【過去レコ】北岳・間ノ岳 百名山30座の大展望と高山植物の宝庫 日本標高2位&3位(間ノ岳は当時4位だったがその後3位に格上げ)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 17.7km
- 登り
- 2,415m
- 下り
- 2,420m
コースタイム
- 山行
- 4:50
- 休憩
- 1:55
- 合計
- 6:45
天候 | 3日間ともピーカン! |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2006年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
南アルプス市営芦安駐車場に駐車し、広河原まではバスを利用 https://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/docs/mycar_bus_taxi_tozan.html |
その他周辺情報 | 1泊目:北岳肩の小屋 1泊2食+弁当=8000円 http://katanokoya.com/ 2泊目:北岳山荘 1泊2食+弁当=9000円 https://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/sisetsu/shisetsu/kitadake-sansoh/ 後泊:チェッカーフラッグ川崎 http://www2.odn.ne.jp/~cfi50200/ 桃狩り:中込農園 http://nakagominouen.com/ |
写真
感想
最初は農鳥岳も含めた白峰三山を縦走する計画であったが,この年の梅雨の大雨で奈良田温泉への登山ルートおよび林道が崩壊してしまい,これは断念.広河原から北岳・間ノ岳の往復コースへと変更した.余裕を持って山上で2泊し,標高第2位・4位の稜線を満喫することとした.
【前日】岐阜を19時過ぎに出発.恵那峡SAで夕食を摂り,諏訪湖SAで歯磨き.芦安駐車場には日付が変わるころに到着.運よく,バス停前の第2駐車場に車を停めることができ,アウトバック初の車泊となる.
【1日目】4時半に起きるはずが,目覚ましが鳴らず,他の車のドアの音で目が覚める(4時40分).始発のバスは5時10分なので,急いで準備を整える.幸い,始発のバスに乗り込むことができ,ひと安心.バスは約1時間をかけて,広河原へと向かう.車中で朝食のサンドイッチを食べるが,揺れが激しく,あまり快適ではない.それでも,車窓から白峰三山が見える好天気で,登頂意欲が湧いてくる.
広河原のバス乗り場に設置された仮設トイレで用を済ませ,いよいよスタート.まず,広河原山荘手前の吊橋から北岳の山頂部が顔を出す.やはり随分と遠い印象だ.先は長いので,ゆっくりと歩こう.樹林帯の中で,白根御池方面の分岐を右に分け,そのまま進む.大樺沢は水量が豊富で,涼しげな雰囲気が漂う.水浴びをしたいほどだ.崩壊地点で仮橋を右岸へ渡る.木橋で何度か流れを渡り返す.路傍にはヤマホタルブクロが多い.傾斜が緩く,さほどバテることはない.時に北岳が前方に見え,励ましてくれる.
しばらく樹林帯の登りが続く.気がつくと,沢の水量が細くなり,樹林帯を抜けている.後ろに鳳凰三山,前に北岳を見据えての登りに気分も上々.花の種類もだんだん増えてきた.
やがて大樺沢二俣へと着く.ここは荒々しい北岳の姿が眺められる地点で,多くの登山者が腰を下ろして休憩している.豊富に残る残雪に近づけば,天然のクーラーよろしく,冷たい風が流れており,火照った体に心地よい.ここまで,コースタイムより随分と早いので,しばらくゆっくりと休憩.
大樺沢二俣からコースは分かれるが,今回は危険箇所も少ない,右俣コースを取る.ここからは太陽にまともに照らされ,息が上がる.高山植物の種類,数が多いのがせめてもの救いだ.シナノキンバイ,ミヤマキンポウゲなど黄色に花が豊富に咲く.10分ほどの小休止を繰り返しながら,一歩一歩確実に歩む.
先を行く女性が「クロユリが咲いているよ」と教えてくれる.初めて対面するクロユリは一株だけだが,可憐に咲いており,何とも愛らしい.白根御池からの道を合わせると,小太郎尾根は近い.急登はここまでで,ようやく一息つくことが可能だ.
稜線に上がると,展望が広がるはずであったが,仙丈ヶ岳が見えるのみで,甲斐駒・鳳凰三山もガスに隠れてしまっている.目指す北岳山頂部も見ることができない.この先,急な岩場が1ヶ所あるが,ゆっくり登ればさほど問題ではない.ここからわずかで肩ノ小屋に着く.
肩の小屋は混雑している,2階の一角,2人で1畳ほどのスペースだが,この時期では仕方ないだろう.荷物を片付けてから,小屋前のベンチでおにぎりとうどん(900円)の昼食とする.うどんは,生卵・きつね入りで,3000メートルの稜線の小屋にしては豪華なほうだろうか.
かなりの標高差を登ってきたが,2人とも案外元気である(コースタイムより随分と早かった).体力,時間的には北岳山荘まで行けないこともなかったなぁ,などと思いながら夕食までの時間をのんびりと過ごす.夕食は16時半からと早い.どうやってこれだけの食材を調達するのかと不思議になるほど充実した夕食.あたたかいご飯と味噌汁がいただけるだけでもありがたい.夕焼けはガスで今ひとつだが,雲の中にかすかに富士山を拝むことができた.
早く寝てしまうと,夜中に目が覚めること必須なので,消灯の20時半まではあえて寝ないことにして,食堂でしゃべって過ごす.ご来光を楽しみにして,布団にもぐる.
【2日目】山小屋での夜にしては,よく眠れたほうだろうか.しかし,3時過ぎに目が覚める.トイレに行った人の「星がすごい」との声を聞いていたので,小屋の外に出てみる.まさに満天の星空!今までの人生で見たことが無い数の星がきらめいている.東に目をやれば,富士山もうっすらと見える.ご来光も期待が持てそうだ.
一旦布団に戻って4時半に起床.空はうっすら明るくなっており,たくさんの人がご来光を待ち構えている.4時50分頃,鳳凰三山から感動的なご来光.空気も澄み渡っており,大パノラマが広がる.富士山,北岳,仙丈,甲斐駒,鳳凰,八ヶ岳,奥秩父(金峰・瑞牆)と山座同定を十分に楽しんだ後,小屋へと入る.朝食は並んだ順番.今日はゆっくりの出発でいいので,支度をしてから,列に加わる.
お世話になった小屋を後にし,北岳へと露岩帯の急斜面を登る.北岳山頂は富士山に次ぐ日本第2の高峰.小屋の前よりも素晴らしい360度の眺望が得られる.百名山だけでも,富士山,間ノ岳,悪沢岳,赤石岳,塩見岳,空木岳,木曽駒ヶ岳,御嶽山,乗鞍岳,仙丈ヶ岳,焼岳,笠ヶ岳,穂高岳,槍ヶ岳,立山,剱岳,鹿島槍ヶ岳,五竜岳,火打山,妙高山,甲斐駒ヶ岳,蓼科山,浅間山,赤岳,鳳凰三山,瑞牆山,金峰山の27座!!槍・穂・剱まで見えるとは思っても見なかったので,大満足である.
いつまでも飽きず,ずっといたくなるような北岳山頂.写真も十分撮ってから,北岳山荘へと向かう.北岳の山頂からもその赤い屋根を確認することができる.岩屑で足を滑らせないように気をつけながら,やせた岩稜帯を下っていく.まだ9時前であるが,早くもガスが出てきて,北アの展望は雲の中へ消えてしまう.まさに「早起きは三文の徳」ということわざがぴったりだ.
山頂から1時間で,本日の宿である北岳山荘に到着(1泊2食弁当付き9000円).さっそく受付を済ませ,いらない荷物を黒のザックに入れて小屋に預ける.青のザックだけにして間ノ岳へと向かう.途中の中白峰は北岳の撮影ポイントで,三角形の北岳が素晴らしい眺めだ.
間ノ岳までは淡々とした尾根道が続く.登りの勾配もさほどきつくはないのだが,何度か小ピークを越すので,その度に山頂か?とだまされてしまう.間ノ岳に着いた頃には,山頂までガスが上がってきて,北岳すら隠れてしまっている.特徴のない山頂ではあるが,百名山になっているためか登山者は多い.農鳥岳方面へ向かう人はわずかだ(この日の時点で,奈良田への下山ルートは復旧していたが,奈良田→広河原のバス便が不通のままでマイカーの回収は不可能な状態).弁当を食べ,記念撮影をしてから,山頂を辞す.
北岳山荘では,2階「中白峰」の1角をあてがわれる.5枚の布団を8人で使うという混雑ぶりだが,肩ノ小屋よりは少しスペースが広い.週末やお盆のときはもっとひどい混雑になるのだろうか?肩ノ小屋で隣だった各務原のご夫婦も間ノ岳を往復して,北岳山荘泊.しかも,また同じ部屋であった.
17時からの夕食まではゆっくり過ごし,またもおいしい食事にありつける.どの小屋も工夫して,心のこもった食事を提供してくれてありがたい.20時に消灯となり,布団に入る.肩ノ小屋とは反対で,自分はあまり眠れず,何度も目が覚めた.
【3日目】4時に一旦外に出て,星を眺めて見るが,雲が厚いからか,昨日に比べれば全然大したことがない.4時半から朝食を摂り,ご来光目的に外に出る.やはり全体的に空が霞んでいて,ご来光や富士山の眺望も今ひとつ.しかし,2日目に素晴らしい朝を迎えることができたから,文句はない.
150円のセルフコーヒーを飲んでから出発.各務原のご夫婦と,小屋で少し話した栃木のご夫婦に別れを告げる.まずは北岳への登りにかかる.足場が悪くて,前日は少し怖かったところも,登りであれば不安がない.朝のひんやりした風が心地よく,素手でつかむ岩の感触もまた冷たい.
再び立つ北岳の山頂からは,またもや雄大な展望が広がる.前日の27座に加えて,美ヶ原・霧ヶ峰・恵那山も見え,百名山が何と30座!!富山の大笠山,大門山の辺りまでうっすら見えている.2日目よりも霞んでいるのに,多くの山が見えるというのはどういうことだろう?
肩ノ小屋を通過し,小太郎尾根の急な岩場辺りまで来ると,白根御池小屋泊の人たちとすれ違うようになる.左足が痛み出したのもこの頃.下山は趣を変えて,白根御池コースを下ることにする.振り返っても北岳の山頂が見えなくなる頃,御池小屋のテン場が確認できる.お花畑の中を下るが,足元がザレて滑りやすくなり,左足痛もあって少しイライラ.努めてゆっくり下ることにする.
数年前に雪崩で崩壊したという白根御池小屋は再建されて,ピカピカの新築.ここでオレンジジュースを1本買い,エネルギーを注入する.コースタイム通りであれば,12時のバスにギリギリ間に合うので,これを目標に行くことにする.ガイドブックに書いてある通り,広河原まではひたすら樹林帯の急降下が続く.左足痛はさらに悪化し,かばって歩いたからか右膝まで痛くなってしまう.展望も花もなく,今までで一番つらい下山になる.時計とにらめっこしながら,休憩もせずに,12時のバスを目指すが,どうやら難しそうだ.結局,広河原山荘の屋根が見えた時点でタイムアップ.一気に気が抜ける.
次のバスは13時25分であるから,もう急ぐ必要はない.小屋前のベンチで弁当を広げ,自販機で冷たいジュースを購入,さらに小屋で買ったアイスクリームも食べてゆっくりと休憩.それにしても痛い足を引きずって,よく下山することができた.
少し待ってバスに乗車し,芦安温泉へと戻る.バス停隣の白峰会館で3日間の汗を流す.登山客で混んでいるかと思った風呂だが,意外にも空いており,ゆったり浸かることができる.ここの温泉は「展望風呂」の名の如く,湯船に浸かりながら,間ノ岳,農鳥岳を眺めることが可能である.
荷物を片付けてから,ペンション「チェッカーフラッグ川崎」へと移動.随所にオーナーの工夫が感じられ,のんびり過ごせるアットホームなペンションだ.ボリューム満点の夕食を食べた後,オーナーに夜景の名所を教えてもらってドライブに出かける.偶然にも花火大会の日で,思わぬ花火にニンマリして宿へ戻る.
【翌日】ペンション自慢の洞窟風呂に入った後,8時から遅めの朝食.また来たくなるような宿であった.洗濯物がたまっていたので,桃狩りの間にコインランドリーで洗濯を済ませる.初めての桃狩りだったが(お土産5個付き,時間無制限で3000円),2人で10個も平らげたのには,自分たちもビックリ.12時過ぎに南アルプス市を出発.あとは,ゆっくり岐阜へと帰る.
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