『限界に挑戦!...したら本当にもう限界だった件』 新穂高から赤牛岳
- GPS
- --:--
- 距離
- 51.4km
- 登り
- 3,932m
- 下り
- 3,932m
コースタイム
- 山行
- 20:52
- 休憩
- 2:01
- 合計
- 22:53
天候 | 小雨からの晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
平日にも関わらず満車に近かった... |
コース状況/ 危険箇所等 |
全ルートにて特に危険個所なし。 ・双六岳の中道と巻道はどちらが楽かと言うと微妙 ・水晶岳から赤牛岳の間はず〜と岩ゴロゴロ。危険はないが、それほど時短できないと思われるので注意 ・復路で黒部源流経由ルートにしたが、少々歩きずらかった。まぁ鷲羽岳経由よりは楽かとは思うが... |
写真
感想
※賞味期限切れの山行ですが、忘備録としてレコ作成
諸事情あって今シーズンはアルプス・ワンデイ・ロングハイクが行けてない。このままではシーズンが終わってしまいそうなので、何とか平日に時間作って行くことにする。昨年七倉から水晶岳をピストンした。その時に「今度は新穂高からピストンしたい」と思ったので、今回はそれにチャレンジ。「願わくば赤牛岳!」という身の程知らずのサブ計画も一応考えておく。最後まで黒部五郎岳と悩んだけどねぇ。
平日にもかかわらずほぼ満車状態の無料駐車場。日帰りハイクのこだわりから日付が変わるのを待つ。そして小雨がぱらつく中の出発(予報通りすぐに止んで良かった)。まずが林道歩き、そして歩きやすい小池新道。調子に乗って前半にスピード上げると、後半で足負傷&スタミナ切れ、そして精神崩壊...がいつものパターンなので、今回はある程度余裕のあるペース保って歩くことにした。慣れてしまったナイトハイク、星空は綺麗だが視界がないのは残念。吐く息は白く、秋の訪れを感じずにはいられない寒さだった。
双六小屋あたりで少し明るくなってきた。小屋前では出発準備の方々もチラホラ。樅沢岳へ向かうハイカーさんの灯が何とも雰囲気あって良かった。三俣蓮華岳手前で日の出を迎える。この幻想的で燃えるような稜線を眺めることができるのがナイトハイクの醍醐味!普通なら宿泊者しか味わえないからね。
【三俣蓮華岳山頂】
北ア最奥であろう三俣山荘から鷲羽岳への殺人的登りを眺めながらGO。まぁ思っていたよりは調子よく登れてよかった。とは言え、高山という事もあって徐々に疲労を感じ始めたので、少しペースを落とす。水晶小屋からは急に人も増え賑やかになり、ちょっと人恋しかった私はホッコリ。水晶岳に到着し、予定時間に対し1時間ほどの余裕があったので、このまま赤牛岳目指して突撃する。しかし、これが後々の後悔となるのであった。
赤牛岳までは一見穏やかな稜線に見えるが、アップダウンは当然の如くあり、何より岩ゴロゴロがずっと続くので少々歩きずらい。危うい個所とかはないが時短するのは難しそうだ。歩けども歩けども赤牛岳が近づく様子はない...またこの稜線を戻らなければならないことを考えると、徐々にウンザリし始めて、「もう引き返そうかなぁ」などとも思ったが、折角ここまで来たのだから行ける所まで頑張ろうと決意する。
赤牛岳山頂に辿り着いた時は久々に感無量。頑張った自分を褒めてやりたいと思いつつも「まだ半分か...」と思い直す。この稜線で10名くらいのハイカーさんと出会ったが、皆熟練っぽい雰囲気を醸し出していた。山頂にはソロ女子ハイカーさんが一人。少しお話したところ。七倉から2泊3日の予定で山旅中との事。なかなか強者である。昨日は野口五郎小屋で宿泊。思い返せば、山頂直下という最高のロケーションで素朴で雰囲気のある山小屋だった記憶があるので、「いいですね〜」と感想を述べた。その後、彼女とデッドヒートを繰り広げながら水晶小屋を目指したわけだが、復路の稜線歩きに辟易した私に対し、彼女は「こちら(復路)の方が楽でした」と澄ました顔で言っていた...やはり剛の者である。
水晶小屋で大休憩と足の手入れ。いつも靴擦れする踵の突起部分にテーピング。既に爪のない左足親指ににもテーピング。今回重症なのが右足親指の爪...どす黒く変色し、付け根には血豆ができでいた。最後までもてばよいが、下りになると痛みが出るだろう。休憩時間を多めにとったこともあり、1時間ほどあった貯金は15分程になっていた。
鷲羽岳を登り返すのはやめて、黒部源流を通ることにする。三俣山荘よりも低い地点まで降下して登り返さなければならないが、鷲羽岳を登り返すよりはましだろうと考え選択。黒部水源地標は数年前に雲ノ平日帰りハイクで一度通っているので少し安心だ。しかし、この下りが悪夢の始まりだった。岩が多く歩きやすいとは言い難い道で、足の痛みが急激に悪化、気温も上がりスタミナも奪われていく。早く歩くことはもはや叶わず、この先の苦闘を覚悟した。三俣山荘への登り返しではもはや足が上がらす調子が出ない。「おいおい、こんなことで最後まで歩きとおせるのか」と不安になる。まぁこの先は何度か歩いた道なので、暗くなっても辿り着くことはできると思うけど...。どうしても調子が上がらないので、双六岳の巻道分岐で小休止。あまり食欲ないが、口の中に食べ物を放り込む。気を取り直して歩き始めると、少し元気になってきたので、どうやらシャリバテだったらしい。「早目早めに対応しなくちゃ駄目だな」と反省。
とは言え、足の痛みは治まらず、もはやゆっくりとしか歩くことはできない。たっぷり時間をかけて双六小屋到着。辺りは暗くなり始めており、小屋の中では夕飯の準備が進んでいる様子。何だか寂しい気持ちになってきた。夕焼けの北アの美しさで気を紛らわしながら、どうしようもないので先へと急ぐ(まぁ急げないんだけど)。暗闇の鏡平を超え、15時間ぶりの暗闇小池新道へ突入。ここからが真のヘルロードの始まりでした...
右足親指の痛みがさらに増し、足の踏ん張りも効かなくなってくる。スタミナ自体はまだ何とかあるものの、精神的苦痛がピークとなり、立ち止まっては「長い...痛い...辛い...」の愚痴を繰り返す”豆腐メンタル”の本領発揮。「小池新道はコースタイム甘めだな」などと登りで感じていた自分が実に恨めしい。「何でこんなことやってるんだろう」という自問自答を繰り返しながら、ただただゴールを目指す相変わらず”生き急ぐ中年ハイカー”であった。結局予定時間を2時間もオーバーしての終了。日帰り温泉の営業時間は既に終了しているので、軽く汗を拭き帰路へと向かうも、途中撃沈し仮眠をとって朝帰りになったのは言うまでもナッシング。
今回も調子に乗ってしまい、辛い下山道をトボトボと歩く羽目になったしまった。まぁある程度想定内とは言え、学習能力のない私。特に今回は完全にキャパオーバー...水晶岳までなら何とか愚痴らず最後まで歩き通せたと思うが、赤牛岳はやっぱり遠かった。実を言うと、車中泊はいつも眠れないので、今回もNO睡眠でスタートした。復路の左俣林道で、ちょっとだけ幻聴&幻覚っぽい症状が出た時は「何だかTJARみたい」などとのんきに思っていたが、本当に限界だったと思う。幸い寝落ちするようなもともなく最後まで意識ははっきりしていたが、さすがにこんな無茶はもうやめよう(かな)。今日三俣山荘のHPを拝見したら、既に今期の営業は終了との事。北アルプスの秋はあっという間に通り過ぎ、すぐにあの神々しい白銀の峰々を眺める季節になるのだろう。
いいねした人