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Yamareco

記録ID: 1985606
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
積丹・ニセコ・羊蹄山

北海道その(6) 目立つマッカリヌプリ(後方羊蹄山)は、登りがいがある山だった。

2019年08月21日(水) [日帰り]
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
09:10
距離
13.4km
登り
1,576m
下り
1,578m
歩くペース
標準
0.91.0
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
6:16
休憩
2:53
合計
9:09
6:11
31
6:42
7:00
1
7:01
7:08
20
7:28
7:34
15
7:49
7:53
21
8:14
8:24
19
8:43
8:53
24
9:17
9:31
18
9:49
10:01
4
10:05
10:14
10
10:24
10:28
5
10:33
10:37
16
10:53
10:53
4
10:57
10:57
3
11:00
11:00
5
11:05
11:16
5
11:21
11:23
3
11:26
11:30
8
11:38
11:41
4
11:45
11:47
4
11:51
11:55
10
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6
12:14
12:19
16
12:35
12:43
20
13:03
13:07
16
13:23
13:25
21
13:46
13:50
16
14:06
14:06
16
14:22
14:26
5
14:31
14:49
30
15:19
15:20
0
15:20
ゴール地点
天候 曇り時々雨
過去天気図(気象庁) 2019年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
ひらふ登山口
 道の駅「ニセコビュープラザ」から見た後方羊蹄山。今日はいい日になりそうだ。
2019年08月21日 04:51撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
3
8/21 4:51
 道の駅「ニセコビュープラザ」から見た後方羊蹄山。今日はいい日になりそうだ。
 というわけで、比羅夫コースから登ります。駐車場のようす、台数は少ないようだ。
2019年08月21日 06:08撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 6:08
 というわけで、比羅夫コースから登ります。駐車場のようす、台数は少ないようだ。
 まあ、成層火山ですから最初は斜度は緩いはずだね。
2019年08月21日 06:09撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
1
8/21 6:09
 まあ、成層火山ですから最初は斜度は緩いはずだね。
 はい、1合目にたどり着きました。だいたい1合30分と見ておくのがコースタイムだとか。
2019年08月21日 06:42撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
1
8/21 6:42
 はい、1合目にたどり着きました。だいたい1合30分と見ておくのがコースタイムだとか。
 風穴があるようだが近づきはしなかった。帰りにも。
2019年08月21日 06:50撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 6:50
 風穴があるようだが近づきはしなかった。帰りにも。
 着々と登ってゆく道だ。岩と土と木の根と泥。
2019年08月21日 06:53撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 6:53
 着々と登ってゆく道だ。岩と土と木の根と泥。
 時々こんな景色も見られている。傘を被ったニセコアンヌプリだ。
2019年08月21日 07:02撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 7:02
 時々こんな景色も見られている。傘を被ったニセコアンヌプリだ。
 よし、1時間で2号目に到着。息をとり、スポーツドリンクをチビりとやる。
2019年08月21日 07:06撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
1
8/21 7:06
 よし、1時間で2号目に到着。息をとり、スポーツドリンクをチビりとやる。
 あれは倶知安の町並みだ。後志管内の庁舎がある。
2019年08月21日 07:17撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
1
8/21 7:17
 あれは倶知安の町並みだ。後志管内の庁舎がある。
 3合目、着々と30分ずつ使う。
2019年08月21日 07:27撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 7:27
 3合目、着々と30分ずつ使う。
 マイヅルソウの巨大なやつみたいな花があった。まだ同定できていない。
2019年08月21日 07:37撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 7:37
 マイヅルソウの巨大なやつみたいな花があった。まだ同定できていない。
 4合目に到着。ここでもスポーツドリンクを飲む。今日は3リットル積んでいる。
2019年08月21日 07:46撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 7:46
 4合目に到着。ここでもスポーツドリンクを飲む。今日は3リットル積んでいる。
 海が見える海が見える海が見えるぞ〜♪
 海が見える見えるぞ〜海が見えるぞ〜♪n
2019年08月21日 08:12撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
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8/21 8:12
 海が見える海が見える海が見えるぞ〜♪
 海が見える見えるぞ〜海が見えるぞ〜♪n
 5合目、標高では1040m地点だ。ここでクリーム玄米ブラン。
2019年08月21日 08:13撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
1
8/21 8:13
 5合目、標高では1040m地点だ。ここでクリーム玄米ブラン。
 サマニヨモギと書いてあるページがあったが本当だろうか。
2019年08月21日 08:33撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 8:33
 サマニヨモギと書いてあるページがあったが本当だろうか。
 6合目、長いぜ。もう2時間半以上登っているんだぜ。
2019年08月21日 08:45撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 8:45
 6合目、長いぜ。もう2時間半以上登っているんだぜ。
 そして、ここで鳥を撮影する。多分ルリビタキのメス。
2019年08月21日 08:58撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
1
8/21 8:58
 そして、ここで鳥を撮影する。多分ルリビタキのメス。
 7号目に到着、スポーツドリンクをまた飲む。
2019年08月21日 09:18撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 9:18
 7号目に到着、スポーツドリンクをまた飲む。
 ヤマハハコは、今回の山ではどこにでもあったなあ。
2019年08月21日 09:31撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 9:31
 ヤマハハコは、今回の山ではどこにでもあったなあ。
 あれれ、霧で眺望がなくなってきましたよ。悪い予感がする。
2019年08月21日 09:43撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 9:43
 あれれ、霧で眺望がなくなってきましたよ。悪い予感がする。
 でも、何だかんだで8合目到着。
2019年08月21日 09:49撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 9:49
 でも、何だかんだで8合目到着。
 9合目到着。ここでいきなりにわか雨襲来。ザックカバーを取り付け、長袖のトレーナーを着込む。
2019年08月21日 10:07撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
1
8/21 10:07
 9合目到着。ここでいきなりにわか雨襲来。ザックカバーを取り付け、長袖のトレーナーを着込む。
 雨は5分ほど降って止んだ。この1枚は携帯電話で撮影。デジカメはタオルでくるんでザックの中だ。
2019年08月21日 10:28撮影 by  SO-01L, Sony
8/21 10:28
 雨は5分ほど降って止んだ。この1枚は携帯電話で撮影。デジカメはタオルでくるんでザックの中だ。
 そして、外輪山到着。ここから再びデジカメで撮影を開始する。
2019年08月21日 10:33撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 10:33
 そして、外輪山到着。ここから再びデジカメで撮影を開始する。
 手前から「母釜」「子釜」「父釜」。噴火口が3つ連なっているのだ。
2019年08月21日 10:33撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
3
8/21 10:33
 手前から「母釜」「子釜」「父釜」。噴火口が3つ連なっているのだ。
 そう、ここからはお鉢巡りと呼ばれる。富士山も有名だがここも知られている。
2019年08月21日 10:37撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 10:37
 そう、ここからはお鉢巡りと呼ばれる。富士山も有名だがここも知られている。
 三等三角点発見。でも、ここは山頂ではない。
2019年08月21日 10:38撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
2
8/21 10:38
 三等三角点発見。でも、ここは山頂ではない。
 実は3つの噴火口の間も道になっていて歩くことができる。
2019年08月21日 10:39撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 10:39
 実は3つの噴火口の間も道になっていて歩くことができる。
 コマクサも咲くようだが、誰かが移入したものであるため、ここでは抜くことが奨励されている。
2019年08月21日 10:41撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 10:41
 コマクサも咲くようだが、誰かが移入したものであるため、ここでは抜くことが奨励されている。
 帰りはこの中道を通ってみよう。と思った。
2019年08月21日 10:43撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
2
8/21 10:43
 帰りはこの中道を通ってみよう。と思った。
 そして、父釜の底。水がたまっているのは昨日の雨か?
2019年08月21日 10:47撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
2
8/21 10:47
 そして、父釜の底。水がたまっているのは昨日の雨か?
 京極ルート分岐、京極ルートは結構きついらしい。
2019年08月21日 10:55撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
1
8/21 10:55
 京極ルート分岐、京極ルートは結構きついらしい。
 一等三角点。でも、ここはかつての山頂。土砂が崩れて低くなり、他のところが新たな山頂となった。
2019年08月21日 10:57撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
1
8/21 10:57
 一等三角点。でも、ここはかつての山頂。土砂が崩れて低くなり、他のところが新たな山頂となった。
 そう、山頂はあそこだ!!
2019年08月21日 10:57撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
1
8/21 10:57
 そう、山頂はあそこだ!!
 チシマリンドウに励まされ進む。
2019年08月21日 10:58撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 10:58
 チシマリンドウに励まされ進む。
 そう、到着した。1898m、ここが後方羊蹄山のてっぺんだ。
 天狗君が心配しているので珍しく出してもらえました。(19B)
 おにぎり2つ、いただいたらもう下山しなきゃ。
2019年08月21日 11:05撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
7
8/21 11:05
 そう、到着した。1898m、ここが後方羊蹄山のてっぺんだ。
 天狗君が心配しているので珍しく出してもらえました。(19B)
 おにぎり2つ、いただいたらもう下山しなきゃ。
 反対側のお鉢巡りはしない。来た道を戻ろう。
2019年08月21日 11:29撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 11:29
 反対側のお鉢巡りはしない。来た道を戻ろう。
 でも、中道は通ってみよう。どんな景色が見えるかな。
2019年08月21日 11:34撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 11:34
 でも、中道は通ってみよう。どんな景色が見えるかな。
 父釜を一番近くで見られる指定席。
2019年08月21日 11:35撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
1
8/21 11:35
 父釜を一番近くで見られる指定席。
 これは子釜、小さくて可愛い。
2019年08月21日 11:36撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 11:36
 これは子釜、小さくて可愛い。
 子釜の中はお花畑なんです。
2019年08月21日 11:39撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
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8/21 11:39
 子釜の中はお花畑なんです。
 さあ、比羅夫下山に向かいましょう。間違えたら大変だ。
2019年08月21日 11:42撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 11:42
 さあ、比羅夫下山に向かいましょう。間違えたら大変だ。
 ウメバチソウ、たくさん咲いておりました。
2019年08月21日 11:42撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 11:42
 ウメバチソウ、たくさん咲いておりました。
 母釜を仰ぎ見る。かつてどのような噴火をしたのだろうか。
2019年08月21日 11:44撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 11:44
 母釜を仰ぎ見る。かつてどのような噴火をしたのだろうか。
 これも母釜、もうこれでお別れだなあ。
2019年08月21日 11:45撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
1
8/21 11:45
 これも母釜、もうこれでお別れだなあ。
 さあ、比羅夫に帰ろっか。帰ろ〜かな、帰るのよそうかな〜♪
2019年08月21日 11:46撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 11:46
 さあ、比羅夫に帰ろっか。帰ろ〜かな、帰るのよそうかな〜♪
 シナノキンバイでしょうかね。
2019年08月21日 11:49撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 11:49
 シナノキンバイでしょうかね。
 イワブクロはここでもありましたね。
2019年08月21日 11:51撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 11:51
 イワブクロはここでもありましたね。
 高層湿原のような雰囲気をかもし出している。
2019年08月21日 11:52撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 11:52
 高層湿原のような雰囲気をかもし出している。
 おお、あれは泊原子力発電所だ。果たして再稼働はあるのかないのか。
2019年08月21日 11:54撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
2
8/21 11:54
 おお、あれは泊原子力発電所だ。果たして再稼働はあるのかないのか。
 先程の雨でますます土が柔らかく、石や木の根は滑りやすくなっています。
2019年08月21日 12:46撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 12:46
 先程の雨でますます土が柔らかく、石や木の根は滑りやすくなっています。
 エゾトリカブトとでましたがどうでしょうか。
2019年08月21日 14:23撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 14:23
 エゾトリカブトとでましたがどうでしょうか。
 行きには気づかなかったなあ。木にマジックで顔が書いてあるなんて。
2019年08月21日 14:29撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 14:29
 行きには気づかなかったなあ。木にマジックで顔が書いてあるなんて。
 そして、ここでスミレですよ。タチツボスミレ?オオタチツボスミレ?
2019年08月21日 14:59撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 14:59
 そして、ここでスミレですよ。タチツボスミレ?オオタチツボスミレ?
 「きょ」は、白かったですねえ。それにしてもこの季節にもスミレが残っているとか。
2019年08月21日 14:59撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 14:59
 「きょ」は、白かったですねえ。それにしてもこの季節にもスミレが残っているとか。
 はい、ゴールにたどり着きました。いやあ、しんどい山だった。両足の膝が笑っています。
2019年08月21日 15:17撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
8/21 15:17
 はい、ゴールにたどり着きました。いやあ、しんどい山だった。両足の膝が笑っています。
 蘭越のセイコーマートにて、北海道限定ドリンク2種類。「リボンナポリン」「ぐんぐんグルト」。スポーツドリンクは2リットル飲み干して1リットルは次の日用になりました。
2019年08月21日 16:04撮影 by  Canon PowerShot SX740 HS, Canon
3
8/21 16:04
 蘭越のセイコーマートにて、北海道限定ドリンク2種類。「リボンナポリン」「ぐんぐんグルト」。スポーツドリンクは2リットル飲み干して1リットルは次の日用になりました。

感想

 いよいよ今日はマッカリヌプリに登る。私がまだ子供だったときに父が登っていて、「めちゃくちゃきつかった」と言っていた。そして、後志管内を旅する、いや道南方面への旅においてはこの山の景観を必ず目に納めているのだ。それも子供の頃から自分が北海道を去るまでの間に。道の駅スタンプラリーも何年も行った、しりべしのみちのえきにも何度も訪れてこの景色を眺めていたわけだ。
 いよいよ今日登るのだ。

 後方羊蹄山は6万年ほど前から活動を続け大きな峰となった。最近では4000年前と1000年ほど前に噴火したとされている。しかしながら1000年前の噴火の記録は全く残っていない。北海道に文字を持つ人々は住んでいなかったのだ。
 しかしながら、それより以前に和人がここに達していたのである。そう、飛鳥時代に活躍した阿倍比羅夫が蝦夷討伐に来ており、現在の倶知安町比羅夫にたどり着いたという記録が日本書紀で見られるのだ。このときに蝦夷国を討伐しヒグマの皮など様々なものを持ち帰ったとされている。阿倍比羅夫がたどり着いた場所がいったいどこになるのかというのは未だに解明されていないようだが、「後方羊蹄」という地名にたどり着いたとあるわけだ。

 その後、江戸末期の探検家松浦武四郎により、この山を「後方羊蹄山」と名付け、近くを流れる川を「尻別川」と名付けたそうだ。昭和40年代前半までは「後方羊蹄山」「マッカリヌプリ」が併用されていたようだが、地元の倶知安町が「難読地名で読みにくい。」ということで「羊蹄山(ようていざん)」という読み方にするように働きかけ、国土地理院が昭和44年に書き直したそうである。
 なので色々な読み方で読んでも同じ山というわけだ。

 私は阿倍比羅夫に敬意を称して「比羅夫コース」にて登ることとした。まあ、4つあるコースの中でも楽な方のコースとされている。駐車場は空いているしトイレもきれい、6時10分、私は頂に向けて歩み始めた。
 10合に分かれているコースを1合30分として5時間後山頂を目標とする。そう、丸一日かけて登る山なのだ。

 実は後方羊蹄山にはヒグマはいない。全部を国道や道道に囲まれてしまっている独立峰、一度ヒグマがいなくなってしまえばもう戻ってこないのだ。なのでそこにはたくさんの哺乳類がすんでいる。私は見かけなかったがシマリスを何度も見たというハイカーにも出会ったし、キタキツネを見たという人もいた。

 合数を重ねてゆくと斜度がきつくなってゆくのは成層火山を登る常だ。そして、ジグを切って登るのも常だ。富士山でもジグザグに登ってゆく。後方羊蹄山比羅夫コースでは6合目から9合目までがジグザグに登る道だった。ヤマレコマップでカーブの数を数え「カーブ!カーブ!、あと⚪カーブ!」と数えながら登った。
 そして、8合目を越えたところで嫌な雰囲気を感じた。急に風が冷たくなったのだ、「来る!きっと来る!!」
 そう、9合目で一気に雨が振りだした。ここでの選択肢は「下山する。」「山行を続ける。」「避難小屋に行く。」の3つである。

 後方羊蹄山は「後方」である。ということは「前方」もあるのか、というとあるのだ。2つの目立つ山があると人は必ず男女にするものだ。筑波山しかり阿寒岳しかり、アイヌはこの山を「マッカリヌプリ」と読んだり「マチネシリ」と読んだ。この「マチネシリ」こそ「雌岳」であり、近くに「ピンネシリ」という「雄岳」があるのだ。この地におけるピンネシリは「尻別岳」である。そして、ほとんどの山は「雌岳」の方が高かったり大きかったりする。そして、この尻別岳こそ「前方羊蹄山」であるのだ。
 子供を産むという女性に対する崇拝が日本ではどこにでもあったのだろうと思う。そしてその考え方は和人もアイヌも持っていた共通点ではないかと考える。

 9合目で雨に降られた私は、気象庁のホームページを携帯で開いて雨雲を確認する。長く続く雨ではないと確認したところで、私の選択は「山行を続ける。」であった。ザックカバーをつけ、長袖一枚はおる、これで十分だ。10分後にはもう雨は止み着た長袖が鬱陶しくなってきた。なので、9合目からの花畑も撮影は帰りにすることとなった。
 火口のお鉢にたどり着き、私はまた半袖一枚に戻り、デジカメを首から下げた。ここからお鉢巡りをして反対側に山頂があるのだ。そこに向けて私はてけてけと歩き始めた、本日初の爽快な稜線歩きだ。

 現在、後方羊蹄山は5つの自治体の境界となっている。倶知安町、ニセコ町、真狩村、京極町、喜茂別町の5つだ、しかしながらニセコ町から登る道はない。他の町や村には登るコースがある。ちなみに、5つの町や村は平成の合併などでも合併が一切なかったのである。それだけ産業がしっかりとしているということだろうか。
 各町や村で特産品があったり、それを販売する道の駅があったり(倶知安町だけない。)する。

 母釜、子釜、そして父釜、なぜか周りは見えないが火口のみ見ることができた。北海道の山に登っているがずっと霧だ小雨だ、展望が本当にない。
 でも、そんな中でも、いよいよ山頂となれば気分が高鳴るものだ。あと100m、50m。そして私は、山頂にある名標にタッチした。ちょうど登り始めてから5時間であった。
 累積標高差1550mよく来たなあ。そしてたまには19Bでも出してやるかと。人が多かったら恥ずかしくてなかなかできない。おむすび2つかじりながら、私を抜いて2時間弱で来たという強者と話をする。地元北海道の人だった、しかも隣の高校に通っていたらしい。
 下りも大変だろう、とおにぎりを食べたらすぐに私は下山を開始した。

 下りは膝をにこにこと笑わせる。足を下ろす度に膝頭がつんと痛む。スポーツ膝にならなければいいなあと思いながら「車の中にある湿布を後で貼ろう」と思いながら下ってゆく。
 4合目にたどり着いたところでトレラン2人組が登ってきた。ここまで25分で来たそうだ。それは素晴らしい、お二人は軽やかに山頂向けて登っていかれた。
 1合目からの下り道では私はモンシロチョウやジャノメチョウを狙いながらゆっくり降りてきた。これらの生き物を育て、生きる場を与えている巨大な峰に賛辞を贈りながら。
 15時過ぎ、顔もにこにこ、膝もにこにこ、おにぎり2こ2こと、にこにこ一杯で車にたどり着いた。

 水分補給は蘭越のセイコーマートにて、北海道限定ペットボトルが108円と財布に優しかった。
 次の日、大丈夫なのかと思いながら道南の道の駅で体を休めた。とても車内でレコを書く気にならなかった。
 

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コメント

今回3座目ですね
ヒグマがいないと聞いて
俄然と上る気になりました
いつか北海道遠征する日が来たら行ってみます
2019/8/23 12:44
Re: 今回3座目ですね
 cyberdocさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
 後方羊蹄山は子供の頃から見ていた山であり、それだけに感慨深かったです。成層火山で火口が山頂に3つもある景色は珍しいと思いました。是非登ってみてください。
 ちなみに、北海道シリーズは後で3レコで終了になります。そしてその中に深田百名山はないです。来年以降の宿題に幌尻岳、トムラウシ山、利尻岳を残してしまいました。
 aideiei@秋田県でした。
2019/8/23 14:58
ニコニコ読ませて頂きました
aiさん
ニコニコ楽しく読ませて頂きました。 北海道の山の紹介の本を読んでいるようです。登り甲斐のある山ですね。がニコンでないのが残念?!
タチツボスミレは北海道から沖縄まで咲いているようです。
昨日、大天狗様が19Bが来ないと心配していたので、でっかい道に行っていると報告してきました。
hamburg
2019/8/25 17:00
Re: ニコニコ読ませて頂きました
 HBさん。こんにちは。コメントありがとうございます。
 返信遅くなって申し訳ないです。
 現在、羊蹄山以上に足がにこにこしています。すさまじい山でした。これについては、近々レコをあげる予定です。
 aideiei@富山県でした。
2019/9/16 4:15
aideieiさん、
こちらも遅コメですm(__)m

雨にバシバシ降られなくて好かったですね。

シリベシ(拙宅ではこう呼びます)には四方向から登山道が伸びていますが、半袖隊は真狩コースをピストンしました。

できればピストンではなく、登りと降りで登山口を変え、将来的には山頂で十字を切りたい…と思っています。
しかし下山してからバスがある訳でなく、実際には難しいんですよね

  隊長
2019/9/14 13:09
Re: aideieiさん、
 半袖隊長、こんにちは。コメントありがとうございます。
 なかなか厳しい山でした。百名山に関してはもう楽な山は残っていないなあというのが心境です。北海道も厳しい山を3つ残してしまいました。
 この山に関して登山口と下山口を変えるならば、当日も比羅夫コースにタクシーで来ている人もおりましたのでタクシー利用かマイカー+自転車辺りだったら可能かと思われます。
aideiei@富山県でした。
2019/9/16 4:31
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