八ヶ岳 南だけ縦走
- GPS
- 48:00
- 距離
- 19.5km
- 登り
- 2,341m
- 下り
- 2,049m
天候 | 一日目 曇り 二日目 暴風と霧雨 三日目 暴風と霧雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
|
予約できる山小屋 |
黒百合ヒュッテ
|
写真
感想
7月海の日の三連休に、八ヶ岳を歩いて来ました。天気が良くなくたいへんだったのですが、たくさんの人がいたのが印象的でした。みんな、連休は山に行きたいんだね。
14日
新宿6時30分発の臨時特急あずさ71号で小淵沢へ。
ここから登山口の観音平に行くんですが、バスは無く、タクシーで行かなきゃなりません。ぼんやりと、登山者みんなで乗り合わせて行くんだろうなって思ってたら、女性二人組のパーティが「お一人なら、一緒に行きません?割り勘で」って声をかけてくれました。ありがたやありがたや。
どうやら声を先にかけて乗り合わせる人を見つけた人間が勝ちらしい。女性二人組は、前の晩に予約していたとかで、僕はタクシーにすぐ乗れました。
9時過ぎ、観音平到着。
女性らにはお礼を言い、登り始めます。
まずは縦走の最初の山、編笠山。
もう高度はあるので気温は低いようですが、湿度が高く、ザブザブと汗をかきます。
50分ほどで第一チェックポイントの雲海(という地名)に到着。
ここは止まらず行きます。
右に富士山がボンヤリと雲に包まれて浮かんでいます。
雲海というよりただの曇天です、この日は。
さらに一時間ほど歩くと、押手川(という地名)へ到着。
湧き水のような綺麗な水が流れています。暑いので汗拭きタオルを水で濡らすと気持ちがいいです。
編笠山は2523.7m。
ちょっとコースタイムから遅れましたが、12時17分、ようやく頂上に到着しました。
ちょっと休んだだけですぐ歩き出しました。少しおりたところに、青年小屋があるので。
青年小屋で編笠山バッヂと飲み物を購入。
ベンチがあるんで、そこで休みながらスニッカーズを食べました。
さて、次は権現岳が目標です。青年小屋の水場で水を汲んでから、1時42分、権現岳に向けて歩き出しました。
このあたりから、お花がたくさん顔を出してきました。
ただ、風が強くなり、霧も深いため、歩きやすくはありません。霧で肌や服が濡れて気温も低いのでレインウェアを着ました。
霧で、まったく見通しが利きません。疲れます。
3時前、権現小屋に到着。
初めて歩く道のうえに、風も強く霧も深くて、このへんでけっこう疲れてしまっていました。もうここらで泊まっても良いかな、なんて弱い心が出てきていました。3時って、もう幕営地についていたい時間です。
小屋を過ぎると分岐がありました。右に行けば権現岳の頂上に続くようです。
権現岳頂上。この日、ここの風が今までで一番強く、写真を撮るのが大変でした。
分岐にもどって、キレット小屋・赤岳方面へ向います。
ここから風と霧でほとんど眺望の無い道を、とぼとぼ一時間ほども歩いて、ようやくキレット小屋に到着しました。
ついても、テン場がもういっぱいで、テントを張れる場所がなく、ぼくは面倒だったのでいいやと思い、入り口近くの傾斜に張りました。
幸い、そこから真正面に明日登る赤岳のものすごい姿が見え、この日初めて景色を堪能できました。
前の晩、ひどい傾斜地に「疲れたからもういいや!」と思ってむりやり張ったテントでしたが、マットの下に着替えを押し込んで傾斜を緩め、なんとか自分が寝る分だけは水平に近い寝床を作ることができました。
夜間は、雨が降っていたようです。
朝は、4時に起床。インスタントコーヒーを飲んで身体を温め、あまってる最後のおにぎりを食べました。
濡れてるテントを適当にザックの2気室の下に押し込み、トイレ。
5時6分、出発。
天気は、昨日に増してよくないようです。
昨日テントサイトから見えていた赤岳は、霧に包まれてしまってこの朝には何も見えません。
霧とも言え小雨とも言えるものが身体を濡らし続け、それに強い風が吹き付けます。
風の音を恐ろしく感じるのは、本能だと思います。危機感が煽られ、自然と足が速くなります。早くこんな危険な場所は通り過ぎてしまおうと、足が速くなるのです。それで危険も増大するのですが。
この日は、岩場を何度も通りました。稜線の切り立ったナイフリッジのようなところも。霧で見えないために高度から来る恐怖感はあまり感じませんでしたが、それでもここがおっかないところであることは十分すぎるほど感じました。晴れていれば、もっと楽しめるでしょう。今回は、通過するためだけで必死でした。写真も残っていません。
6時36分、分岐に出ました。中岳のコルへ続く道と、赤岳へと登る道。
「あれ?」と思いました。赤岳頂上へ直接つく道だったと思ったのですが、中岳側へ出たからです。どこかで分岐があったんでしょうか。ここからは頂上へ行くには登り返すような形になります。20分ぐらいですが。
天候が悪いので、赤岳頂上へ向うのをあきらめ、下山の方向に向かう人もいました。が、ここまで来れば赤岳頂上はもうすぐと思い、僕は頂上方面へ向いました。風は強いですが、3月の吹雪のときにもここは通っているからです。
6時58分、赤岳登頂!
相変わらず強風で、雨も混じり、1分でも居続ける気にはなりません。
「赤岳さんはいっつもこうだよな・・・・」
写真だけ撮って、一休みのために頂上山荘へ向いました。
この後横岳・硫黄岳と行くつもりなのですが、また心が萎えていました。
文三郎尾根から行者小屋におりて、そこでのんびりテント張ってゆっくりしてもいいなぁと、思ったのです。
赤岳の山バッヂを買いながら、小屋の人に聞いてみると、
「いや、でも、キレットから来られたんでしたら、横岳は大丈夫ですよ。行けますよ」とのこと。赤岳はいつでも風が強いので、今日ぐらいの天気はあまり気にしていない様子でした。
もともと、横岳を歩きたかったのです。そのために八ヶ岳に来たのです。
せっかくなので行くことにしました。
8時34分、一時間以上も休んだ頂上小屋を出ました。そとはまったく変わらず霧に包まれたまま。風も弱まる様子はありません。
途中、いろんなところがありました。長い梯子や、岩を這い登るところも。
そういうところは、風も強くて写真も撮れませんでした。
キレットのあたりと、横岳では、横岳のほうが風が強くてたいへんな気がしました。
10時。三叉峰到着。写真撮っただけ。
10時20分、横岳山頂2,829m到着。
これも写真撮っただけで、すぐ通過します。
もう少しで硫黄岳山荘につくかなあと、少しホッとします。
10時53分、ようやく硫黄岳山荘到着。
硫黄岳山荘は、避難所みたいになってました。ぐったり座り込んだ人がたの間を、山荘の人が忙しそうにラーメンやカレーライスを運んでいました。
ここは土間ではガスを使って良いらしく、ガスを使って物を食べている人も。僕もここで昼ごはんを入れておこうと思い、ガスを出しました。
ここで日清カレーヌードルと、昨日晩御飯のときの残りのアルファ米をちょっと、食べました。カレーヌードルは、たまに食べると夢中になる味です。残ったスープにご飯を入れて、カレーライスにしました。
これでもなんだか寒さが止まらず、身体が温まっていない感じだったので、コーヒーを入れて飲みました。
さて、出発。12時9分。
硫黄岳の頂上に行って、あとは夏沢峠に下りればいいだけです。
硫黄岳の頂上へ向う道は、ケルンが何基か立っています。
12時31分、硫黄岳頂上到着。
やっぱり、何にも見えません。
爆裂火口があるんだそうですが、落ちたら困るんで、今回は見に行くのは止めにしました。
さて、夏沢峠に下りていきます。
相変わらず風は強いです。
夏沢峠に近づくにしたがって、すこしづつ風が弱くなってきました。
雲の下に出たからか、景色が見渡せるようになってきました。
夏沢峠、到着。
さあて、これからどうしようかな。
ここは風が吹いておらず、脱力してしまいました。
ここからは、本沢温泉におりようか、オーレン小屋におりようか、迷いました。そこから天狗岳をこえて、黒百合ヒュッテまで行っても良かったんだけど、昨日テン場につくのが遅くなって張る場所が無くなっていたので、昨日みたいな傾斜地にテントを張るのは嫌だなぁ、平たいところで寝たいなぁと思ったら、もうオーレン小屋でいいかと思ってしまいました。
まだ、一時ぐらいですが、早めについてのんびりするのもいいし、そもそも天気悪くて疲れていましたし。
そう思ったら、オーレン小屋はすぐついちゃいました。
早い時間なのに、よさそうな場所はすでに埋まっていました。
ぎりぎり、なんとか平地を見つけ、そこにテントを張りました。
寝転がると平たくて良い感じでした。やっぱ平らな場所で寝るのはいいですね、いやー気持ち良い。今夜は良く眠れそうです。
オーレン小屋。テン場は1000円。高いですが、トイレ代込みとのこと。
お風呂もあって、それは500円で入れます。
見上げると、森の向こう側の山はこんな感じ。
いやー天気悪いです。
三日目
3時半に起き、またショートパスタを茹で、辛子明太子ソースで食べました。山用じゃなく、スーパーで売ってる安いやつですが、これ美味しいし、速いし、いいです。 で、コーヒー。
4時半で準備完了。
あ〜、今回のテント泊はこれでおしまいです。今日帰るだけです。
箕冠山(みかぶりやま?って読むようです)・天狗岳方面に向います。
まだ真っ暗なんで、ヘッドライトをつけてます。
しばらく歩くと明るくなってきました。
ここでは風も無く、雨も無く、歩きやすいです。
箕冠山登頂。
風がないと楽です。
暑くなってきたんで、三日間ずっと着っぱなしだったレインウェアは脱いでしまいました。
涼しさが気持ちいいです。
「今日はのんびり気を抜いて歩けるかな・・・・」
しかし、そんな思いは、大きな大きな勘違いでありました。
箕冠山頂上を過ぎ下りに入ったところで、いきなり風が強くなってきました!!!
左から吹きつける風とそれに混じる小雨というか霧というかそういうものが、急激に体温を奪っていきます。
根石山荘が、この看板の左方向にあるようなので、レインウェアを着なおすために山荘に向いました。
根石山荘玄関をお借りして、レインウェアを着なおしました。
ああもう、とにかくもう、三日目もまた風です。
ものすごい風なのです!
このあたりの風は、昨日の横岳よりもひどい風でした。
何度も身体を押され、ひっくり返りそうになりました。
んで、歩いていたら、後ろから怒鳴り声が聞こえたんで、驚いて振り返りました。
後ろを歩いていた人が、こっちになんか怒鳴っています。
「え? 何ですか?!!」
こっちも怒鳴って近づいていくと、
「めがねを飛ばされました!!! めがねみませんでしたか!??!!!」
とのこと。
風でめがねを飛ばされたようなのです。
僕もそうですが、目が悪い人間にとって、めがねは必需品です。命に関わります。失くす事は致命的です。
「さがします!!一緒にさがします!!!」
彼のいた辺りから、風の方向にそってジリジリ歩きながら20分ほど、めがねを捜しました。
なかなか見つかりません。
(ああ、もうどっか遠いところに行ってしまったのかな・・・)
登山道はロープで仕切られていて、ハイマツ帯には入れないようになっています。でも、そこまで飛ばされた可能性が一番高いように思えたので、ロープぎりぎりに松葉の狭間にめがねが引っかかってないか捜しました。
僕も眼鏡男なんですが、霧と小雨で眼鏡が濡れ、視界が曇るのです。数分後とに指でレンズをぬぐい、彼のめがねを捜しました。彼は眼鏡を拭いているときに飛ばされたようです。
でも、見つかりません。
いや、やっぱりもう駄目か。
こうなったら、彼に付き添って下山してあげるしかないな。。。とかって諦めかけていたときです。
「あった! ありました!!」
彼がめがねを見つけました。
うわー、良かった。
「ありがとうございました、本当にありがとうございました!!」
いやいや、見つかって良かったです、めがねをなくすことは僕らには致命的ですからね。
良かった〜。
嵐の中でそんなドラマがあり、それぞれまた登り始めました。
で、根石岳山頂。
天狗岳に向います。
こっから風はいよいよ強く、地面は雨でびしょびしょに濡れ、滑る岩をいやいや登りました。写真撮るひまは全くありません。
で、東天狗到着。
反対側から登ってきた人が、「西天狗へ行く道がわからんのです」って声をかけてきましたが、僕もわかりませんでした。道標が刺す方向は崖としか見えず、進めそうに見えませんでした。
ぼくは西天狗なんかいける余裕は全く無く、早くおりなきゃ命に関わると思いました。で、下山。
木道のあるところまでおりてきました。
ほっとします。このあたりまできたらもう大丈夫みたいです。
黒百合ヒュッテのテント場。
ここで天狗岳のバッヂを買いました。
この後は、樹林帯に入るので、風も雨も収まりました。
助かりました。
ちなみに下りる所は渋の湯。
温泉に入って身体を温めて綺麗にしようって魂胆です。
バス停。付いた順番にザックをおきます。
僕はザックカバーを持ってきてなかったんで、ザックはびしょぬれ。
中身は中で袋で区切ってたんで濡れてませんが、とにかくザックはびしょぬれ。
この温泉、10時にならないと入れてくれないんですね。
バスは11時半です。
僕がここについたのは9時。
1時間をバス停でだらだらしてました。
10時にお風呂に入れてもらい(800円)、着替えをし、11時半出発のバスで茅野駅に行きました(1100円)。
茅野についておどろいたことは、暑かったこと。
お昼ごはんに茅野駅のファミレスでハンバーグと焼きそばと生ビールを飲み、特急で新宿に帰りました。席は無く、新宿までずっと立ちっぱなしでしたが、山の上の暴風に比べればなんてことはありませんでした。
驚いたのは、東京が晴天で、茅野よりももっともっと暑かったことでした。
しかししかし。
山登りを満喫したというより、景色も何も見えない傾斜地を暴風の中を冒して三日間歩いたというだけで、暴風と濡れて滑りやすい岩の印象しかありません。それが非常に不満でありました。
天気のいいときに、ぜったいもう一度、今度は全山縦走とか目指して青空の下を歩きたいなと思ったしだいです。
次回またがんばります。
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