聖岳(椹島〜聖岳東尾根〜奥聖岳〜前聖岳〜聖平〜聖沢登山口)
- GPS
- --:--
- 距離
- 16.7km
- 登り
- 2,250m
- 下り
- 2,202m
コースタイム
9月2日 聖平(5:20)→聖沢吊橋(7:25-7:30)→聖岳登山口(8:25)
過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
静岡〜上落合\1,200+荷物代\600 上落合〜白樺荘\1,200 白樺荘〜井川\700 井川〜金谷\3,090 金谷〜鴨宮\2,210+新幹線自由席(静岡〜小田原)\1,680 |
写真
感想
百名山64座目。2の6乗でちょっと区切りが良い数字です。今回の目標は不動でした。憧れ中の憧れであった存在、聖岳。まず名前からして魅力的です。4年前見た赤石からの見事な山容も本当に登山意欲をそそるものでした。そして、椹島から奥聖へ伸びる東尾根。数少ないレポを見るに、本当に魅力的なコースのようです。水場なし、小屋なしの登り一辺倒、体力勝負になるところもさらにそそられます。正直、不安も凄く大きく、あんなページ見るんじゃなかった、という後悔も少しあったりしたのですが、登りならば迷う可能性は少ないだろう、と背中を自らぐっと押して出発いたしました。
とにかくアクセスが悪いところです。しかも今年は静岡から畑薙ダム直通バスは運行なし。こんな状況ですから、車も頭の隅にありましたが、小田原6:15の新幹線に乗りさえすれば、バスを乗り継いで椹島にその日には入れます。逆に言うと、これを逃すとアウトです。しかし何とかなることは分かりました。帰りもバス使うことは出来ますが、憧れの大井川鉄道に乗ることにしました。
自宅から小田原への交通ですが、本厚木にはなかなか良い駐車場がありません。海老名という選択肢があるのですが、つまらないこだわりで、海老名だといきなり逆方向へ向かうので嫌な感じがし、探しに探して出た結論が鴨宮。ここのリパークを使いました。1日500円も手ごろでしたし。
いよいよ金曜日。朝4時に自宅を出て、小田厚は使わず平塚を経て1号線で鴨宮へ向かいます。早朝だけに順調に進み、6時前には東海道線に乗ることが出来ました。新幹線で静岡までは30分たらず。降りてバスを探します。最初なぜか南口に行ってしまし、全くバス停が見つからず駅に戻って確認したら北口でした。良く考えたら北へ行くのだから当たり前なんですけど。6:56の安倍線に乗り込みいざ出発。バスは新東名静岡ICを通ってさらに山へ入って行きます。車だと新東名使うと大分近くなりそうですね。安倍川を渡り普通は西へ西へ登っていくのですが、今年は道路事情のため一旦北へ。1時間を超える旅を経て上落合に到着しました。ここで井川地区のマイクロバスに乗り換えです。道は一気に狭くなり、すれ違いも一苦労。間もなく口坂本温泉横を通過。てっきり「坂本温泉」だと思ってましたが、「くち」が頭についていたのにはたまげました。その後も厳しい山道です。4年前登った道よりも厳しいですね。正直、自分で運転しなくて良かった。約1時間かけて大日峠を越え、井川湖が見えてきました。下って井川駅で少し休憩。さらに旅は続きます。井川の中心を通り、さらに北へ行って田代地区へ入ります。ここで運転手さん交代。バスは一旦川向こうの小河内地区を通り、戻っていよいよ南アルプスへ入って行きます。トンネルをいくつも抜け、蛇行する大井川を遥か下に見ながら進み、ついに白樺荘に到着。自宅出てから7時間を優に超える時間がかかりました。
この時点でかなりバテているのですが、椹島はまだ先です。疲れた体にムチ打ち白樺荘の中に入り、観光協会のバスに乗れるか聞いて見ると、まもなく出発とのこと。まだまだ休憩は出来ないようです。
乗客は私一人でした。東海フォレストのバスが出る駐車場を過ぎ、ダムサイトを抜けて、沼平ゲートからいよいよ林道へ入って行きます。アップダウンもあるし、舗装も悪いですね。ちょっと頭がくらくらしてきたというか、疲れで眠くなって来たというか、うつらうつらしてたら登山口に着いてしまいました。ついに長い長いバス旅が終了。登山口で少し遅い昼食にし、椹島まで一歩き、と思ってたら東海フォレストのバスが後からやって来ました。喜び勇んで乗車。良く考えたら東尾根の登山口チェックするつもりだったんですけど。しかたなく窓からじーっと山を見てると、どうも鉄塔巡視路の表示のようなものがあります。軽くめどをつけたので一安心。ついに椹島にたどりつきました。バスに乗ってただけなんですが、かなりばててます。素泊り客は登山小屋へ案内されます。どうやらこの日の客は私だけ。多少虫がいるのが気になりますが、あとは十分快適なところです。
暇なので白旗さんの写真館を見たり(\200)、喫茶でコーヒーを飲んだり。何もないところですが、のんびりするには良いですね。
17時から夕食を自炊場でとったらやることもないし、翌日の強行軍に備える意味もあって18時には就寝。
何度か目も覚めましたが、気づいたら4時近く。5時前には出発したいので、まだ真っ暗ですが朝食の支度にとりかかります。意外に早く飯が済んでしまい、ザック準備にかかります。念には念を入れて水4L背負ったら久々の重さになってしまいました。不安が頭でぐるぐるまわっています。まだ夜は明けておらずかなり暗いのですが、ヘッドランプするのも面倒なので、若干暗い中出発。聖岳登山口への近道は鳥森山登山口で舗装路から山へ入って行きます。勝手に「烏」だと思っていましたが、「鳥」でしたね。間もなく右へ入ると林道へ向けて一気に登り。既にバテ気味です。林道へ入り橋を一本渡ってしばらく進むと右手に鉄塔巡視路の表示が。しかしネットの中に囲まれています。イメージと違うのでもうしばらく歩いたら、ありました。鉄塔No28への登山口。ななめ前方に道が伸びています。
気合を付けていざ出発。しばらく登っていきなり道を失いました。落ち着いて周りを良く見ると折り返しの方向に立派な階段が。きつい登りですが鉄塔までは順調。鉄塔で暫時休憩。その先は登山者しか入らない領域です。道は見失いやすい感じです。ペンキもあるにはありますが、さほど頻繁にはないので、踏み跡をたどる感じになります。余り強い踏み跡ではなくて、途切れがち慎重に歩を進めます。しかし通っている人は確実にいますね。1日1人はいないでしょうが、土・日ならいるのでしょう。
高度約1,500mで一旦尾根に乗ります。突然歩きやすくなりますが、それも一瞬。また斜面をジグザグに登る道になります。急登に負けず一歩一歩進んで行くと、急に傾斜が緩み再び尾根に。ここからは尾根道。間もなく標識が。出会所小屋方面の分岐です。ここをジャンクションピークというようですね。道が合ってるという確信が得られてやっと一安心。かなり緊張感が強く、肉体的にも普段にはない疲れとなってきている感じがします。
ここからさらに尾根沿いに登り、若干北へトラバースするような感じになり、見事なトリカブトのお花畑を抜けます。
急登を抜けると右に道が分かれ、そこを進むと、ついに白蓬の頭。眺望絶佳・・・とは行きませんでした。赤石岳はすっかり雲の中で、中盛丸山方面の展望がありました。
この日はここだけ携帯が通じました。喜び勇んでメール送信。
まだまだ尾根は続きます。距離でいうとようやく半分というところでしょうか。この先は迷ったというレポが多いので最後の難関と想定していたところですが、確かに道が良く分かりません。平らな森という感じで、どこ歩いても大きな問題はないと思うのですが、ペンキがほとんどありません。感覚的には南側の森とトリカブトの斜面の境界を歩くような感じではないかと思います。やがて道は森を抜け、草原のような感じになり、その後再び尾根に乗ります。ほぼ森林限界に来た様で、ハイマツ帯にかかって東聖への登り。これが厳しい。根は払ってあるので間違いなくルートなのですが、枝はおもいっきりルートをふさいでいて、ハイマツと一部シラビソを掻き分けながらの登行です。前方の展望がよければ気分も高まるのでしょうが、残念ながら奥聖は雲の中。
そんな中、雷鳥の一家が姿を見せてくれました。余り人もいないので雷鳥の天国なんでしょうかね。霧の中の雷鳥も絵になります。
ピークがいくつかあり、GPSの高度計で東聖の山頂を確認。ここで2,800m。登りも後一息です。まだまだハイマツの尾根が続きます。大きなピークを越え、奥聖の東壁は南へ巻いて行きます。ガレ場を通り、ルンゼ状の登り。これがとんでもない急坂。砂が滑りやすく、辛うじてハイマツをつかみながら、息を切らしながら進みます。最後まで楽はさせてくれないコースです。何とか乗りきり、尾根に乗って右に進路を取り、ついに、ついに奥聖山頂に立ちます。登山口から6時間半、高低差1,800m超。かつてないほどの達成感と感動がありました。天気は今ひとつでしたが。
前聖に向かいます。期待したように楽しい稜線散歩とはいかず、ついに降り出しました。山頂では合羽を着るだけで早々に出発。
この下りが相当な急斜面ですね。また火山ぽい黒い砂で登りは大変でしょうね。しかしペンキは明瞭についており霧でもそうそう迷う心配はないようです。あっという間に高度は400m下がり、小聖を過ぎると再び樹林帯に入ります。マルバダケブキのお花畑などを横目に下って行くと、若干雨も弱くなり、薊畑。西沢渡方面の分岐ですが、便が島からの林道が通行止めでこちらのルートを使う方もほとんどいないでしょう。後で聞いたところ自己責任で通ることは出来るようです。
主稜線から別れて左にルートを取り、木道を5分ほど歩き、無事に小屋につくことが出来ました。小屋入口でフルーツ缶をいただくことは出来るし、スタッフの方が笑顔で接してくれて、非常に心地のいい小屋でした。素泊りは冬期小屋で寝るのでほとんど接点はありませんが。小屋で濡れた服を着替えます。さんざん汗かいてから雨に降られたので、結構冷えてしまったようです。風邪ひかないように寝袋に包まっていたら、いつのまにか寝てしまったようです。それにしても夜はかなり寒かった。
何とか無事に朝を迎えることが出来たようですが、この日も雨。最後は聖岳登山口へ聖沢沿いに下って行くだけ。バスは9:30で、コースタイム見ると下りは4時間強になってます。これ普通の人間に合うのかな?と不安なのですが5時ではまだ暗いので明るくなるのを待って5:20出発。最初小沢に沿っての快適な道ですが、一旦かなり登ります。それを下り返してからはガレ場をいくつも行くなかなか険しいルートになります。いまにも崩れそうなところもあってひやひやもの。それが急に歩くやすくなったと思ったら道が知らぬ間に尾根になってました。尾根を快適に下り、沢音が大きくなって吊橋。この時間ならもうバスも大丈夫だろうと一安心。ここからはさらに快適なトラバース状の道。途中鉄塔巡視路の標識もあったりして、前方に道が見える、とおもったらそこが登山口でした。もうバスも待機していて、濡れないように乗せてもらいました。予約がたくさんあるといわれたのですが、乗ったのは4人だけ。楽勝じゃん、と思ってたら畑薙吊橋で20人ほどの団体が。「沼平まで歩きゃいいじゃん」ということは出来ず、やむなく白樺荘まで我慢。白樺荘で3日分の汗を流し、食事休憩をして、再び井川地区自主運行バスで井川駅まで。
バスが駅に着いたのは若干予定より遅れて13:33ごろ。電車が36分だと思っていたので改札まで走りましたが、発車は46分で、まだ改札していませんでした。
さて、もう一つの旅の憧れ、大井川鉄道です。車両がいろいろあってどれに乗っていいか迷います。シートが横向きについている車両は流石に人気ですね。
憧れの井川線ですが、これが予想以上に素晴らしい。大井川の渓谷風景がどこもかしこも絶景です。関の沢鉄橋では観光停車してくれます。
奥大井湖のレインボーブリッジ、アプト式区間の電気機関車、どれも感動的でした。1時間40分も暇だな、と最初は思っていたのですが、乗車中は完全に時間を忘れてしまいました。楽しい旅も千頭で終わり、大井川本線は茶畑の中を進みます。金谷に着くころには日が落ちかけていまして、東海道線と新幹線で帰宅。小田原は大雨でした。
天候は余り良くありなくて、それは正直残念でしたが、達成感は最高レベル。東尾根、最高でした。正直、また行きたい。ただし、道迷いには十分注意です。
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