日高山脈幌尻岳〜伏美岳縦走
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- GPS
- 40:38
- 距離
- 42.2km
- 登り
- 3,108m
- 下り
- 3,427m
コースタイム
- 山行
- 1:09
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 1:09
- 山行
- 9:12
- 休憩
- 1:29
- 合計
- 10:41
- 山行
- 13:33
- 休憩
- 1:14
- 合計
- 14:47
天候 | 1日目:小雨、2日目:曇りのち小雨、3日目:小雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
下山:芽室町伏美湖付近からタクシー |
コース状況/ 危険箇所等 |
赤実線道だが総じて這松の被りが激しく泥濘み多い、稜線は岩稜もあり険しい |
その他周辺情報 | 美生川の林道は平成28年に相次いだ台風により壊滅的被害、入り口付近で復旧工事始まる |
写真
感想
1日目(6/25)
千歳空港でレンタカーを借り、現地調達を予定していたガスカートリッジを求めてホーマックに立ち寄ると何と売り切れで店員が富士店ならあると調べてくれたので10分程車を走らせ手に入れることができた。コロナの関係で自宅使用にアウトドア用品がよく売れ、品薄になっているらしい。市内の焼き肉屋で昼食を済ませ道東道占冠ICからチロロ林道に入り二岐出合に車を置いた。先客の車が2台何れも札幌ナンバーだった。登山届を見ると昨日単独で登っている人がいるよだ。するともう1台は無届のようだ。
小雨の降るなか北海道電力の管理道路のゲートを越え歩き出した。二岐沢沿いの北海道電力管理道路を進み入口付近で3回橋を渡り左岸で落ち着いた。札幌市の登山届の主が下ってきた。山中でもう一人であったと云う。3劼亮崙司發で取水ダムに到った。地形図を見ると南北の山に水路トンネルが続き辿って行くと北はパンケヌーシ川から始まり南は新冠ダムに繋がっていた。此処から登山道となり1.3劼諒盥圓悩Fの宿泊地二ノ沢出合に到着した。テント3張り程の地面があり2張りのテントを張った。
2日目(6/26)
今日は雨を覚悟していたが雨は降っていなかった。曇り空だが明るくなり出した3:50に歩き出し二ノ沢を遡る。渡渉が8回あり、雪解け水を集めてそこそこの流量があるが飛び石での渡渉に問題はない。徐々に高度を上げて行くと前方が開け額平岳の稜線を見ることができた。8回目の渡渉で左岸に戻ると本流には滝が現れ高巻いて尾根に取り付いた。等高線の詰まった急登斜面で17圓硫拱の重みがズッシリ肩に掛かった。
昨日の雨で足元が悪く、ズルズル滑る。急登の難路を進みトッタの泉に達した。手の感覚がなくなるような冷たい湧き水が出ている。付近にテント一張り分のスペースがある。明日の分も含めて水を2ℓ確保し更に重さを増したザックを背負い、歩を進めた。そろそろ森林限界を越え這松帯に入ろうかと云う処でシラネアオイが優雅に咲いていた。
額平岳(1808m)は3等三角点「糠平岳」があるだけで山頂標識は設置されていなかった。日高の山々が望めたが今日目指す幌尻岳だけは雲に頭を隠していた。森林限界を越えると這松の藪が所々にあり、右腕で掻き分け後ろに回したところ肩が抜けてしまった。脱臼癖がありいつもはすぐに自然復旧するのだが今日は入らない。動かすと痛くその場にしゃがみこみ仲間を呼ぶが聞こえないのか返事はない。ホイッスルを吹いても応答はない。仕方がないので歩き出すと皆はかなり先で待ってくれていた。介助を得て元に戻りひと安心だった。
比較的なだらかになった稜線を進みピークを一つ越えると北戸蔦別岳(1959m)に到着した。露出した山頂からは明日歩く1967峰、ピパイロ岳、伏美岳や遠く夕張岳(1,668m)の姿も確認でき南の方にはエサオマントッタベツ岳(1,902m)や札内岳(1,895m)が望めた。この山頂が今日の宿泊地でギリギリ2張り分のスペースがあり先ずはテントを設営した。サブザックで幌尻岳ピストンに出掛けるが長時間不在になるので熊除けのためラジオを鳴らしたままにして出かけた。
北戸蔦別岳からの下りは厳しく急斜面の東側に付いた踏み跡が雪に埋まり草付を高巻いて何とか通過した。P1881は幌尻山荘へと続く六ノ沢出合への下山路が分岐する。額平川に六ノ沢が合流する処に下り沢の中を歩き山荘に到る道で17年前に歩いた。此処からの稜線も厳しく昔の印象通りの道が続く。前方に聳える戸蔦別岳は円錐形の美しい山でそれだけに厳しさも加わる。
戸蔦別岳(1,959m)に到ると幌尻岳が近づき北カール越に額平コースの尾根が襟のように続いている。東に続く主稜線には神威岳(1,756m)やエサオマントッタベツ岳、カムイエクウチカウシ山が連なっている。幌尻岳へは主稜線を外れて南に下る。少し下ると七ツ沼カールが左手に広がり沼と残雪を俯瞰することができた。熊の姿を捜すが見つからなかった。戸蔦別岳と幌尻の肩との間は七ッ沼カールの縁で火口周の断崖が切り立っている。カールの縁の鞍部に2箇所七ツ沼への下降点があり覗いてみるととてつもない急斜面で残雪がありかなり危険そうだ。
幌尻岳への登り返しは長い。比較的穏やかに幌尻の肩に乗り上がると傾斜は落ち着いたが先は意外と長い。雲の領域に入り次々に現れるニセピークにその都度ガッカリさせられながら進んで行くと漸く幌尻岳(2,059m)山頂に到着した。2等三角点「幌尻」があり、日高山脈最高峰からの大展望の素晴らしさを心に描いた。食事が済むと寒さに耐えきれず北戸蔦別岳へと引き返した。
七ツ沼カールの縁で振り返るとガスに包まれていた幌尻岳が姿を現していた。さらに天候回復かと期待されたがそうはいかず、戸蔦別岳の登りに掛かる頃、小雨が降りだした。徐々に風が強まり天候の悪化は避けられそうにない。額平川分岐を過ぎ、また危険な雪渓トラバースで北戸蔦別岳に戻ると設営していったテントの無事を確認してひと安心した。山頂の西側なら風は防げるが、平らな処は東側にしかない。もう何もすることはなく、そそくさとテントにもぐり込み早めの夕食を済ませ17時頃にはシュラフに入り寝に着いた。テントは一晩中風に煽られバタバタして熟睡を妨げた。深夜雨が一時強くなり、2:30起床する頃には雷が鳴りだした。山頂の一番危険な場所にテントを張っているのでおっかない。退避しなければならないかと緊張したが幸い遠くの方で過ぎてしまい事なきを得た。
3日目(6/27)
4:02出発する頃には雷鳴はなくなり弱い雨が強い風によって右半身を襲う。縦走路は昨日の稜線よりさらに這松の被りが多く、足元に続く踏み跡を外さないように進んだ。P1901からは急な下りでP1856に到った。北戸蔦別岳よりもテントスペースは広い。ガスが垂れ込め地形の様子も分かり辛いがしっかりした岩峰ピークが舳艪千里の如く連なっている。強い風は容赦なく吹き付け体温を奪い歩いていてもガタガタ震えが止まらない。途中休憩することもなく1967峰に到り栄養補給の休憩を取った。
1967峰からピパイロ岳(1,916m)へと戸蔦別川の源流域を取り囲むように円弧を描いて東へと進路が変わった。伏美岳まではまでは3時間20分のコースタイムだが、4時間15分も掛かった。登山道を雪渓が塞ぎステップを切って越えて行った。伏美岳(1,792m)まで来ると風が収まり20分の大休憩を取った。時刻は14時、予定時間より2時間30分押している。何とか明るいうちに下山し帯広まで行きたい。
伏美岳からは基本下り坂、砂か粘土質の道はとんでもない悪路で再三スリップに見舞われた。7合目、5合目の標識を見つけたが粗1合目ごとに表示があるようだ。登山口直前の谷を渡る部分では深く抉られボロボロと崩れる3m程の斜面を這い上がり通過した。広場に飛び出すと林道の終点、登山口で400m程行くとオレンジ色の屋根の小奇麗な伏美岳避難小屋に到った。時刻は16時30分、10劼領啼司發下手をすると暗くなってしまうのでピッチを上げて歩こうと出発したが妙敷山(おしきやま1,731m)から源を発する谷に掛かっていた橋が跡形もなく流され両岸の林道も徹底的に破壊されていた。これは、平成28年に相次いで襲った3つの台風によるもので法面崩壊は随所にあった。
美生ダムへの道に飛び出す処にゲートがあり、登山口から500m程は復旧工事が行われ一部だが修復された部分もあった。伏見岳の山頂では電波が入ったが此処は圏外。電波の入るところまで行ってタクシーを呼ぶ。一人先行して電波状況を確認するが人家の途切れた山間部では電波は弱い。地元の男性が車で通りがかり、携帯が入ると云うが、スマホでは入らない。男性のガラ携を貸してもらいタクシーを呼んだ。
20分待ってタクシーに乗り込み帯広の安宿を予約してもらい、直接宿も出送ってもらった。
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