甲武信ヶ岳 笛吹川 東沢 釜ノ沢
- GPS
- 31:00
- 距離
- 14.4km
- 登り
- 1,497m
- 下り
- 1,462m
コースタイム
3/14 山頂往復 8:45小屋発 三富鉱山跡見学 13:00西沢渓谷分岐
天候 | 晴れのち曇り 晴れのち曇り 下山間際に雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年09月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
東沢釜ノ沢はここ数年の台風などできれいな釜が埋まってしまっている。この夏は雨が少なく、水量もしょぼかった。けど良い沢。 詳しい記録は一月後表示にします。 |
写真
感想
釜の沢16年ぶり。また大型撮影機での撮影に行く。
周辺は埼玉県に抜ける雁坂トンネルが出来ちゃっていて、前に泊まった旅籠もどれだかもう分からない。
手書き登山道標識をつけ、枝はらいの整備をする温井一郎さんと辻崇さんと遡行する。橙色の消防隊員窪田、田中、米倉さんら5人も両門の滝まで一緒に登る。
東沢は20年前の地形図では夏道記号が着いていて、滝には全て巻き道がついているが、沢沿いはほとんど道は喪失。特にここ数年の台風土石流できれいな釜は結構埋まっていて残念な感じになっている。
ホラノ貝ゴルジュも出口の釜は埋まっていて、東のナメの釜も浅くなってしまった。加えて雨不足で水量もしょぼい。
しかし魚止めの滝から千丈ナメ。ここの圧巻は変わらない。カウンナイばりの自転車走行可能な一本廊下コースだ。
両門の滝で消防隊は引き返す。山椒魚を見つけたと追い回すところなんか小学生みたいな人達だ。温かいお味噌汁をごっつぁんになった。
両門の滝の巻き道を撮影しておりたら、先に行った辻さんがいない。すぐ上の薬研の滝と迷い沢の二股もあるし、両門の滝を落ちた可能性と3方向で1時間程探しまわるが、薬研の上に進んでしまっていた。パーティー初めて組むときは始めに言葉で確認しなければいけなかったな。
その先は冗長な緩い傾斜の河原歩きだが、天然のカラマツ巨木林がある。国師岳の南の尾根はかつてこの天然カラマツ林(てんからりん)の宝庫だったが戦後ほとんど切ってしまったそうだ。ここは谷の中だから搬出しにくく、また谷の中だから風が強くない為、巨木も育つ条件なのでまとまって残ったようだ。直径1.5mを越えるものも多数。植林カラマツからうける印象とはほど遠い、風格ある苔むしたカラマツ巨木林だった。
水師沢を分け傾斜が急になり辻さんが重荷に遅れ始めたが、明るいうちに稜線下の水場に着いた。凄く冷たい。トリカブトの花がたくさん。
小屋ではご主人、山中徳ちゃんが焼酎飲ましてくれた。16年前に来た事を覚えていてくれた。カレー大盛りでおかわりしすぎた。
泊まり客はほかに7人ほど。数年前に山梨民放が作ったという釜ノ沢の特集番組を見せてくれた。いまどき山小屋には立派なテレビやビデオがあるのね・・・。山ではあまりテレビ見たくないなあ。
翌朝快晴。山頂から富士山、南ア、八ツ、浅間山まで。奥秩父の主稜線全て。この山彙は木の多い山だよ。これだけ雨が降らないのに、一向に水が絶えないわけはこれだ。
下りは尾根をまっすぐ下る徳ちゃん新道ではなく、古来の近丸道を行く。尾根途上1869より急降下し、ヌク沢に下る。何故道がここにあるかというと、むかし鉱山があったから。幅数十米はあろうかという石英岩脈が貫入していて、道が白くなるのですぐに鉱山跡と分かる。この急な尾根からヌク沢左岸へ空中ケーブルで運び、トロッコで下までおろしたところがこの道だった。山の神のすぐ下のレール跡をたどり、鉱道を辿ると、沖縄のガマのような大きな堀跡。中は直径10mくらいのドームが柱を残していくつも奥まで連なっている。凄く広い。ローマ帝国の治下墓地カタコンブのようだ。奥にはトロッコレールが伸びていて、もう真っ暗。凄く寒い。函館山の裏の洞を入ったときの様で完全に暗黒だ。大人でも怖くて一人じゃとても入れない。天井も壁も全て石英。でもきれいな水晶はなかった。
穴から出ると、なんだか精気を吸い取られたような虚脱感を感じる。洞窟、洞穴、いつも感じる。何かが「来るな」とささやくのだろうか。体が感じる言葉以前のセンサーの働き。こういうのを飼いならしたり、存在を思い出したりしたい。
尾根を下り、ヌク沢を渡るところが少し分かりにくい。左岸はトロッコレール沿いに下る。途中で雨に降られたけど、気持ちいい。ずぶぬれは最高。
温井さんは、標識を手書きで書いて立ち枯れの木などにつける。看板の鳥瞰図も力作だ。市役所観光課の人のお勤めの域を越えた働きをしている。どこの市役所にもこれほど頼りになる人はいないだろう。東沢は一般ルートではない。沢の経験が無くては行っては駄目なところだが、捜索に行く遭難が毎年あるという。騒ぎになれば余人は居らず、休日返上で助けなければならない。そうなっては大変だから標識を下げている。山とは何かを知らない行政担当者に、安易に無難に事なかれに「立ち入り禁止」にされてしまわないように、現場で働く人なのである。本当の宝物は、立ち入り禁止では守れないから。行政の中にだって稀にこんな人がいるのである。
三富の湯で汗を流して帰還。久しぶりに重荷の終日沢登りで結構体にきた。この夏は引っ越しで山、遠ざかっている。
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