焼岳・西穂高岳・上高地
- GPS
- 33:15
- 距離
- 30.6km
- 登り
- 2,443m
- 下り
- 2,443m
コースタイム
- 山行
- 5:46
- 休憩
- 0:56
- 合計
- 6:42
- 山行
- 7:06
- 休憩
- 1:55
- 合計
- 9:01
4:43駐車場-7:25焼岳北峰-8:50焼岳小屋-11:25西穂山荘
10月9日(土)
4:52西穂山荘-5:37西穂独標-6:32西穂高岳-8:28西穂山荘
<休憩とパッキング>
9:14西穂山荘-10:48登山口-11:30小梨平(昼食)-12:30上高地バスターミナル
<バス移動>
13:00中の湯バス停-13:52駐車場
天候 | 10月8日(金):曇り後晴れ、無風・微風 10月9日(土):晴れ、無風・微風 |
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過去天気図(気象庁) | 2021年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
・上高地から中の湯バス停まではバス利用。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・中の湯登山口-焼岳北峰-焼岳小屋:火口に上がるまではごく普通の登山道で特に危険箇所なし。焼岳北峰付近は噴気が各所から上がっており、落石にも注意。北峰から焼岳小屋までは急なガレ場の下りとなり歩きにくい。 ・焼岳小屋-割谷山-西穂山荘:緩やかなアップダウンが続く樹林帯の歩き。秋で紅葉や落陽の季節だったせいか、樹木の間から笠ヶ岳や穂高岳、上高地などが時折見られた。割谷山は山頂を通らず巻く。道標やマーキングは見掛けなかったが、ルートは明瞭で、危険箇所も特に見られなかった。 ・西穂山荘-西穂独標-西穂高岳:丸山付近まではのどかな登山道だが、それ以降は岩稜帯の登下降が続く。特に独標付近から西穂高岳までは岩場が連続。ストックは独標までは使用できたが、その先は両手を空けて歩くほうが賢明と思われる。この区間は全般的に滑落落石注意だが、森林限界を越えているので、展望は良い。 ・西穂山荘-上高地:一大観光地である上高地からの直接登り上げるルートなので、登山道の整備状況は良いが、登山者は比較的少ない。下りで利用すると上高地まで延々下りが連続し、登り返すところはない。樹林帯歩きのため、展望はない。 ・西穂山荘のテント場は、スマホ(ドコモ)の電波微弱で使用しづらかった。 |
写真
感想
10月8日(金)
中の湯登山口近くの駐車場には4:19に到着。真っ暗で星がきれい。狭小のスペースと聞いていたので、平日を選びしかもまだ暗い内に到着したので、駐車スペースは十分だった。準備の後4:43に行動開始。暗くて登山口がよく分からなかったが、一度登山口の下見をしたことのあるZさんに付いて行く。最初は樹林帯歩き。真っ暗な中を進む。風もなく、10月としては気温が高いので、歩き始めるとすぐに汗が滲むようになる。しかも今日はテント泊装備なので、背中のザックも重い。15kgくらいか。5:30を過ぎるとようやくヘッドライトから解放され、肉眼で登山道を歩けるようになる。駐車場には多くのクルマが駐車されていたが、ここまで誰とも行き会わず。明るくなって周囲を見ると紅葉がきれい。今年は10月が異常とも思える高温が続いているし、実際にこの日も暖かなので、紅葉の色づきはいまいちだったが、それでも赤や黄色になった葉は多く見られた。しかし天気が思った以上に良くない。ガスが出ていて、遠くまで見通せない。登山道を歩くには十分だが遠望はなく、好天予報と思ったので少し期待外れ。ガスの中の登り、火口の縁まで到達する。左に行けば南峰があるはずだが、立入はできないので、諦めて北峰に向かう。ここにきてようやくガスが取れ始めて、周囲の展望が得られるようになってきた。火口まで上がってきたので周囲は噴気があちこちで見られ、独特の雰囲気。北峰への分岐でザックをデポして山頂へ向かうと、ここまで曇っていたが一気に晴れ始めた。これまでのガスがうそのように取れて、周囲の山々や青空が見え始めた。7:25に焼岳北峰到着。無人。貸し切り。雲は流れるものの風は比較的弱く、シャツだけで居るのに寒さは感じなかった。それよりも展望が素晴らしい。正面に穂高連峰が見え、今日この後歩く尾根も見通せる。笠ヶ岳も見えるし、乗鞍岳も見える。火口湖もガスが取れたことで見えるようになった。ガスの着いたままだったら何も見えず、山頂滞在5分で降りてきただろうが、この天候急変に驚きつつも、景観の素晴らしさに30分近くも滞在してしまった。しかもこの間貸し切り。混雑する山はやはり平日に限る。
北峰から降り再び重いザックを背負い、山頂から見た尾根に進むべく、急斜面を下り始める。岩がゴロゴロしているし、砂地で滑り易い。しかも今日は重荷なので慎重に下る。下り始めるとようやく日帰りのハイカーとスライドするように。上高地から登ってきたのだろうか。下り切り背後の焼岳を見つつ進み焼岳小屋に到着。小屋前にベンチがあったので、ここで座って少し休憩。焼岳の山頂からはだいぶ下ってしまったが、今日はこの先もまだ長い。水分を取った後に行動再開。
ここからは自分もZさんも未踏の区間。地図を見ると比較的なだらかで歩き易そう。そして実際に歩いてみると概ねそのとおりで、細かな登下降はあったものの、大きく登ったり下ったりはなく、歩き易い登山道だった。すれ違うハイカーも少なかったが、これは平日なのも影響しているかもしれない。途中ところどころで樹林が切れる箇所もあり、それらでは、左手側には笠ヶ岳、右手側には上高地、そしてほぼ正面には穂高連峰がそれぞれよく見えた。このルートでこれだけ穂高が見えると予想していなかったので、望外の展望の良さを嬉しく感じた。すれ違う人も少ないままに上高地への分岐を過ぎ、ここから少し登ると西穂山荘に到着した。11:25と、目標だった正午までに到着よりだいぶ早かった。受付を済ませて早速テントを設営する。ここのテント場はあまり広くないためか、翌朝8:30までの撤収を求められていて、あまり聞いたことのないルールだが、狭い場所に多くのテント泊を受け入れるための決まり事のようなので従うしかなかった。翌朝結露しなければ良いのだが。
無事テント設営を終えると後はテント場と小屋前のベンチでダラダラと過ごす。10月なのに暖かくて、昼間はテントの中に入れないくらいの暑さだった。到着後テント設営してしまうと動く気がなくなるが、Zさんは天気の良いときに丸山往復してきた。自分はこの間少し涼しくなったテントのなかで居眠り。暖かく快適な昼寝だった。日が傾きテント場が陰ると一気に気温は下がり始め、防寒着がないといられないようになってきた。やはり標高2300メートル超の10月は生やさしくない。夕方5時過ぎに夕食を取る。Zさんは小屋のほかほかの美味しいご飯を食べたようだが、こちらは重量の都合で例の如くの粗食。18時頃、周囲はまだがやがやしていて騒々しかったが、翌朝早起きするので、18時頃には本格的に寝に入る。3シーズン用のシュラフに薄着で寝たものの、日付が変わる頃寒さを感じるようになり、シュラフカバーを被せることで暖かく安眠できるようになった。
10月9日(土)
3:30起床、5時出発の予定だったが、周囲のテントが騒々しくて寝ていられず、予定よりもだいぶ早く寝るのを諦めた。奥穂まで縦走する人がいるのだろう。アルファ米用のお湯を沸かした後、4時過ぎにはテントの外に出、撤収を始める。8:30までに撤収のルールがなければ、今日はここにデポして戻ってくる頃には適度に乾燥していて軽い状態で持ち運べるはずだった。しかし特別ルールのためその期待ははずれることに。しかも一番外側のフライシートが盛大に結露していた。一晩中風も弱かったし、致し方ないか。テント撤収後にやはり結露してべっとり濡れているベンチに座ってアルファ米の朝食。Zさんもこれは同じ。朝から少し仕事したものの、やはり胃が食べ物を受け付けてくれないので、半分くらい残し後で食べることにする。半分パッキングしたザックを荷物棚に押し込み4:52に行動開始。昨日に続いて星空登山となった。
昨日午後に一度丸山まで往復しているZさんに先導してもらう。自分もここは奥穂から西穂への縦走で一度歩いているが、もう10年前の話なので、記憶が定かではない。それに登りと下りでは受ける印象も異なることが多い。歩き出して10分ほどで丸山に到着。案外あっと言う間だった。今日はサブザックの出で立ちなのでとにかく背中も足取りも軽い。良いペースでドンドン進める。ストックを持参するか前日少し悩むも、途中からは使えたと記憶していたので持参する。独標の手前付近まで来ると周囲も明るくなりヘッドライトが不要な明るさになる。晴の登山日和で風も弱い。独標に上がる時少し急な斜面を登るので、ストックが邪魔に感じた。西穂独標に5:37に到着。穂高連峰の方向が明るく、そして赤くなり始めていた。笠ヶ岳もよく見える。歩き始めからジャケットは着ないで小さいザックにしまっていたが、行動中も休憩中も着る必要がないくらいに暖かだった。本当に10月?と思うくらいの陽気で助かる。季節が1か月くらい戻った感じ。
独標で休憩しつつ食料と水を減らす。朝一ではあまり食べなかったので、ここで行動食のパンを食べる。ストックは、山頂の端のほうに2人分岩を乗せて風で飛ばされたりしないようデポして進むことに。この先は岩場の連続。両手両足を駆使して進む箇所が続く。10年前の奥穂からの縦走の時は、この辺りは既に安全圏の印象が強かったが、それは馬の背やジャンダルム、逆層スラブと比較した場合のことであって、単独で見た場合は、やはり緊張をする岩場が続くことは変わりなかった。独標が11峰となっていて、どこが1か分からず進む。ピラミッドピークやチャンピオンピークなども過ぎ、ようやく西穂高岳の登りにかかる。6:32に西穂高岳の山頂に到着。先客数名。周囲の展望は抜群。穂高も槍も見えるし、北アルプスの山々もよく見えた。狭い山頂なので、少し下がったところで休憩を取る。その間にも何名かが奥穂に向けて歩いていった。もし奥穂まで行くなら、最後に馬の背などの難所が続くので緊張しそうだ。奥穂西穂はもう一度縦走してみたい気持ちもあるが、加齢と共にバランス感覚が悪くなっているので、テント泊は諦めて、軽荷で行くしかないかもしれない。
景色を十分楽しんだ後に戻り始める。帰りも長い。登りは容易に思えた箇所も下りだと手掛かり足掛かりが乏しくて、というところもあって、やはり下りのほうが難しく感じた。そして何よりも明るい時間になり、西穂山荘に宿泊していたハイカーが次々に登って来るようになった。途中待ってやり過ごすことが多い。狭い登山道なので、安全な場所で止まって待つ。行きと全く同じ道なので景色はあまり代わり映えはしないが、帰りは今度は昨日登った焼岳や、その先には乗鞍岳が見えて、往復しても展望は十分に楽しめた。独標に至り登りでデポしたストックを無事回収。落下や盗難に遭わず安堵。ここを下ってしまえば安心して進むことができた。これから登る人々とすれ違いつつ8:28に山荘到着。山荘前はこれから出発する人やその他の人で密状態だった。その場に行くのは少し躊躇われたが、我々もこの後荷造りして下山しないとならないので、適当な場所にデポしたザックや道具を持ってきて、休憩しつつパッキングをする。本当はテントやフライシートを乾燥させたかったが、既に8:30は経過していたし、今日のテント泊者のテントが続々と設営されていたので大人しく諦める。パッキングの後、9:14に上高地に向けて行動開始。
山荘を後にし分岐を過ぎると、山荘前のカオスな状況がうそのように静かになった。山荘前はずいぶんと賑やかだったように思う。下り始めてしばらくは紅葉の中の歩き。焼岳と同様色づきは今ひとつだったが、それでも赤や黄色の葉はきれいだった。標高の高いうちは登りのハイカーは見掛けず、見たのは野生のサルだけだったが、そのうちに続々と登りのハイカーとすれ違うようになる。上高地という大きな観光拠点からのルートなので整備状況もいいし、歩く人もそこそこいるようだ。登り返しなどもなくひたすら下る。岩場もなく歩き易い。普通の樹林帯歩きなので、展望はないが、膝には優しい登山道が続く。下り切って地図上の等高線の間隔が空き始めると、いよいよ上高地に到着。10:48に登山口に至る。ここまでくると観光客が多く、皆マスクをしているので、我々もそれにならう。しかしテント泊装備でマスクはかなり重労働で、平地を歩くのにも息が切れてしまった。
今日は小梨平でキャンプしても良いと思っていたのだが、好天の土曜日。お昼前でテントも多かった。空腹に感じたので、ベンチに座って食事をしつつこの後の計画を練る。小梨平キャンプも魅力的だったが、今回は見送って大人しく帰ることにした。12:30にバスターミナル着。日曜日に比べれば空いているだろうし、午後の時間よりは人出も少ないだろう。大した時間待つことなくバスで移動。中の湯バス停で下車する。
さてここからが厄介なクルマの回収。クルマはバス停から約4km離れた登山口に置いてある。2人で急坂を登ってクルマまで行くのは名案とは思えず、ドライバーである自分だけが歩いてクルマを回収することに。途中安全なところにZさんに待機してもらい、更にそこに自分のザックもデポすることに。西穂往復に使ったサブザックを再度取り出し、必要最低限の物だけ詰めて出発。アスファルト車道をひたすらクネクネ登り始める。上高地は涼しくて汗などかかなかったが、急坂を登り始めて暑く感じるように。しかも脇をバイクやクルマが通り抜けていくので、気が気ではない。こんなところで事故に遭いたくない。中の湯の温泉付近からは車道をショートカットする登山道が付いているようだが、入口が分からず結局車道を進む。駐車場までもう少しのところで下山のパーティがいて、登山道を下っていた。助かった。もう車道を進む必要がなくなった。傾斜は車道よりさらに急だったが、履いているブーツがテント泊縦走用の重いものなので、車道アスファルトよりは土の急斜面のほうがよほどフィットした。13:52に無事駐車場到着。下山ラッシュの時間というか、多くのハイカーが駐車場に戻る時間だった。前日の早朝に出た時は空きが多かったが、この時間は路駐が多く、すれ違い困難なところにもクルマは見られた。
今回1泊2日で焼岳と西穂高岳を歩いて来た。自分にとって未踏だった区間を好天のなか歩けたのが幸いだった。小梨平でのキャンプは、来秋の楽しみにとっておくとしよう。
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