梅雨の合間を縫って 初夏の北アルプス焼岳 ピーク直前で撤退
- GPS
- 06:10
- 距離
- 14.6km
- 登り
- 1,061m
- 下り
- 1,072m
コースタイム
天候 | 晴れ〜夕方少し曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
上高地BTに登山ポストあります。下山届は不要との事です。 ひたすら樹林の登りが1時間以上続いた後、ちょっとドキドキ箇所としては、距離は短いですが下がスケスケのメッシュの足場板渡り、3本連結された長い垂直梯子がありました。 沢渡の駐車場辺りには、天然温泉併設の所があちこちあるようです。 少々離れていますが、乗鞍高原経由で、白骨温泉もあります。 |
写真
感想
土日の予報は暫くぶりの晴れでした。
梅雨に入ってから、台風が来たり、気候が安定せず雨も多くなっていますが、
毎年この時期はあまり登れて居なかったので、貴重な機会です。
土曜は、午後から組合の会合がありましたが、終わって直ぐに、気になっていたザックを見に、東京へとすっ飛んで行っていました。
ザックのデビュー戦を兼ねて、日曜に登る山の候補を3つ程絞り込んでいましたが、まずは、これからのシーズンで登るかもしれない高山、北アルプスの入口へと向かう事にしました。
沢渡でバスに乗り換え、久しぶりに訪れる上高地は、淡い新緑の色もきれいで、残雪を纏った山々が高く高くそびえていました。白い河原に、蛇行を繰り返す梓川の清流も、澄んだ青で、清清しい気分にさせてくれます。
GW以降天候悪化による遭難のニュースが気になり、つい色々詰めてるとパック重量15kg程と日帰り行程の割にちょっと張り切り過ぎた気もしましたが、そんなに長い行程でもないし何とかなるさ、と暢気に構え、焼岳へ向けてスタートを切りました。
最初はゆっくり進んでいましたが、まだシーズンちょっと前という事もあってか、日曜ですが人もそんなにごった返す程はおらず、川のせせらぎの音や、鳥の声を楽しみながら日当たりの良い散策路を楽しみながら行けました。
途中目にする穂高の峰々。神々しさすら感じます。
あまりに山塊が巨大過ぎて、縮尺感が狂って低めに見えてしまうパターンでした。それでも目測で標高差1000mは超えてるな、という感じでしたが…
写真を撮りながら橋を渡り、川沿いに進んで行くと人も居なくなりました。
上高地BTから1時間弱、焼岳登山口に着きました。川沿いの車が通れる道から、
併行して斜めに森の中へと道が続いています。
そちらに歩を進め歩いて行くと、程々に明るい樹林の中でした。いつものホーホケキョに加えて、チュンチュンとかピョローチチチチチとか、いろんな鳥の鳴き声が聞こえてます。
ほとんど平地の緩い登りをゆっくり進んで行くと、段々傾斜が着いて来ました。
火山という事では同じですが、何だか岩手山の麓の森を思い出す風景でした。
何人かの人に追い抜かれながらもゆっくり登って行くと、不意に目の前にドンと岩壁が出ました。この岩壁沿いに、左手方向へと道は続き、何やら工事現場の足場板の様な橋が架かっています。そのすぐ手前に行ってみると、結構高度感アリと言うか下もスケスケで、左右に手摺もなく頼りなさげなロープが(それでも無いよりはマシですが)右手側にかかっているのみです。ここの手前で一度荷物を降ろして休憩しました。ついウッカリでもフラッと来て踏み外したりしたらえらいこっちゃですし。
振り返ると、上高地が下に見えています。お向かいは六百山でしょうか、目の高さはまだまだ向こうの山の下半分の方で、そんなに登れて無い様にも見えました。いーやきっと縮尺のせいだ、と自分を元気付け、近くに咲いていた黄色い花を見て和みつつ、荷物をしっかり背負いなおして橋を渡りました。
森の中では、ご多分にもれず虫が沢山目の前を飛んでいましたが、ここらのコバエだかアブだか、着いてくる上に目や耳に飛び込もうとする習性のあるのが居るみたいで、牛になった気分でペチペチ払いながら進みました。
そこから進んでいくと、溶岩流が作ったと見える沢を見下ろしながらの、狭い高巻きの道の様でした。梯子も1本出てきました。一度怖さを感じてしまうと、ちょっと及び腰になって割と何でも無い所まで余計怖く感じてしまう事もあります。梯子を登った後、難所通過後の方がハイになったままでも油断しがちなので、一度止まって呼吸を整え直してから進みました。小さな梯子を3回登り、ちょっと開けた草原の様な緩やかな登りにでました。
いやーしかし荷物の重量がジワジワと堪えます。登りの平均コースタイムを大分オーバーしてしまっている感じでした。草原を進むと、道は目の前の崖の上へと続き、長い梯子がかかっているのが見えます。…これが噂の長梯子か…高い。落っこちようもんならタイヘンです。下まで行ってみると、高さは逆に低く見えるものの、完全に垂直の梯子でした。梯子の連結部など途中手をかけづらい箇所もありましたが、焦らず着実にスタンスを見て3点支持を守って登っていれば、どうという事はありませんでした。どうせ手元足元以外見えないし…
梯子を超えて、短い急な鎖場を登り角を曲がると、やっと稜線が見えて来ました。向こうから来たお兄さんが、「あと15分〜20分で小屋ですよ」と教えてくれました。元気出てきました。最後は開けた草原をジグザグに登りますが、もう結構シンドイ事になってて、遅々として進めません。ただ時々風がわたり、道端に生えているコイワカガミが揺れている景色が和ませてくれました。
程無く、焼岳小屋に到着。午後1時。標準タイムを30分程オーバー、3時間チョイかかってしまっています。地図によると、ここから山頂まで1:10。とてもこのペースだと、17時のバスには間に合いません。下りもまた梯子や橋を渡るし、それ以外難所は無いにしても、遅くとも2時にはここから下山開始したい所です。
まーまずは休憩、ザックを下ろして小屋で買い物。ご主人に焼岳山頂までピストンしたいけどザックをデポらせてもらえないか、と交渉してみた所、邪魔にならない所なら、と了承して頂けたので、外の隅っこの方に置かせて頂きました。
チェストバッグに紐を付けポーチにして、レインウェアと地図コンパス等必要最低限の装備して、ピークへ向けいざ出発。
登り始めると、体の軽い事…同じ感じで上げようとしても、足が軽快に上がります。ペースを3倍ぐらいにしても運動が継続出来ます。ドラゴン○ール風に言うなら「はは!軽くなった軽くなった!」って感じでした。去年はこんな軽さで登れていたのでしょうか…15kg侮り難し。真剣にダイエットのモチベーション上がりました。
新中尾峠を登り、焼岳展望台へ。ガスがシューとそこらの草の間からモクモク出ていました。目の前には、見上げれば荒々しくも力強い岩だらけの焼岳。振り返れば、雪をかぶった錫杖岳方面や、上高地を見下ろす北アルプス南部入口の壮大な眺め。ここまででも来た甲斐がありますが、どうせなら行けるとこまでは行きたい。
鞍部へ降りると草原があり、岩がありました。その上にはコイワカガミの群落。白い釣鐘状の小さな花も見えます。ツガザクラ…たぶんイワヒゲでしょうか。
ここからは岩場の登りです。ですが、重りを外して身軽な状態、俊足で登って行きました。最初から荷物あまり沢山持って来なきゃピークにも余裕でいけたのに…まあでも、何があるか分からないのが山ですし、失敗を押して進むよりは、次回の為の糧にする方が…噴火でもすれば別ですが(汗)、基本、山は逃げません。
かなり遠く見えたピークも、想像以上のペースで登れたので、硫黄の噴煙上がる場所等を超え、もうピークまであと10〜20分ぐらいか、と見える所まで来れました。上から、外国人のカップルさんが降りて来ました。海外のトレッカーさんはかなり軽装でスピーディーに行かれてるケースを良く見ます。この機を逃すと写真を撮れる機会が無さそうなので、声をかけ、ついでに写真を撮ってもらえないかとお願いしてみました。
「Would you mind if I ask you to take my photo?」「Sure.」
快諾して頂けました。笑顔の爽やかな親切な方でした。
そこから登る事数分、降りると決めた時間になりました。遠くでは少しガスがかかっています。荒涼とした風景にガスがかかると幻想的…みたいな表現をどこかの紀行文で見ましたが、開けてる場所だと、道迷いしそうでちょっとコワいかも。
たとえピークに行っても、今度はバスの時間を気にして焦って降りたらロクな事になりそうにない気もします。17時が最終だし…勇気を持って、撤退する事にしました。
別にピークだけが目的じゃないし、途中の行程全てが目的地ではありますが、正直、ここまで来て…ピークハントしたい気持ちが無いかと言えば、そんな事はありません。そりゃ行きたいです。
でも、安全第一。この一抹の悔しさも、次来た時にはきっとより大きな喜びに変わる事でしょう。写真を数枚撮って、下り始めました。
小屋まで戻って麦茶を購入。生き返るうまさでした。残りのおにぎりを平らげ、帰りの行程には少々多すぎる水も飲んでしまい、ザックの中身を整え直して2時10分、出発しました。下りはペースが稼げる事・・・登りの倍速以上の感じでした。難所も一度超えてしまうと、上から見ると却って落ち着いて俯瞰出来て、そう難所でもないな、という事に気が着きました。やっぱり先が分かる、というのは安心感に繋がります。
心肺機能が十分追いつかず、でしたが、足は体が重くなった分鍛えられてか(?)、脚力持久力共に十分の様で、少々重い荷物でも全然膝プルプルとかは来ていませんでした。長い樹林を抜けて、登山口まで降りてくると3時半頃。1時間半かかりませんでした。今度は標準コースタイムを30分切ってます。やっぱり荷物だったか…
これなら十分ピークハントも出来ましたが、まあいいや、代わりに初夏の綺麗で涼しげな上高地が散策出来るし。
ベンチに腰掛けて、ちょっと休憩。山友さんに電話を入れて山行報告をした後は、足をモミモミ。
先週会社に田部井淳子さんが講演にお見えになり、ネパールやエベレストの自然環境の変化の事などお話されましたが、途中でツボのマッサージの話もちょっとされていました。その話等を思い出しながら、あちこちマッサージしていると、大分こわばりが出てた部分の疲れが抜ける感じで快適でした。
それから上高地を散策。川のせせらぎが本当に心地良い。さっきまで居た焼岳も俯瞰で見上げる事が出来ました。森に入ると、木道があったり沼の様な水たまりがあったり、黄色い花が咲いていたり。ここら独特の明るい雰囲気があります。
綺麗な蝶なんかも飛んでいました。
梓川の河原に降りて冷たい水に手を浸したり…
存分に周囲散策を楽しみ、17時発の最終バスに乗りました。
沢渡では茶嵐から沢渡大橋まで4、5箇所停留所がありそれぞれ駐車場がありますが、自分が停めたのは一番下、終点までゆったりしました。見ると、天然温泉が併設なので、汗を流して行く事にしました。
こじんまりとした感じですが、サッパリしたお風呂で、単純温泉ですが源泉かけ流しのお湯でした。露天に出ると、眼下には蛇行する梓川の流れ。そして見上げればここら辺の急峻で高い緑のモコモコ山が連なっています。湯に浸かった瞬間の心地よさと言ったらありません。「あ゛ぁ゛ぁ〜〜」声が出ます。おっちゃんですしw。湯上り着替えてサッパリした後、帰路へ。
松本・諏訪で食事出来る所を探しました。「とんこつ、濃厚、こってり自慢」等の文字が並んでるラーメン屋さんが見えました。猛烈食欲が出てる所にこれは恐ろしい誘惑です。「ぐぅ、負けん、負けんぞ!」何とか振り切りました。今は野菜の気分です。それもガッツリ野菜食べたい。チャンポンなんかいいかなと思って検索するものの、界隈には無い様でした。「野菜野菜野菜ー!」何だか肉食系っぽいガツガツ草食系になりました。
そう、信州といえば味噌です。サービスエリアのフードコートで物色していると、豚汁うどんが目に着きました。ゴロゴロした野菜が入ってる様です。これにすっか…最後の汁まで残さず頂きました。後は、熱々の野沢菜おやき。油で炒めてある様で、高菜みたいでこれもまた香ばしくて◎、でした。
ゆっくり休憩を取って帰り、今年の北アルプスデビュー山行をしめくくりました。
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