越百山〜南駒ケ岳〜空木岳(過去レコです)。
- GPS
- 56:00
- 距離
- 23.7km
- 登り
- 2,438m
- 下り
- 2,428m
天候 | 晴れ。 |
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過去天気図(気象庁) | 2008年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
程々の危険個所はあります。 |
写真
感想
親友のSさんとお盆に登る約束をしていた。2008年8月12日、9時に伊奈川ダム奥の今朝沢の駐車場で待ち合わせた。ナビを合わせておいたが、国道19号線須原から山道に入り、最後の集落の所でナビは、「目的地周辺です」と言って案内を終えた。でも駐車場はまだまだ先。すれ違えも出来ない山道を進み8時40分に駐車場に到着。駐車場は一杯でもう駐めるスペースは無い。一段下にある工事現場用の広場に車をとめ仕度をする。9時丁度にSさんが到着。9時8分、車止めで閉鎖されている今朝沢林道に入る。緩やかに登っている林道を、足早に歩くSさんについて行く。40分で南駒ケ岳への分岐、福栃平に到着。「山と高原地図、木曾駒・空木岳」のコースタイムは1時間20分と書いてあるのを見てビックリ。ザックを下ろしてひと休み、水分を補給する。長袖シャツを脱いでザックの頭にからげ、半袖一枚となる。今日は一日天気が良さそう、サンオイルを塗りたくる。ここで林道歩きは終わって、「KOSUMO→」と書かれた登山口に入る。入り口の標識には「越百山へ4時間」とあるが地図上のコースタイムは5時間25分、この山の標識に書かれてあるコースタイムは健脚向けのもので、中高年向きのものでは無いので要注意。山腹の笹原の急登をジグザグに登り、汗をたっぷりかいてシャクナゲ尾根、「下のコル」に到着。そこでは女性二人が休んでおり、われわれもひと休み。この人達も越百小屋に泊まるとの事である。次なる目標は「上のコル」、地図上では40分の行程である。標識には「おこじょ平へ30分」と書かれている。ゆっくり休んで、おばさん達を残して出発。上のコルを目指してシャクナゲ尾根を登る。シャクナゲ尾根から遠見尾根へ、どこがその境目か判らないが、いずれにしても急登の尾根をひたすら登る。40分以上たったが上のコルにもおごじょ平へも着かない。前を登る男二人を追い越して頑張って登ったのだから、そろそろ着いても不思議でない。汗をかきかき下のコルから50分ほど登ると古びた標識があり、良く見ると「標高1900M、六合目」と読める。地図上には6合目という所は記されていないが、上のコルは1749mと記されているので、知らないうちに通り過ぎたようである。12時10分前、おむすびを取り出してランチタイム。食後のデザートにナシを剥いて半分っこする。その間に先程の男二人がわれわれを追い越して行く。次なる目標は七合目の御嶽展望台であるが、古ぼけた標識に「七合へ35分」と読める。知らぬ間に大分登ったようである。ゆっくり休んで出発。根っ子の這い回る尾根をゆっくりと登り、到着した七合目からは御嶽山の姿は見えなかった。ここでもう一度ひと休みしてから根っ子の階段を登ると、「水場」とある。水は2L持ってきているからまだまだ残っているので水場をやり過ごし、急登をジグザグに登る。水場から20分ほど登ると男が一人降りてくるのに出会う。何処まで行くのかと聞くので、越百小屋までだと答えると、小屋には水が無いので水場まで水を汲みに行くのだと云う。ミネラルウォーターも売ってないのかと聞くと、それも無いと云う。われわれは引き返して水場まで戻る気力は無く、ミネラルウォーターも売ってないなんてことは無い筈だとそのまま登り続ける。こんな急坂を2度も登るなんてよくまあやるなと感心しつつ、本当にミネラルウォーターも売ってないんだろうかと心配しつつ登り続ける。急坂はゆるやかな登りとなり、やがて下りにかかる。どこまで下るのかと不安になる頃、林の間から小屋の屋根らしきものが見え隠れする。登り始めてから5時間ほど、予定より2時間も早く越百小屋に到着。小さな営業小屋と避難小屋が並んで建っている。手続きを済ませ、早速一本300円也のミネラルウォーターを2本買い、ポカリスウェットを作ってまずはひと安心。たとえ一本1000円だと云われても、ここから水場まで戻る気力は無い。小屋の前の小広場のベンチに腰を下ろし、一缶600円也の缶ビールで乾杯。もう一本缶ビールを空け、その後は持参のウイスキーをチビチビ。Sさんは焼酎をグイグイ。つまみには事欠かない、二人ともこれでもかと思うほど沢山持ってきている。5時からの夕食はテンプラとおでん。テンプラはからっと揚げられていて美味い。今夜の宿泊は13人、夕食が終わると全員外に出されて待機させられる。小屋のオヤジがたった一人で全てを切り盛りしている。オヤジが布団を敷き終わって、小屋の裏手から、「○○さ〜ん」と呼び、順番に寝床に案内される。毛布は一人一枚だが、敷き布団は二枚に三人である。7時にもはや消灯、でも地響きを立てる程のイビキに眠れるわけがない。
4時半に起床、5時から朝食。外に出ると南駒ケ岳がどっしりと構えているのが見える。ほとんどの人は下って行き、わたし達とおばちゃん二人が残っている。越百山まで登るだけとゆっくりしているおばちゃん達を残し、5時50分に小屋を出発。昨晩の雨で濡れた草木にズボンの裾を汚さないようスパッツをつけ、まずは目の前の緑の山を目指す。朝一番、Sさんは元気が良く、シラビソの林の中を先にたってどんどん登るが、わたしはゆっくりマイペース。途中で昨日水を取りに行っていた単独行の男に追いつき、ゆっくり登るその男の後に続く。緑の山に登ると、シラビソが無くなりハイマツが混じり、眼前に越百山が現れる。尾根を登って越百山山頂2、613mに到着。ハイマツと大石と砂礫の頂上には遮るものが無く、360度の展望が得られる。振り返れば越百小屋の赤い屋根をポツンと小さく見おろし、東にはこれから目指す仙涯嶺、その左手奥にはどっしりと南駒ケ岳が聳え、その頂上に向かって尾根伝いに長い登山道が続いている。西には恵那山が重厚な山容を見せ、それに続く安平路山、摺古木山を見ている筈なのだが、どれがどれなのかさっぱり判らない。北西には御嶽山が雲の上に浮かんでいる。単独行の男は、ここら辺を少しウロウロして、今日帰るという。どうも越百山から縦走するのはわれわれだけのようである。「至 駒ケ岳方面」という標識に従って広い尾根を一旦下る。ハイマツの中の白い砂礫の尾根道を、青空の下、気持ち良く登る。大石が積み重なった仙涯嶺、ちょっと寄り道して頂上に登り、ひと休みする。ここは標高2,734m、目の前の岩峰の向こう、南駒ケ岳へ向かう花崗岩が露出した男性的な尾根が真近かになり、空木岳もその右手奥に姿を現す。振り返ると、対照的に女性的なおだやかさを持った尾根が越百山へ続いている。仙涯嶺からの下りは鎖も掛けられている岩場で、案内本にはこのコース一番の難所と記されているが、危険な感じは無く、鎖に頼らなくても下る事が出来る。仙涯嶺を慎重に下り切って鞍部に至り、伊奈谷側をトラバース気味に登る。さらに、ミネウスユキソウ、トウヤクリンドウ、トリカブトなどが群れ咲いている支尾根を頑張って登る。これを登り切ると南駒ケ岳の主稜線にさしかかる。大石がゴロゴロした南駒、その向こうに赤梛岳、さらに向こうに空木岳が連なっている。主稜線を大石の間を縫いながら登り、南駒ケ岳山頂2,841mに至る。予定より時間は早いので頂上でしばし中央アルプスの絶景を楽しむ。南駒からどんどん下り鞍部に至ると、「摺鉢窪避難小屋へ15分」の案内板があり、下を見ると立派な小屋がある。赤梛岳の右手に百間ナギと呼ばれる崩壊地があり、荒々しい地肌を露出させている。小屋の建つ場所は辛うじて崩壊を免れ、あと一歩という所で踏み堪えている。鞍部から登り返して赤梛岳2,798mに至る。そろそろ昼飯時だが、越百小屋の主人は、今時は食中毒が危ないからといって弁当を作ってくれなかったので、行動食やバナナ、トマト、ナシなどを食べまくる。赤梛岳を下る途中、本日始めて人と行き交った。鞍部に着くとあとは空木岳に登るだけだが、鋭い稜線が頂上まで続いている。右側は伊奈谷に急峻に落ち込んだ崖。左側も急峻であるが伊奈谷側よりはましで、稜線直下にトラバース気味に道が付けられている。伊奈谷からガスが吹き上がって来て空木岳への稜線を跨ぐ。緩やかだった登りも急になり、まだ時間はたっぷりある、慌てることは無い、途中でひと休み。ハイマツ帯も過ぎ、白い砂混じりの花崗岩の山肌にはイワツメクサ、タカネツメクサ、イワギキョウが、あっちにもこっちにもかたまって咲いている。花々の写真を撮りながらゆっくりゆっくり登り、空木岳山頂2,863mに登りついた。越百山から登ったり下ったり累積標高差はどれほどだったのか、たどり着いた頂上は薄茶色の砂礫の小さな広場で誰もいない。本当に静かな縦走であった。しばらく山頂でボーっとしていると、ゼーゼーと息を切らせて若い女性が木曾殿越側から登って来た。普通、山頂で会えば挨拶ぐらいするのだが、この女性、振り向きもせず一人で何やらブツブツ云っている。しばらくするとゼーゼーと息を切らせて今度は若い男がやってきた。この男も何の挨拶も無し。二人ともゼッケンらしきものを着けていて、男と合流すると女は、「水場で遊んで行こー」っと、駒峰ヒュッテに向かって下りて行く。なんて無礼な奴らだと思いながら、静かになった山頂で再びボー。大分経ってまたゼッケンを着けた若い男がゼーゼーと登って来た。今度はこちらから声をかけて聞いてみた。「レースですか?」、「山岳レースです」。そうか、きっと木曾駒ケ岳あたりから走ってきたのだろうと、「何処から来たのですか?」、「日本海」。「ん?」、何をバカなこと云っているんだと思っていると、「魚津からです」。「ん?」、「魚津から剣に登って、槍、穂高から上高地、そして木曾駒高原からここまで来ました」。大分しょっぴいてあるが、幾つもの山を越えて来たことは間違い無さそうである。成る程、登った山ごとで人に挨拶しているような登山では無いんだ。「これから駒ヶ根に下り、仙丈を越えて静岡の日本海まで行くんです。7日間がかりですが一日予備日をとって8日間の予定です」。先日三俣小屋で会った、白馬から来たおばさんの比では無い。世の中にはとんでもない事をする人達がいるもんだと、ビックリ仰天。若者が去って中高年の夫婦連れが登って来た。これは普通の登山者。聞くと、今朝ロープウェイで木曽駒ケ岳に登り、ここまで縦走して来たが、長い尾根だったと云う。そして池山尾根を通って今日中に駒ヶ根に下りると云う。日帰りで木曽駒から駒ヶ根まで、これまた普通の登山者では無かった。何処からどう見ても普通の登山者であるわれわれは、1時間ほど頂上で過ごして下山開始。鎖あり、ハシゴありの岩場は仙涯嶺の下りより難儀である。これを慎重に下り、途中第1ケルンでひと休み。来し方を振り向くと、累々と重なる大岩が天に向かって突き上がっている。もう大分下ったのだが?と思う頃、鞍部に建つ黒い小屋が見え始めひと安心。木曾殿山荘のドアーを開け、Sさんが手続きしている間にも登山者が入って来る。予約の無い人には小屋の主人が、「ここは予約が無いと泊まれません」と、ひと言嫌味を云いながら、結局は中に入れている。早速1本300円也のミネラルウォーターを2本買い、明日のためのポカリスウェットを作成。1本500円也の缶ビールを飲んで休憩。寝床は2階の大広間、布団2枚に3人。夕食が終わって主人が寝場所を指定する。われわれは奥の片隅。Sさんのイビキに悩まされ、今晩もウトウトと夜を明かした。
翌朝は4時半に起床。朝食を済まして5時50分に小屋を発つ。ほとんどの人は空木岳へ向かい、下るのはわれわれだけのよう。今日は1,500mの下り、およそ6時間の予定だ。ダブルストックでゆっくりと下ることにする。小屋から5分ほど下った所に、「義仲の力水」という水場があるが、涸れてしまって全く水は出ていない。昨晩は少し雨が降ったのだが、少々の雨では水場は回復しない。でも登山道は濡れていて、左程の急坂では無いが2度滑って転ぶ。以後は慎重に尾根道を下る。「御嶽見晴台」ではあいにくの曇り空で展望は無いが、ここでひと休み。御嶽見晴台を過ぎると間もなく8合目。道は勾配を増し、林の中を下る。7時25分、七合目付近、「仙人の泉」で一服。この水場はしっかり水が出ている。ちょっと飲んでみるとうまい。ペットボトルに給水し、家に持ち帰ってこれでコーヒーをいれることにする。うさぎ平まで2時間と書かれた標識がある。勾配はさらに急になって、段差のある石を降りることが多くなり、ダブルストックに身を預け飛び降りる。「空木岳倉本口六合目 北沢、五合目へ五十分」と、古びた標識に読み取れる。つり橋を渡り、川原に下りて顔と頭を洗う。う〜、気持ちいい〜。しばし川原で水遊びして再び歩き始める。トラバースして山肌を登り、水の流れる音は段々下になり、東金尾根に至る。東金尾根を緩やかに下り五合目。ここからは再び急な下りとなり、水場を過ぎ、そろそろ足がフラフラしかけた頃、「うさぎ平1450m」に降り立った。ここは林道終点の小さな広場で、ベンチに腰をおろしてひと安心。力が抜けてしまったが、いつまでも休んでいるわけにも行かず、出発。何の変哲も無い林道を下り、四合目金沢土場に至る。ここから左に曲がり、伊奈川ダムへの林道をひたすら下る。ただただ下る。林道を1時間半以上歩いただろう、ようやく駐車場が見えホットする。11時を過ぎていた。越百から空木、Sさんがさそって呉れたおかげで、静かな縦走を楽しむ事が出来た。何よりも天気に恵まれたのが幸運だった。
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