白山スノトレ(風嵐ゲートin/out)
- GPS
- 21:01
- 距離
- 45.0km
- 登り
- 2,584m
- 下り
- 2,583m
コースタイム
- 山行
- 6:55
- 休憩
- 0:16
- 合計
- 7:11
- 山行
- 11:24
- 休憩
- 2:20
- 合計
- 13:44
天候 | Day1:小雪時々曇り、Day2:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
※以下、3/20,21現在の情報 【風嵐ゲート→市ノ瀬】 市ノ瀬発電所過ぎ(約8km付近の小三ッ谷橋)までは夏道。この2日間に風嵐ゲートからの入山者は自分入れて4名。残り3名は自転車利用で、いずれも小三ッ谷橋にデポ。湿った雪のため、積雪量は10〜20cm程度だが、沈み込み、歩きにくい。 【市ノ瀬→別当出合】 積雪量が増え(20〜30cm)、途切れることなく雪道が続く。 【別当出合→中飯場】 橋桁の外された一本橋を渡って砂防新道へ。石畳手前の取り付きがわかりにくい。自分は先行者のトレースに助けられた。 【中飯場→甚之助避難小屋】 どこでも登れそうだが、実際にはどこに取り付けばよいのか、至極わかりにくい。自分は先行者のトレースに大いに助けられた。先行者は大半の工程が膝ラッセルと思われる。 【甚之助避難小屋→室堂】 先行者を追い抜き、山頂まで自分が先頭に。避難小屋から南竜道分岐点と思しき場所までは単純直登ですが、エコーラインまでの登りは傾斜がきつく、「滑落したら終わり」的な危険箇所も多く、この山旅のハイライトであり、細心の注意が必要。特に下り。 【室堂⇔白山(御前峰)】 夏道は埋まっており、どこでも直登可能。強風で表面の雪が飛ばされるためか、アイゼンの爪を効かせやすく、登りは楽。山頂直下のみ氷結していてアイゼンの爪が効きにくく、ピッケルを頼りに、四つん這いになって登りました。山頂直下の下りのみ滑落に気をつければ、後はアイゼンの爪を食い込ませ、一直線に楽々下山可能! 【室堂→甚之助避難小屋】 エコーラインの稜線から南竜道分岐点(と思しき場所)までが核心部。どこでも下れそうな反面、斜度が半端なく、滑落したら停止不可能なため、極力傾斜がゆるい場所を探し、クライムダウン(登りと同様、雪側を向いて、ピッケルの先と両足アイゼンの前爪を頼りに四つん這い)で安全第一、ゆっくりと下りました。 【甚之助避難小屋→別当出合】 往路につけたトレースを辿ることで楽々下山可能。登りではきつい膝ラッセルも、下りではクッション代わりになり、膝に優しい雪質! 【別当出合→風嵐ゲート】 前日の登りの時より、大分雪解けが進んでました。登りでは途切れることのなかった別当出合〜市ノ瀬間の雪が所々溶け、舗装路が見えてましたね。市ノ瀬〜小三ッ谷橋までの雪質は湿って重たく、新たに踏むと沈み込むため、極力前日につけたトレースを忠実に辿りました。 |
写真
感想
前回は2018年11月、2日前に閉じたばかりの白峰ゲート(風嵐ゲート)から、今回同様、別当出合までの17km林道を歩いたけど、林道はオール夏道でした。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1662319.html
前回も山は雪がたっぷり、"白い"白山でしたが、肝心の御前峰は暴風で眺望はなく、必ずや眺望リベンジを、"白い"うちに果たしたかった白山。
今シーズンは暖冬といえど、2,700m峰の白山。林道も夏道なのは最初の8km(市ノ瀬発電所過ぎ)までで、以降はガッツリ雪道で、前回より明らかにハードな山旅となります!
そもそも、、、朝7時に出発予定でしたが、前日深夜から雨が叩きつけるように降り続け、7時現在も雨。雨の中、車から出る気にならず、雨が降り止んだのは9時半過ぎ。予定より大分遅れ、10時に風嵐ゲートを出発!(正確に書くと、9:45に一度出発したものの、500m地点でトレッキングポール忘れに気づき、ザックを置いたままポールを取りに戻り、10時にリスタート)。そうそう、他にも車が2台停まっており、先行者がいそうな予感。きっと、雨の中発ったんだろうなー。。。
出発時は何とか雨は止んでたが、ほどなく冷たいミゾレが降り始める。Day1は荒天なのは予報通りで、Day2の好天に総てを賭け、四の五の言わずに、言葉少なく黙々と進みます。
すると、2時間弱かけて辿り着いた8km過ぎの小三ッ谷橋にチャリが3台デポされてて、確かにそこから先は舗装路も真っ白で、完全に雪道に。でも、ここまででもチャリで乗り入れられるってうらやましい限り(特に疲労Maxの下りで効果てきめん!)。
市ノ瀬を過ぎ、六萬橋を越え、急傾斜に差し掛かると、確実に雪量が増えます。ミゾレがいつしか小雪に変わり、シトシト降り続けます。おかげさまで、つい数時間前のものと思われる先行者のトレースが段々と薄くなっています。でも、極力、先行者のトレース上を歩き、体力温存を心がけます。
白峰ゲートから5時半弱かけて、やっとこさ別当出合、そう登山口に到着(笑)。この時点で15時半過ぎ。計画ではここから甚之助避難小屋まで3時間。明るいうちに辿り着くことは不可能と目され、別当出合で風を防げそうな寝床を探すも皆無。ともかく、明るいうちに行けるところまで行こうと先を急ぎます。やはり雨の中、もっと早く発つべきだったと反省です。
そうそう、別当出合に到着した時、「白山観光」とかペイントされた青いライトバンが1台停まってて、周囲は1m以上の雪に埋まってました。冬季シーズン停めっぱなしなのかなー、と思い、特段写真も撮らなかったのですが・・・、なんと翌日の帰りの時はなくなってました。雪に埋まったわけでもなく、車が動いたトレースもなく、車本体だけがキレイに跡形もなくなってました。前日、自分は疲労から幻を見たのだろうか?永久に明かされない、今回の旅の最大の謎です・・・。ミステリー・・・。
さて、橋桁の外された砂防新道へ入る一本橋への挑戦も今回で2回目。前回と違い、雪が乗っているため大変滑りやすくなっており、10分以上かけて、そろーりそろーり一歩ずつ、慎重にすり足で進みます。最初と最後に味わうこの緊張感、冬季白山の醍醐味ですね。
石畳に取り付く辺りは、正直先行者のトレースがないと探すのが大変だと思いました。どこでも登れそうな反面、適当に登ると遭難しそうで。石畳を登りあげると一本橋が見下ろせます。ここらへんからは、トレースも明白で、仮にトレースがなくても、ルートを外さなさそうな林道が続きます。
そして17:15頃、ついに中飯場に到着。すると、チャリの数に等しい3名の先行者(2名のペア+ソロ1名)と遭遇。今日初めて、人に出会えました!一度は中飯場を後にして先を目指しますが、3名がここで歩を止めたため、トレースも途切れ、ほどなく暗くなるため、3名に倣い、中飯場での野宿を決断。
2名ペアは中飯場の建屋正面を陣取り、防風板を外して下に敷き、タープを張ってました。ソロ1名は裏に雪壁を作り通常のテント泊。私は建屋裏側が風下になっており、既設の雪壁が風を遮ってくれるのを確認し、早速床の整地を開始。1時間経たないうちに暗くなるため、作業を急ぎます。雪を造形しての野宿準備・整地は初体験でしたが、思ったより手際よくできました。建屋の窓の「防風板」を外して、床の下に敷く、というアイデアは絶妙でしたね。知らなければ、整地した雪の上にシュラフマットを直接敷いてましたが、体感温度は天と地ほど違ったでしょうね!寝床急造模様は写真をご確認ください。
何とか暗くなる前に寝床を確保し、カップラーメンを食って、19時前に就寝します。たくさん着込んで、ナンガの厳冬期シュラフ【コンフォート:-4℃、リミット:-11℃】に入ると、冬季の屋外でも全然寒くない。正確には建屋の壁と雪壁が防風壁の役割を果たし、ちょうどエアーポケットのような空間になっているおかげです。
で、目を開けると、そのまんま満天の星空。最初は寒いから・・・と思って目をつぶってましたが、山男魂がうずき、シュラフのまま立ち上がり、雪壁の上にカメラを置いて星空撮影開始(笑)。何より、冬の星座・オリオン座が低い位置にクッキリと見え、撮影時は、寒さは忘れてましたねー。再びシュラフごと横たわり上を見上げると、やはり満天の星空☆☆☆。最高です♪。
翌朝は5時過ぎに起き、アイゼン装着など、出発準備を始めます。Day1に甚之助避難小屋まで達せられなかったため、時間的にDay2のうちに下山できないリスクを検討しました。Day3は荒天(雨&雪)予報のため、仮にDay2に泊まるなら、中飯場より甚之助のほうが安全だと考え、甚之助まで荷を担ぎ上げようと考えましたが、中飯場に重たい荷物一式を置き、軽身で山頂ピストンするのが「Day2下山」に向けた最大の対策では、と思い直し、プラン変更。大汝峰への登頂も断念し、対象を御前峰一本に絞ります。結果的にはこの判断が奏効しました!
6時頃にはテント泊のソロの方が先に出発されました。野宿の男性ペア2名はのんびりモードでした。私は6時半頃に中飯場を出発。しばらくは、先行者のトレースを追いかける形となります。先行者は膝ラッセルの様相で、感謝仕切りです。
道中振り返ると、大長山や赤兎山、そして程なくおととい登った荒島岳が見え始めます。そして別山が見え始める頃、稜線からご来光。青空、ご来光、雪、最高のコンビネーションです。
甚之助避難小屋まで2時間を見込んでましたが、先行者のトレースのおかげで、1.5時間で到着です。甚之助で先行者に追いつき、追い越し、以降は山頂までノートレースの中、先頭で進みました。
南竜分岐点と思しき辺りまでは膝下ラッセルを強いられますが、マイペースで登っていけます。そこから斜面をトラバースし、エコーラインまで登りあげる箇所が、今回の旅で最も危険な核心部でした。どこでも登れそうな反面、どこも急傾斜で、仮に滑落したらピッケルでも止められそうもなく、命がけです。とにかく慎重に、時間をかけ、つかまれる物(岩、ハイマツ)につかまり、四つん這いで這い上がりました。
何とかエコーラインまで登りつめると、上空にはヘリコプターが周回。この時期、小屋への補給もないので、事故じゃなきゃいいな、と思いながら、稜線に出ると、この日初めて御前峰がお目見えです!まだ白山室堂は見えません。でも、今日のゴールが見えた時、とっても嬉しいですよね。槍沢からの槍ヶ岳と同様、「見えてからが遠い」んですが(笑)。
ついついエコーラインの稜線を道沿いに進んで地図を見たら、山頂から見事に遠ざかっていることに気づき(汗)、90度折返し、山頂へ向けて直登を開始。この時期、本当にどこでも歩けます。
程なく埋まった標高2,400m超の白山室堂に到着。鳥居の最上部が何とか地上に出てましたが、ここら辺が、人を寄せ付けない豪雪エリアであることを物語ってますね。
御前峰までは、これまで同様、好きな斜面をひたすら直登です。強風吹きすさび、表面の雪は総て吹き飛ばされてしまうので、ズボッと沈むような斜面はあまりなく、かと言ってアイスバーンのような箇所も山頂直下以外はなく、アイゼンの爪を効かせれば結構イージーにハイクアップできます。ただし、左から強風が吹き付け、バラクラバをしてますが、左頬が凍傷になりそうな位痛い感じでした・・・。
そうそう、御前峰登頂一番乗りかと思いきや・・・、平瀬からのワンデースキーヤー2名に先行されました。アプローチが長い白峰ゲートからの入山もしびれますが、平瀬からって、難易度はもっと高く、(スキーヤーでない)登山者の入山歴はほとんどないのでは???という感じがします。
山頂直下だけはカリカリに凍りついてて、ピッケルを打ち込み、両足の前爪で同じ箇所を2,3回蹴り込み、四つん這いで這い上がります。距離にして20m位でしょうか。前爪が刺さらないことはないので、慎重に時間をかければ、必ずや登りきれます。
そしてDay2の中飯場出発から4時間弱で、ついに冬季白山の最高峰・御前峰(2,702m)に登頂!あまりの強風で、自撮り棒のセットは、白山奥宮の一角の風を少しでも遮れる場所で行いました。身体ごと持っていかれそうな爆風のため、自撮りも何度もできる状態でなかったですね。でも、前回(2018年11月)は、お隣の大汝峰さえ見えない荒天だったので、今回は別山+福井の峰々をはじめ、三百名山の三方崩山、そして遠方にはうっすら御嶽が望め、北アルプスこそ見えなかったものの、眺望リベンジとしては成功と言えます。
山頂で、甚之助で追い越したソロハイカーに追いつかれ、聞くと地元の方で、冬季白山は初めてのようですが、白山自体は何度も登ったことがあるようで、山頂から中飯場まではご一緒させて頂きました。この地元ハイカーの導きのおかげで、核心部のエコーライン直下を安全にクライムダウンできた気がします。
それにしても・・・、下りの楽なこと楽なこと!アイゼンの爪を効かせながら下りていくと、最短ルートをまっすぐ一直線に下れます。しかも登りにつけた己のトレースを頼りにすると、安全度も高まり、一石二鳥!そうそう、エコーラインまでハイクアップする途中に、中飯場で野宿し、遅出発だった男性ペア2名ともすれ違いました。スノーシューで登頂するようです。また、今晩は甚之助避難小屋でもう一泊すると言っていました。
下りはずっと別山が正面にあり、その威風堂々たるや、本家御前峰を越えるイケメンっぷりです。あと、おととい登頂し、向こうからも白山&別山を見ていた荒島岳が、いつ見ても真っ白に見え、別山と並んで今日の名脇役でしたね!
エコーライン直下の危険地帯を越え、甚之助避難小屋まで達すると、もはや安全圏に入ったと言えます。なにせ、ここから先は傾斜は緩くなり、何より往路につけた己のトレースがありますし。山頂から同行して頂いた地元ハイカーと山ネタを話しながら下ったおかげで、余計に時間を感じることなく、中飯場まで戻れちゃった気がします。
荷物をデポしていた中飯場への到着は14時前。Day3は荒天予報のため、日暮れ前までに一本橋を渡れるなら、Day2のうちに下山する計画でしたが、時間的には余裕です。やはり「軽さ=正義」ですね、登山においては。
結局、日暮れは市ノ瀬を過ぎた辺りで、まぁいいペースで下れました。往路(登り)は終始小雪がちらつき、眺望がなかった退屈な林道ですが、復路(下り)は別山が青空に浮かび、甚之助谷も見渡せて、往路よりは遥かに楽しかったです。下りだから楽だし。
そして、小三ッ谷橋のチャリ3台のデポ地点へ。うち2台の主は、今晩甚之助避難小屋にもう1泊しているはずで、明日までここにあるはずです。もう1台の主は、私が中飯場出発時は、まだテントを畳んでました。が、結論から言うと、19時頃、多分百貫岩より市ノ瀬側で颯爽と追い抜かれました!この林道、チャリだと下りはペダルを漕がなくてもハンドル操作だけで進むと思われ、文明の利器としては最強クラスです。その方、今回の冬季白山登頂のために折畳みチャリを新調した、と言っていました。冬季白山って、それだけ魅力あるんだと思います。ただし・・・山好きな万人に、気軽に(無責任に)勧めできる難易度ではありませんが。
白峰ゲート到着は20:20頃。ここから車で5分の白峰温泉総湯の入場は20:30までなので、着の身着のまま、大急ぎで総湯へ。入場はピッタリ20:30。ギリギリセーフです。18時間45kmを完歩した後、風呂に浸かれるか否かは、天と地ほどの差があり、己の健脚と幸運に感謝です♪。
かくして、冬季白山へ1泊2日で、無事登頂を果たしました!百名山2周目の眺望リベンジとしても大成功!次回は、白峰ゲートが開いてる夏季に、別山や大汝峰まで縦走したい!!と強く思いました!
こちらでは初めまして。
中飯場でご一緒させていただいた者です。
山行お疲れ様でした。特に舗装路歩き、お疲れ様です!!
記録のUPお早いですね!
その節はお世話になり、ありがとうございました。
同じルートを行く方がいるというのは心強い限りでした。
また、個人的には体力不足を感じた山行だったので、見習ってトレーニングします。
こちらこそ!中飯場〜甚之助までのラッセルトレースをつけて頂いたことに本当に感謝してます!
私は、翌日曜は伊吹山(名古屋までの帰路、上野登山口付近を通過)へ登りたい衝動を抑え(笑)、休息&ヤマレコup準備に充てました!
不思議なもので…帰路の都内電車で、ザックが重くてへこたれましたが、よーく考えると、これ背負って白峰〜中飯場まで7時間近くハイクアップしたんだなー、と(笑)。
白山は、今度は夏に、平瀬から入るかもしれません!今回はありがとうございました!
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