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記録ID: 3066995
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山滑走
白山

【白山】目附谷(めっこ谷)滑降

2021年04月10日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
23.0km
登り
2,161m
下り
2,142m

コースタイム

日帰り
山行
13:40
休憩
0:00
合計
13:40
3:00
190
駐車地(大杉谷林道の北俣谷手前)
6:10
140
与次のワサビ沢のコル(目附谷左岸稜線のP1712mとP1634mの間のコル)
8:30
190
11:40
50
四塚山と七倉山の間のコル(ドロップポイント)
12:30
30
赤壁の二俣(約1660m地点)
13:00
140
与次のワサビ沢(稜線への脱出地点)
15:20
80
大杉谷林道に着地
16:40
駐車地(大杉谷林道の北俣谷手前)
天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2021年04月の天気図
アクセス 大杉谷林道の冬季通行止めは解除されたようで,林道入り口をふさいでいた除雪車はなくなっており,車での進入可能。ただし,北俣谷手前あたりから残雪が出始めるため,普通の乗用車ではそこまでが限度だった(車高の高い車ならもう少し奥まで入れる)。あと林道はダートでガタガタのところもあるので運転注意。
コース状況/
危険箇所等
【大杉谷林道〜目附谷左岸稜線(与次のワサビ沢のコル)】
・大杉谷林道をふさいでいた除雪車はなくなっており,車で進入できるが,北俣谷あたりから残雪が断続的に残っているため,そこからは歩きになった。
・大杉谷林道から目附谷左岸稜線までの南斜面は,先週に比べ雪解けが急速に進んでおり,雪が切れて藪が出始めている箇所が多数。1300mくらいまで標高を上げると雪がつながる。この分だと,この斜面は,あと1〜2週間くらいで雪がほとんどなくなってしまうかもしれない。
・今回は冷え込んでいたこともあり雪はよく締まっていて,何もつけなくても歩けるくらい。

【目附谷左岸稜線〜シゲジ〜七倉山と四塚山のコル】
・まだ雪はたっぷりある。雪はよく締まっているおり、ツボ足でも十分歩けるくらい。注意が必要な箇所は特になし。

【目附谷滑降】
・今回は七倉山と四塚山のコル(昨年9月遡行時に稜線に出た箇所)からドロップしたが,赤壁の二俣(標高1660m位)まではひたすら滑りやすい斜面が続き,斜度も適度で快適。無雪期は連瀑帯がある区間なのだが,全部雪に埋まってしまって完全に均されている。ただし,一箇所,クラックが走って水が流れる音がする箇所があったため,あと半月ほどで滝が出始めるかもしれない。
・赤壁の二俣より下部は,側壁がそびえたつゴルジュが続き,無雪期は滝や淵がいくつか出てくる箇所だが,豊富な雪に完全に埋まっており,スキーを脱がずに滑り抜け可能。しかし,雪崩デブリの通過が何度かあり,側壁からの雪崩・ブロック崩壊・落石のリスクもあるため,探検的な面白さはあるが,快適なスキーとはいかない(この区間は本来なら側壁の雪が落ちきるもっと遅い時期の方が良いのだろうが、そうすると白山は雪解けが早いので谷割れが始まる可能性があるのが悩ましいところ)。純粋に滑りを楽しむのであれば,小又や,赤壁の二俣の右俣も完全に雪に埋まっていたので,そちらを本流と組み合わせて周遊したほうが安全だし楽しいと思う。
・稜線への復帰は,与次のワサビ沢(目附谷左岸稜線のP1712mとP1643の間のコルに突き上げる小さな沢状地形)から楽に脱出できる。それより下部は二重滝・紅滝の大滝が出てくるため,避けたほうが無難と思われる。
・目附谷左岸稜線から大杉谷林道までの斜面は,樹林がそれほど密でないので,ルートファインディングは必要だが,楽しいスキー下山ができる。(ただし,この斜面はあと1〜2週間で雪がほとんどなくなりそう)
先週来たときは大杉谷林道入り口をふさいでいた除雪車はなくなっており,車で林道に入れたが,北俣谷手前で残雪が出始めたため,付近の路肩に車を停め,ヘッデンを付けて歩いていく。満天の星空で,ぼんやり天の川らしきものも見える。
先週来たときは大杉谷林道入り口をふさいでいた除雪車はなくなっており,車で林道に入れたが,北俣谷手前で残雪が出始めたため,付近の路肩に車を停め,ヘッデンを付けて歩いていく。満天の星空で,ぼんやり天の川らしきものも見える。
林道が東から西へ進路を変える1130m付近ヘアピンから林道を離れ,斜面を登っていくが,先週は完全に雪がつながっていたのに,今週は雪切れしてしまっている箇所が多い。この1週間で急激に雪解けが進んだらしい。
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林道が東から西へ進路を変える1130m付近ヘアピンから林道を離れ,斜面を登っていくが,先週は完全に雪がつながっていたのに,今週は雪切れしてしまっている箇所が多い。この1週間で急激に雪解けが進んだらしい。
1300mくらいまで上がってやっと完全に雪がつながった。
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1300mくらいまで上がってやっと完全に雪がつながった。
遠い山並みに朝日が差し始めた。
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遠い山並みに朝日が差し始めた。
与次のワサビ沢のコル(目附谷左岸稜線のP1712mとP1643mの間)に登り上げた。
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与次のワサビ沢のコル(目附谷左岸稜線のP1712mとP1643mの間)に登り上げた。
今日滑る予定の目附谷の谷底を見下ろすと,先週よりクラックが広がっておりちょっと不安になる。しかし,上流方向にはクラックが見当たらなかったので,気を取り直し稜線を進んでいく。
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今日滑る予定の目附谷の谷底を見下ろすと,先週よりクラックが広がっておりちょっと不安になる。しかし,上流方向にはクラックが見当たらなかったので,気を取り直し稜線を進んでいく。
雪庇が崩れた後の,春山らしい光景の稜線を辿っていく。
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雪庇が崩れた後の,春山らしい光景の稜線を辿っていく。
目附谷を挟んで対岸側の加賀禅定道の稜線に朝日が昇った。
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目附谷を挟んで対岸側の加賀禅定道の稜線に朝日が昇った。
これは目附谷に右岸から流入する水晶谷。完全に雪に埋まっており,ここを滑っても面白そうだ。
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これは目附谷に右岸から流入する水晶谷。完全に雪に埋まっており,ここを滑っても面白そうだ。
これは同じく目附谷支谷の小又。この谷も快適そう。
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これは同じく目附谷支谷の小又。この谷も快適そう。
そしてこれは目附谷本流の赤壁の二俣付近を見下ろしたところ。若干デブリは見えるが,雪はしっかりつながっており,問題なさそうだ。
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そしてこれは目附谷本流の赤壁の二俣付近を見下ろしたところ。若干デブリは見えるが,雪はしっかりつながっており,問題なさそうだ。
目附谷源頭にそびえる四塚山。
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目附谷源頭にそびえる四塚山。
堂々たる大汝峰,そしてここからだと意外に小さく見える御前峰。
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堂々たる大汝峰,そしてここからだと意外に小さく見える御前峰。
先週,山腹を延々とトラバースした加賀禅定道側のP2013m〜P2158m。
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先週,山腹を延々とトラバースした加賀禅定道側のP2013m〜P2158m。
シゲジの北峰が近づいてきた。
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シゲジの北峰が近づいてきた。
シゲジ北峰に到着。四塚山〜七倉山〜大汝峰の眺め。
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シゲジ北峰に到着。四塚山〜七倉山〜大汝峰の眺め。
辿ってきた稜線。今日は空気がとても澄んでいて,日本海までよく見える。
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辿ってきた稜線。今日は空気がとても澄んでいて,日本海までよく見える。
シゲジ南峰へ。遠くに見えるのは別山。
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シゲジ南峰へ。遠くに見えるのは別山。
大長山,赤兎山,経ヶ岳,荒島岳,などなど。まだ山頂付近は十分な白さを保っている。
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大長山,赤兎山,経ヶ岳,荒島岳,などなど。まだ山頂付近は十分な白さを保っている。
先週登った白山釈迦岳,そしてその向こうに秀麗な別山。
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先週登った白山釈迦岳,そしてその向こうに秀麗な別山。
シゲジ南峰を越えて歩いて行く途中から。七倉山と大汝峰の素晴らしい眺め。
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シゲジ南峰を越えて歩いて行く途中から。七倉山と大汝峰の素晴らしい眺め。
湯の谷乗越までは,せっかくなのでシールを剥がして滑った。今日は久しぶりの冷え込みで,まだ雪が凍ってガリガリのスキー。目附谷のドロップポイントに着くまでに,少しは雪が緩んでるといいな…。
湯の谷乗越までは,せっかくなのでシールを剥がして滑った。今日は久しぶりの冷え込みで,まだ雪が凍ってガリガリのスキー。目附谷のドロップポイントに着くまでに,少しは雪が緩んでるといいな…。
湯の谷乗越から眺める白山釈迦岳までの美しい雪斜面。
湯の谷乗越から眺める白山釈迦岳までの美しい雪斜面。
では,七倉山まで登りましょうか。
では,七倉山まで登りましょうか。
シゲジと白山釈迦岳。
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シゲジと白山釈迦岳。
まだ雪が硬くシールの効きが悪いため,慎重に登っていく。
まだ雪が硬くシールの効きが悪いため,慎重に登っていく。
途中,滑る予定の目附谷が見下ろせた。見える限りでは雪はつながっているように見えるが,ここからだと,核心になると思われるゴルジュ区間は見えない。無事抜けられるかな…。
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途中,滑る予定の目附谷が見下ろせた。見える限りでは雪はつながっているように見えるが,ここからだと,核心になると思われるゴルジュ区間は見えない。無事抜けられるかな…。
おっ,滑り込む予定の目附谷源頭が見えた。四塚山(左)と七倉山(右)の間のコル(正面に見えているコル)から滑るつもり。目附谷源頭は,昨年9月に遡行した際は連瀑帯がでてきてそれなりに苦労した区間なのだが,同じ場所に思えないほどツルツルの雪斜面になっている。
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おっ,滑り込む予定の目附谷源頭が見えた。四塚山(左)と七倉山(右)の間のコル(正面に見えているコル)から滑るつもり。目附谷源頭は,昨年9月に遡行した際は連瀑帯がでてきてそれなりに苦労した区間なのだが,同じ場所に思えないほどツルツルの雪斜面になっている。
滝の「た」の字も見えない。完全に雪に均されてしまっている。今さらながら,白山の雪の量にびっくりだ。
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滝の「た」の字も見えない。完全に雪に均されてしまっている。今さらながら,白山の雪の量にびっくりだ。
とっても滑りやすそう。でも確か,あの下部の見切れている箇所に滝が続いてたような…。
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とっても滑りやすそう。でも確か,あの下部の見切れている箇所に滝が続いてたような…。
四塚山と七倉山の間のコルに到着。ここは,昨年9月に目附谷を遡行した際に稜線にトップアウトした箇所。何となく,せっかくだからここから滑りたいと思っていた。
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四塚山と七倉山の間のコルに到着。ここは,昨年9月に目附谷を遡行した際に稜線にトップアウトした箇所。何となく,せっかくだからここから滑りたいと思っていた。
さあ,いきましょう。ありがたいことに,朝カチカチだった雪は,強い春の日差しで丁度いいくらいに緩んでくれている。
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さあ,いきましょう。ありがたいことに,朝カチカチだった雪は,強い春の日差しで丁度いいくらいに緩んでくれている。
ハイマツの狭い通路を慎重に抜けてスタート。
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ハイマツの狭い通路を慎重に抜けてスタート。
谷底まで吸い込まれそうな,気持ちのいい斜面! せっかくなので大きくターンを描いていく。
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谷底まで吸い込まれそうな,気持ちのいい斜面! せっかくなので大きくターンを描いていく。
滑ってきた斜面を見上げる。まだそれほど縦溝も入っておらず滑りやすい。しかし,沢登りで来たときは,もっと急だった気がしたんだけどな…。
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滑ってきた斜面を見上げる。まだそれほど縦溝も入っておらず滑りやすい。しかし,沢登りで来たときは,もっと急だった気がしたんだけどな…。
どんどん滑っていく。
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どんどん滑っていく。
小島のような巨岩が随所に。
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小島のような巨岩が随所に。
おっと,前方が切れてる…ついに滝か?
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おっと,前方が切れてる…ついに滝か?
結果,ちょっと急だが,大したことなかった。多分,大き目の滝がある箇所だと思う。夏に来た時と風景が違いすぎて,どの滝か全く見当がつかないが…。
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結果,ちょっと急だが,大したことなかった。多分,大き目の滝がある箇所だと思う。夏に来た時と風景が違いすぎて,どの滝か全く見当がつかないが…。
左岸側を見上げて。
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左岸側を見上げて。
いやあ,気持ちいい。
2
いやあ,気持ちいい。
目の前に見える峰は,多分シゲジ前衛峰。
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目の前に見える峰は,多分シゲジ前衛峰。
ここもちょっと急で,多分滝のある個所。右手にクラックが見えている。この下には滝壺があるのかな…。
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ここもちょっと急で,多分滝のある個所。右手にクラックが見えている。この下には滝壺があるのかな…。
調子よくガンガン滑っていくと…
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調子よくガンガン滑っていくと…
急にクラックが出てきて,ジャンプで通り抜けた。クラックの下からは盛んに水音がする。あと半月くらいしたら,滝が出てくるんだろうな…。
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急にクラックが出てきて,ジャンプで通り抜けた。クラックの下からは盛んに水音がする。あと半月くらいしたら,滝が出てくるんだろうな…。
だいぶ高度が下がってきたが,きれいで滑りやすい斜面が続く。
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だいぶ高度が下がってきたが,きれいで滑りやすい斜面が続く。
岩壁がすごい。
おっと,ついに落石交じりの雪崩デブリが…。しかし,それほど規模は大きくなく,簡単にかわせた。
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おっと,ついに落石交じりの雪崩デブリが…。しかし,それほど規模は大きくなく,簡単にかわせた。
四塚山西尾根の大岩壁。
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四塚山西尾根の大岩壁。
日本海が見えた。
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日本海が見えた。
なんじゃこりゃ?(土が乗った箇所の雪だけ解け残って,キノコのようになっている)
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なんじゃこりゃ?(土が乗った箇所の雪だけ解け残って,キノコのようになっている)
だいぶ落石が増えてきた。多少ガリってしまうのは覚悟しているが,直撃だけは避けたい。
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だいぶ落石が増えてきた。多少ガリってしまうのは覚悟しているが,直撃だけは避けたい。
だんだん両岸に岩が出始めた。
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だんだん両岸に岩が出始めた。
ここまで降りてくるとさすがに縦溝が出始めたが,全然ましなほう。
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ここまで降りてくるとさすがに縦溝が出始めたが,全然ましなほう。
1816m二俣に到着。これは四塚山に突き上げる左俣。
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1816m二俣に到着。これは四塚山に突き上げる左俣。
こちらは滑ってきた右俣。たしか右俣入ってすぐあたりに15mくらいの滝があったはずなんだけど…気配すらないな…。
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こちらは滑ってきた右俣。たしか右俣入ってすぐあたりに15mくらいの滝があったはずなんだけど…気配すらないな…。
大雪渓。
この場所は,強烈な見覚えが。そうだ,この辺りの河原で泊まったんだ。今見えている雪面の数メートル下で焚火をして横になっていたと思うと,不思議な感じがする。
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この場所は,強烈な見覚えが。そうだ,この辺りの河原で泊まったんだ。今見えている雪面の数メートル下で焚火をして横になっていたと思うと,不思議な感じがする。
赤壁の二俣(1660m位)に着いた。正面の岩壁が圧倒的。上部には結構雪のブロックが残っており,あれが落ちてこないことを祈るばかり。速やかに通り抜けよう。
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赤壁の二俣(1660m位)に着いた。正面の岩壁が圧倒的。上部には結構雪のブロックが残っており,あれが落ちてこないことを祈るばかり。速やかに通り抜けよう。
赤壁の二俣の右俣。湯の谷乗越に続いている。ここも無雪期は不気味な赤い壁のゴルジュがあるのだが,ほぼ完全に雪に埋もれているように見える。こちらをルートにしても面白そう。
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赤壁の二俣の右俣。湯の谷乗越に続いている。ここも無雪期は不気味な赤い壁のゴルジュがあるのだが,ほぼ完全に雪に埋もれているように見える。こちらをルートにしても面白そう。
次第に側壁が立ち始める。
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次第に側壁が立ち始める。
小又の出合を通過。小又もしっかり雪に埋もれている。こちらを滑るのもよさそう。
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小又の出合を通過。小又もしっかり雪に埋もれている。こちらを滑るのもよさそう。
さて,問題はこの先だ。ここからは側壁が険しくなり,ゴルジュが始まる。無雪期はいくつか滝や淵が続く区間。少しでも谷割れがあれば,即撤退だ。
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さて,問題はこの先だ。ここからは側壁が険しくなり,ゴルジュが始まる。無雪期はいくつか滝や淵が続く区間。少しでも谷割れがあれば,即撤退だ。
おっと,いきなり雪崩デブリ。側面をトラバースして通過。
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おっと,いきなり雪崩デブリ。側面をトラバースして通過。
やばそうな側壁ルンゼ。さっさと通り抜けるに限る。
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やばそうな側壁ルンゼ。さっさと通り抜けるに限る。
ゴルジュが始まった。雪面が大きく波打っている。おそらく,滝がある箇所なのだろう。雪渓は安定しているように見えるが,割れる可能性がある谷芯は避けて,側面寄りをトラバース気味に滑っていく。
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ゴルジュが始まった。雪面が大きく波打っている。おそらく,滝がある箇所なのだろう。雪渓は安定しているように見えるが,割れる可能性がある谷芯は避けて,側面寄りをトラバース気味に滑っていく。
夏は瀬音が側壁に反響してやかましいくらいなのだが,今はひたすら静寂の世界。
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夏は瀬音が側壁に反響してやかましいくらいなのだが,今はひたすら静寂の世界。
しかし,岩壁が低く,谷底が広く感じる。恐らく,そうとう雪で谷が底上げされているのだろう。
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しかし,岩壁が低く,谷底が広く感じる。恐らく,そうとう雪で谷が底上げされているのだろう。
1〜2週間前のものと思われる雪崩デブリをトラバース気味に滑り抜けていく。最近の高温で一気に雪崩れたのだろう。今日は気温が低いおかげか,雪崩や落石の音を聞くことはなかった。
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1〜2週間前のものと思われる雪崩デブリをトラバース気味に滑り抜けていく。最近の高温で一気に雪崩れたのだろう。今日は気温が低いおかげか,雪崩や落石の音を聞くことはなかった。
険しい側壁の間をくねりながら続く雪渓。
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険しい側壁の間をくねりながら続く雪渓。
そして壁。
ここ,写真を撮っているときはただのルンゼとしか思っていなかったが,もしかしたら水晶谷の出合かもしれない。
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ここ,写真を撮っているときはただのルンゼとしか思っていなかったが,もしかしたら水晶谷の出合かもしれない。
振り返って。
狭いくねくねゴルジュを滑り抜けていく。
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狭いくねくねゴルジュを滑り抜けていく。
少し側壁が落ち着いてきたかな?
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少し側壁が落ち着いてきたかな?
次第に空が広くなってきた。
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次第に空が広くなってきた。
おや,前方に開けた空間が。
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おや,前方に開けた空間が。
と,急に谷が開け,明るい大広間に飛び出した。ここはまさか…
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と,急に谷が開け,明るい大広間に飛び出した。ここはまさか…
与次のワサビ沢だ! ゴルジュを抜けたのだ。結局,ゴルジュは完全に雪がつながっており,心配していたような難所に突き当たることもなく,抜け切ることができた。
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与次のワサビ沢だ! ゴルジュを抜けたのだ。結局,ゴルジュは完全に雪がつながっており,心配していたような難所に突き当たることもなく,抜け切ることができた。
抜けてきたゴルジュの入り口を振り返る。
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抜けてきたゴルジュの入り口を振り返る。
先週見た谷割れ箇所はさらに大きくなっていた。
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先週見た谷割れ箇所はさらに大きくなっていた。
与次のワサビ沢は,谷が開けて本当に気持ちがいいところだ。側壁の険しい目附谷の上流部にあって,ほっとできるオアシス,と言っていいかもしれない(もちろん谷底である以上完全に安全ではないが…)。
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与次のワサビ沢は,谷が開けて本当に気持ちがいいところだ。側壁の険しい目附谷の上流部にあって,ほっとできるオアシス,と言っていいかもしれない(もちろん谷底である以上完全に安全ではないが…)。
下流側の風景。本当は二重滝や紅滝も見に行きたいのだが,今日はこの辺りで切り上げよう。
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下流側の風景。本当は二重滝や紅滝も見に行きたいのだが,今日はこの辺りで切り上げよう。
スキーにシールを張り,与次のワサビ沢の白銀斜面を登り上げる。
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スキーにシールを張り,与次のワサビ沢の白銀斜面を登り上げる。
稜線はすぐそこだ。
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稜線はすぐそこだ。
稜線に上がる前に目附谷の谷底を振り返る。また来ますね。
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稜線に上がる前に目附谷の谷底を振り返る。また来ますね。
稜線に登り上げた。
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稜線に登り上げた。
今日滑ってきた目附谷が源頭からほとんどすべて見える。楽しい一日だった。
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今日滑ってきた目附谷が源頭からほとんどすべて見える。楽しい一日だった。
さて,下山しましょう。大杉谷林道に向けて,斜面をトラバース気味に滑っていく。
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さて,下山しましょう。大杉谷林道に向けて,斜面をトラバース気味に滑っていく。
四塚山に七倉山,さようなら。
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四塚山に七倉山,さようなら。
左手に大きな風景を眺めながら滑っていく。
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左手に大きな風景を眺めながら滑っていく。
P1712m直下の斜面にはこんな気持ちのいい広場もあった。
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P1712m直下の斜面にはこんな気持ちのいい広場もあった。
地図を慎重にチェックしつつ,林道に向けて斜面を滑っていく。縦溝がはいって筋トレのようなスキーだが,これはこれで春山の風物詩。
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地図を慎重にチェックしつつ,林道に向けて斜面を滑っていく。縦溝がはいって筋トレのようなスキーだが,これはこれで春山の風物詩。
気持ちのよいブナのツリーラン。
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気持ちのよいブナのツリーラン。
林道に出た。朝登り始めた地点の数メートル横に着くことができた。
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林道に出た。朝登り始めた地点の数メートル横に着くことができた。
ほどなく雪切れ。あとはフキノトウがぽこぽこ頭を出したり,ヤマドリが横切ったりする林道を散歩しながら,車に戻った。
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ほどなく雪切れ。あとはフキノトウがぽこぽこ頭を出したり,ヤマドリが横切ったりする林道を散歩しながら,車に戻った。

感想

 先週,大杉谷林道から与次のワサビ沢を経由して目附谷の谷底に立った際,雪に埋もれて不気味なほど静まり返った目附谷の上流をのぞき込んで,もしかしたら源頭からスキーで滑り抜けられるかもしれない,と思った。
 目附谷の紅滝から上の上流部にはいくつか滝場があり,一つは紅滝の上流で谷が東に流路を変えてから赤壁の二俣に至るまでのゴルジュ帯(地図上で等高線が非常に混んでいる箇所),もう一つはP1816mの上に続く連瀑帯である。スキーで滑るに当たって,後者の連瀑帯もすごい傾斜なんじゃないかと少し不安だったが,最大の核心となりそうなのは何といっても前者のゴルジュ帯で、そそり立つような険悪な側壁の底にいくつか滝や淵が続くゴルジュだ。ここがわずかでも谷割れしていたらその場でアウト,側壁からの落石やブロック崩壊のリスクもある。ちょっとでも危険を感じたら尻尾を巻いて登り返すしかない。しかし,あの廊下が一冬を経てどんな風景に変貌しているのか見てみたくもある。ネット上にはゴルジュ帯まで滑った記録は見当たらず(もちろん,調べが足りないだけで,滑っている方はおられそうな気がする),情報もない中で不安を感じつつも,今回の山行となった。
 結果,源頭の連瀑帯は連瀑の跡形もないほど快適なツルツル斜面と化しており,また懸案のゴルジュ帯も完全に雪がつながっていて,与次のワサビ沢の安全地帯まで無事滑り抜けることができた。昨年9月に泳がされた淵や苦労して乗っ越した滝が全てこの雪の下だと思うと信じられないような気分だったが,やっぱり雪の力は物凄い。まあ,白山の他の谷や,北アルプスなど雪が豊富な山岳地帯では当然のように雪渓を登路にしているわけで,雪渓の下がどうなっているか知らないだけで,同じようなものなのだろう。前回遡行時に狭く陰鬱な感じがした目附谷のゴルジュも,だいぶ雪で嵩上げされて,若干広く明るくなったように感じられるくらいだった。
 今回はありがたいことに一日しっかり冷え込んでいたため,山行中に落石や雪崩の音を聞くことはなかったが,言うまでもなく,ゴルジュ区間は側壁からの落石や雪崩のリスクがある。一般的なルートとしては,赤壁の二俣付近まで滑って,赤壁の右俣や小又などと組み合わせて周回するときっと楽しいと思う(あと、湯の谷から目附谷の赤壁右俣に湯の谷乗越を経由して簡単に乗り越せるので、繋げても面白いかも?)。とくに,本流の源頭部は本当に吸い込まれそうな大斜面で気持ちいい。今日も目附谷に感謝の一日だった。

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コメント

んんっ、もひとつ目附谷!?と二度見しましたよー!笑
そうやって通っていらっしゃるからこそ、旬な時期を逃さず楽しめるんですよね〜、素晴らしいです!
溯行した谷を、スキーで滑るとか…hillwandererさんの記録を拝見していると、谷派もいいなぁ…と思っちゃいますね!
2021/4/13 0:40
Re: 無題
コメントいただきありがとうございます!ひとつの場所に行くと、いろいろ気になって何度も行ってしまうクセがありまして…笑
夏行った場所に冬行ったり、冬行った場所に夏に行くと風景ががらっと変わっていて面白いですよね。山も好きですが、谷もいろいろ遊べて楽しいですよ〜。
2021/4/13 13:17
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