山の上も麓も楽園―ハクサンコザクラの咲き始めた会津駒ヶ岳〜中門岳〜富士見林道
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- GPS
- 07:40
- 距離
- 17.2km
- 登り
- 1,366m
- 下り
- 1,260m
コースタイム
天候 | 晴ときどき曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
北千住11:12(東武鉄道「リバティ会津117号」) 会津高原尾瀬口13:52 会津高原尾瀬口🚏14:10(会津バス)¥1770 道の駅檜枝岐🚏15:18 ※前泊 復路: キリンテ🚏13:37(会津バス)¥1910 会津高原尾瀬口🚏15:00 会津高原尾瀬口15:17(東武鉄道「リバティ会津140号」) 北千住18:02 |
写真
感想
そろそろ梅雨前線が消えて、いよいよ梅雨明けかという予報も出てきたが、会津駒ヶ岳登山予定の月曜日はまだ天気予報は悪かった。
上空に寒気が入っているとのことで天気が不安定なようで行くかどうか迷ったが、午前中は天気は持ちそうだし、この機会を逃すとハクサンコザクラの時期にまたいつ行けるか分からないので決行することにした。
日曜日午後の特急リバティ会津は思いのほか混んでいて、鬼怒川温泉や川治温泉で降りる人が多かった。
この東武鬼怒川線・野岩鉄道に乗るのは燧ヶ岳に登った2010年↓以来11年ぶりだが、鬼怒川温泉の線路沿いの大きなホテルが何軒も廃墟になっているのには驚いた。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-175464.html
会津高原尾瀬口駅で降りたのは我々の他にはもう1人だけで、同じ御池登山口行のバスに乗り込んだ。
空いているバスの最後尾座席に座るのが好きで、年間何度もこういうシチュエーションがあるが、あんまり空いていると、この路線が維持されるのか心配になってしまう。
泊まる宿は登山口に近いので選んだのだが、道の駅のある観光の中心地にも近い場所で売店も温泉もあり便利だ。
先日テレビ神奈川で放映されていたテレビとちぎ制作の「カミナリのチャリ旅!」で偶然檜枝岐村だった回を見た。
そこで紹介されていた「真夏の雪まつり」で使う雪が保存されているスキー場のすぐ隣の宿だった。
翌朝、午後から雨になる予報だったので早めに4:50に出発。
駒ヶ岳登山口までは思ったより近かったが、登山口から駐車場のある所(滝沢登山口)までが意外と長い。
途中から車道からそれてショートカットの登山道になるのだが、それでも長く感じた。
駐車場の所には5時過ぎには着いたが、もうたくさん車が停まっていた。
ちょうど1人準備をしている方がいたので挨拶を交わす。
階段状の登山口からスタートし、水場の所までどんどん高度を上げていく。
周囲はミズナラとブナの大木だ。
朝日も射してきて青空も見えるし思っていたよりも天気がいいと気分がよくなる。
水場を過ぎると徐々に展望が開けてきて、東側には雲海が広がっている。
そして会津駒ヶ岳が見えると山頂は雲に覆われていてがっかりしてしまった。
イワカガミとチングルマ咲く湿原に出たが、霞んでいるだけではなく冷たい風も吹き始めた。
ずっとこのような中を歩くことになるのかなと思いつつ進む。
湿原を抜けると思ったよりも早く駒の小屋の三角屋根が見えてきた。
天気が崩れる前にと少々ハイペースだったせいだろうか。
結局駒の小屋に到着するまでには誰にも出会わず、下の駐車場に停めていた人は泊まりの人だったのかもしれない。
駒の小屋のベンチで休んでいると雲が流れて青空が見えてきた。
これはタイミングがいい。
早速会津駒ヶ岳山頂に向かうと、今まで雲に隠れていた燧ヶ岳が姿を現した。
巨大な標識のある山頂を過ぎると、いよいよ雲が晴れてきてこれぞ会津駒ヶ岳といった景観が広がった。
残雪が多く、その分景観がダイナミックに感じる。
中門岳へは何度か残雪を乗り越えていくのだが、スプーンで細かくすくったような窪みができていてそれが足掛かりになるので、軽アイゼンなしでも歩くことができる。
会津駒ヶ岳〜中門岳へは池塘のある緩やかな地形になっていて、とても気持ちがいい。
ここで晴れてくれて本当に良かった。
天気が悪かったら山頂までとも思っていたのだが、ここを歩かなければかなり心残りになったことだろう。
ピンク色の群落が行く手に見える度にハクサンコザクラかと期待するのだがイワカガミばかりだ。
ハクサンコザクラの最盛期にはまだちょっと早かったようだ。
それでも数箇所ハクサンコザクラの群落も見つけることができた。
コザクラの名前から先月南蔵王↓で見たヒナザクラと同じくらいの花径かと思っていたのだが意外と大きな花だ。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3278954.html
中門大池は湿原の真ん中で、遠くから見ると池端にぽつんと標識が建つ風景がなんとも絵本的で、まるで葉祥明の絵本の世界のようだった。
中門大池から先小高い台地状のところまで行く。
台地状の登山道が途切れた展望台的なところが、標識はなかったがここが中門岳なのだろう。
チングルマやイワイチョウ、そしてハクサンコザクラも咲く見晴らしの良い気持ちのいい場所だ。
暫くすると1人登山者がやってきて声をかけられる。
朝、駐車場のところで挨拶を交わした人だった。
なんでも兵庫県からいらっしゃっていて、昨日は平ヶ岳に登られていたとのこと。
平ヶ岳はここよりも花が咲いていたとのことで、アプローチは長いけれど来年のこの時期は平ヶ岳に登りたいなあと思った。
帰り道は燧ヶ岳やまだ残雪の多い平ヶ岳や越後駒ヶ岳を眺めながら歩ける。
尾瀬ヶ原から見るよりスマートで形の良い燧ヶ岳である。
ふと気付くと日光連山も全て見えている。
そして関東一の高さを誇る日光白根山は、こちらから見ると確かに頭一つとびぬけている。
戻るにつれ燧ヶ岳はまた雲を被るようになってきて、予報どおり午後に向けて天気は下り坂のようだ。
気持ちの良い中門岳付近を一番天気の良い時間に歩けて、早起きしてよかったと思う。
駒の小屋からは予定どおり富士見林道を行き大津岐峠からキリンテ登山口へ下りることにする。
この富士見林道、名前どおり富士山が見えるのだろうか。
今日は富士山は見えないが、間近に女峰山や男体山などの日光連山が見えている。
が、早くもその上空には暗雲が垂れ込めている。
富士見林道という名前なので下手をしたら車道でもあるのかと思っていたのだが、車道など付けようもないけっこう切り立った稜線である。
ただ大津岐峠へ向かって高度を下げていくと所々湿原が現われる。
こちらの方が歩く人が少ないのか木道も朽ちているところが多くぬかるみも多かったが、ハイカットなので問題はなかった。
ここでも時期のせいなのかハクサンコザクラよりもイワカガミの方が多かったが、最後大津岐峠の所でハクサンコザクラの大群落を見ることができた。
大津岐峠の標識も会津駒ヶ岳山頂の標識と同じく巨大なものがあったようだが、雪のせいなのか台風のせいなのかものの見事に根元から折れていた。
予定ではキリンテ登山口15:27発のバスに乗るつもりだったのだが、まだ11時過ぎなので1本前の13:37発のバスに乗ることにした。
ここまで来たら雨に降られる前に下りてしまい雨具は使いたくない。
雨が降り出す前にと急いだので1時間20分ほどでキリンテ登山口に到着。
登り始めた駒ヶ岳登山口と違いキリンテ登山口には公衆便所がない。
バス停の反対側の「かわばた」キャンプ場にトイレが見えたのでダメ元で尋ねてみるとにこやかに貸してくれた。
お礼に何か買おうと思い声をかけると、何も売っていないからと逆に飲み物や食べ物をいただいてしまった。
その時にこのキャンプ場の常連の方ともお話できたが、19年も通われているとのことで、確かに何度も再訪したくなる温かいお人柄である。
山の上も花咲く天上の楽園だったが、麓も心温まる楽園だった。
今まで一番好きな山は秋田駒ヶ岳だったが、会津駒ヶ岳は同じくらい何度も再訪したいいい山だった。
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