雨と風の 針の木雪渓〜蓮華岳〜七倉岳〜船窪小屋


- GPS
- 56:00
- 距離
- 14.2km
- 登り
- 1,894m
- 下り
- 2,219m
コースタイム
2日目 6:55針の木峠―7:14蓮華岳―9:58北葛乗越―11:31北葛岳―12:25 七倉乗越―13:42七倉岳―14:08船窪小屋
3日目 6:10船窪小屋―7:01天狗ノ庭―8:04鼻付八丁―9:33唐沢ノゾキ―
11:08七倉山荘
天候 | 1日目 雨 2日目 雨 3日目 曇りのち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2013年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
扇沢に登山受付のテントがあります。針の木雪渓は大小の落石があります。下山してきた人が危うく当りそうになったと云っていました。雪渓には鯉のぼりが立てられていて、それを辿って登るのが最良と思われます。雪渓最上部にはステップが刻まれていて大助かりです。 針の木峠から蓮華岳まではコマクサを楽しみながらの登り、特に問題はありません。蓮華の大下り、雨ですが滑ることはありません。北葛乗越に折り立つ前は段差の高い鎖場です。慎重に足場を選んで下れば大丈夫です。北葛岳、七倉岳の登り下りは危険箇所はありませんが、疲れます。 船窪小屋から七倉までは標高差1400mの長い下りです。梯子が連続しますのでストックは持たないほうが良いでしょう。雨で木の根っこが濡れていますので乗らないように気をつけて、また、根っ子の間に靴が挟まれることがありますので、一歩一歩ゆっくり下りましょう。実際わたしは1回尻餅をつき、数回挟まれました。 七倉から扇沢までのタクシー料金は6100円でした。 |
予約できる山小屋 |
七倉山荘
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写真
感想
海の日の連休に静かな山旅をしようと、霞沢岳に登る事にしました。徳合小屋に電話を入れると、当日は予約が一杯とのことです。急遽行く先を針の木・蓮華に変更しました。蓮華岳から七倉岳辺りは人も少なく静かな山行が楽しめそうだと、ゆったりと山小屋に2泊することにしました。東海地方は6日前に梅雨明けしましたが、この辺りはまだ微妙、なるべく心掛けの良い日々を送ってこの山行に備えました。しかし天気予報では3日間とも雨マーク、と云うわけで益々人が少なくなりそうです。大町辺りで大雨となってきました。こんな日に雪渓を登るのは嫌だな、行く先を立山に変更しようかな、でも泊まる場所がないだろうな、等考えはしましたが摂り合えず針の木峠までは行こうと云う事になりました。
扇沢無料駐車場から登山口まで15分。ここから林の中を緩やかに登ります。土砂降りの雨です。赤沢の雪渓は崩壊していますが、渡渉して雪渓に上がります。大沢小屋でひと休みしていると、下山して来た人が、大きな落石が転がってきて大変怖かったと話していました。雪渓取り付きは、ベンガラと鯉のぼりで判りやすくなっています。6本爪アイゼンを装着して雪渓を登ります。雨は時々止み、そして又降り続きます。ノドから上は急登で、峠まで雪渓が続いています。峠の前はステップが切ってあります。雪渓を登りつめるとそこに針の木小屋がありました。受付をすまして寝床を確保すると、もう針の木岳に登る気は全くありません。生ビールを3本飲んで夕食までの時間を過ごします。例年この時期、小屋が一番混雑するのですが、雨のお蔭でゆったりしたスペースをとって寝ることが出来ました。
一晩中風と雨が屋根を叩いていました。翌朝もやはり雨。さてどうしたものかと思案します。雪渓を下るのは落石が怖いし、ネットの情報では蓮華の大下りはややこしそうだし。落石に当れば死ぬ、蓮華の大下りで死んだ人はいないよう、で予定通り蓮華から船窪を目指すことにしました。雨と風の中、蓮華に向かいます。徐々に小屋が小さくなり、遮るもののないハイマツの中、強風が頬を叩きます。コマクサの大群落。風の吹き捲る礫地に咲く、なんと云う生命力。丸い稜線を登り、蓮華の頂上へ。眺望は全くありません。悪条件を楽しみながら蓮華の大下りです。おっ、シロバナノコマクサ発見。写真を撮ろうと思いますが、風に揺られて焦点が合いません。北葛乗越の手前の鎖場は慎重になります。一歩一歩足場を定めながら無事下り終えました。ここからが又大変です。いくつかピークを越え、まずは北葛岳に登ります。そして下って、今度は七倉岳を目指します。途中、カンちゃんの帽子が風に吹き飛ばされて行ってしまいました。七倉岳で周囲の山々を見渡すことが出来ました。燕・大天井・常念、槍・穂高は雲の中、野口五郎・三つ岳・烏帽子・船窪、その奥に水晶・赤牛と続きます。
船窪小屋はうわさに違わぬいい小屋でした。おとうさん、おかあさん、スタッフ一同、おもてなし精神に溢れて、こちらも温かい気持ちになってきます。夕食は囲炉裏の廻りで、下界の小料理屋さん並み、料理の説明を聞いてから頂きます。おかあさん手作りの高山植物のテンプラに、生春巻き、大根・カボチャ・人参・ナスの煮物、玉葱、胡瓜、トマト・昆布の酢のもの、お豆腐の上にはお味噌、具沢山のお味噌汁、そしてご飯は古代米。夕食後のお茶会、今宵の宿泊客13名が囲炉裏を囲んで一人づつお話しをします。おとうさんも、おかあさんも、スタッフもそれぞれお話しをします。こんな素晴らしい山小屋に巡り会え、雨の中、頑張って来た甲斐がありました。
ひと晩中、強風が小屋を揺らしていました。翌朝、強風の中、おかあさんとスタッフが、鐘を鳴らして見送って呉れました。信州側に入ると風はぱたりと止み、雨も上がりました。天狗の庭までくると晴れ間が広がってきました。高瀬ダムが緑色に輝いています。目指す七倉ダムもすぐそこに見えます。樹林帯に入ると、雨に濡れた木の根っ子が這い回り、滑らないよう足場を選んで下ります。時々靴が挟まって身体が前のめりになります。あぶないあぶない。近くに見える七倉ダムは一向に近づきません。最後はヨレヨレになってしまいましたが、無事七倉登山口に降り立つことが出来ました。
雨の中の山旅でしたが、これはこれでまた楽しいものでした。
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