剱岳早月尾根
- GPS
- 12:08
- 距離
- 15.7km
- 登り
- 2,181m
- 下り
- 2,423m
コースタイム
- 山行
- 11:00
- 休憩
- 1:40
- 合計
- 12:40
天候 | 晴れ,山頂付近は霧,後に一時雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | 上市アルプスの湯は開館記念月間で8月中は500円。 |
写真
感想
剱岳早月尾根に連れて行ってもらえますか、とAyuhoさんから連絡が入った。
Ahuhoさんとは2013年9月に猿倉から白馬岳、栂海新道、親不知へ1泊2日の行程が偶然一緒だったことから知り合い、東京と富山にいながら時々コラボする仲である。彼女が母となり、現在5歳の娘さんを父親に預けて前泊日帰りまでなら山に行けそうだと、本格復帰の第1弾として剱岳を所望してきた。猿倉-朝日岳小屋を9時間(僕は11時間だった)で歩いた彼女だが、回復程度はいかほどか、早月尾根日帰り往復に耐えられるのか。いや彼女なら絶対大丈夫だろう。
3時出発、どんなペースで歩いたら良いか。僕の体力も全盛期よりは1段落ちと自覚している。自分勝手に、標高差2250mの往復で保てるペースはこんなもんだろうと思うペースで歩いてみる。最初のポイント、松尾平ベンチで彼女の調子を尋ねる。このペースで大丈夫そうだと言うので、以後これををキープ、早月小屋まで4時間、さらに山頂まで3時間が目標となるペースだ。
標高1200mと1800mのポイントで小休止、他の200m毎ポイントでは立ち止まり程度で、早月小屋に着いて中休止。一応晴れだが雲は多く、高曇り的な明るさで心配した暑さはさほどでもない。水の消費も想定内。
早月小屋より上では、山頂付近が要所で見えるのだが、次第にガスって見えなくなった。2800m辺りで下って来た人達は、青空の山頂に恵まれたとのことだった。2600mの雪渓は楽勝、2800m以後の岩場も整備万全で、通して長くは感じたものの坦々と進んでいつしか山頂に到達した感じ。ガスって景色のないのは残念だったが、先ずは大過なく僕には3週間ぶりの、Ayuhoさんには6年ぶりの剱岳山頂到達に感無量。
さて安全に下りましょうと、意思統一して下山開始。別山尾根ルートと分かれて早月尾根ルートに入って行くところは、ガスってると若干迷い易い。下り始めて最初の雪渓の箇所でヒナ大勢の雷鳥に遭遇。そして一緒に見ていたのが、chikau_sさんの2人パーティーだったのがハプニング。その後早月小屋までは順調。
早月小屋休憩中には、雲行きが怪しいなと心配していた。それが当り、雨が降り出し、雨具が要る状況に。しばらくで一旦止み、今度は日差しが出て暑くなり雨具を脱ぐ。その後また雨になり、2度目は相当な雨量になった。松尾平を過ぎて最後の下りでまた晴れるといった状況だった。
ずっと快調と思えたAyuhoさんだったが、最後の下りで膝の痛みを訴えた。見守りながら下山を続け、若干ペースは落ちたが、傍目には大差なく下山口に到達した。Ayuhoさんによると、家族ハイキングと自転車通勤で体力回復に努めてはいたとのこと。その効果は本格登山に通用すると、証明されたと思います。
立山で何度もお世話になっているNishidenさんが、富山にいるのが今年で最後になりそうなので、その間に早月尾根に一緒に登れないかと打診してご一緒することになった。ただ娘が生まれてからは、登るのは東京近郊の低山ばかりだったので、本当に劔なんて登れるのかと直前まで心配だったが、富山到着、馬場島到着、仮眠を取って230に起床し、いよいよ山登りが始まった。
当然だけどまだ真っ暗。でも日帰り登山組は、2時ぐらいから出発しているパーティもいて、前後に人の気配を感じながら登っていく。急登ではあるが、娘をおんぶしていないため、比較的快調に登れる。4時を過ぎると空が明るくなり始め、鳥のさえずりがものすごい。甲高くて目立つ鳴き声、確かミソサザイだったかなと思い出す。後ウグイスやシジュウカラ、コマドリもいたかもしれない。(→https://www.youtube.com/watch?v=2nL4Vf4Apf4)
調子のいいうちに標高を稼ぎたいと思い、Nishidenさんの後を頑張ってついていく。何時ごろだっただろうか、突如けたたましくNishidenさんの携帯音がなった。取り出してみると緊急地震速報のようで「魚津市でマグニチュード7の地震が起きた」とのこと。えっ、それじゃあここも揺れたのだろうか?それとも今から?しかし何も起こらない。もう一度アナウンスを聞いてみると地震速報の訓練放送だったらしい。なんとこの5分後ぐらいに今度は滑川市から同様の訓練放送が流れてきた。8月1日が富山市の避難訓練デーにでもなっていたのだろうか。
6時30分、出発から3時間30ほどで2000mに到着。「7時には早月小屋について、10時には山頂につけるでしょう」とNishidenさん。その見通しが立ってちょっとほっとする。早月小屋にて休憩。小屋の人に話しかけると「今日は日曜なのでほとんどの人が下山して夜はそんなに混んでいないですね」とのこと。
ここから森林限界を越えて岩稜帯へと入っていく。Nishidenさんが使っていたポールをたたんでカラビナにひっかけ、はしごや鎖場を進んでいく。樹林帯を抜けると高山植物がみられるようになってきた。イワカガミやアオノツガザクラ、ヒメイチゲ等など。Nishidenさんもお花詳しいので、私が思い出しそうで出せない名前を言ってくださる。いよいよ劔の山頂が近づいてくる。ところが最後の一歩が遠い。早い日帰り組や、小屋泊まりでもう降りてくる人たちとすれ違う。感動的だったのは小学生2人を連れた家族パーティー。2人はちゃんと自分たちで安全を確保しながらこの岩稜帯を下っており、えらい!の一言に尽きる。あとは残念そうに「登り4時間45分でした」といっていた男女のパーティー。それでもむちゃくちゃ早いと思うが、もっと早いトレランクライマーがいるという。最後の稜線に出て、山頂に立つ人影が見えた時が920分。予定の10時に着けるだろうか。
鎖場を何度も登り、ふと振り返ると下には緑の草原が延々2000m下まで切れ落ちている。岩場のペンキは丁寧に道表示してあり、それをたどってついに、別山尾根と合流。そして
山頂の祠の裏を廻って剱岳のピークに10時10分到着。早月小屋を出てから一度は曇ってしまったが、登頂時点ではまずまずの展望で風がなくてとても穏やか。Nishidenさんは一か月前にも登っているがその時はとても悪天だったらしい。山頂からパパと娘に電話。今日はパパとお出かけ予定なのでご機嫌で「ママお山登れてよかったね!」と。
1030下山開始。登りはずっとNishidenさんがトップだったので今度は私が最初に歩く。岩にかかれた〇のマークに従って降りていくが、途中で何度も別山尾根のほうや岩登りの確保点のほうに降りていきそうになり、Nishidenさんが注意してくれる。天気が良くても迷いそうになるから、初見でガスや曇りだったらかなり怖い箇所だと思う。
迷いそうになる箇所は抜けて気持ち良く降りていく。岩稜帯の合間に植物が見られる場所で、前方にいる人たちが足を止めている。なんと雷鳥の親子で子供が6匹ほど。もうすっかり茶色でみんな餌を探してトトトトと歩いている。そしてここで足を止めていた1人が、Nishidenさんのお友達Chikauさんであった。剱の早月尾根で会うなんてさすが地元同士! 下りは心臓に負担がかからない分、思ったよりも快適である。「今日は16.7キロもある娘をおんぶしていないから楽です。」なんて言いながら早月小屋到着。ここでまだ3L近く水があったので1.5Lを山小屋に提供し、荷物を軽くして再スタート。お天気雨の様な小雨がぱらつき始める。
小屋から45分ほど降りて休憩した場所が1800地点。まだ馬場島まで1000mもある。普通の山ならこの時点で下山口が近いはずだが、今回はまだ半分。さすが早月、ながい、、。雨も霧雨からレインウェアを着るような雨に変わり、早く下山したい気持ちに駆られるが怪我はしないようにしなければならない。
早月尾根には標高200mごとに道標がある。登りの時は暗かったこともあってあまり気にならなかったが、下りはこの道標がまだか、まだか、まだかー!と待ち遠しくてたまらなくなった。1400を越えたあたりでサポーターを付けているにも関わらず膝に違和感が生じ、1200mで休憩をお願い。「膝が痛いです。まあそんなに絶望的な痛みではないんですけど、ちゃきちゃきとは降りられなさそうです。」とNishidenさんに伝えて、スローダウン。
周りはいつしか立山杉の巨木が見られるようになっており写真を取りながら降りる。雨は驟雨と束の間の晴れを繰り返すようになっており、いつしか松尾平へ到着。この長大な尾根の中で唯一な穏やかな平坦部であり両側には背丈を越えるオオイタドリ(たぶん)。そこを越えたらまた急な下りが続きため息が出るが、ようやく登山口についた。「お疲れ様です」とあいさつ。こんなに気持ちのこもった「お疲れ様です」はないと思う。試練と憧れの石碑の前で記念写真。Nishidenさん本当にどうもありがとう! ほとんど風もなく穏やかだったお天気にも感謝します。
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