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Yamareco

記録ID: 213614
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無雪期ピークハント/縦走
塩見・赤石・聖

秋の白根三山から塩見岳へとテント泊縦走

1989年10月07日(土) ~ 1989年10月10日(火)
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GPS
76:00
距離
33.9km
登り
2,692m
下り
3,412m

コースタイム

10/8 6:20広河原−11:10八本歯のコル−12:20北岳山荘−14:40間の岳−15:30三峰岳−16:10三国平−16:40熊の平(泊)
10/9 5:30熊の平−8:50北荒川岳−10:50北俣岳−10:40-12:20塩見岳−15:10本谷山−16:00三伏小屋前(泊)
10/10 5:30三伏小屋前−6:00三伏峠−8:30塩川小屋−10:10塩湯
天候 10/7 雨
10/8 晴れのち霧、雪
10/9 晴れ
10/10 晴れのち薄曇り
アクセス
利用交通機関:
電車 バス タクシー
塩湯温泉ー飯田;タクシー代8000円。所要1時間。
コース状況/
危険箇所等
・全ルートに渡って、道はよく整備されていた。雪さえ降らなければ、問題ないルートだった。
・下山口には塩湯温泉あり。日帰り入浴可能。

感想

【山行No136】

※(初めに)
  この山行は、結構印象深い山行ですが、カメラを忘れでもしたのか?写真が1枚も残っておらず残念。
  せっかくなので、文章だけの記録を残しておきます。

※ 日本の3000m峰のうち、最後に残った南アルプスの塩見岳。
  白根三山からのテント泊での縦走を企画してみた。
  1日は移動日なので、実質2泊3日でやや強行軍の計画。

10月7日(土)
 ・今日は完全なる移動日。
 ・前日夜に四国(新居浜)を夜行のフェリーで出発し、7日朝に大阪に到着。
  その後、名古屋ー塩尻−甲府とJRを乗り継ぎ、甲府に12時に到着。
  広河原行きのバスは、この時期の平日は、朝と昼の2本しかないが、13時発のバスに乗る。甲府は雨模様。
15:00 広河原着
 ・今回はテントを持ってきているが、雨がザアザア降っており、テントは断念。
  2つある小屋のうち、手前の広河原ロッジに泊まる。
  2Fのだだひろい広間をあてがわれた。夕食は手持ちの食糧で済ます。

10月8日(日)
 ・朝起きると、雨は上がっており、雲は薄れて青空が広がっている。
  登山日和の天気となった。缶コーヒーですばやく朝食を取る。
6:10 広河原発
 ・出発してすぐ、広河原山荘が見えた。こちらがよほど山小屋らしい雰囲気で、
  こちらに泊れば良かったな。
7:10 最初の二股(気温=+6℃)
 ・大樺沢を登ってゆく。天気は良くなり青空が広がって気持ちいい。
  テント装備なのでペースは少し遅いが、マイペースで進む。
8:40 大樺沢二股
 ・この先より雪渓が出てきた。雪渓上はやや歩きにくいが、アイゼンがいるほどではない。
  今日は連休なので登山者も多い。ちょっと空模様は怪しいか?少し雲が出てきた。
10:40 尾根取りつき
 ・ここから八本歯のコルへと登りにかかる。まだまだ道のりは長く、少し疲れてきたな。
11:10-20 八本歯のコル(気温=+1℃)
 ・やっとここまで着いたな、という感じ。
  天気は悪化傾向で、ずいぶん雲が増えてきた。
 ・北岳山荘へはトラバース道をずんずんと進む。

12:20-40 北岳山荘
 ・ようやく白根三山の稜線に到着した。
  小休止のため、小屋の中に入り、缶コーヒーを購入して軽く昼食とする。
 ・そのあと、小屋の外に出ると、なんと!アラレが降っているではないか!
  予想外の天気の変化にびっくり。
  周りの様子をうかがうと、今日は北岳山荘に泊まる人が多そうだが、
  今日ここに泊まると、明日以降の行程がかなり苦しくなる。
  少し思案したが、行けないことはない天候と判断し、ゴア上下を着こみ、
  熊の平まで今日中に進むことに決定する。
 ・霧とアラレの降るなか、間の岳への縦走路を進む。少し人通りがあるのが救いだが、
  展望もなく、また結構冷え込んでいるようで、髪の毛もアラレにあたって凍る始末。
  夏道も、アラレが降り積もるせいで、道形が薄くなってきているので、慎重に進む。

14:40-50 間の岳山頂(気温=マイナス5℃)
 ・なんとかここまで到着。ここで再び思案。
  農鳥小屋に向かって、今日は農鳥小屋に泊まることも考えたが、
  西の方、三峰岳への道も何とか見えており、幸いにもアラレがやんできたので、
  予定通り、三峰岳経由、熊の平へ向かうことにする。
 ・三峰岳への道を進むが、アラレが降り積もっているせいで、道形が薄くなっており、
  また周辺は霧で視界も利かないので、足元を見ながら慎重に進む。
  疲れているせいか、石の上にうっすら積もった雪に足を取られ、何度も尻もちをつきながらの下り。
  今日の核心部ともいえる、厳しい道のりとなった。
15:30 三峰岳(標高=2999m)
 ・ようやく標識のある三峰岳に到着できてほっとした。北風も少し弱くなってきた。
 ・この先のジャンクションまでも、滑りやすい道が続いて、疲れる。
16:10 三国平
 ・すでに時刻は夕方に近い。が、ここまで来るとようやく道も緩やかとなり、
  農鳥岳からトラバースしてきたらしい足跡が雪の上に着いており、少しほっとした。
  稜線を覆っていた雲の下に出たようで、視界も出てきて一安心といったところ。熊の平小屋が見えだした。

16:40 熊ノ平小屋着
 ・なかなか厳しい一日だった。ようやく目的地に到着できて一安心。
  すでに時刻は夕方で日も暮れ始めているので、さっそく小屋の前にテントを張り、テント内にはいってほっとした。

 ・その後、コンロでお湯を沸かしてラーメンの夕食を取り、早々に横になる。
  が、しばらくすると、頭痛、悪寒、吐き気、動悸などがしてきた。
  寒い中、長く歩いたので、風邪でも引いたのか?と思うが、吐き気がひどいので、
  テントの外に出てしばらくすると、すうっと体調は回復した。
  あれ?っと思うが、気分が回復したので再びテント内のシュラフに潜り込み、
  うとうとしていると、30分ほどで、またまた気分が悪くなってきた。
  今後も、テントの外にでると、いつの間にか体調は回復。
  これはどうも風邪の症状ではないな?と思い、良く考えてみると、
  どうやらテント内がコンロを使ったせいで酸欠状態となっており、そのせいで気分が悪くなったようだ。
  ようやくそのことに気が付いて、テント内を十分換気してみた。そうすると、そのあとは平穏に寝られた。
  テント内での酸欠(CO中毒)に合うのは初めてだったが、危ないところだった。
  どうやら、テント内でコンロを使った際に出た湯気が、テントの生地上で
  凍り付いて霜となり、テントの生地の換気能が低下したせいもあるようだった。
  

10月9日(月)
5:30 熊ノ平発(気温=マイナス7℃)
 ・昨晩は夜半から少し寒かったが、疲れているせいか、結構ぐっすりと眠れた。
  今日も行程は長いので、日の出まえから、行動開始する。
  5:50頃にようやく日の出を迎える。今日は昨日と打って変わって青空が広がり、上天気になりそうだ。
 ・縦走路は、木が結構茂っていて展望はあまりないが、ダケカンバの黄葉に
  朝日が当たって輝く様は、いかにも秋の山らしく、雰囲気のいい道だ。
7:10-20 小岩峰
 ・展望が良い小岩峰に着き、一休みする。
8:50-9:10 北荒川岳(標高=2698m)
 ・地図上ではこの山頂は巻くようになっているが、ピークへの踏み跡があったので登ってみる。
  ここの山頂も展望はよく、遠くに北アルプスの姿も見える。
  後立山連峰、立山あたりは真っ白くなっている。槍・穂高もうっすら白くなっているのが見えた。
  (この時点では、前日の立山での大量遭難のことは知らず、、、)
9:50-10:00 雪投沢分岐(気温=0℃)
 ・ここで平坦な尾根道は終わり、急登が始まる。まずは標高差250mの登りだ。結構キツイ。
10:50-11:00 北俣岳
 ・塩見岳の前衛峰に到着したが、見ると、本峰はまだまだ遠いゾ。

11:40-12:20 塩見岳山頂(標高=3047m、気温=+2℃)
 ・ようやく3日かけて、待望の3000峰の山頂に到着。これが最後の3000m峰だ。
  岩がゴロゴロしている山頂部は見晴も良く、気持ちの良い山頂だ。
  お湯を沸かして紅茶を飲み、四周を眺めながらのんびりした時間を過ごせた。
  今日は遠望が利き、はるかに西の方には伊吹山まで見ることができた。

 ・ここから急な下りが続く。少し疲れも出ているので慎重に下る。
13:10-20 塩見小屋(気温=+6℃)
 ・小屋があるが、どうやらこの時期は無人らしい。
15:10-20 本谷山
 ・だいぶ疲れてきたが、今日の宿泊地まであと少し。最後の頑張りを見せる。

16:00 三伏小屋前 着(気温=+1℃)
 ・一日歩きとおして、ようやく今日の目的地に到着。
  小屋は少しさびれた感じだった。小屋内に10人ほどすでに入っている。
  テント泊は自分一人らしい。
 ・小屋泊まりの人とたまたま話をする。明日の行動予定が同じ方向に下山と聞いて、
  タクシーの相乗りをさせてもらうことにした。
 ・昨晩はテントの中で酸欠となり思いがけなく苦しんだが、今日は換気に気を付けたせいか、
  特に酸欠にもならず、夜もぐっすり寝られた。
  夜、テントの外を見ると、満天の星空が広がっていた。大宇宙に浮かんでいる気分。

10月10日(火)
 ・今日は下山の日。夜は結構冷えた。
5:30 三伏小屋発(気温=マイナス7℃)
 ・小屋は沢沿いにあるので、道は三伏峠まで、緩やかな登りとなっている。
  昨日、タクシーの相乗りを申し出た人たちとほぼ同時に下山開始。
6:00 三伏峠
 ・峠からの道は結構急な下りが続く。
7:40 尾根取りつき点
 ・ここからしばらくは、台風で荒れでもしたのか、道が結構あれていた。
8:30-40 塩川小屋
 ・タクシーの相乗りをする予定の人たちにようやくここで追いついた。
  ここでタクシーが呼べるか? と期待していたが、小屋の人に聞くと、ここでは無理のようで、さらに下ることにする。
 ・塩川小屋からは、ほぼ舗装された車道が続くが、相乗り予定の人たちの足が速く、
  なかなかついてゆくのに大変だった。
 ・途中でたまたま出会った軽トラックに同乗させてもらい、10分ほど車で下ると、ようやく最終下山地点の塩湯に到着。

10:10 塩湯温泉着
 ・ヤレヤレ、雪にもあったし、テント内で酸欠になって苦しむというアクシデントもあったが、
  なんとか目的の塩見岳を長い縦走で登り切り、満足感が広がる。
 ・タクシーを電話で呼ぶが、今日はタクシーが出払っていて、1時間以上待たないといけないとのことなので、
  塩で染みる暑い温泉に入って疲れを癒し、その後飲んだビールは最高の味だった。
  
・あとはタクシーで飯田市に出て、昼食を取り、午後の高速バスで名古屋に出る。
 そのあとは、JRを使い、四国(新居浜)に着いたのは、夜も21時を過ぎていた。

※ 後日談
 ・下界に降りて新聞を見て初めて知ったが、10月8日に、南アルプスでアラレが降る悪天候となったころ、
  北アルプスでは猛吹雪となっていたとのことで、
  立山で縦走中の登山者のうち、7人もが凍死する、という大事故が起こっていた。
 ・南アルプスでは大した悪天にならずに幸いだったが、当日朝の晴天(疑似好天)ののち、急な寒気の到来により、吹雪となっての遭難、とのことだった。
  自分は無事降りてこれたが、一歩間違えば、遭難の目にあっていたかもしれず、幸運に感謝した山行だった。  
  

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