでいます
なにせ快晴の中のきつい日差し。元気なのは若い子(10歳未満!)ばかり。
その後は傾斜が付き始める登山道では木陰も薄くなっていき、Sガレを過ぎてからは強い日差しに焼かれる。
黒い帽子できたことを後悔しながら、適度以上に休憩という名のダウンを挟みながら涸沢にたどり着く。
総じて景色もよく、直射日光を除けば湿度も低めで快適な登山日和でした。
この日はテントを張りさっさと就寝。
8/11(2日目)
1:30に起床し、2時過ぎには出発。
パノラマコースからザイテングラードに向かいました・・・・が!
涸沢小屋との合流ポイント目前の雪渓でトレースが見つけられない
雪渓は冷えて氷ついており無理をする気にはまったくなれず、たっぷり15分ほど悩んだ末に引き返すことに。
涸沢小屋から登り返して元のポイントにたどり着く頃には4時になってしまいました。
そこからは順調そのものでザイテングラードを上げている最中に日の出を拝むことができました。
やはり朝日に赤く照らされ、1秒ごとに変わる山容は素敵ですね。これを見るためだけに来ました
穂高岳山荘で小休止を挟む間に、スーツで山登りしてるヤベエのがいるという話題を小耳に挟む。あとで映像見ましたがヤベエですね
奥穂のとりつき部はいかにも渋滞の起きそうな道でしたが、幸い人はまだ少なめ。
あっという間に登り切って山頂に到着!
山頂からの景色は流石の一言。いい表現があるはずですがこういうときの語彙力の無さを嘆くばかりです
問題は、ここから見える西穂方面の景色のよさに心を奪われてしまったことです。
事前に下調べはしてある。奥穂から西へ進む人も多い。実力も時間も十分足りている。
そこまで考え馬の背を越えて、もう少し近くからジャンダルムを眺めてみたくなりました。
山頂から15分、馬の背を難なく越えてロバの耳直前のコルを挟んだ対岸位置で休憩。ここで折り返すことにしました。
深い切れ込みを挟み、視界いっぱいに広がるジャンダルムはやはり迫力があります。大満足です。
そのあとは逃げかえりました。
あんまり感慨はないです。
下山途中Sガレでクマが間近にいました。
ここのクマには気をつけましょう。大勢の人が周囲を話しながら通っていましたが、まったく気にした様子はありません。明らかに人慣れしてます。
ここからは心の整理です。
滑落事故を目撃したときの話です。
今現在に至るまで、頭の中でリピートの続く景色を書き留めます。
関係者の方にはすみません。どうかここに書き留めることをお許しください。
馬の背を過ぎた先、奥穂高岳の山頂で会話していた方が、後続してきたので一緒に休憩。
その方はジャンダルムでピストンの予定だそうです。いいですね。
山頂には数人の人影がありましたがすぐに引っ込んでいき、見える位置から数分間は人がいなくなっていました。
8/11 7:00ちょうど
他愛ない山話をしながら眺めていたら、ジャンダルムの山頂から赤い影がすべり落ちていきました。その人が、いつからそこにいたのかはまったくわかりません。
崖が崩れるような音を立てながら立ち姿勢で垂直に斜面をすべり落ちていき、新穂高温泉の方角に角度のついた壁に跳ね返されて逆さを向いた身体が大の字に開いたときに、それが人だと認識しました。
そのあと頭と全身を打ち付け2度跳ねながら、その人は岩陰の見えない位置に消えていきました。
今となっては見えなくなってよかったです。勝手ごとではありますが
その場で一緒にいた方と手分けして警察と消防に通報を行いました。その時点では冷静だったかと思います。
電話先から「事件か事故か」という定型文に始まり落ち着いて進む通話を、「早くしてくれ」という焦りでもどかしく思いました。話してる間に落ち着いてきましたが。
だってどう考えてもあれはだめです。
通報している間にも頭の中で繰り替えされるその瞬間の景色が、人が耐えられる状況でないことを強く印象づけてきました
慌てても捜索の妨げになるだけです。
時間や位置や服装を伝えて、折り返すから電源と電波は入れておくように指示を受けて通報は終わりました。
通報している間にほかに奥穂と西から2名の方が、この場所にたどり着いていました。
そして自分は「もう帰りたい」とわめいているわけです。
4人で奥穂高方面へ向かうこととなりました。自分の発言が2名の方を引き返させてしまったかもしれません。
申し訳ないです。そして一緒に引き返してくれてありがとうございます。山の中ではまったくそこまで考えられていませんでした。
行きでは楽しかった馬の背がたまらなく怖かったです。
足が震え、胸を触れなくても分かる程度に心拍数があがっていました。
難場が短くてよかったです。
手がかりの無い場所で、のぞき込むような姿勢はやめましょう。
崖の先はなにもありません。心惹かれますが、あんまり意味はないです。
もうしばらく忘れられなそうなので、自戒とします。
滑落された方は今朝収容されたとニュースで確認しました。
ご冥福をお祈り申し上げます。
湧き立つ雲の中、隊員を吊り下げ、ジャンダルム直下でホバリングしていた防災ヘリは、遭難者の捜索にあたっていたのですね。故人のご冥福をお祈りします。
ジャンダルム〜ロバの耳は高度感はあるものの晴れて無風なら難易度は大したことはないですが、その恐怖心よくわかります。目の前で見た事故は一生忘れられないでしょうね。以前、北アルプス赤木沢遡行で真後ろにいた人が大滝上部のトラバースであわや滑落の転倒。幸い事なきを得ましたがしばらく足が震えました。その時の恐怖心はいい意味で目に焼き付いています。難所を通り越してホッとした瞬間が一番危ない…肝に銘じています。
私も滑落事故の時、割と側にいたものです。私の場合は20分前に山頂にいましたが、先の行程が長いのと、なんだか恐ろしい気がして5分ほどで奥穂高に戻ることにしました。その間、ほとんど登山者とすれ違っていないので、滑落された方とすれ違っているはずです。事故の時は奥穂高に戻る途中で振り返ると落石と赤い影が一瞬見えただけで人かは分かりませんでした。助けに行かれないかと一瞬思いましたが、治療スキルも背負う力も無いので、諦めてしまいました。通報は既にされたと近くの人に聞いたので、そのまま戻ることにしました。あの時は無風、雨、ガス無しの最高のコンディションだったので、何故滑落したかずっと考えてしまってます。結局、原因は謎のままです。暫くはそのことばかり考えてしまい、何故自分は生きて帰れたのか、そこまでして何故山に登るのかとかごちゃごちゃ考えてしまいます。
ただ、恐らくあの時の山頂からの景色は最高だったのは間違いないです。雨、ガスの中落ちるよりはマシかなと思っています。せめてもの救いかと。人間いつか死ぬので、自分が落ちていたらそれが運命だと思うでしょう。Dosuさんは通報などやれることはやったし、別の人生なので、気にするなとは言えませんが、一旦、日常的に戻るのが一番だと思います。
長文失礼しました。
当日、ジャンダルムを降りて西穂側から6時59分に撮った写真をよく見たら、1人だけ人が小さく写っています。10分くらい前に山頂で撮った写真に写っていた赤い服でオレンジのヘルメットの人と、同じ人のように見えます。
西穂の方に向かっている途中でヘリコプターが飛んでいるなと思ったのですが、自分が見かけたと思われる人が落ちたとは夢にも思いませんでした。ご本人はもちろん連絡など大変な目にあった方がいる一方で、何も知らなかった自分が何故か情けなく感じます。
赤い服、オレンジヘルメット、青ザックの方は6時22分の写真にも写っていて、山頂〔6時37分〕でもすれ違ってます。ずっと槍の方等を眺めてる感じでした。確かに景色は最高でしたが、ちょっと滞在時間が長いかなと気になってました。
結局何も分からないですね。
コンニチハ、その時一緒に通報した者です。この時は心がポキッと音を立てて折れてしまいました。その後、台風などで山行できず心も落ち着き10月20日ジャンダルム行きましたよ。ピストンですが、来シーズンは奥西を計画しています。
投稿者様がまだ登山をされているか分かりませんが事故発生直後の心苦しい中で書いた記事を一語一句読ませて頂きました。
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