残雪の北八つ縦走(蓼科山〜天狗岳) (1984)
- GPS
- 79:20
- 距離
- 34.5km
- 登り
- 2,689m
- 下り
- 2,565m
コースタイム
5/1 7:30蓼科山荘発−9:10-30大河原峠−10:50-11:00双子池ヒュッテ前−14:10-20北横岳山頂−14:30北横岳ヒュッテ(泊)
5/2 7:30北横岳ヒュッテ発−9:30-10:00縞枯山荘(休憩)−12:00-30麦草ヒュッテ(休憩)−13:40高見石小屋−15:30黒百合ヒュッテ(泊)
5/3 7:20黒百合ヒュッテ発−8:40-50東天狗岳−10:30中山峠−12:00-30ごろ ニュウ−13:50-14:50黒百合ヒュッテ(休憩)−16:30渋の湯着
天候 | 4/30 晴れのち曇り、夜より雪 5/1 曇りのち雪、霧 5/2 雪のち曇り、霧 5/3 晴れ |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
船
【帰り】渋の湯ー(バス)−茅野ー(JR)−松本ー(夜行急行)−大阪ー(JR)−宇野ー(宇高連絡船)−高松ー(JR)−新居浜 |
コース状況/ 危険箇所等 |
この、1984年は例年にない豪雪で、北八ヶ岳の稜線、樹林帯の中も1m前後の積雪があった。部分的に潜る場所も多かった。また麦草ヒュッテより北は、トレースが明瞭でない箇所も数か所あった。天狗岳への登り下りは、雪が凍っていたのでアイゼンは必要。 |
予約できる山小屋 |
黒百合ヒュッテ
|
写真
感想
【山行NO 64】
※社会人になって初めて迎えるゴールデンウイーク。この年は8連休となった。
さて、初の給料ももらったし、どこの山に出かけるか?悩む。
さすがに雪の北アルプスなどは、装備も技術も貧弱なので、無理だろう。
悩んだ結果、例年だと雪が少ないという、北八ヶ岳へと行ってみることにした。
4月29日(日)
・この日は午前中、食糧を買い込んでから出発。
新居浜を出たのは11:30になっていた。
新居浜ー高松ー(連絡船)−宇野ー岡山ー、と乗り継いで、大阪に到着。
大阪には夕方着いたので、駅前の登山用品店に寄り手袋、サングラスなどを購入。
20:20 大坂発
・夜行急行(ちくま)を使っての初めての信州入り。やはりかなり山姿の人が多い。
ピッケルを持っている人も多く、ピッケルをまだ持っていなかった自分は、少し小さくなる。
この日は、電車はあまり混んでおらず、1ボックスを占拠でき、横になって寝ることができた。
4月30日(月)
5:10-28 松本駅
・自分はここから、始発の中央東線の電車へと乗り換えるが、
多くの人は大糸線に乗り換えていった。
・中央東線の車窓からは、モルゲンロートのピンク色に燃える、常念岳、穂高岳などが見えた。
7:00-8:15 茅野駅
・バスの待ち時間があるので、各山小屋へ予約の電話を掛けるとともに、雪の様子を聞く。
どこも、積雪は1mはある、との答えが返ってきて、大丈夫かな?と少し不安になった。
宿泊を予定していた双子池ヒュッテが、まだ営業していないことも判明した。
9:10 ピラタスロープウエー口
・ここでバスを降り、さっそく、最初の目的の山、蓼科山へと向かう。
バスに乗っていた登山者はほとんどが途中で下車し、蓼科山へ向かうのは自分以外に、一人いるだけ。
天気はまずまずの上天気で、青空の下、車道をてくてくと歩く。
10:10 蓼科山登山口
・道路脇に標識があるので、ここから登り始める。
入口付近では雪はなかったが、少し登るとさっそく路上に雪が出てきた。
・1本道の急登の登山道を登ってゆくが、今日はやけに気温が高く、汗が出て、のども乾く。何度も休みを入れつつ登る。
今日は初夏のような日差しで、残雪もまばゆいばかり。購入したてのサングラスが、さっそく役に立った。
・山頂に近づくにつれ、傾斜はさらに急になり、ほとんど四つん這いになって雪面を登ってゆく。
傾斜がゆるくなると頂上プラトー、
ここには雪がないが、代わりに巨大な岩塊の平原となっていて、これもまた歩きにくい。
13:40-14:10 蓼科山山頂
・ようやく、今回の第一の目標に到着。
しかし、大展望を期待していたが、周辺はだいぶモヤがかかり、展望はほとんどなかった。
・下りは東の雪の斜面を下る。ここも、登りに増しての急な斜面で、
ピッケルを持っていないので、かかとでのキックステップで雪を蹴り固めながら、慎重に下る。
14:30 蓼科山荘着
・当初は、調子が良ければ今日中に北横岳まで行けるか?と思っていたが、
予想外に雪が多くて難しいので、今日はここに泊まることにした。
・小屋はまずまずの感じの小屋。宿泊客は少なく、結局3名だけだった。
宿泊客が少ないせいか、夕食(自炊)後に、小屋のおやじさんからコケモモ酒をふるまわれた。
色はワインレッドの、美しいお酒、しかし味はちょっと苦い、薬のような感じだった。
・暗くなってから、とうとう雪がぱらついてきた。
と、その中、突然、小屋の人が、「花火をやろう」と言い出し、
山の中だというのに、打ち上げ花火などして盛り上がった。
これも、人の少ない山ならではの、特別な出来事。
5月1日(火)
6:10 起床(外の気温=マイナス2℃)
・前夜の雪がまだ降っているかと思っていたが、天気は少し回復しており、雪は止んでいる。
新雪が2〜3cm程度積もっていた。
7:30 蓼科山荘発
・昨夜の宿泊客のうち、ほかの2名は今日は下山するだけとのことで、縦走路に向かうのは自分一人のみ。
縦走路に入ると、前掛け山あたりで、さっそく道がわからなくなった。
踏み跡をたどってゆくと、そのうち踏み跡がなくなり、足は雪にズボズボと埋まる。
・・これはさすがにおかしいゾと思い、だいぶ戻ってみると、雪の上に解りにくい踏み跡が分岐していた。
この付近は、赤テープ類もまたっく無く、尾根状でもなくてぼやっとした樹林帯なので、迷いやすくて難しい。
・前掛け山から下りにかかると、しだいに下から霧が上がってきて、視界を隠しだした。
下りは、雪もくされ気味で、朝だというのに、
雪にズボズボと埋まってしまい、なかなか時間がかかる下りだ。
9:10-30 大河原峠
・峠から小さなピーク 双子山の登りにかかるが、このころから、
周辺は完全に霧に包まれ、視界がなくなった。
地図と、薄い踏み跡だけを頼りに先へと進む。
対向者の姿もなく、孤独な山だ。
・双子池付近も、道がわかりづらく難渋した。地図の登山道には踏み跡はなく、
遠回りになるが林道に沿って薄く踏み跡があるので、それをたどって進む。
10:50-11:10 双子池(ヒュッテ前)
・予想外のくされ雪と、不明瞭な道で、ここまで予想外の苦戦を強いられ、
また、霧で視界もなく、だいぶ精神的に疲れてしまった。
ここで大休止とし、ラジオを聞きながら食事をしたら、だいぶ気分的に落ち着いてきた。
目の前の双子池はほとんど氷結しており、5月とは思えない冬の姿だ。
相変わらず登山者の姿はなく、孤独な山が続く。
・ここから、北横岳への登りとなるが、予想通りかなりキツイ登りだ。
しかも天気はだんだん悪化し、とうとうミゾレが降ってきた。のち雪に変わる。
天狗の露地などは、晴れていれば気持ちの良い場所だろうな、と思われたが、
今日のような天気では、黙々と通過するのみ。
12:50-13:10 大岳の肩
・ようやく雪の急登が一段落したので、大休止を取る。
ここからは岩稜が出た稜線で、雪の量も少なく、気持ちよく歩けた。
14:10-20 北横岳山頂
・予想外に時間がかかり、ようやく北横岳山頂に到着した。
依然として展望はない。
今日は、朝の予定では、縞枯山荘まで行こうか、と思っていたが、
雪が再び降り始めたのを見て、山頂直下に見える小屋に泊まることにした。
14:30 北横岳ヒュッテ着
・雪の降る中、山小屋に逃げ込むことができて、ほっとできた。
自分が最初の客、その後、ロープウエー経由で2〜3名がやってきた。
・ここに泊ることにしたのは正解だったようで、午後は遅くなるにつれ
雪は激しくなってきた。
雪をぼんやりと眺めながら、FMラジオで音楽を聴き、のんびりした。
夕食は自炊で済ます。
5月2日(水)
5:30 起床(外の気温=マイナス5度)
・昨日の午後から降り始めた雪は、夜中から朝にかけても降ったりやんだりの状態。
朝起きてみると、外はだいぶ冷え込んでいる。寒波がやってきているようだ。
・雪の降りやんだ時間帯を使い、小屋の近くの七つ池へと朝の散歩をしてみた。
新雪が20cmほど積もっており、まるで冬のような景色だった。
・今日はどうしようか?と考えていたが、小屋で待機しているうちに、風向きが南から北風へと変わった。
気圧の谷は通過したようなので、午後には天気が回復すると見込み、出発することにした。
7:30 北横岳ヒュッテ発
・同宿の2名が少し先に出て行った。彼らの踏み跡をたどってゆくが、すぐ追いついてしまった。
どうやら彼らも道が解らないらしく、3人で、ルートを探し、15分ほど白い雪面をウロウロする。
そうこうするうちに、赤テープを見つけることができ、テープ沿いに進むことにする。
・赤テープはパラパラとはあるが、昨日の積雪でトレースは消えており、
また、濃い霧も出ていて視界不良なので、道を進むのに難儀した。
特に、三つ岩あたりの岩稜帯は、ルートがわからず苦戦。
地図を頼りに進んでいると、途中でようやく、対向のパーティに出会えた。
これ幸いと、この後は対向者が作ってくれているトレース沿いに、楽に進めるようになった。
・出発時点では霧だけで、雪は降っていなかったが、冬型が強まったせいか、
再び雪が降り始め、強い北西の風も吹いて、なかなか寒い。まるで冬山登山のようだ。
9:30-10:00 縞枯山荘(外気温=マイナス6℃)
・あまりに寒いので、小屋に入って休憩とした。
ここはアクセスが良いせいか、結構、小屋の中には登山者がいて、ほっとした。
登山者と言っても、多くはロープウエーで上がってきた人たちのようだった。
・その後、縞枯山、茶臼山、と、小さなピークを越えてゆく。
この付近は新雪の上にもトレースがあり、雪も締まっていて迷うようなことはなくなったが、
縞枯山あたりでは、アラレがバシバシと降ってきて、なかなか寒い、寒中行軍の様相。
12:00-30 麦草ヒュッテ
・ここは国道の麦草峠になっており、アクセスが良いせいで、観光客も来ていた。
中に入って大休止とし、昼食を取り、人心地着く。
・ここから先もトレースは良好だが、視界の少ない樹林帯の雪の中を、黙々と進む感じ。
雪も降ったりやんだり、となかなか回復する気配がない。
13:40-50 高見石小屋(外気温=マイナス3℃)
・ここでも小屋の中で小休止。ここで泊まることも少し考えたが、
やはり、次の小屋のある黒百合峠まであと一頑張りすることにした。
・ここから先も、雪道を黙々と進む。
途中の中山の山頂ではようやく周りを覆っていた霧が上がって行き、
遠く白く雪化粧した蓼科山が望めた。思えば結構な距離を歩いたな、という感じ。
15:30 黒百合峠(黒百合ヒュッテ)着
・長い雪のなかの行軍もようやく終わり、目的の小屋に到着できた。
今日も登山道では対向者は10人に満たず少なかったが、
小屋に入ると結構な数の登山者がいた。
・小屋の中には温かいストーブがあり、ほっとする。
午後はのんびりと備え付けの山の本などを読んで過ごす。
今日も自分は、自炊の夕食だが、ほかはほとんどが食事つき。
社会人は懐が温かいので、食事つきで登るのがふつうなのか、と改めて思う。
5月3日(木)
・6時前に起きて外を見ると、まだ霧に覆われている。
が、朝食を取って出発の準備をしているうちに晴れてきた。
今朝は、昨日にまして冷え込んでいるが、山行4日目にしてようやく上天気になりそうだ。
まずは、近くの天狗岳に行くことにし、荷物の半分は小屋にデポし、デイパックで出発。
7:20 黒百合ヒュッテ発
・小屋の前の小山を登ると、真っ白く雪化粧をした天狗岳の双耳峰が雄大に見えた。
とても5月の山とは思えない、冬山のような姿だ。
・最初は、ほかの人と同じく、アイゼン(X型の4本歯)を着けて登って行ったが、
稜線のルートは岩が結構出ており、アイゼンを着けては歩きにくい。
所々はアイゼンを外してゆくが、新雪がきゅっと締まっており、アイゼンなしでも問題なく歩けた。
朝日を浴びてキラキラ輝く雪の斜面が、雪山らしさを感じさせる。
8:40-9:00 東天狗岳山頂
・風があって少し寒い山頂だが、今日は展望が素晴らしい。
周りの風景をパチパチを写真にとり、軽く食事をしてゆっくりした。
西天狗岳もまじかに見えているが、トレースはなかったので、行くのはやめておいた。
ここから、南行して南八ヶ岳へと向かう登山者も多い。
赤岳付近も意外と近く見えるので、自分も行きたくなるが、
他の登山者と違い、アイゼンは4本歯だし、ピッケルもないしで、無理は禁物、と自重した。
・天狗岳から中山峠へと下る。天狗岳の直下は岩場となっており、ちょっと怖いのでアイゼンを着けて慎重に下る。
その後は単調な雪の斜面。アイゼンは、雪がダンゴになるので、外して下った。
10:30-40 中山峠
・天狗岳のみの往復ではもったいないし、時間も余っているので、「ニュウ」へ行ってみることにした。
「ニュウ」へのルートはトレースがついておらず、新雪の中を気持ちよく進んでゆく。
が、日差しが出て温かくなってきたせいで、頭上の木々から新雪や樹氷がバラバラと落ちてくる。
12時ころ;ニュウ
・苦労してきたかいがあり、すごく気持ちの良い場所。展望も良い。
自分のほかに人影はなく、音と言えば、木々から落ちる雪の音、鳥の声、風の音だけだ。
今回の山行では荒天に苦しめられたが、ようやく気持ちの良い春の雪山の雰囲気に巡り合えた。
13:50-14:50 黒百合ヒュッテ
・今日は夕方までに渋の湯に下るだけで時間も余っているので大休止。
天気が良くなったせいか、小屋の中も登山者がだいぶ増えていた。
小屋の前もテント村ができていて、雪上訓練する人や、スキーをする人やらでにぎやかになっている。
・黒百合ヒュッテからは、淡々と渋の湯への道を下る。
16:30-18:40 渋の湯(渋御殿湯)
・4日間の疲れをいやすため、温泉に入る(500円)。
硫黄泉なので石鹸が使えなかったのは少し残念だったが、のんびりできた。
・思えば、4日のうち中2日は、雪と寒さでなかなか大変な山行ではあったが、
それでも、本格的な信州の春の雪山を初体験でき、充実した山行だった。
・この日は渋の湯からバスで茅野に出て、JRで塩尻に移動。
塩尻から夜行急行「ちくま」に乗り、大阪へと向かった。
翌日は大阪駅前の登山用品店で、テントなどいろいろ山道具の買い物をし、
その後、新居浜への帰路に着いた。
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