白根三山縦走<北岳・間ノ岳・農鳥岳>(テント泊)
- GPS
- 55:31
- 距離
- 23.2km
- 登り
- 2,438m
- 下り
- 3,119m
コースタイム
- 山行
- 5:00
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 5:20
- 山行
- 9:15
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 10:25
- 山行
- 2:55
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:55
天候 | 1日目:曇〜雨、2日目:霧雨〜薄曇〜雨、3日目:晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
平日なので奈良田駐車場→広河原のバスは8:42発。1,030円+200円を乗車時にバスの車掌さんに払いチケットを受領。但しチケットは降車時に回収されました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
西農取岳〜農鳥岳間に岩場あり。鎖等の補助がないので要注意。 大門沢下降点〜大門沢小屋の登山路は一部崩落あり。また、ウェット状態だと非常に滑りやすく、コースタイム通りに行かない可能性あり。 |
その他周辺情報 | テント代:北岳肩ノ小屋700円、大門沢小屋500円 ビール代:北岳肩ノ小屋1000円(生)、大門沢小屋500円(350缶) 奈良田温泉:女帝の湯550円(9:00から営業してます) |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
雨具
予備靴ひも
行動食
非常食
調理用食材
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
ファーストエイドキット
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
タオル
ストック
テント
テントマット
シェラフ
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感想
【プロローグ】
前回7月に北岳に登った時に、間ノ岳方面の縦走路があまりにもインパクトがあったので、今回、白根三山の縦走を決行することとしました。
しかし、テントを担いで3,000メートルの縦走路をめぐるには当方の体力が持たないため、荷物を軽量化すべく思い切ってテント自体を買いかえてしまいました。ニューテントはNEMO Atom 1P、これで1キロの軽量化が図れました。その他、水は肩ノ小屋で購入することとし、プラティパスには半分の1リットルのみとすることでさらに1キロ、計2キロの軽量化で臨みます。
プランは、初日で北岳肩ノ小屋まで上がり、2日目に3山縦走して大門沢小屋泊、最終日は朝のうちに奈良田におり温泉でさっぱりする予定です。
【1日目】
朝2時に千葉県印西市の自宅を出発し、6時過ぎに奈良田温泉の駐車場に到着。バスまでは時間があるので、後席を倒して仮眠をとる。
平日なので駐車場はガラガラで、バス停に並んだのは3名のみでした。お隣の方は3泊4日でやはり白根三山、本日は白根御池泊とのこと。本日、天候はあまり良くなく、かつバスの時間が遅いため登山開始が10時ぐらいになることから、当方の心が揺らぐ。「自分も御池にしちゃおうかな・・」と、行程の変更を脳内計算する。
8:42ぴったりにバスが到着。予想に反し普通の路線バスでした。こんな大きいバスで林道をいけるのかとすこし感心。車内は幸いなことにガラガラで、車窓を眺めながら先ほどの宿泊地変更を検討。
広河原インフォメーションセンターに到着し、靴紐を締め、9:30登山開始。想定よりも30分早く出発できたので、肩ノ小屋には15:30には到着できるかな?
7月に来た時と同じ大樺沢→右俣コースなのでうまくペース配分でき、11:55に二俣に到着。ここまでノンストップで2時間25分、まずまずです。しかし、天気は予想通り芳しくなく、いつ雨が降り出してもおかしくない。ちらっと御池方面の道を見るも、「ここまでいいペース、雨が降る前に肩ノ小屋に行けるかも」と考え、ザックを担ぎ二俣コースに進む。以降、軽量化の効果か脚が売り切れず、小太郎尾根に出る。ここで雨がポツポツ降り出したため、雨具の上だけを着て、肩ノ小屋までスパート。14:50に小屋に到着と同時に本降りとなった。ここまでの所要時間は5時間20分、前回は5時間50分でしたので、30分の短縮です。軽量化の効果ありました!
雨の中、今回はメイン・サイトにテントを設営。ササっと中を整理して、千円札を握りしめ、小屋に生ビールを買いに行く。7月は900円だったのに、今日はなんと100円アップの1000円。消費税増税の早取りなのでしょうか?いずれにしても危なかった。900円玉を握りしめていたらフライト・リターンするところでした。
無事、生ビールを購入し、こぼれないように慎重にテントサイトを下り、無事乾杯!眺めは全くありませんが、段々このシチュエーションに慣れてきました。まあ夏の夕刻は大体ガスがかかってしまうのでしょう。
夕食は昼用に買っていた7−11の塩おにぎりときつねどん兵衛のリフィルで簡単に済ませ、明日の三山縦走に備え、18:30に就寝。
【2日目】
3:15に起床。外は暴風雨です。テントが風でゆがみ、「ちょっと、これでは出発できなさそうだなあ」と今後の身の振りを考える。当初は5:00出発の予定でしたが、とりあえず朝ご飯を食べて、明るくなって雨が小康状態になるのを待つこととする。
5時ごろテントの外が明るくなり始め、フライを開けると富士山がぼんやりと見えます。外に出るとテントを撤収中の方もいて、当方も出立を決意。テントをたたんでいる間に日の出時刻を迎える。段々とガスが晴れてきて、いい感じになってきました。
無事、日の出と富士山を拝み、5:35出発。進む先の北岳はガスで全く見えません。強風と濃い霧でメガネに水滴が張り付き前が全く見えません。こんな状況で農鳥岳を越えていけるのか、かなり不安。
6:10、北岳登頂。この間登ったばかりなのと、この悪天候のため、感動はほとんどなく、ザックを背負ったままで記念撮影をしていただく。
間ノ岳方面も残念ながら絶望的な眺望。自然相手なので仕方ないと諦め、北岳山荘方面に進む。「このまま大樺沢から降りてしまおうか・・・」と考えていると、段々とガスが抜け、20分程度で眺望復活。俄然気分が盛り上がり、間ノ岳に歩を進める。
9:00に念願の間ノ岳に登頂。風は相変わらず強いが、ガスは抜け展望が開ける。南ア南部の山並、仙丈ケ岳、甲斐駒、富士山、遠くは中央アルプスや北アまで眺めることが出来ます。写真を撮っているときに、熊ノ平から2人組の方々がこられ、無事記念撮影をお願いすることが出来ました。
眺望を堪能したので、農取方面に出発。はるか下方に農取小屋が見える。ここから登山者の数がぐっと減ってきて、いい感じです。それにしても間ノ岳〜農取岳の稜線も素晴らしい眺めです。個人的に白根三山で一番の眺めだと思います。
時折晴れ間も覗くようになり、農取小屋で雨具のズボンを脱ぐ。当方の雨具は釣り用の安物なので、ズボンの脱着には一旦靴を脱ぐ必要があります。本当はモンベルのゴアテックスのものが欲しいのですが、先立つのもが・・・。それでもこの雨具のAQUA MAXというなんちゃってゴアの性能、悪くはないです。雨はもちろん入ってこないですし、今日のような寒い強風時では汗で蒸れることもなく、中のメッシュは常にサラサラです。雨の山行をなるべく避けるというのであれば、この雨具もありかと。
それにしても、時折小屋の中から何か騒いでいる様な大声(奇声)がしてますが、一体何が起こっているのでしょうか?事件?
さて、気を取り直して西農取岳に向かう。結構な急登で、脚に負担を掛けないようにゆっくり進む。振り返ると間ノ岳の絶景、しばし見とれる。これまでの疲れが吹っ飛ぶ感じです。来てよかった!
11:30に西農鳥岳に登頂。いつものように広河原方面からガスが登り始め、展望は悪くなる兆候。休憩をとっていると、農取方面からソロの方が通過していきました。以降、本日のテント場の大門沢までの4時間半、誰一人目撃することはありませんでした。完ソロでした。
地図を確認すると、今度の農鳥岳まではフラットなトラバースでコースタイムは40分。楽勝だなとザックを担いで出発するも、そんなことは全くありませんでした。このコース、岩登り区間があり結構テクニカルでした。「ここ、鎖の設置が必要なんじゃないのか?」特に農鳥からの逆ルートは岩場を下る必要があるので、要注意かもしれません。
12:20、農鳥岳に到着。これで白根三山完登です。すこしの達成感とこの後に控える激下りへの不安で、複雑な感じです。展望は殆どないため、すぐに農鳥岳を後にして下り始める。
それにしても大門沢下降点までのルートは月面を歩いているような感じです。完ソロであることも合わせ、何か冒険している感じです。
13:05、大門沢下降点着。白根三山の終着地です。鐘を2回鳴らして縦走路に別れを告げ、いざ大門沢へ。下山路を覗き込むと、飲み込まれる様な嫌な予感。最初はハイマツを漕ぐ狭い道。何か出てきたら怖いのでクマ鈴を装着。これを抜けると、大石と木の根の急坂下り。おまけに雨まで降ってきたので、道が非常にスリッピー。普段は下山時に転ぶことはほぼ無いのですが、今回は派手に大声を上げて転びまくり。本当に怪我がなくてよかった。ここで行動不能になっていたら、しばらく発見されない恐れありです。
2200メートル付近で大門沢の源流が見えてきた。あと500メートル、道は幾分穏やかになってきたものの依然気が抜けず。5時半から大休憩をとらず歩き続けてきたことと、だんだん暗くなってきたことから、心身ともに衰弱してきた。何とかこらえて下っていると、眼下に青の屋根が見えてきた。
16:00、無事大門沢小屋に到着。「やっと着いたよ!」と少し声を上げてしまいました。受付で500円を支払いテント設営に向かおうとした時、大雨が降り始めてきた。仕方ないので、小屋前の軒下でテントを仮組し、その状態でサイトに移動。濡れたものをタオルで拭き上げ、テント内を整理した後、水場で頭から水をかぶり、気持ちをすっきりとさせた。水量が豊富なテント場はこれが出来るのが良いです。
身ぎれいにした状態でビール(一番搾り、500円也)を買い求め、念願の乾杯タイム。体に染み入ります。今日はかなりハードでしたので、ビールの旨さも格別です。ということで、2本目(スーパードライ、500円也)を追加で買い求め、第二ラウンド。濃霧の中、眺めはないですが、本日の行程が無事に終わったこと、及び明日は奈良田まで下るのみで先が見えてきたことから、気持ちが緩む。
それにしても1700メートルのテント場なので気温は20度と温かい。Tシャツとパンツといった出で立ちで、夕食を頂く。それにしても、時折近傍のドラム缶から「ボコッ」という大音が響く。最初は音の原因に気つかず、何が爆発したのかとはっとしてしまいました。
夕食後、持参のウィスキーと南アルプス天然水でちびちびやり、20時に就寝。
【3日目】
4:30に起床。外は晴れており、星空とうっすら富士山が見える。本日の行程は奈良田までの2時間半の下りのみのため、カロリーメイトとコーヒーで軽い朝食を頂き、撤収準備。
5:45、青空の中「さて、帰りますか!」と出発。程なく、丸太が架かる渡渉ポイント。雨上がりで丸太がすべりやすいので、慎重に歩を進める。それにしても昨日の激坂と異なり、気持ちの良い下山路。天気が良いせいもあり、木漏れ日の中、口笛を吹きながらリラックスモード。それでもいくつかある渡渉点の1つで、川中の石に足を滑らせ、危うくずぶ濡れの刑に合いそうな場面もありました。
暫く歩いていると、つり橋や貯水池などの人工物がちらほら見えてきて、今回の山行の終わりを感じさせる。ダム工事の途中で放棄されたようなだだっ広い場所に出てうろうろしていると、小さい「登山路」看板を発見。これに従って進みましたが、森の中にピンクテープを見つけ、少しそちらの方に迷い込んで時間をロストしてしまいました。余裕のある今だから良いですが、昨日まっすぐ奈良田に降りるような状態であれば、日暮れと霧の中、心が折れたかもしれません。後は黙々と歩き、眼前に舗装路が見えてきました。今までの張りつめていた気持ちが緩む瞬間です。
発電所を通り過ぎ、8:40、無事奈良田温泉の駐車場に戻ってきました。奇しくも、一昨日、広河原行きのバスの出発時間であり、程なくバスがやってきました。何となくフラッシュバックした気分です。恒例の車の前での記念撮影を行い、温泉地の駐車場に車を移動させ、「女帝の湯」でさっぱりとしました。平日で、かつ9時のオープン丁度に訪れたため、当方独り占めでゆったり出来ました。
三ツ矢サイダーを飲みながら、青空の温泉街の小道を歩いていると、達成感と充実感で一杯になります。歩きながら、ふと横を見ると、柱に何かシュールな絵が彫られているのが目に飛び込んできました。三ツ矢サイダーを股に挟みスマホで撮影。今回の〆はこの絵かな。「さて、帰ろうか!」。
【エピローグ】
結構、日に焼けてしまいました。殆ど晴れることがなかったのにこれだけ焼けてしまうとは。これ、もし晴天下で歩いていたら大変なことになっていたかも知れません。夏の山行は、意外とガスがかかっていない曇天がベストかもと考えてしまいます。
台風が接近しており、週明け関東地方に来るようです。ただでさえ荒れ気味の大門沢の登山路が被害に合わないことを切に祈っております。あの道、あれ以上荒れたら、完全に心が折れてしまいますので・・・。
次は1泊で八ヶ岳あたりに行ってみたいな。
肩の小屋まで行けたのですね。いいですね!
自分は日和って、いえ最初の予定通り白根御池小屋でした。w
ニューテントいいですね。とくに前室が広いのは重宝しますよね。
自分も検討しようかなぁ
お互い無事山行を終えることができ、何よりでした。晴天の下のテント泊と稜線歩き、うらやましい限りです。私の方は雨、霧、曇天でした・・・。今後は栃木方面の山に行きたいと思っております。
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