白峰三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)
- GPS
- 23:41
- 距離
- 30.6km
- 登り
- 3,275m
- 下り
- 3,938m
コースタイム
09:05 広河原
09:25 白根御池小屋分岐
10:35 白根御池小屋
11:55 小太郎尾根分岐
12:35 北岳肩の小屋
13:10 北岳山頂(3192m)-13:50
15:05 北岳山荘
【8/27】
06:20 北岳山荘発
07:00 中白根山(3055m)
07:50 間ノ岳(3189m)
08:40 農鳥小屋手前分岐
10:25 三国平
11:45 三峰岳(2999m)
12:35 間ノ岳(3189m)-13:20
14:40 農鳥小屋
【8/28】
05:45 農鳥小屋発
06:30 西農鳥岳
07:05 農鳥岳
07:45 大門沢下降点
10:25 大門沢小屋
13:00 広河原庵
14:05 奈良田
天候 | 8/26 晴れのち薄雲り 8/27 晴れ 8/28 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
07:00 甲府駅発広河原行き 数席余り 左側の一人がけの席の方がお勧め。 夜又神以降白峰三山が時折見えます。 当日は車掌さんが説明してくれました。 08:53 広河原着 【復路】 15:30 奈良田発広河原行き 往路と違いお客さんが眠っているので車掌さんによるガイドは無し 16:20 広河原着 16:30 広河原発甲府駅行き 18:25 甲府駅着 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【広河原→北岳山荘】 インフォメーションセンターからつり橋を渡り、広河原山荘を抜けると樹林帯の登山道に入り白根御池小屋との分岐に出ます。 白根御池小屋方向の路面はや木の根が出ている急登です。 急に勾配がなくなり、やや下り気味に進むと立派な建物、白根御池小屋(小屋というより山荘という方がふさわしいような・・・)が現れます。 白根御池小屋では、庭にベンチが設けられており、飲み水は無料で頂けます。 庭先を通り抜けると右前方に草すべりが見えてきます。 1mほどの高さに伸びた草の間には何十種類もの花が咲き競っています。 花畑が過ぎ登り進むといつの間にか樹林がなくなり日差しが直に照りつけてきます。 二股分岐では既に森林限界を超えているようで、身の丈50cm程のハイマツで占められます。 ほどなく稜線が現れ、登り切ると雄大にすそ野を広げる仙丈ケ岳が姿を現わし、その右方向には手前に小太郎山、その向こうが甲斐駒ケ岳の風景が広がります。 左手の広い尾根道を進むと青い屋根の北岳肩ノ小屋が見えてきます。 この小屋では100円/リットルで水を分けてもらえます。 北岳肩ノ小屋を過ぎてしばらく行くと、壁のような岩登りがあり、見上げると頂上を思わせる箇所が何箇所か過ぎると北岳山頂に至ります。 北岳の三等三角点には北岳ではなく白根岳と記されていました。 この日の山頂は仙丈ケ岳や鳳凰三山は終始ガスで見えず、間ノ岳は時々雲に邪魔される展望でした。 北岳山頂を後にすると長く伸びる稜線、正確には稜線のやや右側を歩きます。 八本歯のコル方向と合流してさらに進むと正面に間ノ岳、その眼下に赤い屋根の北岳山荘が見えます。 左下にも並行して登山道があり次第に近づいていき、並行のまま山荘に至ります。 山荘には昭和大学医学部診療所が併設されています。 また、中白根山方向には小さなヘリポートもあります。 【北岳山荘→農鳥小屋手前分岐】 北岳山荘からしばらくは緩やかな登りですが、すぐにつづら折りの登山道に変わります。 中白根山から振り返ると北岳に続く稜線の中間点に北岳山荘が見えます。 右手に仙丈ケ岳を見ながらところどころ岩がゴロゴロした登山道を進むと間ノ岳に到着します。 山頂は広く、三角点には間ノ岳ではなく、相ノ岳と記されています。 間ノ岳山頂から農鳥岳方向はゆるい下りで始まりますが、すぐに砂礫の急降下に変わります。 稜線には赤い建物の農鳥小屋を経由して農鳥岳に続いています。 美しいカールの農鳥沢を右手に見て進み続けると右に三国平方向に分岐するポイントに到着します。 【三国平方向分岐→三国平】 分岐の西の峰を超えると突然、岩がゴロゴロした急降下が始まります。 ペンキだけが頼りで足元の岩も不安定なものが多く注意が必要です。 落ちるように下り続けて右に進路をとると急勾配の下りが終わり、今度は登りながらトラバースして右回りに峰を回りこむと山腹に白い登山道が延びているのが見えてきます。 ハイマツの草原が広がり、若干下り気味の登山道がしばらく続きます。 右手に2か所水場が現れた先に大きな岩石地帯が現れます。 ここもペンキが頼りでクレバスというのは大げさかもしれませんが、大石と大石の隙間を飛び越えながら縫うように道が続きます。 再び左右にハイマツの登山道を進むと急に大きな平地が現れ三国平の分岐に至ります。 【三国平→間ノ岳】 左手に仙丈ケ岳を見ながら三峰岳を目指します。 広かった登山道は次第に細い稜線になり、ゆるくも急でもない長い登りが続き、大きな岩を乗り越えて進むと三峰岳に至ります。 山頂から間ノ岳に伸びる細い稜線が右にカーブして伸びています。 三峰岳を後にすると、ガレキの多い道が続き、また、いくつかガケをよじ登る様な箇所を過ぎると間ノ岳に到着します。 間ノ岳山頂では、朝、会えなかったライチョウに出会えました。 【農鳥小屋→奈良田】 農鳥小屋は東に面していて間ノ岳と農鳥岳を見上げるポイントにあります。 建物は、赤を基調とした宿泊棟、ダイニングキッチン棟、管理人棟などから構成されています。 農鳥小屋からつづら折りの登山道を登り左回りに巻くようにがれき地帯を進むと左前方に狭いピークが見えてきます。 ここがおそらく西農鳥岳ではないかと思われますが、表示がなく確認できませんでした。 その頂上は大きな平らな石で、3,4人の人が立つのがやっとの狭さでしたが、展望は360度あります。 農鳥岳までは右手を崖にしたガレキの道が続きピーク手前で稜線に出て山頂に至ります。 農鳥岳を後にすると右手の稜線からどんどん離れていき、大きな窪地を挟んで見上げるほどにまで距離が開いていきます。 ハイマツの草原地帯を抜けると黄色いヤグラが見えてきて大門沢下降点に至ります。 大門沢下降点からしばらくハイマツ草原地帯を下りますが、徐々にハイマツの背丈が伸びてきてきます。 樹林帯に入ると急降下の登山道になり、段差の大きな箇所も現れます。 いくつも梯子が設けられていていますが、梯子がない所で何箇所か登り降りが大変な所もありました。 遠くでかすかに水音が聞こえてきますが、すぐに止み、再び水音が聞こえ出し、今度は次第に大きくなり、豪快に聞こえ出すと左手に沢を流れ落ちるのが見えてきます。 樹林がなくなり左右に花畑の開放感がある登山道になると、路面は砂利や細かい砂礫の急降下で滑りやすくなり、そこを抜けると川と平行になります。 川を左手にしながら登山道が続き、本流に注ぐ支流に設けられた木橋をいくつか渡ると大門沢小屋に至ります。 小屋から河原に出て木橋で本流の反対側に渡ります。 河原の石の登山道をしばらく進み再び木橋で本流の反対側の岸にわたります。 細く浅い沢を歩き、支流を木橋で渡ると、いったん水音が遠のき穏やかな登山道となります。 再び急降下して川と平行になり、取水口の吊り橋で川の反対側にわたりますが、再度、長い吊り橋で戻ります。 砂防工事の現場で大きな吊り橋を渡ると小さな広河原庵がある登山道入り口に着きます。 庵からは林道になり短い未舗装路に続き舗装路を下り続けて、発電所を経由してバス通りを進むと奈良田に到着します。 |
写真
感想
【計画】
例年、夏休みは一週間取れるので、どこか泊りで行きたいと思い、皆さんのレコや地図を見てあれこれ検討していました。
どうせなら高いところがいいけど、大混雑する富士山は避け、日本で2番目に高い北岳をターゲットに縦走することにしました。
南アルプス、○○岳、3000m級、縦走、山小屋泊・・・普段、日帰り低山専門の私としては、かなりかっこいい山行です。
早速皆さんのレコを拝見すると、1泊や日帰りの方もいらっしゃる。
少しは体力がついてきたという自信があるものの、初ものの北岳を十分堪能したいので余裕のある計画にしました。
特に2日目は稜線を周回するようなプランにしました。
【稜線歩き】
今までは、樹林帯は木漏れ日の中、目にする緑や土や木の香り、鳥のさえずりが心地よく、穏やかな登山道を歩くのがこの上なく好きでした。
しかし、今回、南アルプスを歩き、いつまでも歩いていたくなる気になりました。
とにかく開放的で気持ちがいい!
白峰三山縦走路は、近くは仙丈ケ岳や鳳凰三山、塩見岳、遠く北アルプスや富士山を見ながら歩けます。
何度も立ち止まっては左右を眺め、進んでは振り返る・・・その繰り返しでした。
進むべき道が空との境であるというのはこれまであまり経験していないのでとても新鮮です。
森林限界ならではのダイナミックな山行でした。
また、高山植物が豊富で名前を知らずとも目を楽しませてくれ、励まされているようにも感じました。
【山小屋泊】
山小屋泊は、2年前に雲取山荘でベテランハイカーさんに同行したのがお初で今回2回目、単独では初めてです。
落ちる夕日や昇る朝日をあんなに長い時間眺めていたのは初めてかもしれません。
それらは毎日行われている現象で決して珍しいものではないことはわかっていますが、普段見ない私にとっては珍しい天体ショーさながらでした。
今回は、特に夜明けが美しく、空と大地のコントラストを背景に刻一刻と空の色合いが変化し、鮮やかな色彩を放っていました。
雲海に浮かぶ富士山も脇役でしかなく、一人感動に浸っていました。
【山での出会い】
今回の山行では、実にいろいろな方とお話をさせていただきました。
例えば、北岳に向かう途中、景色を訪ねると撮影した写真を見せて北岳の魅力を熱く語ってくれた方、北岳山頂でお話しした人懐っこい笑顔の方は、北岳山荘でも翌日も覚えていらっしゃいましたし、三国平周回コースを私と逆ルートで周った方は同じ農鳥小屋に宿泊された方でしたし、日本海から太平洋まで単独縦走している大学生さんからヤマ話だけでなく、就活していない悩みをお聞きしましたが、気の利いたことも言えず、聞き役にしかなりませんでした。
他にも挙げられますが、皆さんとてもいい方ばかりで、先を急いでいるにも関わらず、歩みと止めて私にお付き合いいただきました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。
また、山荘・山小屋の方々にもお世話になりました。
北岳山荘のスタッフさんは皆、黙々と役割を果たしていましたし、登山道で歩荷中の大門沢小屋の若いスタッフさんは、オーナーが腰を痛めていることを心配して大急ぎで戻るところでした。
そして、農鳥小屋の御主人。
お話し好きでヤマのことをたくさん聞かせていただきました。
【農鳥小屋の御主人】
登山者から行き先を聞いて「何時ころに○○を通過しないとダメだな」などと誰よりも南アルプスを知っているツアーガイドかコンシェルジュと言ったところかと当初は思っていました。
他にも、「シカを狩っているがそれでも増えすぎて植生を乱していて、かといってむやみに乱獲すると別な作用が生じる」とか、山の話から太宰治の作品がポンと出てきたり、「積乱雲が・・・巻層雲が発生すると・・・」などなどとにかく博学なのです。
また、「水場の先をずっと下りていくと麓に着くが、あなたたちは何年かかっても無理だ。落差100mくらいの滝があって抜け道を知っているので谷を下れるが、あなたたちは別の川を渡ってしまう。三途という名前の川だな。」とジョークも交えて話してくれました。
夕闇が迫り、富士山には雲がかかっていましたが、夕食準備の途中に現れて「あの雲はもうすぐなくなる」と言い残してキッチンへ・・・程なく雲がなくなっていました。
今思うと、雲がなくなったのは予想とか予報とかではなく山仙人の呪文ではないかとさえ感じてしまいます。
実際には、これらのことは厳しい環境の中、圧倒的な経験を積んだ方だからできることだと思います。
御主人から叱られたエピソードを見聞きしますが、それなりの理由があってのことではないかと思います。
例えば、宿泊棟に貼られている「早発早着は基本」の文字。
私なりの解釈ですが、早発早着であれば、途中でトラブルがあっても取り返せる可能性があるので早期始動と余裕のある計画が肝要であるというものです。
忘れ物であれば取りに戻ったり、軽い怪我ならペースが遅くなっても目的地に到着できるかもしれません。
最悪、遭難した場合でも、日没までに捜索が開始できる可能性もあります。
捜索となった場合、山小屋付近が現場なら御主人は真っ先に参加すると思いますが、そうなると小屋の登山者に迷惑がかかるから、そうならないために口を酸っぱくして注意するのではないかと思います。
御主人は常に最悪を想定していらっしゃるように感じました。
きっとこれまでヤマの怖さを知る機会が幾度もあったと思います。
だからこそ忠告ができる。
誰よりもヤマを知り、ヤマを敬い、南アルプスを愛し、そこを訪れる人の無事を心から祈っているからこそ忠告することが使命と感じているのではないかと思います。
帰り際、「いつも笑顔で迎え、送り出したい」とおっしゃっていましたが、御主人の気持ちも理解しないで、忠告されたとたんに敵意をむき出しにする方もいるようで寂しそうでした。
またお会いしてお話を伺いたいと思います。
長文にお付き合い頂きありがとうございました。
南アルプスデビューレコ、拝見させていただきました
3日間を充実されて、素晴らしいレコですね。
山で泊まることができると、朝焼け、夕焼け、星空、山での人との出会いなど下界では味わえない魅力がいっぱいありますね 羨ましいです。
LArcさんの写真を拝見すると私の登った時にはガスでよくわからなかった場所がくっきり見えて改めて感激できました(^o^)
充実された夏休み、お疲れ様でした(^-^)/
コメントありがとうございます。
今回は特にゆっくりできたので歩いている途中でも立ち止まってぐるりと周りを見渡したり、花の写真を撮ったり、ただじっと風に当たったり・・・
かなり怪しいハイカーだったかもしれません。
そんな行動をとらせてしまう南アルプスって不思議な魅力をもっているのでしょうね。
山梨県は魅力的な山が沢山ありますから、機会を作って他にも行ってみようと思います。
LArcさん、はじめまして
私もこの白根三山は特に好きな山域です。
大変楽しまれているのがよくわかりました。
特に深沢糺さんについて先入観を排して良く言及されているので、参考にするべきだと思い勝手ながら個人的に登録させていただきました。挨拶まで頂戴して恐悦です。
また私のサイトもご訪問頂きありがとうございました。いつか山で会えるといいですね。
コメントありがとうございます。
白峰三山は初尽くしで帰ってからも子供のようにはしゃいでいたのでだらだらと書いてしまいました。
大人になってこんなに楽しい気分になれるんですから山歩きは素晴らしいな、と思います。
皆さんのレコを拝見するのも、自身でレコ書きするのも趣味のようになりつつあります。
nanshuさんのレコも大いに注目していきますので、よろしくお願いします。
早速、レコ拝見しにお寄りしました
日曜日から入山されていたのですね!
うわ、白峰三山+三国平〜三峰まで来られたのであれば、ぜひ熊にお寄り頂きたかった〜!
でも、熊は本来仙塩尾根上ですから、今度はそちらからお寄り下さい。本当に美味しい水ですよ
そして農鳥小屋のご主人も、今となっては珍しい「本当の山男」ではないかと思います。
怒られたという方は、怒られるようなことをなさっておられるのではないかと・・・。
でも、お天気に恵まれた素晴らしい山行でしたね
今後ともよろしくお願いします!
コメントありがとうございます。
三国平〜農鳥間の水場の水より熊水の方が100倍位美味しいですって?!
以前のレコでわざわざご自宅まで熊水をお持ち帰りになっているようなのでよほどなんですね。
完全にリサーチ不足でした。
しかし、夏休みが終わってしまい今度はいつ行けることやら。。。
今はリベンジを誓うばかりです。
初めまして。
「農鳥オヤジ」、深沢さんに反応しての遅レス(遅すぎる)です。
全てを語って頂いて、、、オヤジファンです。
「犬を飼っている」との批判もたまに耳にしますが、実はこの犬たち「天然記念物」の「甲斐犬(芦安犬)」です。
本来、ここにいるべき犬。
さて、この犬は不可なんでしょうかね、わかりません。
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