超絶景の雪の美ヶ原を麓から登ってみた & おまけで八方尾根でスキー初滑り [三城-ダテ河原-王ヶ鼻-王ヶ頭-塩くれ場-百曲-三城]
- GPS
- 05:35
- 距離
- 10.6km
- 登り
- 683m
- 下り
- 672m
コースタイム
↓ 0h05
07:55 ダテ河原登山口
↓ 0h30【ダテ河原ルート】
08:25 林道出合
08:35
↓ 0h20
08:55 山小屋跡?
09:05
↓ 1h00
10:05 美ヶ原高原ロングトレイル出合
↓ 0h30
10:35 王ヶ鼻 ▲
11:00
↓ 0h30
11:30 王ヶ頭 ▲
11:35
↓ 0h35
12:10 塩くれ場
↓ 0h10
12:20 下降点(美ヶ原高原ロングトレイル分岐)
↓ 0h35【百曲ルート】
12:55 広小場
13:00
↓ 0h25
13:25 三城いこいの広場 駐車場
天候 | 超快晴・無風&超展望 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
三城いこいの広場の無料駐車場を利用。 松本市街から扉峠へと続くアザレアラインは冬期閉鎖されますが、三城までは入れます。山道なのでスタッドレスは必須ですが、4WDでなくても大丈夫だと思います。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●道の状況 道標のしっかり整備されており、赤テープなどもありましたのでおそらく迷う事はないと思いますが、積雪直後で踏み跡がない場合は注意が必要です。 ●トイレの状況 三城いこいの広場の駐車場および美ヶ原の公衆トイレは冬期閉鎖中でした。借りるとすれば、王ヶ頭ホテルくらいでしょうか。 |
写真
感想
=今年の〆山行は雪の美ヶ原へ!=
登りついて不意に開けた眼前の風景に
しばらくは世界の天井が抜けたかと思う
やがて一歩を踏みこんで岩にまたがりながら
此の高さにおける此の広がりの把握に尚もくるしむ
無制限な おおどかな
荒っぽくて 新鮮な
此の風景の情緒はただ身にしみるように本源的で
尋常の尺度にはまるで桁がはずれている
秋が雲の砲煙をどんどん上げて
空は青と白との目も覚めるだんだら
物見石の準平原から和田峠の方へ
一羽の鷲が流れ矢のように落ちていった
これは尾崎喜八の"美ヶ原熔岩台地"という詩です。深田久弥が著書の百名山の中でも引用していたり、美しの塔にも刻まれていたりとご存知の方も多いと思います。
僕がこの詩を知ったのは数年前なのですが、この詩を読んだ時、小学校の学校登山で初めて美ヶ原に登った時の光景が一気に蘇りました。
麓の三城から歩き出し、キツイ急登を登りきると視界がイキナリ開け広大な台地が広がる。まさに尾崎喜八の詩と同じです。美ヶ原の学校登山の事なんてほとんど忘れていたんですが、この詩に出会ってからというもの、いつかもう一度、麓の登山口からちゃんと登ってみたいと思っていたのでした。
そして今回ようやく念願かない訪れる事が出来ました。
元々、11〜13日は2泊3日で八丈島に行く予定だったのですが、最近島歩きが続いていたのと、10年ぶりにスキー板を新調したので早く乗りたいという事で、予定を変更して松本の実家をベースに、雪の美ヶ原と八方尾根で初滑りをする事に。
そんな美ヶ原の〆山行はいかに?
=三城からダテ河原ルートで直登=
曲がりくねった山道を車を走らせ三城いこいの広場に到着です。前々日に雪がかなり降ったので道路状況が心配だったのですが、所々凍っていたもののスタッドレスで問題なし。広場の駐車場に車を停め登山口へと向かいます。
今回選んだのはダテ河原ルート。三城から王ヶ頭に一気に登りつめる直登ルートです。登山口の積雪は5〜10cmほど。アイゼンも必要ないのでツボ足で登り始めましたが、前日のスキー疲れで既に全身筋肉痛。歩き始めから身体が重い重い。「こんな緩斜面でこんなに息が上がっていて大丈夫かぁ?」という状況でしたが、超快晴&無風の絶好の雪山日和にしだいにペースもあがります。
しばらく森の中の緩斜面を歩くと林道に合流。山と高原地図2010年版にはとくに林道らしきものは見当たらないのですが、道標は正しい道を示しているのでそのまま斜面をトラバースするように走る林道をしばらく歩き、林道の終点からいよいよ王ヶ頭に向けての直登の始まりです。
=謎の山小屋=
直登が始まるとしだいに雪は深くなり15-20cmほどに。特に滑る事もなく登れていたのでアイゼンは装着することなく登り続けると、目の前に突然山小屋のような建物が。これまた山と高原地図には記載がない建物で、「これはいったい?」という感じ。
扉の鍵が開いていたので中に入ってみると、部屋の一番奥にご神体が祭られており、御嶽山をご神体として崇める御嶽教の施設の様子。美ヶ原の王ヶ頭と王ヶ鼻は昔から御嶽教のご神体として信仰の対象だったらしいので、御嶽山の山小屋と同じくこの山小屋も参拝登山者向けのものなのでしょうか? 山小屋から先は急登になりそうでしたので、場所をお借りして休憩がてらアイゼンを装着させてもらいました。
=次々と現れる絶景=
アイゼンを装着し急登にとりかかると、標高が上がるにつれ木々もまばらになり、御嶽山に乗鞍岳、中央アルプスに南アルプスと、次々と絶景が広がります。
「やばいっ、美ヶ原楽しい〜!」とテンションも↑。20〜30cmの雪も全然気にならずグングン標高を稼ぎます。
そして王ヶ頭の鉄塔群が頭上に見えると、美ヶ原高原ロングトレイルとの出合いに到着。今年の夏に新設されたロングトレイルで、美ヶ原の台上からは見えにくい北アルプス見ながら歩けるコースだそうです。頂上の王ヶ頭へはそのまま直登すればすぐでしたが、展望コースを歩いて王ヶ鼻へ先に行くことに。しかし目の前に広がるコースは踏み跡なし。という事でラッセル開始です。
でそのラッセル。ほぼ平地だし雪はパウダーだし楽勝だろと思っていたのですが、膝丈程度のラッセルにも関わらず、
「。。。しんどい…」
昨日のスキーの疲れがここにきて一気にきてしまい、情けない限りです。しかし疲れたからと言って誰も助けちゃくれません。なにしろ今日登り始めてから誰にも会ってないのです。こんな時はお決まりのあの曲を歌います。その曲は?
=歩こう〜歩こう〜私は元気〜♪=
そうです。トトロの挿入歌です。
♪歩こう 歩こう 私は元気 歩くの大好き どんどん行こう
坂道、トンネル、草っぱら、1本橋に、でこぼこジャリ道
くもの巣くぐって くだりみち
ってこれ、山登ラーにはうってつけの曲じゃないですか?気付くと歩きながら結構歌ってます。もちろん誰もいない時ですヨ。
という事でトトロの歌を歌いながら王ヶ鼻に到着。王ヶ鼻には先客が一人。本日初のカモシカ以外の生き物との対面です(笑) 「こんにちは〜」と挨拶をして王ヶ鼻の突端まで進むと、目の前には大絶景。
北アルプス全部と乗鞍御嶽、中アに南アに八ヶ岳。「こんなにクリアに見えちゃったら来年はまた雨男に逆戻りなんじゃないか」という恐怖さえ感じる程の絶景です。しかも風もなく気温はマイナスなもののポカポカ陽気。絶景を眺めながら昼休憩をとりました。
しばし休憩したあと王ヶ頭に向かいます。王ヶ頭といえばTV塔群。元々信仰の山だった王ヶ頭が美ヶ原と名前を変え、次々と開発されて30分で登れる百名山などという不遇な言われ方をされてしまう象徴のような感じもし、人工物のない王ヶ頭も見てやはり見てみたかったとも思いますが、僕は鉄塔フェチなので「凍結した鉄塔カッコいいー」という感じ。ダメな山登ラーです。鉄塔に囲まれた御嶽教の奥ノ院にお参りし、王ヶ頭ホテルの玄関までいくとそこには、
=しばらくは世界の天井が抜けたように思う=
美ヶ原の大雪原が広がっていました。遥か地平線まで続く雪原の縁を取り囲むように見える八ヶ岳や南アルプス、そして浅間山。陳腐な気もする美ヶ原という名前も、やはりここは美ヶ原としか言い表せないなぁと素直に思わされる光景でした。
王ヶ頭ホテルからはいよいよ雪原歩きです。雪がしっかりと積もっていれば普段は立ち入り禁止の牧場内も歩いていいみたいですが、まだブッシュも出ておりスノーシューも車に置いてきたので、柵の外側を歩きます。
美ヶ原の台上の積雪は5〜20cmほどでしたが、日が高くなって気温が上がってきたため雪が重くなり歩きづらく、昨日のスキーで既にパンパンになっている太ももが悲鳴をあげ出し、50m歩いては休みまた歩いては休みの繰り返しに。しかし風もなく只々静かに広がる雪原にたった一人で佇むのは、時が止まるような感じでした。
誰もいない牧場の一本道を歩き、塩くれ場に到着。尾崎喜八の詩が刻まれている美しの塔は塩くれ場から500m程でしたが、疲労がピークに達してたためスルー決定。茶臼山も当然取り止めて、百曲がりルートで三城まで下山する事にしました。
=まさに百曲=
塩くれ場から三城に向けて百曲ルートを下山します。
この百曲ルートはかつて尾崎喜八や深田久弥が美ヶ原に登ったルートで、このルートを登りつめると美ヶ原の草原のど真ん中に出るので、冒頭で紹介した詩の光景をまさに体感できるルートです。
ダテ河原ルートと同じくこちらも急登なのでジグザグの登山道が延々と続きますが、細かな地面の凸凹を気にせずに走るように下れる雪の登山道は楽チンで、基本的に下りがキライな僕でもあっという間に広小場まで下山しました。
広小場からはキャンプ場内のなだらかな雪道を歩き、三城いこいの広場の駐車場に到着し無事完了となりました。
=まとめ=
念願かなった美ヶ原再訪。麓の登山口からこの山に登ってみて、改めて美ヶ原の山としての魅力が再認識できました。車で手軽に登るもよし、麓から登って尾崎喜八や深田久弥の見た世界を感じるもよし、懐の深い山だなぁと思いました。
それにココ、雪山ハイクにはうってつけだと思います。プチラッセルして登った後、スノーシューに履き替えて雪の高原歩き。晴天率も高いですし、半分近くの百名山を見る事ができる展望は格別です。
もう登った方も、まだ登ってない方も、麓からの美ヶ原登山、オススメです!
コメント
この記録に関連する登山ルート
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おはようございます、zawadaさん。
何なんですかこの景色は
羨まし過ぎるじゃないですか。
今回zawadaさんがご覧になった景色(特に王ヶ鼻からの北ア)は私の
「どうしても見てみたい景色リスト」の中でもかなりの上位です
今年最後(?)の山行を最高レベルの快晴で楽しまれたようで
良かったですね。さすが開眼した晴れ男zawadaさんです
私の方はと言えばご承知の通り今年の初夏に常念岳の帰りにここに立ち寄り
晴れとは言え北アは見えず、無くし物のとどめとしてストックを無くした
場所ですからね〜。とにかく再訪必須です。
年末年始ツアーに組み込もうかな〜
muscatさん、こんにちは!
「こんなに晴れたら年明けたらまた雨男に戻っちゃうよ。もうちょっとセーブしてくれてかまわんよ」と思いながら登ってました。
王ヶ鼻はその名の通り美ヶ原の突端にあるので、ほんと遮るものが全くなく北アルプスと相対する事ができますよね。
今年は年末まで休みがあと1日しかなく忘年会の予定が入っているので、ちょっと今年はもう山は厳しいですね。 石尾根に行きたいんですけど
美ヶ原、ぜひリベンジして下さい。雪の季節は観光客もいないですし、天候さえ良ければ安全に登れると思います。
ダテ河原ルートは景色も良く頂上の王ヶ頭がどんどん近づいてくる感じがテンションですし、百曲ルートは美ヶ原の台上直下で樹林帯を抜け、登りついた先は美ヶ原のど真ん中で一気に視界が広がるので、美ヶ原らしい山登りができるルートだと思います
年末年始ツアーにぜひ組みこんじゃって下さい
zawadaさん こんばんは。
遅くなりましたが、お疲れさまでした。
何とも すんばらすぃ お天気も最高で
本当に良かったですね
多忙なご様子で今年の〆山行なんですか?
しかしお見事です。完璧に完全試合で締めくくりましたね
「麓からの美ヶ原登山」私も堪能してみたいです。
私のほうは、年内歩けるかどうか???ですが・・・
チャンスがあったら挑戦してみたいです
そうそう「カモシカ」さんてどうしていつもああやって睨んでるんですかね?
微動だにしめせんからね
美ヶ原 素晴らしい 写真の数々、最高でした。
ゆっくりと楽しませていただきました。
ありがとうございました
beelineさんからの復活のコメント、すごいうれしいです。ありがとうございます!!
ほんとお待ち申しあげておりました
beeさんもお忙しそうですね。beeさんとbelさんのほんわかレコ、楽しみにしています
初のカモシカとの対面でしたが、こちらの一挙手一投足を見られている感じでした。
同じ山の生き物でも、我関せずと動き回る雷鳥とは対照的でおもしろかったです。
とりあえず、今年も無事1年を終えられそうです。
beelineさん、来年もよろしくお願いします。
belugaさんにもよろしくお伝え下さい。
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