南アルプス北部縦走(仙丈ヶ岳、三峰岳、間ノ岳、北岳)
- GPS
- 30:19
- 距離
- 29.9km
- 登り
- 2,937m
- 下り
- 3,448m
コースタイム
- 山行
- 6:36
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 7:10
- 山行
- 8:33
- 休憩
- 1:17
- 合計
- 9:50
7:27北沢峠-10:20仙丈ヶ岳-10:47大仙丈ヶ岳-14:05野呂川越-14:41両俣小屋
10月6日(日)
3:53両俣小屋-4:31野呂川越-6:58三峰岳-7:54間ノ岳-9:15北岳山荘-10:26北岳-10:59北岳肩の小屋-12:16二俣-13:41広河原
天候 | 10月5日(土)快晴、無風・微風 10月6日(日)晴れ後曇り、無風・微風 |
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過去天気図(気象庁) | 2019年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・北沢峠-仙丈ヶ岳 登山道明瞭で、登山者多い。迷うところなし。 ・仙丈ヶ岳-仙塩尾根-野呂川越-両俣小屋 登山者は大仙丈ヶ岳まで往復の人はいるものの、その先はほとんどいない。この日見掛けたのは1名のみ。登山道の整備状態は良く、下草の刈り払いや枝打ち、倒木の処理などは完璧になされている。ただ、ハイマツが生い茂っていて、一部登山道が見えにくいところがあった。 ・野呂川越-三峰岳 相変わらず登山者はほとんどいないが、登山道の整備状態は良い。一箇所ロープと鎖のかかっている箇所あり。 ・三峰岳-間ノ岳-北岳 天気が良ければ快適な稜線歩き。登山者は間ノ岳から北岳は多い。 ・北岳-肩の小屋-二俣-広河原 登山者多く、登山道明瞭。二俣より下部は沢伝いに歩くため、濡れた岩などで滑り易い。 ・両俣小屋 空いていて快適。携帯は使用不可能。 |
予約できる山小屋 |
北沢峠 こもれび山荘
|
写真
感想
7年前の2012年の同時期に今回と同じルートで歩く予定だったが、2日目が雨天のため、両俣小屋から林道歩きをし、野呂川出合からバスで広河原に戻った。今回は2日間好天に恵まれてようやく歩ききることができた。詳しくは以下に。
10月5日(土)
好天予報の土曜日なので、仕事が忙しくて寝不足でも寝てはいられない。深夜クルマを飛ばして芦安の駐車場へ。芦安は4年ぶり。途中の道を憶えているか心配だったが杞憂だった。現地に着くと例の如く深夜早朝にも関わらず誘導の人が。有り難い。無事クルマを停めて準備し、テント泊用の装備と2日間の食料を詰めたザックを担いでバス停に向かう。例年タクシーのほうが速いのでそちらを利用するが、始発は既に満員。まだ朝4:30なのに、である。仕方なしにバス停に向かうがこちらもすごい人。既に100人くらい待っている。これだけの人を見てもう帰りたい気分。バスに本当に乗れるのか分からないがとにかく待つことに。すると始発のバスには乗れなかったが、甲府から来るバスに座って乗れた。これは助かった。広河原まで寝ていける。バスは座れたら御の字。立ちの人も多数だった。同じ運賃払ってこの差は何?と思ってしまう。同じマイカー規制をしている上高地などとは相当差があると言わざるを得ない。とにかく座れたので、寝て体力を温存。定刻に広河原に着いた後は北沢峠行きのチケットを買ってバスに乗り込む。こちらも座れた。当然寝ていく。北沢峠行きは、時刻表に関係なくピストン輸送していた。そうでもしないとさばききれない人が来たのだろう。結局始発のバスよりも早い時間に北沢峠に到着。トイレを済ませ、GPSの電源を入れて7:27に行動開始。
仙丈ヶ岳は昨年11月以来。しかも歩き慣れた北沢峠からなので、今更書くこともあまりない。いつもと違ったのは、とにかく人が多かったことだろう。人の列が切れない。夏の富士山にでも登っている気分。でもとにかく先に進む。今日の目的地は仙丈ヶ岳ではなくて、そのもっと先の両俣小屋なので、登りで足を攣らせたりしないよう、ペースは落とし気味に歩く。それでも周りのペースが遅いのか、続々抜いて先に行く。ゴールが遠いので、周りと同じペースでのんびり歩いていたら、テントを張る時間が夜になってしまう。樹林帯を抜けるまでは風もなくて暑さを感じたが、標高を上げて樹林の外に出ると涼しく、歩いていてちょうど良い加減。天気快晴。お隣の甲斐駒ヶ岳や鋸岳などがよく見えた。左手には富士山、北岳、間ノ岳の日本の標高1-2-3が見える。この山ならではの景観。小仙丈ヶ岳まで上がると前方にカールが見える。いつ来ても、いつ見ても美しいと思う。快適な稜線歩きだが、如何せん人が多過ぎる。そしてその人が山頂に群がっているのも見て取れた。先に進むのが嬉しいやら、恐ろしいやら。10:20に仙丈ヶ岳到着。山頂はすごい人。座る余地がないし、何より騒々しくいので、写真を撮って仙塩尾根の縦走路にさっさと向かう。メインから一本離れただけで別世界のような静寂だった。
仙丈ヶ岳を背にして大仙丈ヶ岳を目指す。先には人の姿が見える。仙塩尾根を歩く訳ではなく、大仙丈ヶ岳をピストンする人のようだ。それでも仙丈ヶ岳にいる人と比べたら100分の1とかそれ以下ではないかと思う。10:47大仙丈ヶ岳到着。先のピークでは水も食料も何も取れなかったので、ここで座って大休止。左手には仙丈ヶ岳、前方には甲斐駒ヶ岳、右手には北岳と間ノ岳。素晴らしい眺めである。ほとんど人がいないのが信じられないくらい。ここでゆっくり休んでから今日のメインである仙塩尾根に取り掛かる。大仙丈ヶ岳までは曲がりなりにも人がいたが、この先には人の姿は見えない。好天の土曜日にも関わらず人が少ないのは、やはり目立つピークがないからなのだろうか。大仙丈ヶ岳から1時間ほどは樹林帯の外にいて展望もあり、紅葉もきれいだった。今年はどこに行っても紅葉がイマイチで、ハズレ年の様相だったが、仙塩尾根は所々でいい感じに色付いていた。だがそれ以降は樹林帯に入る。眺望は得られない。そして通称「バカ尾根」の名のとおり、歩いても歩いても標高は下がりも上がりもしない。歩き易いと言えばそれまでだが、やはり冗長に感じる。途中伊那荒倉岳と横川岳の地味なピークを過ぎ、野呂川越にようやく到着。ここから300メートル弱下ると今日の目的地の両俣小屋に到達する。今日300メートルくだると言うことは、明日300メートル登るので、全く楽ではないのだが、他に選択肢もないので致し方ない。それ以上に、両俣小屋は静かだし、水も豊富なのでくつろげる小屋だと思う。急な斜面を転げないように下り、最後は沢沿いを平行移動して無事両俣小屋に14:41に到着。自分はテント泊なのでテント場の様子を見ると、一張りもない。さすがにこれには面食らう。おそらく今日の北沢峠のテント場は100張り以上だろうし、北岳山荘や肩の小屋などもカオスになっていることだろう。一方の両俣は、15時前の時点で自分のみ。この差をどう考えるべきか。
両俣小屋の利用は6年ぶり。女性の小屋番も変わらず安心した。そして小屋内で受付をしていると、中からネコがい「いらっしゃい」とばかりに出てくるのも以前と変わらない。ここはやはり静かでいいなあ、と思う。令和になり、消費税が10%になってもテン場代が500円というのも有り難い。水は言うまでもなく豊富。これで携帯の電波が入ったら言うことないが、それは静けさとトレードオフだろう。テント設営が終わると15時過ぎ。既に外は寒いので、テントの中でストレッチやマッサージして今日の疲れを取る。17時前に食事を取り、18時前には寝てしまう。テントはその後増えたが5張り程度だったようだ。沢音はするが、静かな夜。
10月6日(日)
2:30起床。テント内に転がしておいた腕時計の温度計は11℃を示していた。夏用シュラフで寝ていて少し寒さを感じたが、それでも十分寝られた。さっさと後片付け、食事、テント撤収をする。テントはほぼ乾燥状態で、今日も1000メートル以上登降する身としては、軽いので有り難い限り。3:53に出発、空には星が見えた。10月の4時前出発なのでさすがにあたりは真っ暗だし、1.5時間くらいはヘッドライトが必要だろうとの想定で歩き出す。昨日降りてきた急坂を今日は当然だが登る。この坂が朝一の運動としてはきつい。しかも暗闇であたりがよく見えないからキョロキョロ見渡さなくてはならず、少々時間もロスする。前回は8月のお盆の時期にここを上がったが、その時と比べたら気温が低いので、その点は楽な登りだった。40分ほどで尾根に上がる。水飲み休憩のみで先に進む。先行者のライトが見えたが、その人は仙丈ヶ岳方面へ向かったようだった。尾根に上がると昨日の「バカ尾根」の続きが始まる。しばらくは標高はほとんど変わらない。暗闇での水平移動が続く。5:30になるとさすがに明るくなり始め、ようやくライトを消すことができた。稜線に上がっていたらもう少し早くライトをなしで歩けただろう。1箇所だけある鎖場を慎重にこなすと今日最初のピークである三峰岳が間近に迫る。右手には、8月に登った塩見岳も見える。塩見の兜のような山頂の形はやはり遠くからでも目立つ。樹林帯の外に出ると風が冷たくて寒さを少し感じるように。ずっと山影で日光が当たらず気温が上がらないのも要因だろう。三峰岳の直前あたりでようやく日が当たるようになり、暖かさを感じるように。三峰岳は6:58に到着。単独の女性が休憩をしていた。これから両俣まで下るという。道の状況をきかれたので伝える。道は良いですが、とにかく人はいません、と。女性が出発した後にカラ身で三峰岳のピークを目指す。ここには単独の男性が休憩していた。畑薙からここまで3泊で来たという。すごい健脚である。自分には到底真似できない。だがこの山域は初めてで、今日は北岳を目指すか、仙丈ヶ岳を目指すがどちらかにする、という。自分の今日の行程を伝えると、この男性も同じルートにするという。仙丈ヶ岳まではさすがに歩ききるのに長いと感じたのかもしれない。早朝から行動する気合いの入った登山者と思わず長話してから間ノ岳への登りに取り掛かる。間ノ岳はこれで4度目だが、いずれも縦走の途中で立ち寄っている。このピークを目指してきたことがない。縦走以外で来るのが難しい山でもあると思う。今日は三峰岳までで既に1000メートルほど登っていて、さらに間ノ岳まで200メートルほどの登り。昨日も1000メートル登っているし、南アルプスはやはりきついな、と実感。それでも天気は良いし風も弱いので、寒くも暑くもなく登れるのは有り難かった。7:54に間ノ岳到着。例によってすごい人。ここまで人は少なかったが、ここから先は昨日の前半と同様になる。前方を見ると北岳がガスに隠れつつも見える。北岳は過去何度も登っているが、それが全て広河原からで、一度反対側から見てみたかったのである。南側から見る北岳は、バットレスとはまた異なる迫力を有していて、やはり人気があるのも頷けると思った。三峰岳で話し込んだ男性とは、この後北岳山荘まで相前後して歩くことになった。縦走路は北に向き、正面に北岳を見ながらの歩きとなる。しかしガスが多くて、くっきり姿を見られる時間は多くはなかった。それでも以前から見たかった景色が見られて満足。中白根山を過ぎると眼下に北岳山荘が見える。ここのテント場も以前一度利用したが、昨夜はきっとカオスだったのだろう。10月なので、既に涼しいを通り越して寒い状態だったのも容易に想像できる。山荘のベンチで休憩した後北岳山頂に向けて最後の登りにかかる。ラスボスのような堂々とした構え。ガスで見えたり見えなかったりだったが、両俣から苦労して来た甲斐があった。山頂付近になると傾斜がきついのと、標高が高くて空気が薄いため、足が全然進まなくなる。毎度のことなのであまり気にせず一歩一歩進む。10:26に北岳山頂到着。真っ白のガスの中で何も見えず。この縦走最後のピークだったが、天気には勝てない。そして例によって大量の登山者が休憩していた。くつろげないし騒々しい。それでも天気が良ければ長居をしただろうが、今日は午後からあまり良くない天気予報だったので先に進むことに。北岳はまた天気の良い時に来よう。下り始めても続々と登る登山者あり。明日は平日なので、それでも昨日と比べたら少ないほうなのだろう。すれ違いで時間はかかるが確実に進む。肩の小屋で小休止して更に進む。相変わらずガスなので見通しが効かないが、以前歩いた小太郎尾根なども見つつ進む。紅葉している草木もありきれい。肩の小屋通過時点で既に出発から7時間を経過していた。この先の下山路をどうするか検討したが、歩き慣れた右俣コースと大樺沢を下ることに。白根御池方面も歩いてみたかったが、長時間行動で疲労した状態なら、歩き慣れたコースが良かろうと判断した。結果的にはこれが正解だった。紅葉のきれいな斜面を降りたり、何より二俣までは人が少なくて自分のペースで歩けた。二俣以下はやはり人が多くてペース維持は難しかったが、それでも既に何時間も行動していて足がプルプルの状態だったから、早くないペースはむしろ良かったかもしれない。沢沿いのコースで沢に登山靴を突っ込みつつ進み、13:41に広河原のバス停に到着。無事歩ききった。
帰りのバス停を見て昨朝の景色を思い出す。やはり多くの人がバスとタクシーを待っていた。14時バスが出るというので、それを利用することにしたが、残念なことに既に立ち席のみと言われてしまう。10時間弱歩いてきて、更にその後1時間立ったままでバスに揺られるのはさすがに過酷な気がしたが、これが一番早いと考え乗ることに。昨日といい今日といい、バスの混み具合はトラウマになりそう。もう少し何とかならないものか。無事芦安に着き帰り支度をして中央道に乗ると、今度は高速が大渋滞。立ち席のバスや大渋滞の高速よりも、山歩きしているほうが余程楽だと感じた。混雑は当面勘弁したいが、これから紅葉シーズンの本番で、避けては通れないだろう。
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