穂高連峰縦走 涸沢から北・奥・前穂→岳沢下山 / 穂高岳全制覇!!
- GPS
- 56:00
- 距離
- 26.0km
- 登り
- 2,206m
- 下り
- 2,180m
コースタイム
河童橋6:30 = 7:25明神池7:50 = 8:45徳澤園 = 9:45横尾山荘10:35 = 11:45本谷橋 = 13:50涸沢ヒュッテ・涸沢小屋(泊)
9/12
涸沢小屋6:00 = 9:20北穂南稜分岐 = 9:35北穂高岳・北穂高小屋10:10 = 12:40最低コル = 14:40涸沢岳 = 15:30穂高岳山荘(泊)
9/13
穂高岳山荘6:00 = 7:00奥穂高岳7:10 = 9:30紀美子平 = 10:15前穂高岳10:35 = 11:35紀美子平11:45 = 13:10岳沢パノラマ = 14:00カモシカの立場 = 15:15岳沢小屋15:35 = 17:35岳沢登山口 = 17:50河童橋
天候 | 11日:快晴 12日:ガス・時に降水あり 13日:ガス→やや晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
上高地バスターミナルに登山ポストあり。 河童橋→横尾:遊歩道。 横尾→涸沢:歩きやすい登山道。 涸沢→北穂:岩場、クサリ、ハシゴあり。危険度は低い。 北穂→最低コル:岩場、クサリ多数。クサリない岩場もあり濡れると大変危険。 最低コル→涸沢岳:危険個所あるも真新しいクサリ整備行き届いている。 穂高岳山荘→奥穂高岳:いきなりの急登、クサリもあり。キツい。 吊尾根:ところどころ岩場、クサリあるも慎重に通過すれば危険度低い。 重太郎新道:ものすごい急坂。下山時は要注意。 岳沢小屋→上高地:歩きやすい道。 |
写真
感想
9月の11日から3日かけて穂高連峰を縦走してきた。
穂高連峰は、槍ヶ岳と並んで北アルプスを代表する山で、主峰は奥穂高岳3,190m。富士山、北岳に続いて日本で三番目に高い山である。
前日の夜中に堺を出て、時々仮眠をとりながら長野県へ向かう。
そして下山後に宿泊予定の坂巻温泉に車を置かせてもらい、そこからバスで上高地へ向かう。
早朝、上高地バスターミナルに到着。梓川にかかる河童橋の上に、これから向かう穂高岳が美しくそびえる。
橋の真上に前穂高岳、吊尾根と呼ばれる稜線をはさんで左側に奥穂高岳が見える。ここからは見えないが、さらに向こうに北穂高岳がある。
今回はこの北穂・奥穂・前穂の三峰を縦走し、以前登頂した西穂高岳と合わせて穂高岳全制覇を成し遂げようという趣旨である。
朝6時に河童橋を出発。素晴らしい天気である。
上高地からしばらくは歩きやすい遊歩道。朝の光が木漏れ日となってやわらかく降り注ぐ。
河童橋から1時間ほど歩いき、明神に到着。
ここには前穂高岳の衛鋒である明神岳を望む明神池という場所と、日本アルプスの総鎮守たる穂高見命を祀る穂高神社奥宮がある(ちなみに本宮は安曇野、嶺宮は奥穂高岳の頂上にある)。
今まで立ち寄ったことはなかったのだが、今回は初日の行程に余裕があり、穂高岳無事登頂を祈念するつもりで参拝することにした。
静謐な佇まいを見せる明神池。拝観料は一人300円也。
横尾までは歩きやすい整備された道。横尾山荘でちょっと早めの昼食を摂り、横尾大橋を渡るといよいよ本格的な登山道に入ってゆく。
迫力ある屏風岩に圧倒され、本谷橋を渡れば徐々に傾斜がきつなっていく。
13時半、涸沢到着。
ここは北・奥・前穂の稜線に囲まれた氷河圏谷で、穂高岳登山のベースキャンプ的な場所である。
10月には色とりどりの美しい紅葉がみられ、たくさんの登山者が訪れる。
涸沢ヒュッテは屋根の上に展望デッキがある。実に素敵な場所です。ソフトクリームが売っているので、早速展望デッキで食うことに。そしたら、カメラを出そうとしたオレのソフトクリームがテーブルの上にポトッ。ひるねに爆笑される。まあ3秒ルールですぐ拾って食ったけどね。
ヒュッテでゆっくりした後、今夜泊まる涸沢小屋へ。
明日歩く北穂から涸沢岳への縦走路はかなりの難所であると聞く。明日に備えて早めに寝るとする。
二日目。朝6時に涸沢小屋を出発する。
残念ながら稜線は濃いガスの中。本来なら素晴らしい展望を楽しめるコースなのだが、これではあまり期待できそうにないな…。
最初は涸沢を見下ろしながらのノンビリした(と言ってもそれなりに急登)道だが、3〜40分も登っていけば本格的な岩場登りが始まる。
今日は滑落や落石の危険もある場所を行くので、ヘルメットを装着。
涸沢小屋から少し登ったところで、ハイマツの茂みの中で動物同士の争う声が。どうやら小動物が鳥か何かを捕食しているようだ。声だけでは推測できないが、やられているのはライチョウだろうかイワヒバリだろうか。ひるねと「オコジョの朝ごはんやな」と言いつつ、犠牲になった鳥さんの冥福を祈ることにする。
濃いガスと時折降雨もある中、約3時間半で北穂南稜分岐に到着。ここにザックをデポして空身で北穂へ向かう。
分岐から15分ほどで北穂高岳に到着。本来なら大キレット越しに槍ヶ岳が拝めるはずなのだが、ガスガスで何も見えず。
山頂直下に北穂高小屋がある。小ぢんまりしていてなかなか雰囲気のいい小屋です。
小屋前のテラスは天気が良ければ絶景なんだがなあ…orz。
ここでちょっと早いが昼メシにする。他の登山客が食べてたカップラーメンが超美味そうだったので、同じものを食うことにする。400円也。
食後にコーヒーを飲んでから北穂を後にする。来年は槍穂縦走を予定しているので、大キレットを越えてからこの小屋に泊まるお!!
落ち着いたら分岐に戻り、デポってたザックを回収していよいよ涸沢岳・穂高岳山荘へと向かう。
ここからは今回の山行の核心部。かなり難易度の高い岩場歩きとなる。
足元がスパッと数百メートル切れ落ちた痩せ尾根や、通過にかなりの技術を要する岩場などが連続する高度感のあるコースだ。
山岳地図にも危険マークが打たれていて、注意を促す記載がたくさん書き込まれている。
この辺は本来もの凄く高度感のある場所のはずであり、晴れていれば素晴らしい展望が得られる代わりに、同時に日常生活では想像もできない恐怖もまた味わえるところでもある。
ガスのため下が見えないのは果たして幸運だったのか不運だったのか。
と、ここで飛騨沢から吹き上げてくる風に水滴が混ざり始めた。それもかなり大粒である。コレはヤバい!
表面が滑らかな岩の上を歩く場合、晴れていて乾燥していれば少々谷側に傾斜している岩の上でも何の苦労もなく歩けるのだが、雨などで表面が濡れてしまうと、いかに岩を噛む登山靴といえども簡単に滑ってしまうのである。
そこらのフツーの登山道ならばケツを打ってアイタタタで終わりだが、こんな所でツルリンコしてしまったが最期、何百メートルの崖の上からアイキャンフライである。
こうなると高度感を和らげてくれていたはずのガスさえも底知れぬ恐怖の対象になってしまう。しかしここで足がすくんで動けないといった事態になれば、余計に転倒・滑落の危険性が増してしまうので、腰が引けないようにしっかり立って、靴底に体重がしっかり乗るようにして岩を踏みしめて歩いていかないといけない。
13時に穂高岳山荘到着の予定を白紙にし、時間をかけてもゆっくり慎重に通過することをひるねと確認して歩行を再開する。
ゆっくりゆっくり、慎重の上にも慎重を期して普段なら相当高度感のあるであろう縦走路を歩いてゆく。コースタイムの倍以上の時間をかけて最低コルに到着。フーやれやれ。でもまだ気が抜けない。この先は危険マークの撃たれたデンジャラスゾーンだ。
しかし、最低コルから涸沢岳へは、本当に危険だと思う場所には真新しいクサリが長々と取り付けられていて、それほど恐怖を感じることなく通過できた。
個人的には南稜分岐から最低コルまでの区間の方が危険であると感じた。
ともあれ、そんなこんなでなんとか涸沢岳に到着。ここまで来れば一安心。怖かったよー!!
とはいえガスの中、どこか涸沢岳なのかなかなかわからず、実はもうちょっとでスルーしかけた。
心身ともに衰弱しきった状態で15時半、穂高岳山荘に到着。
山荘で温かい飲み物をいただき、自分土産に穂高Tシャツを購入する。一昨年槍ヶ岳山荘に行った時にひるねが「槍ヶ岳」と入った熊鈴を購入して羨ましかったので、「オレ、穂高に登ったら穂高岳山荘で穂高熊鈴を買うんだ…」と思っていたのだが、実際に穂高岳山荘に来てみたらそんな商品はなかったぜ!!なので悔しまぎれにTシャツげと。まあ気に入ったしよいのだが。
明日は長丁場の重太郎新道だ。早く寝て今日の体力回復に努めよう。
しかし寝入りばなに目が覚めてしまった。
今日通過した一番怖かった個所で足を滑らせて空中に投げ出される夢を見て「ハッ!!!!」となったのだった。トラウマになっとるがな。
三日目。朝メシを食って早々に出発。
山荘を出るといきなりの岩登り。クサリやハシゴものっけから登場しまくり。
身体はまだあったまってないわ、メシ食って間がないわでけっこうツラい。
それでも歩いているといつかは着くもので、約1時間で奥穂高岳に到着。
相変わらず周囲はガスガスで、晴れていれば間近にジャンダルムの雄姿や360度の景観を望むことができるのに残念きわまりなし。
何も見えない山頂でいつまでも天気を嘆いていても仕方がないので早々に先へ向かう。
ガスの吊尾根をゆく。初日に河童橋からこの吊尾根がよく見えたなあ。あの時はここからの景色もよかったんだろうなあ。
結局今回は山の上からは何も見えずじまいかあ。残念やなあ。
と思っていると、吊尾根の途中から徐々にガスがとれてきて、上高地方面が少しずつ見渡せるようになってきた。おおお?これはひょっとするとひょっとするか?
景色が見えるというのがこんなに気持ちよく歩けるものなのか。前穂の上でも晴れてくれたらいいなあ。
そんなこんなで紀美子平に到着。ここに一旦ザックを置いて、空身で前穂へ向かう。
ちなみに紀美子平とは、重太郎新道を拓いた穂高岳山荘の初代オーナー今田重太郎が、幼い娘紀美子をここに寝かせて作業に励んだことから名づけられたそうな。もっとロマンティックな由来かと思ったのだが、まあそんなもんかもね。
10:15、前穂高岳登頂!これで北穂・奥穂・前穂の縦走が完成です!
ついでに、以前登頂した西穂高岳を合わせて、穂高岳全制覇だぜ!!
360度の絶景とはいかないが、それなりにガスも取れてようやく待ちに待った展望が。まあ写真撮るのに20分待ったんですけどね。
3千メートル峰を4つも踏んでやっと見れた景色ですよ。そりゃ嬉しいですよ。
山頂でけっこう長居して紀美子平へ戻る。
紀美子平から前穂へは往復約1時間なのだが、昨日と吊尾根の疲れが抜けないひるねが予想以上に手こずり、かなりの時間を要してしまった。
ザックを回収していよいよ最後の大下り、重太郎新道へ。
重太郎新道は、紀美子平から岳沢小屋まで標高差700mを一気に下る北アルプスきっての急坂で、死亡事故も多数発生している。
特に下山時の転滑落事故が多く、ここまでの歩きで体力と気力を消耗している我々にとっては一瞬たりとも気を抜けない場所である。疲れているが、気を引き締めていかねばならない。
慎重を旨として安全第一で降りてゆく。もちろんペースは全く上がらない。
ヘトヘトになりながらも15:15、岳沢小屋に到着。重太郎新道パネェっす。
岳沢小屋でアイス食って休憩。
もっとゆっくり休んでいたいが、早く上高地まで降りねばバスの時間に間に合わない。
ちなみに、前穂3,090mから岳沢小屋2,170mまで一気に降りてきたが、上高地は標高1,500mでありまだまだ下である。
とはいえここからは斜度もゆるくなり、多少は歩きやすい道となる。疲れた足に鞭打ってペースを上げて降りてゆく。
途中で岳沢名物、天然クーラーに到着。岩の穴から涼しい風が出てきて気持ちいい。
ゆっくり風に当たっていきたいが、時間がないので泣く泣く先を急ぐ。
17:35、ようやく登山口に到着。さあ、バスターミナルへ急げ!
17:50、河童橋到着。この時間では生ビールを売っている店など当然開いているはずもなし。
大急ぎでバスターミナルへ。18時2分前BT到着。チケットを買ってバスにギリギリで乗り込む。フーやれやれ。
下山後の宿は坂巻温泉。3日間の汗を洗い流す。めっさ気持ちいい。
料理に関しては正直そんなに期待していなかったが、なかなかどうして美味かった。温泉も料理もいいし雰囲気もあっていい宿じゃないですか。
翌日は9時前にチェックアウトして平湯バスターミナルで土産を物色し、高速を乗り継いで堺へと帰ってくる。
展望的にはイマイチではあったが、なかなか濃いアドベンチャーな山行になった。
いつかはまた晴れた奥穂の頂に立ちに行くぞ。
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