槍ヶ岳北鎌尾根
- GPS
- 26:44
- 距離
- 37.8km
- 登り
- 2,384m
- 下り
- 2,140m
コースタイム
- 山行
- 9:14
- 休憩
- 0:01
- 合計
- 9:15
- 山行
- 7:59
- 休憩
- 2:18
- 合計
- 10:17
- 山行
- 5:43
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 6:08
天候 | 1日目:晴れ時々曇り 2日目:晴れのち雨 3日目:晴れのち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年09月の天気図 |
アクセス |
アルピコタクシー信濃大町支社に車を置かせてもらい、タクシーで高瀬ダムへ。8000円くらい 帰りは上高地から公共交通機関で信濃大町へ行って車を回収 |
写真
感想
槍ヶ岳北鎌尾根。
山登りをしてる者なら誰もが知っている名クラシックルートを同期入会のI田君と一緒に行けたのはとても良い経験だった。
湯俣から入り尾根の末端から取り付く事によって、頂上に達した時の達成感は他の一般登山道の槍ヶ岳登頂ルートよりも倍増するし、終わってみると長い旅をしていた様な感覚も残った。
天気予報が微妙だったけど、中止にするぐらいの絶望的な予報ではなかった。
9月の平日は七倉までのアルペン号が出ていないので自家用車で行く事に。
アルペン交通信濃大町支社に前もって電話をして高瀬ダムまでのタクシーを5:00に予約。
車はそのまま支社に置かせていただいて下山したら回収する事に。
[湯俣〜P2取り付き]
事前に水量は少ないと聞いていたので遡行自体は何も問題なかったと思う。
渡渉も下流域と水流、水深、先の状況や川の曲がり具合を見て判断。へつるより渡った方が早い場合が多かった。
P2から無用の長物になる沢装備は出来れば最小限に抑えたいが突破出来ないとそもそも意味ないのでどうしようか迷ったが自分は、ネオプレンの二股ソックス+フラッドラッシュタイツ+軽量ビーチサンダル+手造りのPPロープわらじで遡行した。
けっこう快適だった。P2の取り付きで2日分の水を2人で合計8ℓを汲んで尾根に取り付く。
[P2〜P4]
藪もそんなに濃くなく、踏み跡も分かり易かった。P4からちょっと下ったとこに幕営適地が。コルなので夜は吹くかなーと思ったけど、思ってたより雨風強くなり、寝ている時にテントが押されて体が持ち上がる。
「これは張り綱が絶対効いてないなぁ、直さないとなぁ」と思いつつ眠いし外出たら濡れるし面倒くさいからI田君やってくれないかなぁと期待しながら騙し騙し寝ていたが、いよいよ吹き飛ばされそうなくらいになって来たのでI君に重石係でテント内に残ってもらってカッパ着て外出て張り綱を直す。テント戻ってビショビショになった身体をタオルで拭いて再び寝袋の中へ入った。
次の日は停滞になるかと心配になるくらいの天候だったがだんだんと収まってきて起きたら晴れ間が出ていたので良かった。
[P4〜槍ヶ岳ピーク]
山に入る前の予報では14時頃から降りそうな感じだったので早めスタートで薄暗い中出発。
P5からP7は藪も濃い目で緊張する巻きが連続する。前日の雨で全体的に足場が悪くなっていて落ちたらアウトな所もあるので慎重に行った。
P7にたどり着いて北鎌のコルに出るとこで尾根から外れて懸垂してしまい、下の沢にも降りれずに藪漕ぎながら登り返し。
こう言ったミスをする時は基本的な事を出来ていない事が多い。ピークでコンパス使って確認すればよかったし、なんかおかしいなと思ったら分かる所まで戻るのは基本なのに。
「コルっぽいの見えてるし、このまままっすぐ行けば良いでしょ。」と思ってしまった。
独標あたりでガスがかかって雨が降って来た。予報より3時間ほど早い。
雨はまあまあ強かったが風は吹いてなかったのでビバークせずにそのまま進む。
ボタボタとレインウェアに打ち付ける雨音を聞きながら、ガスで先の見えない尾根をルーファイしてビショビショの岩を登るのはかなり神経を削られた。北鎌尾根の一番美味しい稜線のはずなのに、正直言って何も面白くはなくひたすら修行だった。
I田君とトップを交代しつつ励まし合って一歩ずつ進む。
大槍ピークへのチムニーは見当たらず、ガスの中登ってたらいきなり目の前に頂上の祠が。もうちょいあると思ってたから嬉しびっくり。
頂上で記念撮影して、山荘へ。
[小槍〜大槍登攀]
6:30頃に取り付く。小槍は足がまあまあ細かくてクライミングっぽい動きが必要。
フォローとは言えI田君は登山靴で突破。すご。
下部のチムニーはいろんな登り方あると思うけど、自分はバックアンドフットで身体全身使ってゴリゴリ登った。高度感あって最高。
今回の登攀で一番楽しいポイントだった。
ひ孫〜孫槍はかなり脆くて緊張した脚置きが続く。自分が孫槍リードの時にヒヤリハットと言うかほぼ事件が発生。
滞在していた奥行き25cm横幅70cmほどのテラスが根本から根こそぎ崩壊し、畳ほどの大きさの岩の塊が落ちていった。
両手は保持していたし、目の前にナッツで中間支点を作ってたのでそれを掴んで、ズズッと足場が下がった咄嗟に右の足場に移り下を見て叫ぶ。岩にぶつかった岩がバラバラになって雪崩のようになっていった。
雷鳴のような音が終わった後にI君に叫んで大丈夫かと聞いたら声が帰ってきて怪我もないようだった。心底ホッとした。
他パーティも遠くにいて小槍までのアプローチにも人は居なく、本当に良かった。
一歩間違えばビレイヤーだけでなく何人も巻き込む重大事故につながっていた。
リードだったので絶対落石させないように足置きから手の置き方、ロープの流れまで気にして慎重にテイスティングしながら登って、これなら大丈夫と思って立っていたテラスがしばらく経ったら崩壊したのは驚きだったし恐怖だった。もう何を信じればいいのか。。
地震の影響かは分からないが、脆くなってるのは間違ないようだ。
これから登る方がいたら十分注意した方が良さそうです。
ロープの傷の有無など、状況を確認し、気を取り直して今まで以上に慎重にゆっくり登る。
大槍は下部は硬くて割と安心。上部は大きい浮石のガレ場という感じ。
青空の中2回目の登頂をしてI田君とグーパン。
帰りはゆっくり下山した結果、上高地からの最終バスに間に合わずにタクシーで新島々まで。
タクシーの運転手さんが料金をおまけしてくれた。(なんかお金持ってなそさそうに見えたらしい笑)
お腹減りすぎてたので新島々のコンビニでご飯食べて信濃大町に着いた時間は結局22:00くらい。この時間に帰るのも面倒なので塩尻の健康ランドに後泊。
なんと建物の中に居酒屋が。ひとっ風呂浴びて居酒屋で乾杯して次の日の朝帰宅。が、帰りの
中央道が上野原〜八王子区間で大雨による通行止め、20号も通行止め、迂回路もトラック立ち往生により通行止め。
空いてる所ゆっくり帰るつもりが疲れた運転になり最後まで雨にやられた山行でした。
近年、北鎌尾根は人気バリエーションルートの為に技術、体力不足で遭難する登山者が後を絶たないそうだ。
今回の山行も新しめの装備品がピカピカな残置ザックが3つあった。
縦走の延長として考えると中々難しいんじゃないかと感じた。エスケープルートもないし、岩登りにはクライミングの技術もある程度必要と感じた。夏季バリエーションの中では簡単な方だと言われているが、しっかりと総合力を上げてから入るのが最善だと思う。
去年からI田君と行こうと行っていた北鎌に行けて本当に良かった。バリエーションを先輩とじゃなく同期と行けたという事実もまた一歩を踏み出せた気がする。
天気悪かったり落石あったりですんなりは行かなかった山行だったけど一生の思い出になったのは間違いないです。
これからも2人で色々行けると良かったけど、I田君が1〜2年の転勤言う事で。
私もクライミング頑張って練習するので戻ってきたら瑞牆の例の目標ルートに向かってまた一緒に練習しましょう!
北海道の岩場も案内よろしくです〜
入会時に同期入会のSさんに、湯俣から北鎌いきましよう!と誘われて目標になっていた。天気が微妙だったが、無事に完遂出来て感無量です。
私は入会前に貧乏沢経由で登っていて、北鎌は終わったルートだと勝手に思い込んでいたが、
本当の意味の北鎌は末端から行ってこそと感じた。
湯俣ルートは渡渉を何度も繰り返し、藪をこいで岩稜を登り山頂に至る、縦走登山の楽しさが詰まった好ルートでした。
◆ルート状況◆
[湯俣〜P2取りつきまで]
水量が少ないため、怖い渡渉はなかった。最大でパンツ濡れるかギリギリくらいまで。ストックは無かったら怖かったかも。15回は渡渉したので渡渉を避ける事は不可能だと思われる。千天出合手前に巻き道があり(ピンクテープ有)それは利用した。
水量は晴嵐荘のおじさんが教えてくれた。いっけんぶっきらぼうだが、とても親切。おじさん曰く、「末端からやらないと北鎌じゃねぇ」
だそうである。
[P2取りつきからP4まで]
踏み跡が薄いながらある。時たま踏み跡を見失い藪漕になった。P4はビバーク適地。
[P5から北鎌のコルまで]
P7は順調だったが、P7の下りでルーファイミス。ザレ場をコルと誤認して懸垂で垂直藪壁を下降してしまった!よくよく考えると方角がおかしかった。登り返し含め、一時間はロスしてしまった。地形図をよく見といた方がよい。(あまり前か)
[北鎌のコルから独標]
天狗の腰掛けと独標との間の名もないピークが少し間違いやすいと感じた。下降する方向には踏みあとがあるが、こいつは迷い跡。北鎌全体に言える事だが、巻くより直登した方が安全なイメージ。独標は右側からしばらくトラバースして庇上の所くぐった辺りから稜線に向けて登った。機銑教蕕らい。
[独標から山頂]
雨が本格的にふり初めて精神修行状態に。視界もなく、ただ無心で目の前の岩峰を越えていった。濡れると明らかにフリクションが悪い。とくに緑色の藻みたいな奴が最悪。山頂はチムニーをパスして巻き気味で登ったので祠の裏から出た。
[子槍から大槍まで]
子槍〜大槍は、子槍以外本当にボロボロ。景色は良いが、雪のある時期に登るべきで、岩登りとしての楽しみはかなり微妙。
仕事の都合でしばらく東京から離れるので、異動前に約束を果たせて本当に良かった。
次の目標は瑞牆のマルチ。今回の山行中に歩きながら決まった。なかなか手強い相手。
東京に戻ったらまたよろしくお願いします!
●ヒヤリハット●
曾孫槍登攀中にテラス崩壊による岩雪崩に巻き込まれそうになった。自分はビレイ点(横に細長い)で轟音を聞き、見上げた瞬間大量の岩塊が目に入り本能的に身をかがめた。大きさはテレビぐらいのが大量。岩雪崩のようにみえた。3m脇に着弾。雷が落ちたようなスサマジイ音と、土煙、そして焦げた臭いがすぐに充満する。
砕けた破片がヘルメットにあたり少し凹んだのと砂ぼこりだらけになっただけですんだが、もしビレイ点に他のパーティーにいたら重大事故になっていたし、自分も最初は死んだと思った。
元々なのか地震の影響なのかよく分からないが、先行パーティーがいる場合はやめた方が良さそうです。
突然に失礼します。
槍ヶ岳で崩落があったあの日、西鎌尾根千丈乗越を過ぎた辺りで、崩落音と「ラクーッ」という叫び声を聞きました。
しばらく様子を見ていたのですが、私の位置からでは何も見えず、またできる事は何もないのでその場を離れましたが、誰も怪我をしていないよう祈るばかりでした。
その後ヘリの音も聞こえなかったので、おそらく大丈夫だったのだろうと安心していましたが、あの日あの時、あの場所にいたのですね…本当にご無事で何よりでした!
今回私は初めて槍ヶ岳・西鎌尾根を歩きましたが、その際知人より「とにかく落石は絶対に起こさないように!」と厳重に言われてきました。
槍ヶ岳を登っている時も、掴む岩がもろい場所がそれなりにあったと思います。
それでも一般登山道ですから、気をつければ大丈夫なようにはなっていますけど、クライミングの最中、自分が立っている足場が崩れる、上から大きな岩が落ちてくると言うのは、どれほどの恐怖だったことか…本当に、山では何があるか分からないものですね。
確かにクライミングこそしませんが通常の岩場の通過とかはしますし、今回の一件、私もしっかりと心にとめ、これからも気をつけて山登りをしたいと思います。
これからもお二方はクライミングを続けると思いますが、お二方の無事を心よりお祈りいたします。
you_viewさん、はじめまして。
思い遣りのお言葉ありがとうございます。
自身の未熟さがゆえに引き起こした落石でしたが、こういった脆い岩を登る時は自分だけでなく他人も巻き込む可能性があると言う事を今一度心に留めておかないといけないですね。
you_viewさんもどうぞお気をつけて安全な登山を楽しんで下さい。
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