南ア・白峰三山テント泊縦走(北岳〜間ノ岳〜農鳥岳)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 24.3km
- 登り
- 2,544m
- 下り
- 3,217m
コースタイム
0721広河原インフォメーションセンター…0728広河原山荘…0753大樺沢分岐…0932二俣0945…1143小太郎尾根分岐…
1222北岳肩ノ小屋
【2日目】
0402北岳肩ノ小屋…0440北岳0504…0612北岳山荘0633…0708中白根山…0815間ノ岳…0918農鳥小屋0932…1027西農鳥岳
…1111農鳥岳1132…1208大門沢下降点…1458大門沢小屋
【3日目】
0657大門沢小屋…0937休憩小屋…1010奈良田第一発電所…1030丸山林道入口(奈良田第二駐車場)
天候 | 【1日目】曇り時々雨 【2日目】快晴 【3日目】午前中晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
なんと、1台のバスに全員乗り切れず十数名が取り残されるという事態に!! 「追加のバスを呼ぶので2時間ほど待って下さい」と言われまして…。 待てるわけもなく、乗り合いタクシーを取って希望者10名でジャンボタクシーに乗りました。 1人当たり1700円で広河原まで行けました。それ以外に環境保全費として100円取られます。 ちなみに、バス利用の場合は1000円+保全費100円です。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【広河原〜北岳肩ノ小屋】 草スベリも八本歯も両方避けて計画を立てたので、特に危険なところも大変なところもありませんでした。 広河原小屋に登山ポストがあり、そこに計画書を入れました。インフォメーションセンターにもあったと思います。 二俣にトイレが2つあります。汲み取ってないみたいでかなり汚かったです。 肩ノ小屋のお手洗いもなかなかワイルドです(笑)。 「あまりキレイではない」とレビューを読んだ事がありましたが、この日は普通にキレイにされてありました。 【北岳肩ノ小屋〜農鳥小屋】 地図に「危険」マークのある場所があり、実際現地でも「危険」という看板を見ましたが。 が、行ってみて特に取り立てて危険な感じは受けなかったです。 肩ノ小屋から早朝ヘッデンで歩き始めたのですが、あまりに風が強く、耳がとっても痛かったです。 ニット帽があったら耳まで隠れてよかっただろうになと思いました。 (なかったので、タオルを頭から巻いて風除けにしました) 北岳山荘のトイレはバイオトイレで近代的なハイパートイレです。 農鳥小屋のトイレはチップを取ってないみたいでした(チップ入れ見かけませんでした)が、なかなか乙な感じです。 【農鳥小屋〜奈良田】 西農鳥の場所が最後まで不明でした。標識は特にありません。 農鳥岳へ向かう道は岩稜帯で、ペンキマークを良く見て歩けば危なくないと思います。 うっかりマークを見過ごして、一箇所道を誤ってガレた場所を下ってしまったことがありました。 大門沢下降点から小屋までは、誰もが「キツい」という急坂で、登るのも大変でしょうが、一日歩いた足でここを下るのもかなり大変です。 |
写真
感想
白峰三山。
その名を知ったのは、ちょうど去年の7月くらい。
まだテント一式揃えたばかりで縦走の経験に乏しく、「今年はまだやれないだろうから、来年絶対やろう」と決めていました。
この一年、奥多摩や奥秩父をうろうろ歩いてボチボチ経験も積んだところで、計画を練っていたところ…
どこからかこの計画を聞きつけた、山岳会の同期・Yマンから「一緒に行きませんか?」とお誘いのメール。
頼もしい同行者をゲットし、素晴らしい2泊3日となったのでした。
パーティーを組んでバラバラのテントを張るのはマナー上宜しくないので、当初は私の2人用テントに2人で泊まって荷物はツェルトに包んで外に置こうという話だったのですが、Yマンがボーナスを駆使して3人用のテントを仕入れてくれた為、とても快適なテント生活を送ることができました。
しかも、そのテント一式を全てYマンが背負ってくれたので、私は荷物が軽くてラクラク♪
Yマンは更に大量の食料とワイン1本&飲み水以外に2リットルの水を持ってきたので、1日目はなんと総重量22kg!!
いくら体力があるとはいえすごい重量です。
私はテントがない分いつものテント泊より重量が軽く、初日で多分16kgあるかないかぐらい。
楽勝楽勝〜なんて思っていましたが…2日目はバテバテでした。
さて、1日目は、朝から波乱の幕開け。
前日夜に東京を出て、奈良田の駐車場に着いたのが深夜2時くらい。
第一駐車場は既にいっぱいだったので、少し先の第二駐車場まで車を進めます。
バスの時間まで車中で仮眠を取り、翌朝バス停に並ぶと……
やってきたバスは1台。増発はしないとの乗務員の案内。
ところが!!!
ちょうど我々が切符を購入しようとしたところで乗務員に止められてしまいます。
その後、乗務員の口から衝撃の一言が。
「全員乗りきらないので、臨時便を呼びます、2時間ほどお待ち下さい。」
どうやら甲府の営業所からもう1台呼ぶらしい。
多分この「2時間」はちょっと多めに言ったんでしょうけど、
それでも麓からバスが来るまで待ち、さらにバスに乗っても広河原まで約1時間。
かなりのタイムロスになってしまいます…。
残された十数名の登山者たち。
焦る私とYマン。
その時、勇者は現れた!(笑)
男性2人組のパーティーがジャンボタクシーを1台チャーターしてくれ、
希望者を募ってみんなで乗り合いタクシーに乗りました。
6時半前にはタクシーが到着し、定員10人ピッタリの希望者で出発。
広河原には7時半頃には到着できました。予定より1時間のロスで済みました。
タクシー代は17,000円。10人で割ると1人1700円です。
バスより700円高かったですが、ゆっくり座って眠りながら行くことができたので、満員のバスに乗るよりかえってこの方がよかったなと思いました。
広河原からは、当初若干飛ばし気味で登りました。
できれば今日のうちに北岳山荘まで進みたかったからです。
ところが、二俣に着いたあたりからYマンがバテはじめます。
そらそーだ、前日普通に仕事してそのまま車を運転し、仮眠程度の休息で22kg背負ってあのハイペースだもの。
それでも12時半頃には肩ノ小屋に辿り着けました。
この日はムリせず、肩ノ小屋で幕営とします。
テントを張ったあとビールで乾杯してお昼寝。
夕方目を覚ますと雨が降り出しており、夜中はものすごい風が吹いていました。
が、1日の疲れとワインでほろ酔いの体は寝袋に入るとすぐ眠りに落ちました。
翌朝は2時半ころ起床。目覚ましは3時でしたが、体が勝手に起きました。
外へ出ると満点の星空!
「流れ星見ちゃった!」とはしゃぐYマン。私も見たかった!!
予定通り4時に出発。北岳山頂でご来光を拝みました。
ここ数日天気が良くなかったみたいなのですが、この日は快晴。
キレイな日の出を見ることができて本当にラッキーでした。
ただ、さすが3000mの稜線、風の強さ・冷たさがハンパない。
耳が千切れそうなくらい痛くて、その痛みで頭痛までしてくる始末。
ニット帽欲しい…でも持ってないから、タオルを頭から巻いて耳を覆う事で事なきを得ました。
ただ、ものごっついカッコ悪いです(笑)。
北岳を下り、北岳山荘でトイレ休憩を取っていると、なんと山岳会の先輩パーティーに遭遇!
私たちと入れ違いの日程と聞いていたのですが、どうやら日程を変更したようでした。
先輩達は農鳥方面から広河原へ降りるという我々とは逆コースだったようで、ここですれ違いだったのでした。
山荘を出て間ノ岳に着くと、前日に乗り合いタクシーをチャーターして下さったお二人と遭遇。
お二人は昨日のうちに北岳山荘まで頑張って歩いたのだそうです。
「大門沢小屋でまた会いましょう」と挨拶をして、我々は先を急ぎました。
農鳥小屋へ着くと、Yマンは山バッチを購入する為売店へ。
人がいないので呼びに行くと、例の名物オヤジさんがおいでになりました。
首から大きな双眼鏡ぶら下げてる!独特の雰囲気のオヤジさんです。
他の登山者から西農鳥の場所を聞かれていましたが、「行けば分かる」とか「天気のことはおたくらの方が分かるでしょ」といった回答で、全然答えになってない(笑)。
尋ねた登山者のおじさんが「はいはい、分かりました、もういいです」と言ってそそくさと立ち去っていました。
なんだか絡むと面倒くさそうだったので(笑)、私はそのオヤジさんとは言葉を交わさずにこの小屋を後にしました。
小屋を通過したのが、朝出発してから5時間半ほど経った頃のこと。
経験上、6時間を超えたところからバテはじめることが分かっています。
案の定、農鳥岳を目指す岩場を通過している頃から体力が落ちている感じがしてきました。
日も高くなって日差しが強く、気温もどんどん上がります。
慣れない岩場の通過に神経も使い、なかなかペースが上がらず、先を行くYマンに待ってもらう事が増えてきました。
ようやく辿り着いた農鳥岳山頂では、景色を楽しみながらゆっくり休憩。
おやつを食べたりポカリを飲んだりしたら、少し元気になりました。
大門沢下降点まではなだらかな下り道で、途中にお花畑もあり、遠くに塩見岳の勇姿を眺めながら、今度はあっちにも行ってみようなどと楽しく会話しながら歩くことができました。
辛かったのは、この下降点から先です。
歩かれたことのある方がだいたい皆さん口をそろえて「下降点から大門沢小屋までが長い、辛い」とおっしゃっていましたが、本当にその通りでした。
この下降点に着いた時点で、出発から8時間が経過。これ以上の行動時間は私もほとんど経験がありません。
樹林帯に入り、岩と根っこの段差の多い登山道をひたすら一気に降ります。
河原に出たところで、とうとう水が底をついてしまいました。
でも残り1時間。水がなくても何とか行けそうです。
飴をなめながら喉の渇きを誤魔化しつつ最後の下りを乗り切りました。
下降点から小屋までの標準コースタイムは2時間半。私は3時間かかりました。
健脚のYマンはずっと私のペースに合わせて歩いてくれましたが、自身のペースよりゆっくり歩くというのも案外疲れるものです。先に行ってくれと何度か言ったのですが、それでも置いていかずに最後まで一緒に歩いてくれた事が有難くも申し訳なく、何度か目頭を熱くしながらトボトボ歩いていました。
大門沢小屋に着いたとき、行動時間はちょうど11時間。
日帰りや小屋泊でさえ、11時間なんて長時間は歩いたことがありませんでした。
満身創痍の私を横目に、Yマンがせっせとテントを建ててくれます。私はポールを1本通したきりで、あとは何もできませんでした。
晩ご飯にはかなり時間が早かったのですが、すっかり腹ペコだったのでもうとっとと晩ご飯にしてしまいました(笑)。
食事をしていたところへ、乗り合いタクシーのお二人組みがちょうど到着。
みんなで、「下降点からの下り、キツかったよねー」という話をしました。
食事が終わったあと、小屋の前のテーブルに集まって、皆さんと宴会をしました。
他の登山者の方も加わり、結構な人数で盛り上がりました。
1日の緊張が解けた私はこの時すっかり飲みすぎて(笑)、途中から何を喋っていたのか殆ど記憶がありません……。
這うようにテントへ戻り、そのまま泥のように眠ったのでした。
翌朝はもう最初から寝坊覚悟だったので(笑)、目覚ましなんかかけず適当な時間に起きました。
朝ごはんをのんびり食べて、テントを撤収する頃にはもう周りには誰もおらず…。
小屋番の方々の「お前らいつまでいるんだよ」的な目線に後押しされるように小屋を後にしました。
最終日でもう下りるだけ、ということもあり、3日目は気持ち的にも焦ることなく、沢沿いの樹林帯歩きを楽しみながら下りました。
途中、手作りの丸太橋が何度も出てきて、それが私は本当に怖かった!
高いところは別に平気なのですが、足が全部乗らないような狭い足場が怖いようです。
Yマンから「足元見るから怖いんだよ、先を見て歩くと怖くないよ」と教えてもらうと、少しペースを上げて歩くことができるようになりました。
(それまでは、10人が渡るくらいの時間をかけて渡ってました・苦笑)
奈良田の駐車場から、温泉へ向かいます。
今回は「奈良田の里温泉」を利用しました。
http://www.navi-city.com/yu/narada/
ヌルヌルした感触のお湯で、いかにも肌に良さそう!
日焼けしてヒリヒリするのをグッとガマンして、顔にもお湯をバシャバシャ。
温泉から出ると、乗り合いタクシーのお二人組と、そのタクシーに同乗していた単独の男性が待っていてくれて、5人で麓の食堂で一緒にトンカツを食べました。
今回のお山の悲喜こもごもを語り合い、とても楽しい時間でした。
帰りにゲリラ豪雨に出くわし、横殴りの雨風に雹まで降ってきてエラい目に合いましたが、なんとか無事に帰ってくることができました。
今回は本当にいろいろな人たちに助けられた旅でした。
もともと独りでやろうと思っていた計画でしたが、独りでやらなくて本当に良かったと思います。
私一人でやるにはまだ力不足だったろうし、それに、あんなに素晴らしい展望は独りで見るにはもったいなかったなぁって。
Yマンにとってはいい迷惑だったかもしれませんが(笑)、私はこの2人パーティーは個人的に気に入っています。
もっと力をつけて、お世話になるばっかりではなく自分もパーティーの一員として役に立てるよう、もっと経験を積まなくてはと思いました。
そして、最後に。
日焼け止めは絶対いるって!!!!(笑)
もぉーーー腕が痛いのよぉーーー!!!!
黒いのは百歩譲っていいとして、このヒリヒリ痛むのを何とかしたい(涙)。
奈良田のバス一台事件は自分もびっくりしました。
いつも増便があるので、まさかそのうち来るだろうと思ってましたが。。。
あれは、完全にバス会社の見込み違いでしたね。
こちらは、たまたま第一駐車場近辺に停められたので乗りつく事ができましたけど。
それにしても二日目、三日目は天気に恵まれたみたいでよかったですね。
農鳥小屋オヤジさんのエピソードも相変わらずで面白いです。
お疲れさまでした。
こんばんは!コメントありがとうございます。
ainuさんもあの日、あのバスに乗っていらしたんですね。
バス会社の営業所が近ければいいんですが、あの山間部では追加といってもすぐには来られないので、そのあたり不便ですね。
広河原に着いたら、いくつもバスが停まっていましたが、あのうち1台でもよこせなかったのか…と思ってしまいました。
結果的に乗り合いタクシーを取った事によって新たな出会いもあったので、ヨシとしています(^−^)
2日目・3日目は本当に晴天で素晴らしい旅になりました!また一段と山にハマってしまいました。
農鳥のオヤジさんは噂どおりの面白いオジサンでした
楽しく読ませていただきました。
私も7月に歩きました。しんどかったのは自分だけじゃなかった思うと妙に安堵します。
そうそう腕が痛いのもよく分かります。(笑)
こんばんは、コメントありがとうございます!
7月ならキタダケソウが見られますね、羨ましい!
まだまだ雪渓がたくさん残っていた頃でしょうか?
大門沢小屋のテント場にやってきた方々は、みんな口を揃えて「しんどい!」って言っていました。
今でも思い出すとふくらはぎが痛みます(苦笑)。
腕のヒリヒリはだいぶ治まりました。
今さら、顔にパックして美白を狙っていますがもう無理でしょうね…(笑)。
55枚目で向こうから赤いザックを担いでくるfireboltです 。
「最近の登山で会ったかも」リストが多くて、チェックし切れていなかったのですが、ainuさんにテントを撮って頂いたのに続いて自分を見つけました。
15日はいろいろ大変でしたが、16日は素晴らしい天気で良かったですよね。今度は大門沢下降点の先まで行っちゃってください。とても良いところです 。
こんにちは!コメントありがとうございます!
なんと、写真写りこんでましたか!
勝手に掲載しちゃってゴメンナサイ…。
この時結構ヘロヘロだったですけど、確か挨拶を交わしたのを覚えています。
16日は本当にお天気に恵まれてラッキーでした☆
あんな景色見せられたらハマってしまいます(笑)。
大門沢下降点より先は、破線&「健脚向け」と地図にあったので、ちょっと怯んでいます。
山頂碑はあるみたいですが、ルートはやっぱり分かりにくいのでしょうか?
地形を読むのにもうちょっと強くなったらぜひチャレンジしてみたいです!
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