台風一過の晴れ間の中、銀泉台から白雲小屋で一泊
- GPS
- 32:00
- 距離
- 28.5km
- 登り
- 1,445m
- 下り
- 1,428m
コースタイム
銀泉台(10:00)→コマクサ平(11:50)→赤岳(13:00←昼食→13:35)→白雲岳(14:45)→白雲岳避難小屋(15:35)
2日目(7月24日)
白雲岳避難小屋(5:45)→三笠新道分岐(6:50)→忠別沼見晴台1833mピーク(8:20←休憩→9:00)→三笠新道分岐(10:15)→白雲岳避難小屋(11:15←昼食→11:50)→白雲分岐(12:10)→赤岳(12:40)→銀泉台(14:30ぐらい)
天候 | 1日目(7月23日):曇りのち晴れ 2日目(7月24日):晴れ時々曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2011年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
90台停められるようですが、夏山シーズンの土日は混雑して停められないケースもあります。この日も駐車スペースがなく、道路脇の空いたスペースに邪魔にならないように駐車しました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
第三雪渓はまだ雪が残っていて、夏道が一部埋まっています。 堅い雪上で滑りやすく四苦八苦しました。 第四雪渓も雪はありますが、夏道が出ています。 |
写真
感想
今週は待ちに待った土日晴れマーク。白雲岳避難小屋に1泊して高根ヶ原を満喫しようと出掛けてきました。一泊荷物を背負うのは今年初めてということで、大雪でも比較的楽な銀泉台からスタートです。
1日目(7月23日)
道央道に鹿が侵入して通行止めになり、一般道を迂回して予定よりも30分以上遅れて登山口に到着すると、ものすごい車の数。駐車場に入りきらなくてとんでもないことになっている。「今日は登山会でもあるんですか」とゲートの管理人さんに聞いてみるが、何故こんなに人が多いのかよくわからないとのこと。天気がいいからかなぁなどど話をしつつ記帳をすませて入山。
登山道に入るとシオガマギク、エゾウメバチソウ、ゴゼンタチバナ、カラマツソウ、ミヤマキンポウゲ、アオノツガザクラ、エゾヒメクワガタ、ヨツバシオガマ、チングルマ等々、花三昧。第ニ花畑は大半が雪渓の下だが、雪のない所ではエゾコザクラが鮮やかに咲いている。この花がこんなに活き活きと咲いているのを見たのは初めてかもしれない。
第ニ花畑の雪渓を抜けて、コマクサ平に着くとコマクサをはじめイワブクロ、エゾツヅジなど礫地の花が多くなってくる。ここから第三雪渓の間でシマリスを発見。茂みの中にはエゾノハクサンイチゲがひっそりと咲いている。第三雪渓の途中からは標高1900mに入り、息があがる。第三雪渓を抜けるとチシマキンレイカの黄色い花が目立つようになってくる。気の早いチングルマはすでに綿毛になっている。第四雪渓は夏道が出ているので安心して登っていけた。これを越えれば赤岳山頂。山頂についた頃には久々の大荷物が効いたのか腰が痛い。時間は13時。お腹も空いたので昼食にしつつ山頂の岩に登ってみる。この岩に登らなくては赤岳の良さはわからない。
昼食の後はとりあえず白雲岳分岐まで行って見る。体力もかなり消耗しているらしく、小泉岳に上がる緩い勾配ですら結構キツい。分岐では愛知からの縦走者と出会う。旭岳からスタートしてトムラウシで折り返して天人峡に降りるらしい。せっかくなので、荷物をデポって一緒に白雲岳に登る。当たり前だが身体が驚くほど軽い。途中で道警の山岳警備隊と出会う。一人は大きな幟をザックに立てて歩いている。重くないのか聞いたら「今日は風がないから平気ですよ」とのこと。身体の作り込みが違うなぁと関心しつつ、よくよく考えたら山岳警備に会ったのは初めてのことで、大雪にも警備隊いるんだと変なところに感心してしまった。
白雲岳が間近になると雪壁がドーンと迫って来る。別にここを登るわけではないが、スケールに圧倒される。山頂からはトムラウシ山はもとよりオプタテシケ山や美瑛岳までがきれいに見える。本当に今日は大当たりだ。景色を十分堪能してから本日の寝床、白雲岳避難小屋へ向かう。途中の雪渓横には初夏の花キバナシャクナゲも咲いていて、雪渓が色々な季節を演出しているのを実感する。遠くに見える小屋の横にはテントの花が咲いている。ざっと15張りぐらい。以外と多いなと思いつつ、このぐらいなら小屋にも入れるだろうと安心する。明日の天気が微妙なので、できることならテントは張りたくないし、そもそもテントは孤立しがちなのであまり好きではない。
白雲小屋の2Fに陣取ると、水場で汲んできた水を明日の飲み水用に煮沸する。「もう夕飯ですか」と声がかかり、「いや、水作ってます」と...これをきっかけに山話が弾む。17時前に夕飯をすませると、消灯の20時までは外のテーブルで酒を飲んで過ごす。標高が2000m近くあるため、無風の屋外でも少しひんやりして焼酎のお湯割りがとても美味しい。管理人さんを交えて話しをしつつ、たまに写真を撮ったりして、あっという間に消灯時間。寝袋に包まるも予想外に暑くて寝苦しい。ふと気が付いたら窓の外が明るい。もう朝?と思って時計を見てみると23時。なぜと思って窓の外を見てみると、満点の星空。こうなったら写真を撮りたくてしかたがない。カメラ片手に外へでる。もう絶景で、高根が原からトムラウシまでの稜線がくっきりと見える。「こんなに明るいとライトなしでも歩けますねぇ」と一緒に起き出してきた人と話をしつつ白雲小屋での一夜は過ぎて行った。
2日目(7月24日)
暑くて寝苦しい夜だったが気がつけば周りが明るい。ガバッと飛び起きて朝焼けの高根ヶ原を写真に収める。天気が悪ければ下山しようと思っていたが、今日も晴天に恵まれそうだ。朝食にした後、テントや寝袋など重い荷物は小屋に預けていざ高根ヶ原に。コガネイチゴ、チシマノキンバイソウなどが鮮やかに咲いている。トカチフウロはまだ少し早いようだ。礫地に出るとコマクサが一段と目立つ。そんな中、ケルンから顔をのぞかせているエゾシマリスにも出会う。身体が小さいので、まだ子供かもしれない。
チシマギキョウやリシリリンドウなど表大雪でも珍しい花が見え始めると高根ヶ原に来たと実感する。三笠新道分岐を越えると熊の匂いが風に乗ってやってくる。匂いの感触から遠く離れているのはわかるが、念のため笛を吹いて「こっち来んな!」信号を発信しておく。今まで8月にしか歩いたことがなかった高根ヶ原は、花のない印象が強かったが、今回はエゾカンゾウ、チシマキンレイカ、タカネシオガマ、イワブクロ、エゾツヅジなどが群落を形成しているのを目にしたのは新たな発見であった。「ガーガー」という声がするほうを見ればホシガラスも上空を飛び交っている。今日は動物との遭遇が多そうだ。
平ヶ岳を過ぎて忠別沼への登りで、年代物のザックを降ろして休憩している埼玉からの縦走者と出会う。彼も銀泉台に降りるそうで、層雲峡まで車に乗せてもらえないかとお願いされ、もちろん快諾。私は白雲小屋まで身軽なので、そのうち追い付くだろうということで、その場は別れて忠別沼に向かう。彼の話では忠別沼の花はあまり良くなかったということなので、今日の目的地を忠別沼を見下せる1833mピークに決め歩き出した矢先、何やら大きい物体と目があった。エゾシカじゃないか。標高1800mだというのに上がってきたらしい。高山植物も食べてしまうというので結構問題になっているのは知っていたが、こんな高地で見たのは初めてだ。
忠別沼が見渡せる1833mの高台はチシマキンレイカの黄色一色。花と沼と忠別岳の景色を楽しみつつ、お茶にする。化雲岳の辺りは若干雲がかかっているが、本当にいい天気。熊除け代わりのラジオを聞きながらのんびりする。そうこうしているうちに、昨日一緒に白雲岳に登ったじいちゃんが追い付いてきた。今日はヒサゴ沼で一泊するようだ。うらやましい。ガスったら忠別小屋にすると言っていたが、多少のガスならヒサゴまでは道に迷うようなところはないから安心して行ってきたらいいと言って別れる。
その後は来た道を戻る。白雲小屋からここまでざっくり片道7kmはあるので、帰りは結構つらい。容赦ない日差し。吹かない風。たかる蠅。たまに花の写真を撮るのにしゃがんで立っては立ち眩みをおぼえる。結構このルートはキツかったかなと思いつつ、それでも「来て良かった」が打ち勝つ。白雲岳避難小屋まで戻ると層雲峡まで一緒に行く約束をした埼玉の彼がいて「ここで追い付かれるとは」と言って驚いていたが、私は昼食の予定だったので、また彼が先行する。食事の後、小屋に預けていた荷物を詰めたザックを背負ったら重いこと。水も食糧も予備の一食分しかないのに、なんでこんなに重いんだ。出がけに管理人さんに、札幌からなら、また週末にでも来てくださいよと言われて体の良い返事を返しておく。週末の一泊山行で来る人が常連さんには少なくないらしいが、体力のない自分がうらめしい。
昼食後も昨日歩いた道を折り返していく。白雲岳分岐はすごい人、昨日よりも人数多いなぁと思っていたら、赤岳のほうも大勢の人であふれかえっていた。若い女の子も多い。華やかなのはいいが、さっきまで高根ヶ原の静寂の中にいたのが信じられないような喧騒だ。賑やかすぎる山というのも正直あまり好きではないので、降りる脚に力が入る。気が付いたら14:30には銀泉台に到着していた。埼玉の彼とも無事に合流し、車に荷物を積み込んで、層雲峡を目指してダート道をゆっくりと下りていった。
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