巨摩山地縦走
- GPS
- 25:44
- 距離
- 52.1km
- 登り
- 3,564m
- 下り
- 3,410m
コースタイム
- 山行
- 10:14
- 休憩
- 1:07
- 合計
- 11:21
天候 | 1日目 曇時々晴れ一時雨 2日目 曇 |
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過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
帰り:登山口にデポしておいた自転車 |
コース状況/ 危険箇所等 |
薬袋〜富士見山、十谷峠〜大峠分岐:テープはあるが踏み跡程度 それ以外:一般登山道 |
写真
感想
□補足:「巨摩山地」について
赤石山脈を分割した地域の名前について、有名なのは「白根三山」「白根南嶺」「身延山地」「安倍奥」「主稜線」「深南部」「伊那山地」あたるだろうか。前4つが、Wikipedia「赤石山脈」で言うところの「白峰山脈」、後ろ3つが同じく「狭義赤石山脈」にあたる。Wikipediaでの分類の残る1つ、「甲斐駒山脈」の分割ついては「巨摩山地」の範囲を巡って諸説あるようだ。大武川以北をA、大武川以南御勅使川以北小武川以西をB、大武川以南御勅使川以北小武川以東をC、御勅使川以南をDとすると、
①巨摩山地=A+B+C+D
②巨摩山地=B+C+D、甲斐駒山脈=A
③巨摩山地=C+D、甲斐駒山脈=A+B
④巨摩山地=C+D、甲斐駒山脈=A、鳳凰山地=B
⑤巨摩山地=D、甲斐駒山脈=A+B+C
⑥巨摩山地=D、甲斐駒山脈=A、鳳凰山地=B+C
あたりのバリエーションがありそうだ。一般的ではないが、Dのみを指して「櫛形山地(櫛形山塊)」と呼ぶ場合もあるようである。今回の山行では、Dを巨摩山地として、南端から北端まで歩いてきた。
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前日夜に、下山口に自転車をデポしておいた。途中水を補給出来る場所がなさそうなので、水を6.5L入れ、荷物は17.2kgになった。
○1日目
家族のドライブついでに早川町役場まで送ってもらった。すぐ横の橋で早川を渡り、巨摩山地の領域に入った。薬袋集落内には南アルプスフロントトレイルの看板が要所要所にあり、それに従って集落のはずれのお寺の裏から山道に入った。
最初は良い道だったが、尾根が平らになると踏み跡が散逸し、不明瞭になった。紛らわしい林業作業道もあり、時々ピンクテープを見失ってしまった。藪はなく、どこでも歩けるので適当に進み、テープや踏み跡を見つけては道に戻ることを繰り返す。一旦下って車道に出て、塩之上集落を掠めてまた山に入る。
鉄塔やCATVのアンテナを横目に急登を淡々と登る。足場が悪い場所や急坂にはロープが設置されているが、ダルダルで登りには使えない。あたりは手の入った杉林から、次第にミズナラなどの天然林に変わる。雨が降りだしたが、樹林帯なので影響はほとんどなかった。1376m標高点では初めて甲府盆地方面が僅かに開けたが、雲と霞でよく見えなかった。やがて傾斜が緩くなり、しばらくするとふと山頂がある。
大天上山頂の標識は、地形図上で1510mに届かない隠れピークにある。1516mのピークには、「↑富士見山」と書かれた標識のみがあり、あくまでこちらは山頂ではないとの見解のようだ。一休憩して先へ進む。
急坂を下り、二重山稜の緩い登りを歩く。西側のカラマツ林と東側のスギ林のコントラストが面白い。途中赤い字で「水」と書かれた木が2本あったがあったが、まだ6L近く残っているので無視して先へ進んだ。富士見山への登りは急な上、薮や倒木がやや多く歩きづらい。いつの間にか止んでいた雨が下草に残した露で靴が濡れる。尾根が緩くなるとすぐ山頂がある。
富士見山山頂ではこの山行で初めて人と出会った。その名の通り富士山方面と西側も開けているが、遠くの山は雲の向こうでよく見えなかった。
ここから先は富士見山のアタックに最も一般的な登山道で良く踏まれており、これまでより非常に歩きやすくなる。
富士見山展望台には鳥居と祠、南アルプスによくあるだんご標識などがあり、山頂より賑やかだ。展望台と言うだけあって富士山方面の展望がよく、ちょうど雲が晴れてきたため、傘を被った富士山を見ることができた。
麓からの登山道と別れるとやや踏み跡は薄くなるが、富士見山以南よりは分かりやすい。ただ、1638m標高点の登り出しだけは藪っぽくて分かりづらかった。アップダウンをさらにいくつかこなすと御殿山にたどり着く。三角点と山頂があり、山頂には大きな看板と小さな祠があった。北に向かって標高を落とすとやがて車道に出合う。
十谷峠は工事のため、通行止めのゲートが閉ざされていた。ここは南アルプスフロントトレイルのセクションの区切れ目になっており、大きな看板が立っている。薬袋からここまでがセクション3、ここ十谷峠からがセクション2だ。この看板には「Jikkoku pass」と書かれているが、地理院地図の十谷集落に振ってあるルビは「じゅっこく」である。どっちが正しいんだろう?
ここからまた踏み跡が薄くなる。1534mピークの少し先、標高1475mほどの場所は、西に伸びる尾根にピンクテープがたくさん付いており、正しい尾根にはテープが無いため注意が必要だ。1380mまで標高を下げてから、倉尾山まで標高差470mのきつい登りが始まる。気温が上がり晴れ間も出てきて大変暑い。標高1485m圏のピークには真新しいベンチが何故かひっくり返して置いてあり、東側が伐採されて富士山が見えるようになっていた。標高1590mから先が最もきつく、45°を超えようかという傾斜の上に足元も崩れやすい。上までずっと張ってあったロープを時々頼りながらあえぎ登る。標高1720mで小尾根に出ると僅かに傾斜が緩くなり、やがて尾根が広くなるとやっと山頂が見えた。
倉尾山山頂は東側も伐採されており、六郷市街の向こうに富士山が見えた。西側も僅かに望めたが、山頂は雲の中だった。
ここから足馴峠までは、藪がなく傾斜が緩くて歩きやすく、人の少ない静かな原生林で、歩いていてとても楽しかった。樹間にぽっこりと見える源氏山がだんだん大きくなってくる。足馴峠から源氏山へのトラバースは大崩落しているとの情報があったため、1884mピークへ尾根を直登したが、途中で道を外してしまって苦労した。少し下って大峠山分岐に着く。
ここで一旦大荷物を下ろし、水などをウエストポーチに詰め込んで、源氏山のピストンに向かった。源氏山までは標高差100mのアップダウンがあり、特にコルから源氏山まではかなりの急坂だった。ほぼ空身とはいえ、これだけ歩いた後ではなかなかしんどかった。この道中の沢に水が流れていたが、飲み水は十分持ってきてしまっていたため、500mLだけ貰っておいた。この沢の下、コルから出頂ノ茶屋方面へ少し下った場所なら早々枯れることはないだろう。縦走路の貴重な水場だ。
分岐に戻って先へ進む。ザックは重くなったが、もうこれ以降道の心配が要らないことから心は軽い。林道に出て、櫛形山の麓へ向かう。池の茶屋峠にはセクション2始点の看板が立っていた。遠くの山は雲の中だったが、丸山や高山を眺めながら、池の茶屋登山口まで歩いた。
駐車場には3台車があり、車中泊をしているようだった。休憩舎の中は大部分が砂利敷で、真ん中に4人寝られるくらいの板間があった。トイレは汲み取り式で、よく手入れされていた。水場さえあれば完璧なのだが、車道が通っていては需要がないだろう。そもそも「休憩舎」という名前からして、宿泊は想定されていなさそうだ。小屋の中にトイレの手洗い用の水があったため、入口に移動させ、奥の方で寝ることにした。源氏山で補給した水を沸かしてアルファ米を食べ、19時半頃就寝した。
○2日目
3時半起床。朝も、ラーメンより水の消費が少ないからと持ってきたアルファ米を食べた。しかし昨日少し補給できたことと、想定より歩けたことからやや水が余っているため、行動分を残して手洗い用の水に注いでおいた。
山頂で日の出を見ようと4時20分発。星は見えない。稜線に出ると甲府盆地の夜景が見えた。5時前に三角点のあるピークまで来ると、日の出方面の空が赤く輝いているのが見えたが、雲が多く良い日の出は望めなさそうだ。櫛形山山頂で富士山を拝み、白根三山のモルゲンロートに狙いを定めて裸山へ急いだ。
時間的にはちょうど良い時間に裸山に着けたが、残念ながら白根三山も雲の中だった。しかし、この山地に続く、鳳凰三山、アサヨ峰、甲斐駒の峰々が雲の下に顔を覗かせていた。いつの日かセクション1を歩ききり、向こうまで足跡を繋げたいものだ。裸山とアヤメ平には植物の保護区があり、何種類か綺麗な花が咲いていたが、詳しくないのでよく分からなかった。
ここまで来ればもう消化試合だ。主稜線を裏の鳳凰に譲り、甲府盆地に尾根が落ちるに任せて、徐々に標高を下げる。適当な獣道から丸山に寄ってみたが、途中で消えてしまい、復帰に苦労した。登山口までの急坂には丁寧に九十折がついており、スルスル下れた。
丸山登山道登山口にデポしておいた自転車を回収し、標高差700m距離12kmを駆け下りる。我々生物が持たない車輪は偉大で、外れたチェーンを直す時間を含めて麓まで40分もかからなかった。
最初に早川を渡って山行を始めたので、御勅使川を渡って終わりにした。上流を見ると、櫛形山と千頭星山から伸びる尾根がV字を描いていた。一つの山地の始まりと終わりを見届けられたことに満足して家まで自転車を漕いだ。
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