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Yamareco

記録ID: 288428
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無雪期ピークハント/縦走
十勝連峰

美瑛富士で一泊してオプタテシケ山

2009年08月11日(火) ~ 2009年08月12日(水)
 - 拍手
GPS
28:40
距離
25.7km
登り
1,925m
下り
1,911m

コースタイム

<1日目>
白金温泉涸沢林道登山口(09:20)→美瑛富士避難小屋(11:50←テント設営・昼食→13:30)→美瑛岳雪渓(14:20)→美瑛岳(15:20)→美瑛富士避難小屋(16:20)

<2日目>
美瑛富士避難小屋(6:00)→オプタテシケ山(7:50)→美瑛富士避難小屋(10:30←水汲み・昼食→11:50)→涸沢林道(14:00)
天候 1日目(8月11日):晴れ後くもり
2日目(8月12日):くもり
過去天気図(気象庁) 2009年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
白金温泉涸沢林道駐車場に車を置き出発。
(林道入口はナンバー錠で施錠されていますので、事前に営林署に鍵の番号を問い合わせる必要があります。)
コース状況/
危険箇所等
美瑛富士避難小屋下の雪渓はチョロチョロで何とか水が取れる程度で、飲み水にするにはあまり嬉しくない状態です。美瑛岳のトラバース路の雪渓まで行けば、きれいな水が豊富にありました。

美瑛富士避難小屋も使えましたが、先月に遭難された方がここで亡くなったばかりというのもありテント泊にしました。ただ、このテン場は虫が多くて、黄色のテントに虫が引き寄せされるように、昼前にテントを張って、夕方戻ってきたらフライの内側にビッシリと虫が付いていて、結局、フライを外して虫を掃って組みなおすという面倒なことになりました。

あと美瑛富士避難小屋はトイレがないため至るところに排泄物が点在しています。テントを張るときは、これらがないかどうか入念なチェックが必要です。

感想

<1日目>
美瑛富士に一泊でオプタテシケ山に行った。山は風もなく穏やかで、数週間前に凍死事故が発生したのが信じられないぐらいの暑い山行だ。最短ルートの涸沢林道駐車場からすぐのところから暑さにやられ始め、噴き出る汗と格闘すること2時間半、美瑛富士避難小屋に着いた。周囲は夏山とは思えないほど静かで誰もいない。今晩の寝床となるテント張り小屋で昼食を取る。「いただきます」のついでと言っては何だが、小屋で亡くなった方に手を合わせて「明日、貴方の行けなかったオプタテシケ山に行きますから一緒に行きましょうね」と声をかけてみる。まぁ、当然何も起こらんわけだが。

その後、夕方まで周囲を散策しようと美瑛岳分岐まで行ってみるが、美瑛富士も美瑛岳も見事にガスっている。ならばと美瑛岳のトラバースに良い雪渓を見つけたので水を汲みに行く。水量が多く冷たくて快適。顔を洗い体を拭き、リフレッシュ。写真にも撮ってみると雄大に思えた雪渓が思いのほか涸れ気味。まぁ、8月だしね。その後、美瑛岳分岐まで戻ると美瑛岳が快晴。おおっ!これは登れということなのか。この区間はまだ歩いたことがなくルートをつなげる意味でも登ってみた。噴き出る汗、なくなる水、何がリフレッシュだ、せっかく水を汲んだのに、帰りに行けば良かったと思いつつ山頂。美瑛岳にしては御機嫌な天候だが、山頂碑が随分とくだびれた様子。去年はドッシリとしていたのに、これは来年はなくなってるなぁと思いつつ写真を一枚と。

日も傾きだし、結局汗だくのまま美瑛岳から降り小屋に戻る。この間で出会ったのは「上ホロ小屋に行く」という兄ちゃんと、「これから降りる」と言ってた二人パーティのみ。さすがにこの時間だし、小屋に戻れば誰か来ているだろうと思っていたが、小屋に着いても誰もいない。泊まり山行の楽しさは、見知らぬ人達との山話だというのに...まぁ、こういう日もあるかと夕食を取り、すぐ傍の石垣山のガレ場から聞こえてくるナキウサギの合唱に耳をかたむけていると、チリーン、リーンと金属音が聞こえてくる。明らかに誰もいないのに鈴の音や人の声などの幻聴を聞くことが山ではあるが、時間も遅いし今回もそんなもんだろうと思っていたら、石垣山から降りてくる2つの人影発見。

近い水場ということで、登る途中にあった雪渓を案内し(かなり涸れ気味)、戻ってくると二人が三人になっていた。石垣山から降りてきた二人は本州からの登山者で、旭岳から縦走中。当日は各々三川台と南沼から出発して途中で合流したらしい。今夜は小屋に泊まると。もう一方は旭川の人でテント泊は初めてということで、色々と情報交換をしているうちに夕暮れにつつまれる。

冷えてきて三人が休むと言うので、少し下って小屋の夕景も撮ってみる。西側と対称的に東側は真っ暗。三脚を準備して、撮影していると下のほうから、ガサガサと熊笹のゆれる音。風はない。そういえば、三人目の人が近くでクマを見たといってたなぁと、いうので撮影はこれにて終了。念のため、小屋の二人に断って、食料とゴミは小屋に置いてテントで就寝。

<2日目>
寝たのか寝てないのかよくわからん内に朝。それでも体の疲れは取れている。旭川の人は14:00までに家に帰らないといかんということで、明け方前にオプタテシケ山に出発して行った。残る三人の内、一人は上富良野岳から十勝岳温泉に降りるというが、足がないので下山してから私の車と合流しようということになり、電話番号を交換して出発して行った。もう一人は上ホロ小屋でもう一泊するということで、かなりのんびり。私のほうが先に食事をすませ出発した。

小屋の外はもうナキウサギの大合唱。これだけいれば一匹ぐらい見れるだろうと岩場を観察しながら進んで行く。案の定一匹がすばしっこく動き回っている。今まで見た奴らの中で一番落ち着きがない。写真を取るのも大変だ。遅くまで雪渓に包まれた彼らの夏は短そうだし、まぁ、わかるけどさぁ。

石垣山から更に進んだ2つ目の名もなき1820mピーク。休憩しようとザックをおろした瞬間目があった。ケルンだ。ケルンの中に何かいる。前足を岩に置いてニゅ〜っと顔を出していたのはテンだ。多分エゾクロテンだろう。「初めて見た。カメラカメラ!」とあわてふためいてカメラを構えた瞬間、バイバーイとケルンの中に消えていく。ああっ、撮れなかった残念。と、いうわけで無駄に時間を過ごしつつオプタテシケ山頂へ。途中で旭川の人とも会い、「天気も良くて無事に見れたと、でも急がないと時間が」と(^^;。

私が山頂についたときも、まだ薄雲がかかっているがまずまずの天気。複数のピークの後ろにはトムラウシの2本ピークが鮮やかだ。火口がU時型になっていて、こちら向きに開いているので2本に見える。左側には旧道のあった硫黄沼までうっすらと。ここでもう一人と出会う。この人も本州の登山者で旭岳から縦走してきたらしい。昨日は双子池に泊ったと、今夜は上ホロ小屋にもう一泊して、翌夕方に旭川空港から帰るらしい(後で美瑛小屋で出会った人と十勝岳温泉で合流したときに聞いた話によると、南沼からこの人と一緒に来たらしいが、ペースが違ったので途中で置いてくるような形になったとか...おいおい(^^;)いや〜、しかし私もいつか美瑛富士−トムラウシ間、縦走してみたいと思っているが、改めてこの凸凹の稜線を見てしまうと心が折れそうだ。みんなよくやるなぁ。

しばらく山頂でのんびりし、ガスが出てきたので帰るかと降りはじめた矢先に、またも動物発見。シマリスである。しかもコイツはほっぺが大きい。しばらく追跡すると、穴を掘りはじめた。ほっぺに溜めた食料を埋めるらしい。穴が掘り終わると、ほっぺに手を当てて一生懸命出している。少し距離があるので、中身はわからんが、ほっぺがみるみる小さくなる。そしてすべてが終わると、サッサッっと砂を掛けて埋めている。お見事っ。その瞬間を写真にと思って撮ったがどうだろう。イマイチ微妙だが、右前足で砂をかけた瞬間だ。ブレている右前足が素早く動いた証拠だ。しかし、こうやってきれいに埋めて、場所わかるんだろうか? それにもう二ヶ月もしたら雪が積もるっていうのに。それまでに掘りにこないと...などと余計なことを...

食料を埋めてシマリスは何処かにいったかと思いきや、また現れて、今度は岩の上で一仕事終えて満足したかのようにじっとしている。同じ個体だろうか? シマリスの識別なんて正直できんので、話的に同じ奴が戻ってきたとしておこう。こいつはほんとにのんびりだ。私から1mぐらいの距離にある岩場でのんびりしている。カメラを構えても微動だにしない。シマリスもこんなにジッとしている時があるんだなぁと感心。

その後、美瑛富士避難小屋に戻り、水がなくなったので雪渓まで降りて水を汲みに行き、昼食を取った。またもや「いただきます」のついでではないが「無事にオプタテシケ山まで行けましたよ」と手を合わせて、荷物を詰め直して下山した。

下山中、積乱雲が2つ3つ出来ていく過程を観察しつつ、その内の一つが願いもしないのにルート上に入ってきて、にわか雨に降られる。じきにやんだが、かっぱを着てザックカバーまでしてしまったがために、脱ぐのも面倒くさくてそのまま下山。おかげで下山中なのに暑さにやられ終始不機嫌でいると、一匹の蝶がやって来て先導していく。どうせすぐにいなくなるだろうと思いつつ、ず〜っと蝶の先導は続くので、「こいつはどこまで先導するつもりだろう」と興味本意でイライラ感が消えていく。そして、数十分ぐらいして登山口が近くなったころにフイっといなくなった。なんか、避難小屋で亡くなった方が、オプタテシケ山のお礼に登山口まで案内してくれたような不思議な感覚であった。

山にいると不思議なことが多いもんだ。と、下山の記入をして駐車場に向かう途中でケータイが鳴った。向うも無事に降りたようだ。こちらは白金温泉なので、「30分かからないぐらいで行ける」と言って電話を切り、十勝岳温泉へと車を走らせた。

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